「三國志 Online」開発者インタビュー
戦闘に「向き」の概念が追加され進化を遂げた戦闘システムに注目
魏・呉・蜀による三つ巴の興亡は新たなステージへ!!


3月9日 収録

3月26日 アップデート実施予定


 株式会社コーエーは、Windows用MMORPG「三國志 Online」の大型アップデート「史略 ~春嵐~」を3月26日に実施する。開発をシンガポールから日本に移してから約半年。そしてサービス開始1周年の節目を迎える大型アップデートということで、その内容に注目しているユーザーも多いだろう。

 そこで今回、コーエーでアップデート内容を体験させていただいた上、オンラインゲーム開発部門であるソフトウェア3部の部長を務める藤重和博氏と運営プロデューサーの上野彰三氏にインタビューし、アップデートの詳細と開発状況を伺った。




■ 戦闘システムがどのように変わったのか!? 先行試遊レポート

 大型アップデート「史略 ~春嵐~」の目玉は、戦闘システムの大幅変更だ。具体的に何処がどう変わったのか、プレーヤーにとっては気になるところ。今回はNPCとの戦闘のみという制約付きではあるが、最終調整中のアップデート内容を一足早く試遊させてもらった。試遊で用意された戦闘技能は戦術。

 今回のアップデートの目玉はなんといっても戦闘に「向き」の概念が追加されたこと。背後からの攻撃にダメージボーナスなどが生まれるバックアタックが実装される。バックアタックがどのぐらい強力なのか? バックアタックによるクリティカルの発動率はどのぐらいなのか? さっそく敵との戦闘を試みた。

 バックアタックを狙うには、まずは敵の背後に回り込むことが重要なファクターとなるわけだが、ソロで敵の背後に回り込むには、敵の動きを何らかの方法で封じ込めることが必要不可欠。そういった意味では敵を気絶させたり、足止めしたりする技能が多い戦術はもってこいの戦闘技能といえる。案の定、「頭震波」や「落心」などを使えば、ソロでも簡単に敵の背後に回りバックアタックを狙えた。

 敵を気絶させ敵の真後ろに回り込んでバックアタック! するとファーストアタックからダメージ表示に★(星)マークが! 見事バックアタックが成功したようだ。再度敵を気絶させ今度はやや斜め後ろからバックアタックを試みる。すると、またまたダメージ表示に★マーク。何度か同じことを繰り返してみたが、バックアタックは簡単に発動する印象を受けた。

 その後、盾役の方と合流し、彼が敵を引きつけてくれている間に、真後ろから左右へ位置をずらしながらバックアタックの発動ポジションのチェックを試みた。あくまでも筆者の体感ではあるが、バックアタックの発動そのものは対象の真後ろ限定というほどシビアさではない。だいたい後ろ側にまわりさえすればOKなイメージ(ただし、バックアタックの発動率そのものは真横よりも真後ろに近づけば近づくほど上がっていくようにも思えた)だ。それだけに敵との戦闘はもちろんだが、対人戦においても戦闘時の位置取りは今後重要になってくることは間違いなく、相手に背を見せないプレイスタイルが求められるようになるだろう。

 次にもう1つの動きの大きな要素として、ジャンプがある。Jキー(試遊PCの設定)を押した瞬間、想定外のジャンプ力に驚き思わず声をあげてしまった。これは既存のフィールドの木や崖、そして街の塀など登れたり飛び越えたりする場所があるのでは!? と期待に胸を膨らませたが、後述する開発者インタビューで尋ねたところ、残念ながら現時点でそういったことはできないらしい。

 また戦闘中はジャンプできないので、ジャンプをして敵の攻撃を避けるといったような使い方もできないのは残念だ。現状はただジャンプできるだけのものだが、今後は「向き」に続く“新しい動きの概念”として、今後このジャンプがどのようにゲームシステム内に活かされてくるのか大いに注目していきたい。

