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ベクター代表取締役社長 梶並伸博氏特別インタビュー
「ドラゴンクルセイド」が大ヒット! ブラウザゲームの旗手に次の一手を聞く

6月収録

会場:ベクター本社



 今年のオンラインゲーム業界は例年になくおもしろい。E3 2009での「ファイナルファンタジー XIV」(スクウェア・エニックス)の発表を筆頭に、PS3版「大航海時代 Online」(コーエー)のヒット、そして韓国からは「The Tower of AION」(エヌシージャパン)という大きな黒船が到来しつつある。それ以外にも実に数多くの新規/既存タイトルが今夏、シェア獲得を目指してしのぎを削っている。停滞感のあった2007年や2008年とは「ちょっと違うな」という印象がある。

 そうした中、新たにじわじわとオンラインゲーム市場を侵食しつつある存在が“ブラウザゲーム”である。その言葉の定義は、「ブラウザで遊べるゲームなら何でも」というザックリしたところから、ダウンロードやインストールを必須とする既存のクライアントサーバー型のオンラインゲームに対する、アンチテーゼ的なニュアンスまで千差万別である。GAME Watchでは、もっとも一般的な、「WEBブラウザを通じてプレイするオンラインゲームの総称」という定義を採用したい。

 このブラウザゲームの分野で現在トップシェアを誇るメーカーがベクターである。ベクターと言えば、フリーソフトから市販ソフトまで幅広いソフトウェアを取り扱うオンラインソフトウェア流通メーカーだったが、2006年にオンラインゲーム事業を始めてからは、GAMESPACE24、ベルクス、ELEVEN-UPといったオンラインゲームパブリッシャーを次々に子会社化/合併し、すっかりオンラインゲームパブリッシャーとして馴染みのある存在になった。

 そのベクターが今年のオンラインゲーム部門の新規事業として今年の4月からスタートしたのがブラウザゲームである。現在、「ドラゴンクルセイド」(中国Sun Ground Interactive Entertainment)と、「ブラウザ三国志」(AQインタラクティブ)の2タイトルのサービスを手がけ、正式サービス中の「ドラゴンクルセイド」は、開始2カ月で4つ目のサーバーを立てるまでに至った。この勢いに乗り、7月15日には「ブラウザ三国志」の正式サービスもスタートさせる。今回は、ブラウザゲーム事業を主導しているベクター代表取締役社長 梶並伸博氏に、ブラウザゲームビジネスについて話を伺った。



■ 2カ月で4サーバーが稼働した人気ブラウザゲーム「ドラゴンクルセイド」

ベクター代表取締役社長 梶並伸博氏
ベクターがサービスしているブラウザゲーム「ドラゴンクルセイド」。計画的に街を育て、英雄を育て勢力を拡大していくシミュレーションゲームだ
「ドラゴンクルセイド」の利用ブラウザの分布表。90%以上はWindows PCからの接続だが、相当数のネットブックが含まれていることが推測できる。Mac、iPhone、iPodといったApple端末や、Wii、PS3、PSPといったゲーム端末からも繋いでいることがわかる。まさにプラットフォームフリーのゲームだ

編集部: 私は2008年にアジア地域でブラウザゲームの勃興を肌で感じてきました。日本では過去にオンライン対戦型のCGIゲームという形で1度その波が訪れましたが、今回はMMOタイプということで、欧米やアジアから非常に大きな波が押し寄せつつあるのを実感しています。一般的なオンラインゲームやパッケージ型のコンシューマーゲームはその人気を明示しやすいですが、ブラウザゲームの場合は盛り上がりを視認しにくいところがあり、なかなかピンとこないところがもどかしいですよね。

梶並伸博氏: 確かに現在はシミュレーションゲームが中心ですから、いっぱいユーザーがいるという光景は見せにくい部分がありますよね。

編: 日本ではまだ認知度そのものが低いですよね。ブラウザゲームというと、まだゲームポータルで提供されているようなFlashゲームと勘違いされることの方が多い。「そうではない」というところから説明しなければいけない段階です。そうした中でベクターさんのブラウザゲーム第1弾である「ドラゴンクルセイド」がヒットして、その波が本物であることを感じました。「ドラゴンクルセイド」はつい先日も4つ目のサーバーが追加されたばかりですが、現在の会員数はどれほどなのでしょうか。

梶並氏: 各サーバーのキャパシティが2万人で、それぞれキャパシティを超えてしまっていますので、レベルによってどのくらいの期間ノンアクティブだと削除されてしまうかどうかが異なるのですが、単純に合計しますと7万5,000人くらいですね。

編: 同時接続者数はどのくらいいるのでしょうか。

梶並氏: わかりにくいですね。なにせブラウザベースですので常にセッションを張っているわけではありません。擬似的にこれだけの時間帯にいる間に来たユニークユーザーは何人かという見方で見ています。

編: 人気の目安として1日1,200万ページビューという表現を使われていますが、ちょっとピンと来ませんでした。

樋山氏: リロードを含めまして総表示回数としてのPVです。1人のユーザー様あたり1日120PVくらい遊ばれているのです。クエストが終わって描画をし直したり、ページを読み込みなおすという作業で1PVになります。最新のデータになりますが1,500万〜1,600万PVくらいになっています。

梶並氏: 5人の英雄を派遣したり、派遣する際のマップを読み込んでということを10回やれば10PVですから120というのはぜんぜん多くなくて、ここにいるスタッフは1日500PVくらいしていると思います(笑)。

編: そうでしょうね(笑)。ブラウザゲームは、基本的にWEBブラウザがあるハードウェアなら何でも遊べますから、プラットフォームは依存しないゲームと言うことになりますが、実際「ドラゴンクルセイド」はどのようなハードで遊ばれていますか?

