スクエニ、「戦国IXA」運営スタッフインタビュー
各種トラブルの解決策と、「国チャット」、「女性武将」など今後のアップデートプランについて聞く


8月16日収録

スクウェア・エニックス本社


「戦国IXA」

 株式会社スクウェア・エニックスは、8月9日よりブラウザゲーム「戦国IXA(イクサ)」の正式サービスを開始した。「戦国IXA」はスクエニが「ブラウザ三国志」のONE-UPと共同開発したオンライン戦国シミュレーションゲーム。プレーヤーは全国12カ国の大名家に所属して、合戦で大名家のランキングを争うことになる。

 ゲームの要素には、自国の勢力内にある所領を育てて資源を貯め、兵を鍛える「内政」と、育てた兵や武将を使って争う「合戦」がある。登場する戦国武将はトレーディングカードになっていて、著名なイラストレーターがイラストを描いている。その武将カードを育てたり、強化したりして強い武将を作っていくのが大きな目標となる。

 サービス前から高い注目を集めていた「戦国IXA」だが、8月9日の正式サービス開始直後からサーバーが重い状態が続いていた。また、第1回目の合戦が終了した後、開始当初には想定していなかった各種トラブルも浮き彫りになった。特に、正式サービスから追加された「豪族砦」というコンテンツで、一部のプレーヤーだけが最強兵士を簡単に獲得できてしまい、それがゲームバランスを大きく崩してしまったことは大きな批判を呼び起こし、公式ブログが沸騰した。公式ブログではすでに「豪族兵」の一時停止が発表されたが、対応が遅れたことで運営に対して不安や疑問を抱いているプレーヤーはなお多い。

 今回はスクエニ本社を訪問して、「戦国IXA」の運営チームから、現在認識している問題点とその対処法について話を伺った。インタビューに答えてくれたのは、「戦国IXA」エグゼクティブ・プロデューサーの渡辺泰仁氏、プロデューサーの藤井聖士氏、サービス関連のディレクター 岡山博紀氏の3方。「うちの運営はデレですから」という言葉とともに、腹を割った話を聞かせてもらった。


「戦国IXA」エグゼクティブ・プロデューサー 渡辺泰仁氏プロデューサー 藤井聖士氏サービス関連のディレクター 岡山博紀氏




■ バランスブレイカーとなってしまった「豪族兵」はひとまず“削除”

合戦時のマップ。灰色の砦が物議をかもした「豪族兵」を生み出す「豪族砦」だ

編: 8月9日のサービス開始から今までの感触はどうでしたか?

渡辺泰仁氏: 8月2日からオープンβテストを始めまして、1週間後の8月9日に課金スタートと同時にメインコンテンツである合戦を入れました。今のところ3サーバーまでオープンしていまして、16日18時に4サーバーをオープンしました。もともと想定していたよりも、登録者数に対する定着率が良くて、そのせいで初期にサーバーに負荷がかかってしまう時期がありました。

藤井聖士氏: 同時接続も当初の予定の2倍から3倍くらいあります。そのためサーバー数も2倍から3倍に増やしました。1ワールドの構成も数台から10数台に増やす形で対応しました。負荷がかかって遊べないのは褒められた話ではないのですが、ゲーム自体は大勢のお客さんに遊んでいただけています。

渡辺氏: もちろんトラブルもあったので、順調でしたと言うとお客さんに怒られてしまうかもしれませんが、当初の想定をはるかに超えていたという部分に関しては、非常に順調な滑り出しだったと思います。

編: ユーザーから出ている不満はどのようなものがありますか?

渡辺氏: 初期は主にサーバーの重さに関することでしたが、そこは解決したと思っています。今問題になっているのは主にゲームのバランスです。あともう1つは、合戦が少しわかりにくいという意見があります。合戦のバランスについて、いろいろとお叱りをいただいているのですが、非常に熱心にこうすべきという意見をくれるお客さんが多くて、サービスに対する熱意が大きいのかなと思います。その思いに応えていかなくてはいけないと思っています。

開発者ブログにはプレーヤーから数百のコメントが寄せられることもある

編: ユーザーはどの窓口から要望を出しているのですか?

渡辺氏: 正式なお客様窓口としての投稿フォームもありますが、そこ以外にもスタッフブログのコメント欄でコミュニケーションをとっています。外部の掲示板も当然見ています。それらで上がってきた意見をそのまま鵜呑みにするわけではありませんが、客観的に見ても対処すべきというものついては、課題として捉えています。

編: どんな要望が多いのですか?