 試遊そのものは短い時間ではあったが、今回の大型アップデート「史略 ~春嵐~」の目玉となる戦闘システム(向きの概念)の変更は、戦闘時の「位置取り」という新たなプレイ要素(スタイル)を生みプレイの幅を広げることは間違いない。きっと戦闘を主軸としている本タイトルにとってさらなる進化を遂げる起爆剤にもなるはずだ。合わせて、これらのアップデートを活かした今後のコンテンツの充実に期待したい。


見事バックアタックが決まるとダメージ表示に★(星マーク)が付く。「止脚」や「頭震波」から背後に回ってバックアタックを狙える。バックアタックの実装で戦術のソロ性能がさらに向上する!?
盾役となる防御がしっかりと敵を引きつけ、アタッカーは背後から攻撃。これまではあまり位置を気にすることがなかったアタッカーも、敵の背後に回り込むことを意識したスタイルが定着しそうデフォルトのキー設定ではJキーでジャンプが可能。思っていた以上に高くジャンプできたのが印象的。現状では、エモーションの延長戦上にあるジャンプだが、今後このジャンプを活用したコンテンツが実装されることに期待したい



■ サービス開始から1年。このタイミングで動きの概念を見直した真意とは

ソフトウェア3部部長の藤重和博氏(左)と、運営プロデューサーの上野彰三氏(右)

――3月の大規模アップデート「史略 ~春嵐~」では戦闘システムが大幅に変更されるようですね。

藤重和博氏: これまでの戦闘システムでも、お客様には楽しんでいただけているとは思っているのですが、より戦闘を面白く、そしてもう少し深く追及できないか、実はずっと考えていました。そういった中で具体的にどんなことができるのか、1つ1つのアイディアを検証しながら「三國志 Online」の世界観や戦闘にマッチするものを模索していき、たどり着いたのが「向き」の概念だったのです。

 背後からの攻撃にダメージボーナスなどが生まれるバックアタックを実装し、戦闘時の「位置取り」が重要になることは、遊びの幅を広げる要素としては重要なファクターになるはずです。実装にあたって解決しなくてはいけない問題は山ほどあったので、今回の大型アップデートのタイミングで無事に実装することができて正直ホッとしているところです。

――敵の背後に回って攻撃をしかけるとダメージと適中率が上昇し、通常よりも強力な攻撃ができる。実にわかりやすいですね。

藤重氏: 後ろから殴られたら大ダメージ。バックアタックの概念は容易に想像がつくものだと思います。戦闘システムを変更するにあたって、プレーヤーの皆様が困惑することなくスマートに受け入れてもらえ、かつ面白くなることが大切ですからね。

――戦闘時の「位置取り」も重要になってきますし、たしかに遊びの幅も広がりそうですね。

藤重氏: これまでの戦闘ではあまり位置取りは重要ではなかったかもしれませんが、これからは必ず戦闘時の自分のポジションを気にするようになるでしょう。例えばアタッカーはより敵の背後に回ろうとするでしょうし、足止めするほうは、アタッカーを背後に回りこませることを意識しながら足止めをするタイミングや位置を気にしながら仕掛ける。こういう戦術が生まれてくることは想定できますので、戦闘を面白く、そして深くするという目標はクリアできたのではないかと思っています。もちろんさらに面白く、遊びの幅を広げる要素の追及は今後も続けていくつもりです。

――バックアタックの発動条件は、きっちり敵の真後ろでなくても大丈夫で、あまりシビアではなかったように思いました。

藤重氏: そのとおりです。「三國志 Online」が初めてのMMORPGというユーザーの方もかなりいらっしゃるので、バックアタックの発動条件をあまりシビアにしてしまうとビギナーの方やライトユーザー層がついていけなくなってしまうだろうという危惧がありました。遊びの幅を広げながらも気軽に戦闘の深い部分も体感してもらいたいという思いから、発動条件そのものをシビアな設定にはしていません。敵の前か後ろか、くらいのイメージでプレイしていただければいいと思っています。