梶並氏: 世の中にあるものはWindowsが多いので、PCからの接続が圧倒的に多いと思います。

猪飼氏: 割合としてはIE(インターネットエクスプローラー)が1番多いですね。だいたい64%くらいです。弊社のオンラインゲームの場合、ユーザーさんの使っているブラウザの9割くらいがIEで、残りの方の中でFirefoxなどを使っていらっしゃるということを考えますと、それ以外のブラウザの割合が非常に多いということになります。Mac版のSafariとFirefoxで5%強あり、iPhoneも0.5%、PSPやPS3から接続されている方もいらっしゃいますね。こんなにたくさんのブラウザの種類があるタイトルは見たことないですね。

樋山氏: 携帯からアクセスしている方もいらっしゃいますね。

編: 発表会では、ネットブックやMacユーザーの増加に着目されていましたが、実際にそうしたユーザーの参加は感じられますか?

梶並氏: 私自身がネットブックを使ってプレイしています。空いた時間でやっているというより朝起きたときなど義務感にかられてやっているに近いですね。できない環境があるとかえって不安ですね(笑)。樋山はMacを使っているのでずっとSafariでやっています。携帯電話からは表示解像度の問題でちょっと厳しいかもしれないですね。iPhoneでもやれるゲームとやれないゲームがあるようなのです。マップを何度もスクロールする必要があるというのが端末によってはすごく面倒くださいのです。「ドラゴンクルセイド」についてはiPhoneオリジナルでの展開は今のところ予定はありません。

編: 4月の発表会開催時の立てられた事業計画と比較して、現状をどのように評価していますか。

梶並氏: 遙かに上です。サービス開始以前に、日本国内でのブラウザゲームの勢いを示す数字というものはそれほどなかったと思っています。唯一参考になったのは「トラビアン」だと思います。あそこのサーバーの増設の勢いというのが国内での勢いを示す参考値になったと思います。サービス開始後2カ月後の2008年6月に最初のサーバーが稼働し、2008年10月、2009年1月、2009年4月にサーバーを増設しています。10カ月で当初のサーバーとあわせて5サーバーが稼動しています。

 これを基準に我々も2カ月に1台程度のサーバー増設計画を考えていました。事業プランもそれをベースに作っていました。ところがご覧の通りサービス開始後2か月で4台目のサーバーが立ってしまっている。少なくとも1台でまかなうはずだったのが3台立ってしまっている。当初予定の3倍で増加していると考えています。

編: 「トラビアン」との相乗効果があるように感じられますね。両方が盛り上がっているという言い方ができそうですよね。

梶並氏: 「トラビアン」がこの種のジャンルの普及の先頭に立っていて、「トラビアン」に慣れていただいた人たちが「ドラゴンクルセイド」に入ってきていただいて、評価いただいている。シミュレーションゲームをわかっているユーザーが多いかなという印象です。



■ 「ドラゴンクルセイド」のヒットの要因について

編: ヒットした最大の要因は何だと思いますか。

梶並氏: ブラウザゲームとして国内で初めてサービスをするというのが大きなファクターです。「トラビアン」が下地となってくれて、日本にブラウザゲームに対する理解がある土壌ができていたことも要因です。

猪飼氏: 私は「ドラゴンクルセイド」の中国サービスをテストしている際に、当初テストだけのつもりが課金してしまうほどハマってしまいました。私のような属性を持った方がたくさんいたら、これは成功するのではないかという確信はありました。

梶並氏: 3年前はヨーロッパがブラウザゲームのトレンドの中心でしたが、びっくりするくらいの速度でアジアがキャッチアップしてきてその数が増えました。特に中国がすごい勢いで、毎週三国志が出ているのではないかという様相です。どうしてもモチーフが中国でシミュレーションゲームを作って遊ぼうとなるとそれは三国志だよということになりますからね。

編: 「ドラゴンクルセイド」は基本プレイ無料のアイテム課金制ですが、客単価と課金率はどのぐらいですか。

梶並氏: 課金率と客単価いずれも当初想定したものより高いです。サーバーの増設の推移も予定の3倍ですので、かなりびっくりしています。

編: 2カ月でしっかり収益が上がるビジネスになっているということですか。

梶並氏: ビジネスにはちゃんとなっています。このタイプのゲームでも課金要素というものはかなりバラけていて、ビジネスになりやすいタイトルとなりにくいタイトルというのはあります。「ドラゴンクルセイド」についてはかなりやりやすいタイトルです。

編: 「トラビアン」と「ドラゴンクルセイド」で、課金率や客単価で異なる部分は感じられますか。

梶並氏: 課金要素は「ドラゴンクルセイド」の方が豊富だと思います。ベースの部分はほとんど同じだと思うのですが「ドラゴンクルセイド」は英雄の要素が大きいです。「トラビアン」は英雄の要素はよくわかりません。数字だけで「レベルが上がっているらしい」といったわかりにくいものです。しかも英雄は1人しか持つことができません。「ドラゴンクルセイド」は複数の英雄が見ることができますし、装備をつけられますし、RPGの要素があり、アイテムの数も非常に多いです。

編: 日本で成功しているオンラインゲームは、例外なくキャラクターに魅力があって、アバターに対する課金で成功していますが、「ドラゴンクルセイド」でもそれに似た状況が起こっているわけですか?

