インタビュー
大型コラボ続々! 「World of Tanks Blitz」、「戦場のヴァルキュリア」や大河原邦男氏とのコラボについて聞いてきた
2016年9月17日 00:00
Wargaming.netは、東京ゲームショウ 2016で様々なコラボレーションを発表したが、その対象の多くは「World of Tanks Blitz」だった。「World of Tanks Blitz」は、本家PC版「World of Tanks」の弟分として、モバイル向けに最適化されたタイトルで、日本では「ガルパン」コラボなどの存在もあり、PC版やコンソール版を凌ぐ勢いだという。
「戦場のヴァルキュリア」コラボでは、ゲーム内に登場した戦車エーデルワイスとネームレスを実装し、「ガールズ&パンツァー」新コラボとして、東京ゲームショウのWargamingブースにも出展されていた九十五式戦車の知波単学園迷彩スキンの販売、そして大河原邦男氏を初めとしたアーティストとコラボし、アーティストが制作したイラストをゲーム内に実装させる企画「アーティストシグネチャーシリーズ」と、まさに盛りだくさんの内容で、新規ユーザーのみならず、PC版やコンソール版で「WoT」を楽しんでいるユーザーも引き込む吸引力を備えた大型コラボといえる。
今回はその仕掛け人であるWargaming.net パブリッシングアジアパシフィックジェネラルマネージャーで、「World of Tanks Blitz」アジアプロデューサーのオザン・コチョール氏に、コラボの企画経緯と気になる中身について話を伺った。
「アーティストシグネチャーシリーズ」では、様々なジャンル、国のアーティストとコラボしたい
――「World of Tanks Blitz」で、東京ゲームショウの開幕にと合わせてスタートした「戦場のヴァルキュリア」コラボですが、なぜ「ヴァルキュリア」とコラボしようとしたのか経緯を教えて下さい。
オザン・コチョール氏: もともと「戦場のヴァルキュリア」に戦車が出ることは知っていて、今年PS4でリマスターが出ましたので、声掛けてみようよということで始まったプロジェクトです。「でもセガだし大丈夫かな?」と心配だったのですが、実際にお願いしにいったら良い反応をしてくれました。やはり両社、両開発チームの間で戦車に対する愛情があったので、まずはエーデルワイス号、そしてネームレス号もお願いしてみたら、いいよと言っていただけたので東京ゲームショウに合わせて準備しました。
――東京ゲームショウの発表後から発売を開始するというのはちょっとしたサプライズでしたね。
コチョール氏: 発表自体は東京ゲームショウの前に行なっていて、東京ゲームショウの発表会のステージにディレクターの小澤様をお呼びして、発表会後に販売を開始するというのがもともとのプランでした。2週間の限定販売で、まだ数字は出ていませんが、近日中に出ると思いますので反応が楽しみです。
――「戦場のヴァルキュリア」というと、PS3でやりこんだゲームだったので、懐かしい感じがしましたね。
コチョール氏: なるほど、そうかもしれませんね。そういうユーザー様にも遊んでいただけると幸いですね。
――現在開発されている「蒼き革命のヴァルキュリア」とはコラボしないのですか?
コチョール氏: 世界観がまったく違うんですね。「戦場のヴァルキュリア」は戦車や銃も出てくる現実感のある設定でしたが、「蒼き革命のヴァルキュリア」は完全にファンタジーで戦車も出てきませんので、どちらかというとリマスター版「戦場のヴァルキュリア」に合わせたコラボですね。
――そうなんですね。
コチョール氏: エーデルワイスとネームレスのデザインは、当時の雰囲気を残しつつ、Blitz向けにデザインし直しました。セガさんにはかなり配慮していただいて、Blitzのユーザー向けに自由にデザインしていいよと言っていただいて、色々フォローしていただきましたので、とても仕事しやすかったです。
――今回の「戦場のヴァルキュリア」コラボはこの2輌の戦車の販売で終わりですか? それともまだ何か続きますか?
コチョール氏: 今のところ、まずはこの2輌の戦車で様子を見て、ユーザーさんがもっと欲しがっていたらコラボの継続を考えていかなければなりませんし、他のプラットフォームのユーザーが欲しいという要望が大きければ対応していきたいと考えています。我々としては、初めてのゲーム間コラボレーションなので、まずはユーザーさんの反応を見たいです。
――ということは、1カ月後にコンソール版、2カ月後にPC版みたいに順番に実装していくような計画は現時点ではないのですね?
コチョール氏: はい、ありません。
――次に「アーティストシグネチャーシリーズ」についてですが、いきなり大河原邦男さんという大物メカデザイナーが発表されて興奮したのですが、これはどういう経緯で、大河原さんに戦車のデザインをお願いすることになったのですか?
コチョール氏: えーと、もともとの計画では「機動戦士ガンダム」とコラボしたいと考えたんですね(笑)。「ガンダム」には戦車も出てきますし、ガンタンクのようなモビルスーツもいますから、でもそんなに簡単な話ではないですし、欲しいのはオリジナルデザインなので、大河原さんに直接お願いしに行きました。そしたら我々が驚くほど良い反応で、あんなに良い方はなかなかいらっしゃらないですね。大河原さんにはこちらの事情を理解していただいて、デザインもゲームの世界観に合うものにしていただいて、最終的にとても良いものを作っていただきました。今回お見せしたのはあくまでイメージなので、これをアートワークに落とし込んで、これから年末に掛けて情報を出していこうと思っています。
――肝心の実装時期は?