渡辺氏: 合戦時に登場する「豪族兵」についてです。「豪族兵」はもともと、ゲームの初期に資産を充分貯められていないプレーヤーに対してのサポートのつもりで入れたのですが、逆に一部のヘビーユーザーが兵を獲得したことでバランスを大きく崩してしまったのです。「豪族兵」は取り除く方向で進めています。

編: システム的に削除してしまうのですね?

岡山博紀氏: はい、一旦は無しの方向で考えようということになりました。ある国とある国が戦う時に、防衛側は自分の国が合戦地になるので基本的に全員参加になります。だから攻め側のほうが母数が少なくなると想定したのです。そこで手数や攻撃力の不足を補うために入れたのが、「豪族兵」や密集して建てられる攻撃側の出城のバランスだったわけです。ところがフタを開けてみると攻撃側も防御側もかなり参加していて、思っていた以上に攻撃側がアクティブだったのです。その中で「豪族兵」の存在が、わかっている人は本当に強くなり、わからない人との格差を生んでしまったのです。今は「豪族兵」をなくせばバランスは取れるだろうということで。

渡辺氏: ゲーム全体で「豪族兵」が問題になっているように見えるのですが、内部的なデータで見ると「豪族兵」を手に入れている人は本当にアクティブなごく一部の人なのです。多くの人はその存在もよくわからずに戦っていて、終わった後であれが美味しいものだったらしいよと騒ぎになっているのが現状です。ただ我々としても、わかっている人だけがより強くというのはあまりいい状態だとは思っていませんので、なるべく多くの人がわからないなりにも合戦に参加できるよう誘導していきたいと思います。

編: クローズドβテスト(CBT)には「豪族兵」はありませんでしたね。CBTの合戦では防御側が勝利しましたが、その結果をもとに導入されたのですか?

岡山氏: CBTでは圧倒的に攻撃側の手数が足りないことが1つの課題だったのです。例えば単純に1対1で戦うにしても、砦を落とした時点でお互いの兵力が0になったとして、その後攻撃側は砦を破壊するというもうひと押しがなければポイントが入らないという仕様だったのです。そのもうひと押しを手助けしてくれるものが必要というのがCBTの時に見えた課題だったのです。その結果「豪族兵」を入れることになったのです。

渡辺氏: 若干栓が緩すぎて、思ったよりもたくさんの「豪族兵」が出てしまったことと。もう1つは「豪族兵」の入手方法がわかる人にはわかるのですが、気がつかない人はそのままで、当初我々が考えていたようなギャップを埋める手段としてはあまり役に立たなかったというのが現状だと思うのです。

編: 本当は兵数が足りない人に使って欲しかったのに、強い人が使ってしまったということですか?

渡辺氏: そうなのです。ゲーム全体として、わかりやすさという部分が欠けているということは薄々認識しておりまして、全体をもっとわかりやすくすることをテーマの1つとして持っています。もう1つCBTの課題ですが、ホットスポットの近くに城がある人はそれなりにやり合うのですが、外れたところにいる人たちは指をくわえて見ているしかなかったという状況がありました。そこに関しては今回、マップのレイアウトを変えたり、合戦地に行くまでの経路を変えたり動線を整理することでずいぶん改善されたのです。こうやって1つ1つは良い方向に向かっているので、合戦のたびにわかりやすいものをどんどんお客さんに提供していくことができるのではないかと思っています。




■ 合戦をわかりやすくするための新UIを導入

現状のUIでは、合戦の中で何をすればいいのかが初心者にはわかりにくいという弱点があった

編: CBTでは内政のチュートリアルに比べて、合戦のチュートリアルが不親切な印象がありました。そこも改善されるのですか?

渡辺氏: まずは何も考えなくても楽しめるようなものを提供したいと考えています。もちろん戦略を楽しむタイプのゲームなので、最後まで何も考えなくても楽しめるというものではありませんが、最初の一歩はそれほど悩まずに踏み出していけるような形にしていきたいです。

編: 具体的にどういう形にしていくのですか?

岡山氏: チュートリアルはクエストの中に含まれています。そのクエストの達成方法の説明が足りない、直観的にはわからないことが合戦チュートリアルというものに対する課題だと思っています。例えば「合戦で戦功を上げましょう」というクエストは入っているのですが、今後は戦功の上げ方をもっと具体的にしていきます。合戦が始まると地図というメニューの画面が合戦地になりますが、そこに何をやると何点入るのかというユーザーインターフェイス(UI)をいれる予定です。

編: 合戦専用の新しいUIが入るのですか?