猪飼氏: アバターに関してはまったく逆です。というのも、ユーザーが自由にキャラクターの画像を変えることができます。そこに関してお金を払うということは一切ないのです。英雄に対して自分で描いたイラストや、飼っているペットの写真などを設定して、それを育成させていくことでより愛着が沸くということになります。

梶並氏: 不思議なのは画像を変えますと俄然愛着が沸くのです。私猫の画像を設定しているのですが、「ああ、ミーちゃん早く帰っておいで」とか、「強くなったね」と声をかけたりしています(笑)。中には自分の好きなモノだったり、歴代の首相を育てていたりする人もいます。

猪飼氏: 日本独自の機能としてキャラクターのプロフィール機能というものがついていまして、自己紹介のような形でより愛着が沸くという構図です。キャラクター画像とプロフィールを自由に編集することができるためロールプレイがしやすいのです。

編: UGC(User Generated Content)的な部分を許容していることが、課金率の高さに繋がっているという感じでしょうか。

梶並氏: たとえば「トラビアン」では、他の領地がなんとなくわかるだけであまりプロフィールのようなものがわからないですが、「ドラゴンクルセイド」の場合は英雄を見ているとだいたい趣味が分かるという気がします。SNSのような可能性も感じますね。足跡機能をつけようかと思うくらいです。

猪飼氏: 実際にユーザーから足跡機能に関する要望は来ていましたね。自分のプロフィールを見たという足跡機能をつけて欲しいというものです。

編: ユーザーが「ドラゴンクルセイド」に求めているのは、実はSNS的な要素が多いのでしょうか。

梶並氏: スタンドアロンだけではなくて他のユーザーさんがいるということが大きくて、1人でプレイしているだけでは飽きてしまうと思うのですが、このタイプのシミュレーションではどこかで戦闘が始まって、戦闘の時に有効なのが仲間やギルドがいて、ギルドで戦闘になると仲良くなりますよね。気を張ってプレイしないとタイミングなどがあっという間に越されてしまいますので、連携して時間を合わせて攻撃するであったり、相手の攻撃を呼んでこのタイミングで防御したりだとか、非常にタイムクリティカルな場面も多いです。



■ 「ドラゴンクルセイド」と「ブラウザ三国志」の今後の展開について

中国で実装されている攻城戦の概要図。最初は悪魔部隊に占拠され、ユーザーのギルドが奪い合う形となる。48時間前から2時間前まで受け付けを行ない、攻城戦開幕後は15分ごとに、到着部隊を集計して波状攻撃を仕掛ける形となる。攻城戦は2時間15分というからなかなかの長丁場だ
攻城戦が実装されると、占領ギルドが掲示される。6つ目の城となる天空城はギルドが占領することはできないようだ

編: 「トラビアン」がアップデートを行ない、バージョン3.5になりましたが、今後「ドラゴンクルセイド」のアップデートは予定されているのでしょうか。

梶並氏: もちろんです。ただ、従来のクライアントサーバー型のようにパッチを当てて変えますというアップデートだと限りがあります。「トラビアン」もそうですが、新規サーバーから切り替えるという方向です。サーバーの世代交代のときに新しい変更が起きると思います。サーバー全体に適応するような変更はある意味限定的なものになります。

編: バージョン3.5にはゲームバランスの調整が含まれていますが、「ドラゴンクルセイド」でもゲームバランスに関して変更する予定はありますか?

梶並氏: 同じだと思います。「トラビアン」もあそこまでの完成度になるまでに3年間かけてものすごく調整をかけています。シミュレーションゲームの場合バランス調整が続いていてバランス調整ではないというレベルの変更の場合には別サーバーから新バージョンとしてスタートさせるのが一般的だと思います。弊社でもそうなるだろうと考えています。

編: ベクターさんの場合は5つ目のサーバーや6つ目のサーバーでそれが当たるだろうと?

梶並氏: 新バージョンのサーバーについてはもっと先になると思います。新バージョンはまだ中国でもリリースされていない話になるので私から申し上げることはできないです。

編: ユーザーから要望で多いものは何でしょうか。

樋山氏: 中国ですでに実装されているもので「攻城戦」というものがあるのですが、それを早くやりたいという声をいただいています。それはタイミングを見て公開しようと考えています。

編: 日本で未実装にしている理由は何でしょうか。

樋山氏: キャラクターが育っていないというのが大きな理由で、ゲームのシステム上、ほとんどのユーザーさんが参加できないレベルに設定されています。キャラクターのレベルが育つのをもう少し待ってから公開しようと考えています。

編: 「攻城戦」が実装されるとゲームプレイはどのように変わりますか。

梶並氏: 中国ではサーバー公開後半年くらい先だと思います。ユーザーが育ってきて新しいフレーバーを追加するということで企画されたということです。日本の場合も6か月とは言いませんが最初はある意味要らないです。ゲームとして結構同じことの繰り返しになってしまったときに新しい楽しみを追加する形で投入します。中国ほど遅くはならず半年経たずにやると思います。正確な時期は申し上げられませんが間違いなく年内には実装いたします。

編: ちなみに「ドラゴンクルセイド」の戦いは永遠に続くのですか?