上野彰三氏: バックアタックが決まるとダメージ表示に★(星マーク)が付くので、今の攻撃がバックアタックによるクリティカルだったのかどうかも一目でわかるようにもなっています。そういった部分でもプレーヤーの皆様にはスマートにバックアタックの発動を感じ取ってもらえるはずです。

――体感では真後ろに近づくほど発動率が上がっていく気がしたのですが、ポジションに応じて発動率は変化するのでしょうか?

藤重氏: ポジショニングを含め発動率に関する細かいデータの開示は、企業秘密にさせてください。先程もお話したようにあまりシビアに考えず、敵の前か後ろか、という感覚でプレイしてもらえればいいと思います。

上野氏: バックアタックは対人戦だけでなくNPCとの戦闘時にも有効なので、いきなり対人戦でバックアタックを狙うのではなく、まずは弱いNPCを相手に試してもらうといいかもしれません。実際にプレイしてもらえば、ポジショニングをシビアに考えなくても効果が発動することを感じ取ってもらえると思います。

――バックアタックの実装で、合戦からプライベートダンジョンまで戦術や攻略などに大きな変革をもたらしそうですね。

上野氏: NPCとの戦闘はもちろんですが、対人戦でも大きく変化してくると思います。合戦などでも、戦術次第では盾役(防御)が重要な存在になってくることが考えられます。ひょっとすると我々の想定外の戦術や攻略手段が生まれてくるかもしれません。現状の合戦の動きも我々が想像していた以上の動きが見られますし、この「向き」の概念を1つ追加しただけで、戦闘はかなりの変化が起こるでしょう。

藤重氏: 技能ひとつをとっても、より生きてくるものとそうでないものが出てくるでしょうし。例えば従来なら、足止めから他の技能をつなげて攻撃していたものが、足止めから敵の背後に回り込む、というように選択肢が増えるわけですから。また敵から走って逃げるシーンだけを想定しても、従来どおり振り向いて逃げるのか、それとも相手に背中を見せずに後ずさり(後ろ歩き)で逃げるのか。各シチュエーションで新たな動きが生まれてくるはずです。

――バックアタックはプライベートダンジョンのボスにも有効ですか?

藤重氏: 有効です。基本的に戦闘の全てに関わってくるととらえていただいてかまいません。戦闘をより面白くするためにこのシステムを実装したわけですし、実装と同時に様々なところでバランス調整なども行なっていますので、従来とはまた一味違った感覚でプライベートダンジョンも楽しんでいただけるのではないかと考えています。

――戦闘の向きの概念は、全ての攻撃に適応されるのでしょうか? 技能の中には範囲攻撃などもありますが。

上野氏: 基本的には物理攻撃(直接攻撃)のみと考えてもらってかまいません。範囲攻撃については、前と後ろの概念の選別が難しい状況も出てくるので、バックアタック効果の対象外となります。

――では妖術の「気閃撃」のような技能はどうなのでしょうか?

上野氏: 妖術や投射をメインにしている方は、どの技能が対応しているか気になる方が多いと思います。バックアタックの発動条件そのものはそれほどシビアなものでもありませんので、仲間とワイワイ楽しみながら「この技能は対応しているぞ!」と発見してもらえれば嬉しいですね。

――では、背後から攻撃したことで技能(自動技能の発動効果も含む)の効果時間が延びるといったことは?

上野氏: 今のところダメージボーナスのみですが、そのアイデアは面白いですね。開発に伝えておきますよ。

藤重氏: 早い段階で実装されるかもしれませんね(笑)。

――他に戦闘システム関連の変更点は?