コチョール氏: これは現時点ではまだお答えすることはできないです。ただ、そんなに遠くはありません。デザイン的には完成していますが、これからゲームデータ化していかなければなりません。モデリングは出来ていますのでそんなに時間は掛かりませんが、我々は単に実装するだけでなく、プレーヤーエクスペリエンスと呼んでいますが、プレーヤー様に対して一連のサービスを提供するので、メカデザインについてどう解説するかとか、もちろん大河原さんの紹介も必要ですし、そのための動画も必要です。コンテンツに付随したストーリーが重要だと想うので、これから徐々に情報を出しながら、最終的な実装に向けて準備していく形になります。
――O-47という名前の由来は?
コチョール氏: 何でしょう? まだ内緒です(笑)
――O-47に対するストーリー設定みたいなものも存在するのですか?
コチョール氏: O-47のストーリーというものはありませんが、しっかりとした意味があります。それはしっかり説明していきますし、今まであまりなかったようなパターンで実装していくことになると思います。今までこうやって徐々に情報を出していくやり方はしていなかったので、今回がそのトライアルになると思います。とても良いものを作っていただいたのでしっかり盛り上げていきたいと思います。
そして「アーティストシグネチャーシリーズ」については、もともとのアイデアはギターから来ています。私はギターが大好きで、エリック・クラプトンシグネチャのフェンダーとかがあるんですが、それって戦車や戦艦でも同じことできるなと思ったんです。だから、アーティストを立てて、まったく新しいものを作っていただいたり、既存のものをリモデルしてみたりしたら面白いんじゃないかと。
たとえば、これはあくまでアイデアですが、士郎正宗さんに戦艦大和をリデザインしてもらって、士郎正宗さんがデザインしたカラーリングやストライプの大和で遊べる、そういう発想なんです。
だからこれは「World of Tanks Blitz」だけの企画ではなく、PC版やコンソール版の「World of Tanks」や、「World of Warships」も巻き込んで、様々なアーティスト、それはもちろん日本だけでなく、アメリカのアーティストにエジンバラや高雄をデザインしてもらったりなど無限の可能性があるコラボだと思っています。逆に可能性がありすぎるので、これから何をすべきかとキチッと決めていかないといけませんが、すでに複数の日本のアーティストに声を掛けています。
――では2人、3人にというレベルではなく、何十人みたいな規模になる可能性もあるというわけですね?
コチョール氏: そうですね、決まっていません。プレーヤーさんの反応も見たいですし、鳥山明さんとコラボして欲しいなという声が多ければ、お願いしに行くことを考えなければならないでしょうし、ぜひご意見をいただきたいですね。
――でも、実際問題、1人目が大河原邦男さんと言うことになると、宮崎駿さんや河森正治さんなどにお願いしないとバランスが取れませんよね?
コチョール氏: どうなんでしょうか(笑)。メカばかりでなく、色んなジャンルのアーティストとコラボしたいと考えていますから、様々な好みのプレーヤーさんに対して良いものを提供していきたいですよね。このコラボは複数同時に走っても問題ないので、どうしていくか決めて行きたいと思います。
――「World of Tanks Blitz」に大和港というマップが突然追加されました。トレーラーを見て思わず笑ってしまったのですが、あれはどういう経緯で企画・実装されたのですか?
コチョール氏: もともとはもっと凄いことになるプロジェクトだったのですが、使えるポリゴン数にも限りがあって小さい大和を出すことになりました。意図としては、日本のマップを用意したかったんですね。これまでアジアというマップはありましたが、中国風でしたし、もうちょっと日本風のマップを追加したいと考えました。
実装した大和港についてですが、まだこれは決まったことではなく、個人的な考えですが、改良したいと思っています。もっと日本風にできると思っています。
――私自身は、モバイルゲームの戦場としては頑張って作っているなと思ったのですが、姉妹作に「World of Warships」というリアルな海戦ゲームがあるので、どうしてもそこと比較されてしまうところがあったのかなと思いますね。
コチョール氏: そうですね。このマップの面白いところは、大和に乗れるというところです。これ自体はとてもおもしろいアイデアだと思うので、それをうまく活かしたマップに仕上げていきたいですね。
――また、「World of Tanks Blitz」は軽戦車ツリーがまだ少ないですが、今後拡充されていくのですか?
コチョール氏: はい、アップデート3.1でソ連の軽戦車が追加されましたし、今後も軽戦車に限らず、様々なタイプの戦車を追加していくつもりです。
――なるほど、でも、自走砲が追加されたり、7対7という枠組みは変わらないのですよね?
コチョール氏: はい、そこは変わりません。我々が今後「Blitz」で注力していくのはe-Sports的な側面の強化と、本日発表しましたが、「ガールズ&パンツァー」の知波単学園のスキンの販売です。今回東京ゲームショウに九十五式戦車を展示しましたが、それに合わせてType 95向けの迷彩を有料販売しました。今まで「ガルパン」スキンは無料で配布していたのですが、今回は有料にしてユーザーさんの反応を見たいと思っています。反応が良ければ、今後も様々な形でスキンを追加することが出来ると思いますのでどうぞご期待下さい。
――ありがとうございました。