梶並氏: 最終戦争があります。そこで1度ゲームが終わる形になります。「トラビアン」もだいたい1年とかなり長いですが一応終わりはありますよね。それと同じような形で最後の戦いが用意されています。中国の方もまだ最終戦争が実装されたサーバーはないのです。開発はできています。あとはいつ入れるかというタイミングです。向こうが昨年4月から14か月ほど時間が経って「トラビアン」が13か月ということを考えるとこれくらいのタイミングで入れることになるだろうと考えています。

編: ちなみに現在中国でのユーザーとサーバー数はどれくらいなのでしょうか。

梶並氏: 日本の場合は、独占販売としてゲームを単一のメーカーがサービスするのが普通ですが、中国の場合は独占販売ではないんです。地域が大きすぎるので色々なパブリッシャーに非独占の運営権を渡すのです。リージョンごとという感じです。聞いた話では、全パブリッシャーで100サーバーほど立っていると聞いています。リージョンの中で大小あるみたいですが、サーバー数としてはそれくらいあるようです。正確な数は数えたことがないのでわかりません。

編: 単純に2万をかけて200万人くらいのユーザーがいると?

梶並氏: いるでしょうね。中国のオンラインゲームのユーザー数は桁を間違えていますからね(笑)。

編: 中国では、ベースは「トラビアン」で、アバターが三国志というブラウザゲームが、無数に出てきているという非常にアジアらしい光景が現出されていますが、我々が期待しているのはその次ですよね。

梶並氏: 「ブラウザ三国志」は、純国産という形で作られている新しいサービスですので、グラフィックスやゲームルールはかなりオリジナリティが高いです。今までに慣れている方はとまどうかもしれません。

編: 1番の違いはデッキを構築したり、ガチャガチャを利用してカードを集めたりと、子供にも親和性が高いゲームデザインを採用しているところですよね。私はこのゲームによってブラウザゲームの対象年齢が一気に下がるのではないかという期待感を持っています。

梶並氏: 弊社は開発元ではないので開発などに強くタッチしているわけではないのですが、確かに差別化をどこで図るのかについてはかなり真剣に悩まれて作られていると思います。低年齢層を狙っているかはわからないですね。絵がかわいらしいのは日本の場合はああいったテイストの絵のほうが人気が出やすいというのはありますので狙っています。

編: 「ブラウザ三国志」に関してベクターさんからの開発に関する提案というのはないのでしょうか。

梶並氏: 細部の改修などはしょっちゅうこうしたものをやってくれということを言っていますし、今でも他の提案もしています。スタートが非常に早かったのでできていない部分もありますが、これからも結構変わってくると思います。確約できるものはないのですが、これは絶対変えようよというものもいくつかあります。

編: 今後どのような形で正式サービスを迎えるのでしょうか。

梶並氏: 主だった機能はもう入っています。最初からプレイされていた方はお気づきだと思うのですが、ずいぶん変更はあったのです。チュートリアルからゲームバランスまでかなり手が加えられています。

猪飼氏: 「ドラゴンクルセイド」の良かった点を踏まえて「ブラウザ三国志」に活かしていますね。

編: 「ブラウザ三国志」に新たに盛り込まれるゲームデザイン的な新たな試みはなんでしょうか。

樋山氏: 我々が完全にお答えしきれるわけではないのですが、「トラビアン」とも「ドラゴンクルセイド」とも異なる味付けは狙われていますので、僕らもそれを見るのが楽しみです。やってみないとおもしろさがわかりづらいのがブラウザゲームですから、「ブラウザ三国志」もプレイしてみて体感していただかないと新しい部分でなかなか伝えづらいなと思います。



■ ブラウザゲーム独自の“習慣性”について

実際のゲームプレイの話になると自然と顔がほころぶ梶並氏。話を聞いていて正真正銘のコアユーザーであることがよくわかった

編: 2カ月運営されてみて、オンラインゲームと違うなと感じられたことは何かありますか?