藤重氏: 通常攻撃における戦闘モーションリズムを高速化しました。見た目を楽しませるという改善なので、戦闘時間やダメージバランスに影響がでる修正ではありませんが、こういった細かい部分のアップデートも「向き」の概念を導入したことでユーザーの意識が戦闘システムに注目が集まっているときには重要な要素だと思っています。

上野氏: 戦闘技能ごとに通常攻撃の戦闘モーションをかなり追加しています。個人的には防御の通常攻撃モーションが格好よくなったと思います。

――モーションといえば、ジャンプが実装されますね。想像していた以上に高くジャンプできて驚いたのですが、ひょっとしてこれまで行けなかった所にジャンプして行けるようになる場所が存在するのでしょうか?

上野氏: 残念ながら現状のフィールドにはそういった場所はありません。ジャンプの高さについては、何度も調整しました。ジャンプしたかどうかわからない程度のジャンプでは導入した意味もありませんし、逆に高く飛びすぎてもいろいろと問題がありますから。様々なことを考慮した結果、最終的に落ち着いたのがいまのジャンプの高さというわけです。

――動きに新しい要素が加わるとなると、この動きを利用した新コンテンツに期待してしまうのがプレーヤー心理かと思うのですが。今回のアップデートではジャンプという新しい動きの概念を体感できる要素はあるのでしょうか?

藤重氏: 残念ながら今回のアップデートではそういったコンテンツの実装はありません。

上野氏: 現状は、あくまでもコミュニケーションツールの1つと考えていただいたほうがいいかもしれません。部曲の仲間たちとどこかに行こうという時に、ジャンプしながら目的地へ移動したり、部曲戦やプライベートダンジョンをクリアしたときの喜びの表現の1つとして使ってもらえればと考えています。

藤重氏: ただし、今後そういったコンテンツを実装しないのかといえば、そうではありません。何度もお話させていただきましたが、遊びの幅を広げるためのアップデートをしていくことが「三國志 Online」におけるアップデートの根底にあるので、逆に遊びの幅を広げない要素のアップデートはないということでもあります。ジャンプという動きを意識したフィールドやコンテンツは近い将来、実装していきたいとは考えています。

――戦闘に影響を与える部分で変更されたところはありますか?

上野氏: 今回の「向き」の概念を導入するにあたって、オプションで自動攻撃が切れないように設定することが可能になりました。これまでは戦闘中、相手の背後に回りこもうとすると自動攻撃(通常攻撃)が切れてしまい、1度リセットされた状態から再開していたわけですが、敵の背後に回る駆け引きを存分に楽しんでもらえるように、移動しながらでも自動攻撃を続けられる機能を実装します。これで戦闘中の位置変更も容易に行なえますし、よりアクティブな戦闘を楽しんでもらえると思います。もちろん、現状の設定に慣れてしまったプレーヤーの方もいらっしゃると思いますし、あえて自動攻撃を切りたいという状況もあるでしょう。スタイルによって設定を変更してTPOに合わせてプレイしていただければと考えています。

――戦利品の分配方法も改善されるそうですが、具体的にどのように変わるのでしょうか?

上野氏: 従来は全てのアイテムが獲得可能なプレーヤーへ順番に分配(自動割り振り)されていたわけですが、アップデート後はレアアイテムやプレーヤーの皆様が欲しがるような竹簡など、特定のアイテムがドロップした場合のみ希望者の中からランダムで戦利品の獲得者を決定するシステム(希望者獲得)を追加しました。どちらの分配方法を選択するかは徒党党首か連合盟主が決定することになります。

藤重氏: プライベートダンジョンのボスがドロップするアイテムなど、条件を満たすことで全員がもらえる戦利品は、従来通り全員に分配されますので安心してください。

――戦闘システムの変化に合わせて連続クエストも複数実装されるそうですが、具体的にどんなクエストなのでしょうか?

藤重氏: 連続クエストだけでなく、依頼についてもそうなのですが、三国志の世界をより深めていくものです。詳細をお話するとネタバレになってしまうので、実際にプレイしていただくのが一番だと思います。きっと三国志らしさを感じてもらえると思います。

――連続クエストの対象レベルはどのくらいになりますか?