岡山氏: そうです。そして実はもう1つ課題があります。1人1人のやることが多すぎて、同盟内で誰か「助けて」と言っても全員が「それどころじゃない」というケースが多かったのです。1人1人が遊びの幅を持てるようにしたのはいいのですが、今度は同盟内で協力しあってなにかをやれるような所を強化していくつもりです。例えば同盟の盟主を守るとより戦功を上げることができたりと、1人でやるよりも同盟に貢献したほうが報酬を多くもらえるような方向に調整していきたいと思っています。

編: 同盟に参加していたほうがお得ということですか?

岡山氏: 実はこの間やった合戦ですでに同盟報酬がシステム的には入っていたのですが、一旦止めていました。実際に皆さんが同盟内でどんな行動をとっているかを見させていただいたうえで、次回の合戦からは同盟報酬を入れていく予定です。次回の合戦から初めて参加するユーザーさんももちろんいらっしゃいますので、そういう人でも合戦がわかるようなUIにして、さらに同盟でこんなことをしましょうということが、ヘルプを見ないでもプレイの動線上に明示されるようになれば、合戦へのモチベーションが高まって楽しい合戦になるのではないかと思っています。

編: 新しいUIの内容をもう少し詳しく教えてもらえますか?

岡山氏: 周辺地図の中に、これをやったら何点という表が明示されるようになります。例えば領地を作ったら何点、陣を破壊したら何点という形で、何をしたら何点入るかがわかります。できれば自分が何点なのかも絶えず見えている状態にしたいです。

渡辺氏: もう1つの大きいバランス変更は、合戦の目的をもう少し明確に仕様ということです。敵の盟主を倒して、自分の盟主を守るというメッセージを明確に打ち出すと同時に得点の傾斜を若干盟主の方に重きを置くよう変更します。

編: 「ブラウザ三国志」に近くなるということですか?

渡辺氏: 「ブラウザ三国志」では盟主を落とされるとその同盟の配下に入ってしまいますが、そういう強烈なデメリットはありません。

編: デメリットではなく、メリットを増やす形になるのですね。

渡辺氏: そうなります。




■ 国単位のコミュニティを育成するための「国チャット」を検討中

プレーヤーの人数が多いので「チャット1追加するにしても、負荷のことを考えなくてはいけないのです」と岡山氏

編: 今は合戦はどの程度の頻度で発生しているのですか?

岡山氏: もともと想定していたのは4日のうち3日くらいは合戦が起きているというペースです。でも3日間はさすがに長いとか、兵の準備ができないという意見もありまして、「豪族兵」がなくなることもあり、今週から週に2日間になります。毎週土日に合戦が起こるような形にしてしまうと、平日しか遊べない人が遊べなくなるので、6日間のうち2日間が合戦という流れになります。

編: 結構頻繁なのですね

岡山氏: ある程度強い武将を持ったり、拠点をたくさん持ったりすると、今度はそれを合戦で消費したい、消費することで勝ちたいという風になっていくと思いますから。ヘビーユーザーになると、毎日合戦したいという人も現われると思います。内部でも意見が割れたんですよ。

藤井氏: 合戦は本当にユーザーさんによって全然違います。3日間が長いという人もいれば、3日間フルに遊んだという人もいます。すぐに次の合戦を遊びたいという人も、少し休みたいという人もいます。ちょうどいいころ合いが、2日間くらいかなと。データで見ても、結構な方が張り付きに近い形でずっとやっていただいていて、1時で合戦が終わることについても2つの意見がありました。

渡辺氏: 今の結論としては、6日に2日の合戦を、現状の10時から深夜1時までを1時間延ばして2時までにします。もっと遅くまでやりたいという人もいるのですが、敵がいると付き合わなくてはならずに苦しむ人もいるので、まずは2時まで開いてみようかと。

編: CBT前のインタビューでは、あまりべったり画面前に張り付きにならないようなゲームにしたいということでしたが、そこは想定通りにはいってないということですか?