梶並氏: そうですね。実際に普通のオンラインゲームと異なるのは昼休みや夕方にちょっとしたピークがあります。普通はご飯の終わった20時から23時くらいになるのですが、夕飯の前や朝方にピークがあるのです。おそらく会社から帰る直前に英雄の遠征や建物の建築指示をして帰る人がいるからだと思います。

編: 数十分から数時間に1度という微妙な間隔の待ち時間が逆にビジネスマンにとって都合が良いんでしょうね。

梶並氏: 朝起きてちょこっとやって昼休みになると帰ってきているのでまた出しておいて、午後仕事が終わって夕方5時か6時かになるとまた帰ってきているので出して、夜寝る前に見るとまた帰ってきているので出してとやると。私の場合で1日に英雄を3回くらい出撃させています。操作しないとなんか損した気になるのです(笑)。ここで経験値を上げておかないと後々痛い目に合うのではないかとかね(笑)。

編: それはもう完全にハマっているというレベルですね(笑)。

梶並氏: それはそうなのですがやることをやってしまうと一瞬やることがなくなります。レベルアップして装備を組んで兵士を配置して出撃させて、残っている資源で城の建設といったことを順番にやっていくと、1度のプレイで5分かからない。そこでパタッとやることがなくなる。後は暇があるのであればギルドの人間とコミュニケーションすればいいですし。

猪飼氏: 計画的にプレイしているというところに満足感を得ているところもありますよね。ちょうど寝る前に10時間くらいの設定をして起きるとちょうど終わっているといった要領です。

梶並氏: 一種の習慣性で、歯磨きのようにやらないと気持ち悪いのと同じですよね。ブラウザゲームのβテストが行なわれていて、それが終わったときにものすごく手持ち無沙汰になったそうです。喪失感があったようです。

編: 習慣性とは、まさに新しいエンターテインメントの消費の仕方ですね。

梶並氏: 実際「トラビアン」をやっている方もそうなのですが、そうしたエンターテインメントの消費の仕方もあるのだなという感じですね。「SimCity」を、一気に何時間もやるのではなく、本当にちょこっとずつやって、それこそ1年かけて街を完成させるみたいな、新しい遊び、新しいマーケットなのだろうなと思います。おそらく平均年齢は一般のMMORPGなどと比べるとかなり高いと思います。下手したら30代を超えるのではないかと思います。

樋山氏: MMORPGが最初に日本に上陸してきて、月額課金でやっていた人たちがプレイしているのかなという感じがしますね。

編: 私もそう思います。かつて1990年代に、「箱庭諸島」を始めとしたCGIゲームが流行した時期がありましたよね。当時はMMOではなくてMOでしたが、「ドラゴンクルセイド」は、当時のCGIゲームの遊び方に通じるところがある。ただ、CGIゲームもそうでしたが、現在のブラウザゲームも脱「トラビアン」を目指して、もがいているところはありますよね。

梶並氏: 世界中で作られているブラウザで遊ぶシミュレーションゲームはほとんどが「トラビアン」クローンではないかと言われればその通りだと思います。ゲームルールを新しく作ったのが彼らです。ただ、現在のマップがあってクエストがあってモンスターを倒して先に進むというMMORPGも、一種のクローンではないかと思います。従来のMMOでもファンタジーであったり武侠だったりすることがありますが、ベースは同じですよね。

編: そうですね。私はブラウザゲームについてはまだカジュアルゲーマーですが、個人的な意見として「トラビアン」に関しては非常に不親切なゲームだと感じました。面白さは理解できるけれども、軽々しく人に勧められない。ゲームの説明が十分ではないし、まともなチュートリアルもない。とっかかりで躓いてしまって、おもしろさを理解できないまま離れて行ってしまったユーザーはとても多いだろうと思います。いわゆるゲームの方法論に習熟したコアゲーマーはすぐに飲み込んで楽しめるのだろうけど、マス向けのゲームとしてはいろんなものが不足しているなというのが私の感想でした。

 それに対して「ドラゴンクルセイド」はその点をよく勉強していて、チュートリアルを取ってみてもしつこいくらいにやってくれる。とにかくわかりやすく、染み渡るようにゲームの遊び方を習得することができた。この違いはとても大きいと思うし、単なるクローンではないですよね。

梶並氏: そうですね。開発陣の人たちも当然ながら「トラビアン」をプレイしていたと思うのです。当然同じような感想をお持ちになったのだと思います。

猪飼氏: チュートリアルについては社内でもかなり評価していました。中国サーバーでのテストプレイでは、中国語なのであまり理解できなかったのですが、わからないなりにプレイができるというのがすごくよくできていると感じました。

編: 中でも「他のユーザーにメールを出してみましょう」というクエストは凄いなと思いました(笑)。ここまでやらせるのかと。

梶並氏: 社内でも、誰々さんにメール送ったけど、まだ返事が来ないよとかありましたね(笑)。

猪飼氏: 公式掲示板では、コミュニケーションでメールの返信を受けますよといったトピックもありまして、コミュニティの活性化に一役買っています。

編: でしょうね。日本人だとなかなか考え付かないチュートリアルの作り方ですね。ちなみに私は手当たり次第に周囲の方にメールを送ったら全員から返事が帰ってきました(笑)。日本の方はやっぱり優しいなと。



■ 第2世代のブラウザゲームはどのようなものになるか?