上野氏: 幅広い層で楽しんでいただける内容に仕上がっています。もちろん、魏・呉・蜀に準じた内容で展開していきますから、三国志ファンの方はより楽しんでもらえる内容に仕上がっています。




■ ユーザー間のコミュニケーション機能がグレードアップ!

メールが届くと各アイコンが点灯表示されて受信を教えてくれる

――ユーザー間のメール機能が実装されるそうですね。

上野氏: メールそのものはメニューから送るので、場所を問わず送受信が可能です。ただし、メールをやりとりできるのは友人か部曲の仲間限定となります。また、4月のアップデートではアイテムの受け渡しも可能になる予定です。

――アイテムが送れるのですか! それは朗報ですね。

上野氏: 武器や防具などの生産品を仲間から依頼されていても、ログイン時間が合わずに受け渡しができない。その結果収納スペースを圧迫してしまう……といったこともあったかと思うのですが、これでそういった悩みから解放されると思います。1回のメールで1つ(1スロット)のアイテムを送れます。アイテムを添付する場合は銭荘にいるNPCから送ることになります。これは受け取り手側も同じで、アイテムが添付されたメールを受け取る場合は銭荘で受けとることになります。合戦場などでアイテムが受け取れてしまうのも、おかしいですからね。

――他にはどういったところが変わったのでしょうか?

上野氏: チュートリアル、初心者機能の強化を図りました。「三國志 Online」を初めてプレイする方にある程度特化したものですが、本当に最初の1~2時間くらいで受ける依頼(クエスト)について“次にどこに行けばいいのか”をサポートする機能です。具体的には目的地まで自動で移動してくれるというものです。

藤重氏: 自動移動はやりすぎだろうという声もあるかもしれませんが、序盤では依頼をスマートに進めていただき、その先にあるものを楽しんでもらおうというイメージです。もちろん依頼主の求めるものを探し出す、目的地までの移動を楽しむ楽しさもあるとは思いますが、「三國志 Online」の世界に入ったばかりのビギナーの方で、右も左もわからない段階で依頼を断念してしまうユーザーの方がいらっしゃるのも事実でした。そういった方にこの機能を使っていただくことで、まずは依頼そのものの魅力をスマートに体験していただきたいと考えています。

上野氏: 3D空間は慣れないと移動が難しいですよね。今回の機能を使っていただきながら、「三國志 Online」の3Dフィールドに慣れていってもらいたいのです。それともう1つは、依頼を受けすぎてどの順番で何をしたらいいのかわからず混乱してしまう方もいらっしゃるようなので、依頼などに自分のレベルに合わせて今すぐできることを教えてくれる機能もつけました。

藤重氏: これらの機能を追加したことで、これまで以上に「三國志 Online」の世界にスマートに入っていけるようになったと思いますので、MMORPGに興味はあるけど、難しそうだな……と敬遠していたゲームファンの方には是非とも試してみてもらいたいですね。

上野氏: もちろん初心者機能の強化だけでなく、「三國志 Online」を長期に楽しんでいただいている方を対象とした長期プレイ報酬も予定しています。

藤重氏: 弊社の他のタイトルでも展開しているのですが、長い間楽しんでいただいている方には何らかの還元をしたい、というのが弊社のオンライン事業のスタンスです。

――課金期間に応じてレアアイテムがもらえるのですか?

上野氏: プレイチケットを適用した際に継続ポイントがつくという形です。

藤重氏: 例えば、プレイチケット適用1回につき30ポイントとして 6カ月なら180ポイント、1年なら360ポイントという感じで蓄積され、その継続ポイントと引き換えに報酬品を入手できるといったものになります。今回のアップデートのタイミングに限らず、今後もコンスタントに報酬品を追加していくつもりですし、再び継続ポイントを貯めることで再度報酬品と交換することも可能となります。

――具体的にどんな報酬品と交換できるのですか?

