Electronic Entertainment Expo 2010現地レポート
Microsoft Game Studios Vice President Phil Spencer氏インタビュー
Crytekとの協業による新IP「KINGDOM」に、Kinect対応のレースゲーム「Forza Motorsport Preview」、そして気になる3D立体視対応まで
Crytekとの協業による新IP「KINGDOM」に、Kinect対応のレースゲーム「Forza Motorsport Preview」、そして気になる3D立体視対応まで
「Xbox 360 Media Briefing」でブロックバスタータイトルを発表したMicrosoft。Xbox 360タイトル、Kinectタイトル、そしてXbox LIVEタイトルまで含むと実に40タイトル近くにも及ぶ。その特徴はファーストパーティータイトルの多さだ。それを実現している組織が同社のゲーム部門Microsoft Game Studiosである。
「Xbox 360 Media Briefing」でファーストパーティータイトルの紹介を行なう米Microsoft Microsoft Game Studios担当コーポレートバイスプレジデントPhil Spencer氏。インタビューでは時間不足で聞けなかったが、Lucas Artsが手がけているKinect対応の「Star Wars」もMicrosoft Game Studiosタイトルとなる |
Microsoft Game Studiosは、Xbox 360のファーストパーティータイトルの開発を担当している米Microsoftのゲーム部門のひとつで、内製のスタジオ、子会社化したスタジオ、パートナーシップ契約を結んだスタジオを抱え、自社IPとして販売していくことを目的としている。
勢いのあるスタジオはどんどん子会社化あるいはパートナーシップ契約を交わし、インディーズ系もXbox LIVEアーケードを通じてファーストパーティーへと引き込んでいる。そうした結果、常にファーストパーティーをリリースし続けられる環境が整っている。内製から外注に切り替えたのはXbox事業をスタートさせてからだが、時には大胆なリストラで有力なスタジオが次々にクローズするという事態も起こったが、全体としては良い方向に向かっているように映る。
今回はMicrosoft Game Studiosの総指揮を執るMicrosoft Game Studios担当コーポレートバイスプレジデント Phil Spencer氏にMicrosoft Game Studiosの最新動向について話を伺った。インタビュー時間は極めてわずかだったため、十分な質問ができなかったが、Xbox 360のファーストパーティータイトルの強さの秘密が、このインタビューを通じて少しでも伝われば幸いである。
■ 気になる新規タイトル「KINGDOM」、「Forza Motorsport Preview」の詳細に迫る!
編集部: Microsoft Game Studiosの現在の状況について教えてください。
Phil Spencer氏: Microsoft Game Studiosはグローバル企業です。東京やカナダのバンクーバー、ワシントンのレドモンド、UKなどにオフィスがあります。世界の有名なスタジオと共にビジネスを展開しました。1年間で10から20本のゲームタイトルをリリースしており、スタジオの定義は曖昧ですが、現在Rare、Lionhead Studios、BigPark、343 Game Studios、Turn10などがいて、それ以外にもKinectを専門で作っているメーカーや、無名のゲームスタジオも抱えています。
編: 「Xbox 360 Media Briefing」で大きなサプライズだったのは、あのCrytekとの協業の発表です。Crytekとの協業タイトルとして発表された「KINGDOM」とはどのようなゲームですか?
Spencer氏: 彼らとの交渉は7年前にさかのぼります。これまでずっと一緒に仕事をしようと交渉をしてきました。Crytekは素晴らしいスタジオですし、グラフィックス技術も素晴らしいですが、コアなフランチャイズを作ることに長けています。我々と一緒に取り組むことで特にコアゲーマーにとって素晴らしい作品ができあがると考えました。
編: Crytekといえば、なんといってもElectronic Artsがパブリッシングを行なう「Crysis 2」の期待が大きいです、「KINGDOM」もまた最新の「CryEngine 3」を搭載したブロックバスタータイトルになると考えて良いですか?
Spencer氏: CryEngineはこの業界でもよく知られたゲームエンジンですが、「CryEngine 3」を採用するかどうかはともかくとして、「CryEngine」シリーズをカスタマイズしたものを採用するのは間違いない。現時点でお話しできるのは「KINGDOM」は「Crysis」フランチャイズとも「FarCry」フランチャイズともまったく異なるゲームになるということです。FPSですらありません。Crytekにとっても新しいチャレンジになると思います。
編: FPSではないとなると、サードパーソンビューのアクションゲームということですか?
Spencer氏: 違います(笑)。ジャンルは新しいゲームジャンルです。「KINGDOM」に関しては新しい情報が確定し次第お伝えしていくつもりですが、現時点では、Crytekと協力してまったく新しいジャンルのファーストパーティータイトルに挑戦するということです。どうぞご期待ください。
編: わかりました。「Xbox 360 Media Briefing」でもうひとつのサプライズが、 「Forza Motorsport Preview」です。フェラーリ458イタリアを全面に押し出したトレーラーが印象的で、2011年発売と言うことで、Microsoftのプレスサイトには一時「Forza 4」も表記がありましたが、あれは「Forza Motorsport 4」という理解でいいのですか?
Spencer氏: 「4」ではなくあくまで「Preview」です。確かに何らかのタイトルを来年発売することになりますが、それが「4」であるかどうかはわかりません。あの「Preview」はTurn10 Studiosに、Kinectに対応した「Forza」を作ってくれと私が依頼したことに対するひとつ回答に過ぎません。Turn10ならこう使ってみるということのモデルケースです。
編: なるほど、それではあれが次回作として2011年に発売されるわけではないのですね?
Spencer氏: あれ自体が発売されることはありませんが、2011年に発売予定の次回作でああいった体験ができる可能性はあります。我々はKinectを通じて、新しいレースゲームの形というものを提示し、Turn10がKinectを使って新しい可能性を見せてくれました。いずれにしてもまだ発展途上のプロジェクトです。
編: 最後にひとつだけどうしても聞いておきたいのが3D立体視についてです。任天堂はニンテンドー3DSを正式発表し、SCEはグループを挙げての3D立体視対応を進めていることを明らかにしました。こうした動きに対してMicrosoftは3D立体視についてどのように考えているか、また今後どのように取り組んでいくかについて教えてください。
Spencer氏: Xbox 360もすでに3D立体視に対応していますし、我々のパートナーであるCrytekも「Crysis 2」もXbox 360向けに3D立体視に正式対応する予定になっています。翻ってMicrosoft Game Studiosとしては、3D立体視は確かに素晴らしいプレイ経験をもたらしてくれるテクノロジーですが、正直なところ“自宅で”ということを考えるとまだハードルが高いように思います。3D対応のテレビ、3Dグラス、いずれもまだ効果ですし、導入している家庭はごく一部です。
我々としてまずフォーカスすべきと考えているのは、すべてのゲームファンに等しくエンターテインメントを届けることだと考えています。現時点ではKinectのほうがより多くの人たちに楽しんで貰えるソリューションだと考えています。
編: 期待しています。ありがとうございました。
http://www.e3expo.com/
□Microsoftのホームページ(英語)
http://www.xbox.com/
□「Kinect」のホームページ(英語)
http://www.xbox.com/en-US/community/events/e3/Kinect.htm
(2010年 6月 16日)