編: 「トラビアン」が第1世代のブラウザゲームだと考えると、「ドラゴンクルセイド」は1.5世代くらいのゲームとは言えると思います。第2世代のブラウザゲームはどのようなものになると思いますか。

梶並氏: シミュレーションゲームという範疇なのかブラウザゲームという範疇なのかというところですが、シミュレーションゲームというところではゲームの根本的なところでは「トラビアン」でルールが確定したかなと思います。後は見せ方とかそういったところでまだ弱いところが多いです。グラフィックスもまだどうなのよというところが多いです。

 ブラウザゲームという点で言うと、やっとシミュレーションゲームでブラウザゲームが確立されたというレベルで、RPGなど既にあるゲームカテゴリが乗り始めているのが現段階です。表現力などの点で1番障壁が低かったのが動きの少ないシミュレーションゲームだったと思います。許容範囲が大きくなるにしたがってRPGだろうとFPSだろうとブラウザ側でやれるものはずいぶん増えてくると思います。

 ブラウザゲームの表現力が増してくると、現在のクライアントサーバー型のゲームが本当にゲームクライアントが必要なのかという議論もされてくると思うのです。私達のような分野の人間は昔から感じていたことです。別にサーバー側でサービスして十分なレベルのサービスが提供できるのだったら、クライアントは不要ではないかと。昔Microsoftの「マイペディア」がヒットしましたが、今はWikiを見れば済みますよね。今は「乗り換え案内」をパッケージで購入する人は皆無ではないかと思うのですが、昔は凄かった。さすがに「Office」などはローカルにないと困ると思われていたものが、今はGoogleなどのサービスでだんだんサーバー側に行っています。

 Google Mapなど最初見たときは腰が抜けそうになりました。ブラウザに対して持っている概念が変わってしまうくらいです。本来クライアント側に持たなければいけないものとは何なのだという疑問に突き当たります。極端な話、ひとつもないかもしれない。今あるゲームがすべてブラウザベースになってもおかしくないと思います。無ければ無いでラクチンでいいですよね。テレビみたいなもので映っていれば良いわけですから。

編: 今後のブラウザゲームに関する取り組みを教えてください。

梶並氏: まずはタイトルをもっと増やしたいです。今は2つですが、それだけでは少ない。今遊んでいる方に「こういうテイストのブラウザゲームもあるのだね」という形で、楽しみの幅を増やせそうなタイトルを調べて交渉しています。

編: それは自社開発も含まれるのですか?

梶並氏: 少なくとも今の段階ではベクターはソフトウェアの流通会社であり、ディストリビューターです。そうしたバックグラウンドからいくと自社開発をするにはまだ弱い。今年度に関してはオリジナルタイトルを自分だけで作るということは考えづらいです。ただ、一緒にやってくれるパートナーがいて、共同で作っていくということは十分考えられます。ブラウザゲームのユーザーさんはライトユーザーさんが多いですのであまり選択肢が多いのはよくないのです。ある程度のクオリティのものがいくつかあれば良い。最大でも20本くらいではないかと考えているのです。3つ4つだと選択肢が少なすぎるということで10本という数字がちょうど良いのかなというイメージです。

編: しかし、ブラウザゲームという特性を考えますと、複数のゲームを同時平行して進められますから、数を絞り込むことにそれほどこだわらなくても良いのではないですか?

猪飼氏: それをやるとですね、いや、実際私はやってしまっているのですけど(笑)。朝起きてから家を出るまでものすごく時間がかかってしまうのです。プレイする時間は限られていますし、何か月も続けられるから面白いわけですから、1日で10も20も複数のゲームをプレイするというのはありえないと思いますね。

樋山氏: 「ドラゴンクルセイド」も3サーバー全部でやっていたらさすがにイヤになりますね(笑)。

梶並氏: 1つか2つというのがちょうど良いのではないですかね。最初は戦略を間違えたり成長する方向性を間違えてしまったりしていると、その後経験をもとに自分の思っている理想の姿を次のサーバーでやるというのが一般的な形ではないでしょうかね。

編: 話を戻しますが、今期は何タイトルを目標にされていますか?

梶並氏: 今の2タイトルを含めて5タイトルです。ジャンルについては“ブラウザゲーム”かつ“楽しめるもの”という非常に抽象的な言い方なのですが、MMORPG系はあるタイトルが限定されています。台湾のXpecさんみたいな会社は非常に少ないです。中国では武侠が多い。これからだと思います。今年から来年にかけてこのジャンルはガーッと膨れると思います。

編: 中国系、台湾系、国産の3つ巴という形になりそうですね。

梶並氏: 欧米系のものもあるのですが、日本語サービスを向こうのサーバーでやっているものがあって、それでは弊社で何もお手伝いできない立場になってしまいます。日本で紹介しやすいものは圧倒的に中国本土ですね。台湾もどんどん作り始めています。韓国が意外と無い。たぶんサーバークライアント型で成功されていますので、おそらくFlashゲームの親戚くらいにしかピンと来ていない開発者が多いのかもしれません。

 ライセンス契約の発表についても、リリースに近いタイミングになると思いますので、そこにならないと次の動きはお話しにくいですね。次の発表は時期的には9月くらいになると思います。「ドラゴンクルセイド」が予想外の動きでしてかなりてんやわんやしているのです。1番てんやわんやしていたのがゴールデンウィークでした。マシン調達もまだいいだろうと思っていたところで、わずか2週間でキャパシティを振り切ってしまったため、サーバーはダウンこそしませんでしたがレスポンスは非常に悪い時期がありました。ゴールデンウィークの間にどれだけ社員を会社に呼びつけたことか(笑)。