藤重氏: 報酬品については最後の最後まで検討したいので、詳細はこの場ではお答えできません。ただ、付加価値のあるものを考えていますし、お客様の期待を裏切るものではないとは思いますので、楽しみにしていてください。




■ 飛躍的に進化したUIに注目!

ゲームの新要素とはいえないUIのアレンジなど、利便性の向上も強調する藤重氏

――ツールバーや技能スロットウインドウなどのUI部分にも大きな変化が見られました。

藤重氏: UIの改善は、ユーザーの皆様にとってはとても地味なアップデートだと思いますが、やはりお客様の利便性向上は常に追求していきたいと考えています。今回だけに限らず、今後もボディーブローのように地味に効果が効いてくるようなアップデートはしっかりとやっていくつもりです。

上野氏: 最近はワイドモニタで楽しんでいるユーザーさんも増えていますから、ツールバーや技能スロットウインドウなどは画面の左右に縦長に配置したい人もいれば、画面の下段部分に正方形や横長で配置したい人もいると思います。そういった意味でもツールバーや技能スロットウインドウの形がある程度フレキシブルに変えられたほうが使い勝手が向上するはずです。そういった観点からUIの改善を行ないました。


技能スロットなどのUIは4種類の形状に変更できるようになった。自分のモニター環境やプレイスタイルに応じて画面の好きな位置に適切な形でセッティングできるのは嬉しい限り

――技能スロットウインドウの形が数種類の形からセレクトできるのはプレーヤーとしてみると嬉しいですね。痒いところに手が届くという印象です。

上野氏: 技能を購入したときに「いま購入した技能をスロットにセットしますか?」といったメッセージがでて、その場で技能スロットウインドウにセットできるようにもなりました。技能スロットウインドウが他の技能でいっぱいのときは、その場で他の技能と入れ替えることも可能です。他に、チャットウインドウの横にある感情表現メニュー(エモーション)についても、拍手とか手を振るといった言葉だけの説明ではなく、アイコンが加わって一目でどんな感情表現なのかわかるようになりましたし、MAP関連では、依頼(クエスト)を受けた際にこれまでは依頼人と最終目的地を表示するようなイメージでしたが、クエストのステップ(進展)ごとにMAPに次に行くべき場所が記されるようにもなりました。

――細かい部分でかなり変わっているのですね。

藤重氏: それだけではありません。マクロと地図のマーカーをインポート・エクスポートできるように改善しました。これにより別のPCで「三國志 Online」をプレイする時のキー設定が簡単に行なえるようになりました。普段はデスクトップPCだけど、今日はノートPCでプレイしなくてはいけないという時、従来ですと1から全て設定し直さないといけませんでした。マクロなどキー設定をカスタマイズしている方にとっては嬉しい機能だと思います。

上野氏: これに合わせて、現在のキー設定を目視できる項目も設けました。キーボードのこのキーは今このアクションが設定されているというのが一目で確認できるので、いちいちキー設定を確認しにいかなくてよくなりました。

藤重氏: ゲームそのものの進化も大切ですが、操作性の向上は楽しさにも直結してくる部分でもあると思います。UIのアップデートは確かに地味ではありますが、今後も改善したほうがいい部分はより利便性が上がるような調整をしていきたいですね。


設定データ保存/読込を使うことでキーボードの設定やマクロなどを簡単に他のPCにセッティング可能キーガイド機能を使えば、現在のPCのキーボードの設定が素早く確認できる



■ メインイラストも一新! 運営サイドも新たな試みを展開!?

コーエーの「三國志」らしさを強調した新イメージビジュアル

――公式サイトをみると、イメージビジュアルの雰囲気ががらりと変わりましたね。コーエーの「三國志」のイメージらしいイラストだなぁという印象を受けましたが、このタイミングでメインイラストを変更した理由は?