渡辺氏: まず「秘境探索」が好評で、結構数時間おきに繰り返しているお客さんが多いのです。

岡山氏: 合戦は張り付きになってしまう人とならない人両方がいてもいい形に落ち着けたいと思っています。CBTでは「友軍」という、時間がない人はそこに武将を派遣しておけば戦功が稼げるという合戦のサブモードのようなシステムがあったのです。でも同盟の仲間から「攻められてるから加勢して」と言われた時に、部隊を全部「友軍」に出していると、それがひずみを生んでしまったのです。そこで「友軍」という形ではなく、盟主の城に部隊を派遣しておけば、会社から帰ってきて結果を見ると「おかげで助かったよ」と言うことがあります。「ありがとう」と言われるようなサイクルを作って参加していただくのが1番素敵なことかなと考えています。

編: 「友軍」は時間がない人にとってはよさそうなシステムでしたが、上手く機能しなかったのですか?

岡山氏: 国へは貢献できるのですが、アクティブな同盟になればなるほど、「友軍に出すのは遠慮してください」みたいな話になってしまいがちですので、やはり仲間を守ったほうがいいと思っています。

編: まだ国としてのまとまりはあまりないのですか?

岡山氏: 勝った国と負けた国で報酬が違うので、コミュニティが盛り上がる要因ではあります。

編: 国単位のコミュニティはあるのですか?

岡山氏: 実は国単位のちゃんとしたコミュニティ機能は用意されていないので、それは追加していきたいと思っています。

渡辺氏: 「国チャット」というものを想定していて、準備もしているのですが、あまり広域チャットになると荒れるかなという心配もありまして、登場を控えていたのです。でも、今のお客さんの感触が非常にいいので、おいおい入れていきたいです。

編: 「国チャット」は何百人単位のものになるのですか?

岡山氏: そうですね。ですから入れるにしても、負荷の問題を考えながら慎重に入れていきたいと思っています。

渡辺氏: 開発チームから、血を吐くような思いで負荷を削っているから、負荷を掛けるような仕様を入れてくれるなといわれているのです(笑)。ですから、ここは様子を見ながらということですね。

岡山氏: 本来は、同盟に入る前に、国チャットで、「同盟ってどうなの」と聞くようなコミュニティがまずあって、「まだ同盟に入っていないならうちの同盟に入りなよ」みたいな流れがあって同盟に入るような形を考えているのです。それほど遠くない将来には、そういう形に持っていきたいと思います。

編 :今回のアップデートが入ることで、現状あるユーザーの不満はある程度解消されると思いますか?

渡辺氏: これで100%解決というつもりはないのですが、1番基本的な事項で我々も問題だと思っている部分に関しては一旦解消します。当然その先にもいろいろな課題があると思いますので、それも追加で直していきます。

編: 今後の課題としてはどういったことがありますか?

「銅銭」が手に入る「秘境探索」は正式サービスから導入された新システム。張り付いて遊ぶユーザーもいるという人気のコンテンツだ

岡山氏: ユーザーの皆さんが1番気にしているのは合戦ルールの問題かなと。それは「豪族兵」以外のバランス調整の話だったり、スケジュールの話だったり、1人で「秘境探索」を遊んでいる時に比べて、合戦が思ったほど美味しくないとか。相手の戦力がわからないので仕掛けにくいとか。システムの難しさを挙げる人もいます。これらをすべて合わせた合戦ルールの問題。もう1つが、もっとUIがわかりやすくてもいいのではという意見。そしてアクティブユーザーの方に多いのが、合戦時に同盟があまり機能していないのではという意見です。

編: 合戦を楽しむよりも、ソロで遊ぶ部分がメインになっているということですか?

渡辺氏: ソロ要素が充実しているので、そこで遊んでいる人が結構多いのです。もう少しみんなで楽しむという部分に向けて誘導していきたいと思っています。合戦のなかで「合流攻撃」とか「加勢」を持ちあげていくという話がありますが、もっと未来には合戦時以外にもみなで協力して遊べるようなものを入れていきたいと思っています。

岡山氏: 何をやるにしても、武将が育っていてるとやれることが増えるので、今はまずは武将や街を育てようと考えてる方が多い時期だと思っています。

藤井氏: 合戦のための兵を作るには、内政を充実させておかなくてはなりません。スタートダッシュで内政をしっかりやっておかなくては中盤以降に差がついてくるので、そこに向けて皆さん内政を一生懸命やっているということです。合戦はまだ序盤で、バランス調整など色々ありますが、そこが落ち着いてくるともっとみんなが合戦を楽しめるよう持っていけるのではないかと考えています。

岡山氏: 武将の育成は兵の量産と同じくらいの価値があるのです。武将カードにはランクがあって「B」だと連れて行った兵が100%の力を発揮しいます、ランクは「SSS」まであって、1武将につき5段階までランクアップできます。同じ数の兵をつれていても、武将の力で全然違うパワーを生み出してくれるので、育てて損はないのです。