編: ダウンロードによるコンテンツ配信サービスを本業とするベクターさんがそこまでてんやわんやだったというのは、本当に想定外だったということですね。

梶並氏: クライアントサーバー型は運営経験があったのですが、ブラウザ型はそれとはまた異なることが多々あって、新たにわかってきたこともたくさんあります。従来のクライアントサーバー型ではクリティカルな、クライアントのダウンロードや大型パッチ、そしてクライアントが本当にちゃんと動くかどうかの検証。これらはブラウザ型にはないのです。一方で、ブラウザ型の場合はWebサーバーが、オンラインゲームの公式サイトの比にならないほどの負荷がありますし、裏側にあるデータベースサーバーは本当に負荷がかかるのです。

 また、回線の帯域も大幅に食われます。絵のデータそのものを送っていますので膨大な量です。シミュレーションゲームでもかなり食われているのに、これがRPGになるとかなり帯域を食うのは間違いないです。これは元々弊社には回線の余裕がありますので大丈夫だったのですが。そのほかにも想定外なことはたくさんありました。たとえばマルチアカウントに対する対応です。「ドラゴンクルセイド」では1サーバー内のマルチアカウントによるプレイは禁止しているのですが、従来のオンラインゲームですとマルチアカウントは禁止していない場合が多く、悪意なくプレイされている方も多数見られました。

編: 1サーバー内のマルチアカウントに対して、アカウント削除という厳しい対処で望むのは、そこが生命線だと思うからですか?

梶並氏: かなりゲームバランスに影響します。

編: 構造上マルチアカウントを完全に排除するのは難しいと思います。実際アジア市場では野放しという印象ですが。

樋山氏: このゲームについてはかなり厳しくやっているようですね。実際に中国で崩壊した前例があったようで、開発側から厳しく対処したほうが良いというアドバイスをいただいています。

編: ベクターさんのタイトルでは基本的にマルチアカウントは禁止ということですか。

梶並氏: ゲームによりますが、基本的にこのタイトルについてはできない、やれないことになると思います。



■ ブラウザゲームのビジネスモデル、ビジネス規模について

今期5タイトルのリリースを目標に掲げる梶並氏。自らが陣頭指揮を執っているから負けないと豪語するが、今後の競争激化は必至だ。ベクターの取り組みに今後も注目していきたい

編: 大枠の話を聞かせてください。個人的に1つ気がかりだと思うのは、ブラウザゲームではお金を払った人が強いという方程式がさらっと成立しているように感じられることです。

梶並氏: 単純に強いというよりは時間の節約ですね。「トラビアン」でも「ドラゴンクルセイド」でも最も強さに関係する部分はお金では買えないようになっています。例えば兵器や兵士の生産スピードがお金を払えばあげられるかといえば上がりません。資源の増産を行なうことはできるので相対的に有利にはなりますが、時間のかかり方が変わるだけであって、同じ生産設備から生産された兵隊の能力に差があるかといえばありません。意外とちゃんとしていると思います。

編: しかし、ダイヤを使うことで戦略の幅が非常に広がりますよね。これは最終的には有利に働くのではないですか。

梶並氏: 「ズボラになれる」のが正解かなと思います。お金を払わない場合は精密さと緻密さが必要です。生産資源のバランスを取りながらやらないとうまくいかない。今ある資源のでこぼこを再配分したりすることができますので、ズボラでできるというのが正しいと思います。

編: 開発側でも、直接的な強さに影響を与えないという点は意識されていますか。

樋山氏: されていると思います。課金者と非課金者の到達点はほぼ同じところになります。非課金者でもむちゃくちゃ頭をつかって工夫しバランスを考えれば、課金している人に追いつくことは可能です。

梶並氏: 「ドラゴンクルセイド」の方が後から始まった人のハンディが小さい。「トラビアン」の場合はだいたい新サーバーに入って2週間後に入ったユーザーはぜったいトッププレーヤーになれない。しかし「ドラゴンクルセイド」は、同じルールの上に乗っている割にそのあたりはゆるいです。

編: ビジネスモデルの可能性についてはどのようにお考えですか。現在は、様々な付加サービスと引き替えにできるダイヤを販売するという一種のアイテム課金ですが。

梶並氏: ビジネスモデルという広い意味ではインゲーム広告です。1人で120回も見ているから1億ページビューあるといっても読んでいる人はもっと少ないです。インゲーム広告を色々と各社トライしていた時期があって、野球ゲームで野球場の看板に広告を張ろうといったことをやっていました。しかしあれはゲームの開発会社に対する負荷といいますか、向こうが組んでくれないとロクに動かない、ゲーム内広告は成功したとはいえないですよね。しかし、こちらはブラウザですので出そうと思えばいくらでも出せるのです。それはブラウザゲームのリリース当初から出ていることです。北米には10%から20%程度ブラウザからの広告収入で運営しているタイトルもあるほどです。

編: ベクターさんもそれを狙っていくのでしょうか。

梶並氏: 副収入的な売り上げとしてはあると思うのですが、私個人の意見としてはどちらかにしたらと。本当に広告だけでやるなら広告モデルでチケット云々もせずに無料にしたい。モバゲーがそうですよね。クリックしてアフィリエイトフィーが入る。それはそれでありだと思うのです。しかしどこまでゲームクオリティを維持できるかという問題でいくと、ちょっと疑問に思っています。コンテンツボリュームや洗練されたオンラインゲームは完全広告だけというよりはユーザーさんからも課金していいただくことが主になることは当然考えています。逆に、中村さんは、いかがお考えですか。