藤重氏: 1周年を迎え、「三國志 Online」が大きく変わったという象徴の1つとしてメインイラストも変更しました。

――心機一転、新たな試みをしていこうという意識の表れといった感じでしょうか?

上野氏: そうですね。実は、3月26日から4月23日までの約1カ月間、キャンペーンをやろうと考えています。現状、体験版の方はレベルキャップやエリア制限があるわけですが、この1カ月間は全て開放する予定です。

――体験版の制限を外してしまうのですか?

上野氏: そうです。制限を開放することによって、大型アップデート「史略 ~春嵐~」の内容や、正式サービス開始から1年間に渡ってアップデートを重ねてきた内容も合わせて、「三國志 Online」の世界を骨の髄まで楽しんでもらおうと思います。さらにゲーム内でも部曲勧誘会や闘技仕合を盛り上げるイベントなども検討中ですし、新規の方が合戦に気軽に参加できるようなイベントも検討中です。詳しい話は追って公式サイトでアナウンスしていきますので、楽しみにしていて下さい。

――期間限定とはいえ体験版でのプレイ制限の開放となると、ひょっとして拡張パックがでる予兆? と勘ぐってしまうのですが。

藤重氏: 内緒ですね(笑)。拡張パックについては以前もお話ししたかもしれませんが、全く考えていないと言えば嘘になります。将来的にはリリースしますよ。ただし、現状では拡張パックのお話しをできる状況でもありませんので、タイミングがきたときにお話しできればと思います。

上野氏: 3月の大型アップデートはもちろん無料ですから安心してください。

――ほかに戦闘・生産レベルキャップの開放や新戦闘技能、新たな戦闘技能、新生産品の追加などは?

上野氏: 残念ながらありません。ただ、新合戦場については、4月のアップデートで実装予定です。

――新合戦場の追加はビッグニュースですね。どんなフィールドなのでしょうか?

力がぶつかり合うという新合戦場に触れた上野氏。3月のアップデートを受けた内容というだけに内容が楽しみだ

上野氏: 前回のインタビューのときにも話が出たと思いますよ。力と力のぶつかり合いと。

――あのとき話をしていた平野のみの合戦場ですか!?

上野氏: どんな合戦場になるかは楽しみにしていて下さい。今回実装される「向き」の概念が、新合戦場でどう生きてくるのか、私たちもいまから楽しみにしています。

藤重氏: 3月は戦闘システムにフォーカスをあて、4月は合戦にスポットをあてます。3月のアップデートで実装されたものを活かした戦闘を、4月は新たなフィールドで楽しめるというイメージです。他に4月のアップデートでは、三国制覇戦のスケジューリングの大幅変更なども行なう予定です。従来、半年(前期)・半年(後期)で三国制覇戦を行なってきましたが、4月からは1年のスパンで展開していこうと考えています。

上野氏: 1年といっても12カ月というわけでなく、三国制覇戦そのものは実質9カ月前後になります。

藤重氏: また合戦の日程も変えようかと考えています。1週間、毎日合戦があるとかですね。毎月この週は「三國志 Online」の合戦ウイークとか。

上野氏: 曜日縛りがない分、これまで参加できなかったユーザーの方にも楽しんでいただけるようになると思いますし、「今週は合戦だ!」といった方が盛り上がるかなと。これまでは合戦という勢力同士の大規模戦が定期的に散らばっていたわけですが、それをギュッと凝縮したイメージですね。

――ワールドごとに合戦の開催週は違うのですか?

上野氏: いえ、基本的に同じ週に開催する予定でいます。

――合戦開催の時間帯については?

藤重氏: ユーザーの方のご意見を聞きながら調整はしていこうと考えています。

――三国制覇戦が1年のスパンで開催されるとなると、勢力の移動も1年に1回しかできないということですよね?