渡辺氏: 今回の合戦で「銅銭」をたくさん手に入れた人たちが出ましたから、今までためらっていた「合成」などにも挑戦していただくと、強さを実感してもらえるのではないかと思います。そして今までは内政に目が向いていたけれども、合戦に参加してガンガン武将を鍛えていくともっといいことがあると、徐々に気付いてもらえると思います。

岡山氏: 「戦国IXA」は、いろいろな武将の育て方ができるのが特徴です。好きな武将の好きな兵種をランクアップさせたり、スキルを上げておけば発動した時の効果が大きくなります。また、より多くの兵を持てるようにしていけば、ランクを上げることと同じような効果もだせます。それぞれ色々な方法で武将を育てられるのは、かなり面白いかなと思います。




■ 投票システムによるマッチングは今後変わっていくかも

現在の合戦はプレーヤーの投票によって侵攻先が決まるが、今後このシステムが変更になる可能性もある
自らも1プレーヤーとして「戦国IXA」を遊んでいるという岡山氏。「内政や武将の強さをいじると、せっかく育てたのに、と自分も思うでしょうから」

編: 12カ国から所属国を選ぶことができますが、人数的な偏りは生まれていないのですか?

岡山氏: スタート時にはありました。有名どころの織田家や武田、上杉はすぐに埋まりました。

編: 国ごとの人数差のバランスは勢力同士が争うタイプのゲームではたいてい問題になりますが、そのための調整は入るのですか?

渡辺氏: 今後第三国が合戦に援軍として参加できるような仕様を検討しています。小さい国が大きな国と戦う時に、あらかじめ誘い併せるようなことができるといいかなと思っています。

岡山氏: 今想定しているのは、上位6カ国と下位6カ国で合戦時期をずらして、それぞれ合戦がない時期に、同盟単位で他国の合戦にヘルプにいけるようなモードです。

編: 逆に勝っている勢力側に人がたくさん集まってしまいませんか?

岡山氏: ユーザーさんが安定を狙うなら勝ちの方に集まりますが、安定を狙うと報酬が美味しくないんです。合戦では勝ったか負けたかのランキングの他に、個人単位の戦績でも報酬が変わるので、人数の少ない国を助けてあげたら、たとえ国が負けたとしても個人で上位に入れば報酬がたくさん入りますから。

藤井氏: バランスをとるために、強い方にばかり人が集まらないようキャップは必要だと思います。

岡山氏: 上位のプレーヤーになればなるほど、自分たちの実力で勝つというところにモチベーションを感じて弱い方に集まるような動きは、対戦ゲームではよく見ています。そういった動きになることを期待しています。

編: 対戦相手はどのように決まるのですか?

岡山氏: 今は投票システムを使っていますが、投票システムのままで行くかどうかは検討の1つではあるのです。今回の合戦では、なるべく戦力差のない国と戦った方がいいですよという前振りをしてからスタートさせたのですが、両想いの勢力は少なかったのです。武田上杉のようにすぐに決まった所もありますが、人気国の織田などは全く決まらなくて、皆織田とは戦いたくないですから。決まったところからどんどん合戦が始まっていくので、最後は勢力に差がある余ったところ同士で始まってしまいました。

編: 投票システムについて、どのような検討を行なっているのですか?

岡山氏: 投票システム自体が武田上杉のような熱い戦いを生んだのは良かったのですが、マッチングとしては投票が本当に正解なのかまだ検討しています。実際戦力差があるのに始まってしまった合戦では、コールド負けで1日で決着がついてしまったところもあるのです。それがずっと続くと、負け側の勢力のプレーヤーが不快な思いをしてしまうので、何かしらの調整は必要だと思っています。

編: そういった部分を直すのは、次のシーズンからになるのですか?

渡辺氏: 我々の大前提として、お客さんにいかに楽しい時間を長く過ごしてもらうかということがあるので、必要があれば早くに入れます。

岡山氏: システム的には間に合わなくても、皆さんが望むのであれば運営の手作業でマッチングを変えるツールもあるので、やっていきたいと思っています。

編: 1シーズンの中でもルールが変わっていく可能性があるということなのですね

岡山氏: 大前提として、育てた武将のバランスであったり、城や資源などのバランスにはなるべくメスを入れたくないと思っていますが、その上に乗っているゲームモードとしての合戦は皆がいい方にどんどん変えていく可能性があります。合戦が落ち着いたら、将来は別のゲームモードが乗って、武将や資源を使ってどんどん遊ぼうという形だって考えられます。内政は皆さんが一生懸命育てているところなので、そこのルールがひっくり返ってしまうと、今迄の苦労はなんなんだということになりますから。

編: 今はまだ基本部分を作って、その先は試行錯誤しているということですか?