編: 今のオンラインゲームビジネスは、月額性、アイテム課金性と複数の選択肢があるようで、実はどのタイトルも似たような道を辿って最後は無理にARPU(客単価)を高めていって、ユーザーさんに逃げられてストンとしぼんでいって終わるという流れから逃れられない。私がブラウザゲームが良いなと思うのは、お金お金していないところです。お金を払わないとがんじがらめで身動き取れないということもないですし、自然に課金化に移行させるでもなく、実際、「ドラゴンクルセイド」が有料サービスだと気づかないまま遊んでいるユーザーさんさえいると思います。そういう人たちも、1度戦いに巻き込まれて、相手に勝つにはどうしたらいいかということを真剣に模索する段階で、ダイヤを使うという選択肢に気がつく。そこまで放置してくれることが、オンラインゲームに慣れきった身にはとても心地よいんですね(笑)

 今のオンラインゲームは生々し過ぎるほどに生々しい。普通に遊んでいて、バックパックが足りない、金庫が足りない。通常プレイにすら事欠くことすら珍しくない。それで「拡張しませんか?」と手がさしのべられるわけです。この生臭さが、心の底からエンターテインメントを楽しもうという人間をがっかりさせる。私はこの“基本無料、実質有料”のビジネスモデルを1度捨てないとオンラインゲームの未来がないとすら思っています。

梶並氏: 実際中国市場を見ているとそういう側面は出てきていますよね。ゲームを作った後はどんどんARPU(客単価)をあげるような課金要素の強い様相を呈しています。中国はエグすぎるぐらいに課金要素が多すぎるんですね。「日本のお客さんはそこまでしなくてもちゃんと払ってくれるからこれはいらない、消そうよ」という逆提案をするケースも出てきています。

編: 現在、オンラインゲームの市場規模は正確な数字はわかりませんが、概算で1,000億円弱ぐらいかなというところです。これに対してブラウザゲームは今後どのくらいの市場規模が見込めると思いますか。

梶並氏: 今のオンラインゲームの市場規模が、そのままブラウザゲームのマーケットだとも言えると思うのです。長い目で見た場合、オンラインゲームがプラットフォーム以前にローカル側に残っている必然性があるのですかという話になってくると、1,000億円という数字が長いスパンで見たら全部変わってもおかしくない。

 もう1つは従来とは異なるユーザーが入ってきていると思うのです。未開拓のユーザーの部分に到達できるのではないかと考えています。今でこそコアなユーザーになるのですが、この楽しみはかなり汎用的なものになると思います。昔オンラインゲームといえばオタクの代名詞のような言われ方をして1日何時間もやって社会生活が破綻するといわれていましたが、ブラウザゲームはまったく異なるジャンルです。日々の楽しみの一部ですという言い方ができますから、ユーザー層は広げられると思っています。オンラインゲーム業界の裾野を広げるという意味ではかなりの効果があると考えています。

 それからかつてFlashゲームを遊んでいたような人がやっています。Flashゲームは結局提供してもほとんどビジネスにならない分野だった。単純なFlashよりはもっとゲームとして完成していて、従来型のものに比べるとはるかに軽いというところで新規ユーザーを獲得している。そしてFlashのようにスタンドアロンのゲームと異なり、私達のようなパブリッシャの人間にとってもビジネスとして成り立つところが開けている。

編: 今年の売り上げはどのくらいを想定されていますか。

梶並氏: 業績予測を出していないので、7月になると決算開示が行なわれます。そこでクライアントサーバー型とブラウザ型と合算でオンラインゲーム事業部という形で数字が出ます。その数字を見ていただければ想像できると思います。前年度のオンラインゲーム事業部の売り上げが6億数千万円で、まだそこまではいきませんね。1タイトルで超えたとなったらショックが大きいと思いますが、勢いとしてはそれに準じるだけのものはあります。「ブラウザ三国志」をはじめ、後続するタイトルでいくと、私共の考えでは年度内にキャッチアップしてやるという気持ちです。今年度は無理でしょうが、数年かけて10億円、20億円としていきたいです。

編: 最後にユーザーさんに向けて一言お願いします。

梶並氏: 色々なオンラインゲーム会社さんがいらっしゃいますが、ことブラウザゲームに関しては負けません。何せ社長が直で動いてやっているわけですから。社長兼ブラウザゲーム事業部長です(笑)。社内をものすごくひっかきまわすし、傍若無人に遠慮会釈なくただ命令しています。やっとけと。やらないと怒鳴りまくるという迷惑な状態だと思います(笑)。

 我々はブラウザゲームは面白いという確信を持っています。従来のオンラインゲームとはまったく別にチームを作っています。片手間でやっているわけではなくこれに特化した新しいタスクフォースを立てて動いています。とにかく面白いゲーム、ブラウザゲームとして認知されるようなゲームを積極的に獲得して紹介していきたいです。

編: 楽しみにしています。ありがとうございました。


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(2009年 7月 14日)

[Reported by 中村聖司 ]



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