藤重氏: そうです。ただ、所属する勢力に対する思いが強い方が多く、勢力を移動する方が私たちが当初考えていたよりも少なかったこともあり、1年に1度でもいいのかなと判断しました。このあたりは実際に運営してみて、ユーザーの皆様の反応を見てみたいですね。

――所属国に対する愛着といえば、多くの三国志ファンも注目していた映画「レッドクリフ」とのコラボレーションもありましたね。効果はどうでしたか?

上野氏: 「三國志 Online」は三国志ファンが多くプレイされているので、ゲームの中で「レッドクリフ観た?」という会話も行なわれていたようです。また映画によって、三国志が難しい歴史物という認識を改めた人も多かったのかなと。例えば彼女に三国志の話をしても、一方的で会話のキャッチボールにならなかったものが、昨今の歴史ブームも手伝ってか、女性の方も三国志に興味を持っていただけました。この機会に彼女に三国志の魅力をアピールしてファンになってもらい、一緒に「三國志 Online」をプレイしてもらえるようになったら嬉しいですね。

藤重氏: ゲーム内でも3月26日からレッドクリフにちなんだイベントも開催予定です。

上野氏: 諸葛亮の十万本の矢にちなんだイベントです。今回、新しい試みとしてワールド対抗で展開していこうと考えています。詳細は公式サイトでアナウンスしていきますが、3つのイベントアイテムを集めた数をワールド間で競ってもらおうかと思っています。

――ワールド間で競うのは面白そうですね。

藤重氏: ワールド間で合戦をするといった直接的な戦いではありませんが、競争という新たな試みは、これまでとは違った遊びの幅を広げるものですので、きっと楽しんでいただけると思います。

――ワールドのお話が出ましたが、このタイミングでワールド間の移動サービスなどを行なう予定はありませんか?

藤重氏: 3月のアップデートのタイミングでワールドの移籍を受け付けることは考えていませんが、お客様の中には移籍したいという方もいらっしゃるようなので、この件については前向きに検討していきたいと考えています。

――1周年を迎えて、ユーザーからはどんな要望が多いですか?

上野氏: やはり、エリアの拡張、レベルキャップの開放、新技能の追加といった要望は多いですね。これはMMORPGをプレイしているユーザーの方にとっては当たり前の要望だと思いますし、我々もそれに答えられるよう開発していく義務があると思いますので頑張っていきます。

――ビジネスモデルについてですが、今後アイテム課金制へ変更したり、月額料金+アイテム販売のハイブリッド化などの変更は検討されていますか?

藤重氏: このタイミングではそういったことは全く考えていません。お客様が望んでいるなら考えなくてはいけないと思いますが、私の中ではそういったことを望まれている認識は現状では全くありません。

――最後にメッセージをお願いします。

上野氏: 「三國志 Online」も2月に1周年を迎えることができました。ひとえにユーザーの皆様のおかげで、ここまでやってくることができたと感じています。この3月の大型アップデートでは戦闘に「向き」の概念など新要素も追加され、大きく変わります。進化した「三國志 Online」をこの先も楽しんでもらえればと思います。

藤重氏: 私が開発に直接関わるようになって約半年が経ちますが、このコンテンツは幸せだなと思います。本当に暖かい心をもってお客様に支えられていると感じます。私自身が実際にプレイし肌でそう感じていることなので、やはりそういった心温かいプレーヤーの皆様には、アップデートではいい意味での驚きを与えたい。そんな気持ちから生まれたのが今回のバックアタックですので、是非楽しんでいただきたいと思います。また4月のアップデートで実装される新合戦場も、同じようにいい意味での驚きを与えられると思いますので期待していて下さい。今後もお客様と共に歩んでいきたいと思いますので、「三國志 Online」の応援よろしくお願いします。

――本日はありがとうございました。


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(2009年 3月 25日)

[Reported by 平井信幸]