岡山氏: 我々はまず基本の遊びの場を提供していて、そこでの遊びがどのようにリッチになっていくか拡張部分は、プレーヤーの皆さんと一緒に遊びの中で見つけていき、それが多くの人たちに対してメリットがあるならアップデートで追加していきたいという気持ちです。

渡辺氏: FPSのゲームモードでフラッグ戦があったり、バトルロワイヤルがあったり、RTSでMODを使ったバリエーションがあったりするのと同じように、今育てている武将と城を使った遊びをどんどん洗練させていきたいです。




■ 上級者向けの合戦「川中島」や「関ヶ原」というアイデアもある

「今は王道路線だが、武将の女性化だってニーズがあればやります」と渡辺氏。「戦国IXA」の将来を決めるのはプレーヤーだ

編: 今後どのような形になっていくのか、「戦国IXA」の未来像を教えてください

渡辺氏: 今ある合戦はゲームの1番のベースなので、わかりやすく初めての人でも上級者でも等しく戦えるようなものを1回完成させる必要があると思っています。その次のステップとして案が出ているのは、川中島とか関ヶ原とかいう名所旧跡に兵を出して、自分たちなりの戦国シチュエーションを再現しながら遊べるような場です。

岡山氏: もしそれをやることになったら、今よりももう少し戦略的に複雑なルールにしてもいいかなと思っています。上級ユーザー用のコンテンツですね。やりたい人がそこに集まって、すごく難しいルールで戦略を練りながら戦うのは非常に楽しいかなと思っています。

渡辺氏: それと、遊びとは少し離れるかもしれませんが「女の子は出ないの?」という意見もあります。いまはド渋のおっさんばかりですから(笑)。

編: 現状では女性武将はいないのですね

渡辺氏: これはお客さんの反応をお聞きしたいところなのですが、女性の武将が欲しいのか、それともお姫様のようなものがあった方がいいのか我々の中でも色々な意見が出ている部分です。もしくは全然別の形で、男の武将を女のイラストで描いてもいいのでは、みたいなこともありかな? と。あんまりそちらに振りすぎると、歴史ファンから「違うよ!」と言われるかもしれませんが(笑)。

岡山氏: また別の盛り上がりが出てきそうですね(笑)

渡辺氏: 基本は王道で、まじめ路線でいっていますが、ニーズがあるならそういう路線もやっていきます。

藤井氏: まだ出ていない武将もいるので、今後も定期的にカードを出していこうと思います。

編: 今後出る予定のメジャーな武将は誰がいるのですか?

岡山氏: 例えば、前田慶次と直江兼継ですね。ほかにも色々と有名どころが隠れています。

「うちの運営はスクエニにしてはデレですから」という3方。今後もユーザーとの緊密な意見交換を期待したい

編: 楽しみですね。最後に読者へのメッセージをお願いします

渡辺氏: これだけかっちり作った国産のブラウザゲームは中々ないのではないかと思うのです。ゲームの仕組みもこれからどんどんアップデートを繰り返していきますから、色々な楽しみ方ができるゲームになっていくのではないかと思います。お客さんの不満もなるべく早く解消するように、スピード感重視で動いて行きたいと思いますので、そこはご期待ください。

藤井氏: 今回のゲームのオープンに、本当に多くのユーザーさんが集まってくださったことと、ブログを含めてたくさんの意見をいただいたことで、このゲームが注目されているのだなと改めて感じました。必ず多くのユーザーさんが楽しめるサービスにしていきますので、「戦国IXA」で楽しんでいただきたいと思います。

岡山氏: 我々の仲間で「サスケ」と名乗ってブログを書いている男がいるのですが、サスケブログへのコメントやサポート窓口に「こんなものがあったらいいよ」という熱い意見を毎日送ってくださる皆さんの熱意に、我々は本当に感謝しています。今後、今の問題が落ち着いたころにでも、そういった熱い意見をアンケートなどで広く求める機会を用意したいと思っていますので、「俺がIXAのディレクターだったらこんなことをする」というネタをいっぱい貯めておいて欲しいと思います。良いものはどんどん実現していきたいです。

編: ありがとうございました


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(2010年 8月 20日)

[Reported by 石井聡]