「Paperman GW EVENT ~Pray for Japan~」開催

来場者参加の個人戦を実施。「ペーパーマン」アニメ制作も発表



5月4日 開催

会場:ベルサール秋葉原

入場料:無料



開場の時点で来場者は500人以上。中は来場者でびっしり埋まり、午後を過ぎても外では100人以上が入場を待っていた

 株式会社ゲームポットは5月4日、Windows用FPS「ペーパーマン」のオフラインイベント「Paperman GW EVENT ~Pray for Japan~」をベルサール秋葉原にて開催した。入場料は無料。株式会社サードウェーブが運営するPCショップ「ドスパラ」が開催するPCゲームイベント「『第3回 秋葉原PCゲームフェスタ』Powered by Galleria」のステージイベントの1つとして実施された。

 今回は東日本大震災のチャリティーイベントとして開催されており、当日来場した人の中から抽選で選ばれた100人による個人戦を実施。普段のオフラインイベントではオンライン予選を勝ち上がったプレーヤーによる頂上決戦が行なわれるのが通例だったが、今回はそれがないにも関わらず来場者数は約900人と、本作のイベントにおいては過去最多を記録した。

 会場ではTシャツや缶バッジが販売され、売上は日本赤十字社を通じて全額、東日本大震災の義援金として寄付されることになっている。他にも運営・開発者による今後のアップデートの紹介や、声優陣のトークショーなども行なわれた。イベントはUstreamでリアルタイムに中継され、Twitterと合わせてオンラインで参加していたプレーヤーも盛り上がっていたようだ。




■ 熱戦の個人戦から、運営・開発とのエキシビションマッチも。11日までPG・経験値70%アップ!

解説は今回もFPSプレーヤーの「ぬるぽ」氏(中央)が担当。左は司会進行を務めた木村氏
試合は各プレーヤーの画面をステージ前で映しながら、スクリーンでは「ぬるぽ」氏の実況解説が行なわれた

 個人戦には前述のとおり、100人が参加。来場者数から考えるとかなり少なめの数にはなってしまったが、幸運にも選手に選ばれた来場者達が日頃鍛えた腕前を披露した。

 ルールは個人サバイバルで、マップは古城。1戦ごとに10人が参加し、真っ先に20キルした選手が決勝へと進出した。予選では大きくスコアの差が出ることもあったが、中には最後の1キルを争う試合も。また小さな子供や女性の参加者も出場できたのが、結果として面白いイベントになっていた。

 決勝では予選を勝ち抜いた実力者10人で争われた。条件を30キルに変更して行なわれた試合は、20キルの時点で3人が並ぶという混戦に。古城はリスポーンの位置とタイミングによって、無敵時間を活かして敵を倒す(あるいはリスポーンした無敵の相手にやられる)という運の要素も大きく絡むマップだが、その運も味方につけた「Gemeaux」さんが接戦を制した。優勝した「Gemeaux」さんには賞品としてDharmapoint製のゲーミングマウスとヘッドセットがプレゼントされた。

 試合後、上位5人の選手に対して、運営チームプロデューサーの関芳樹氏や、開発を務めるVoid pointerチーム長のジョン・ジェホン氏らがエキシビジョンマッチを提案。解説の「ぬるぽ」氏も運営チーム側に加わり、5対5の爆破モードで5本先取での対戦が行なわれた。マップは抽選で池袋に決定。

 関氏は試合前、もし入賞者チームが勝てば、5月11日のメンテナンス前まで獲得PG・経験値を50%アップにすると宣言。「空気を読まずに勝ちにいく」と言った運営チームは、1本目こそ落としたものの、2本目、3本目を連取。しかしその後は入賞者チームにペースを握られ、結果は5対3で入賞者チームが勝利した。

 これで50%アップが確定したが、大会の進行を務めたゲームポット木村氏が「勝ちに行くと言っておきながらこの結果はふがいない」と、ボーナス幅の拡大を提案。結果、獲得PG・経験値70%アップに引き上げられることになった。この設定は「この後すぐに行なう」ということなので、本日中にも適用されると思われる。


決勝戦は首位が次々と入れ替わる接戦に。最後は「Gemeaux」さんが勝利を決めた
運営チームには、関氏(謎の万能ヤギ)や「ぬるぽ」氏、さらには同社のゴルフゲーム「スカッとゴルフ パンヤ」からGM(てんし)みつば氏も参戦
随所にいい場面もあった運営チームだが、入賞者チームの前にあえなく敗退。結果、11日まで獲得PG・経験値を70%アップすることになった



■ 今後のアップデート情報を発表。新キャラクター追加やアニメ化も決定

エンタテインメント第2事業部門部門長の朝倉脩登氏
運営チームプロデューサーの関芳樹氏
Void pointerチーム長のジョン・ジェホン氏

 「ペーパーマン運営×開発座談会」と題されたコーナーでは、本作の元プロデューサーで、現在はゲームポット執行役員 エンタテインメント第2事業部門部門長を務める朝倉脩登氏が主催者挨拶を行なった。朝倉氏は「タイと台湾のサービスが始まり、今後はアジアでのサービスが増えていくはず。国内では最強クランを決めるオフラインイベントをやりたい。その後、3周年に合わせられるかはわからないが、国際大会をやりたいと考えている」と述べた。

 次に関氏とジョン氏が、今後の展開について語った。まず以前から発表されていた「スイッチウェポン」と「オークションシステム」の実装については、実装時期を延期し2011年末の予定とした。この理由について関氏は、「システムの調整が終わっておらず、現時点では実装できない。調整終了後、公開テストを行なって再度バランス調整をした上、本実装したい」と説明した。

 続いて直近のアップデートについて発表された。5月11日には、特殊能力アイテムの公開テストが実施される。特殊能力アイテムはいくつかの種類があり、相手に照準を合わせられると警告マークが出るものや、特殊効果を持つアイテムによる状態異常を一定確率で無効にするアイテムなどがある。これについては、「必ず実装するわけではない。公開テストの内容を見て、内容を変更したり、実装しないこともありえるので、ご意見をいただきたい」としている。

 その先のアップデートとしては、8月に新キャラクターが実装される。「フ○○」という白いイタチのキャラクターになるという。さらに10月には「ミッションシステム」を実装予定。ヘッドショットやクリティカルショットを出したり、特定の武器を使い続けるといった一定の条件を満たすことで、報酬が得られるというもの。

 さらにゲーム外の企画も紹介された。6月21日から、本作とアサヒ飲料、ローソンの3社によるタイアップ企画を予定しているという。詳細はまだ明らかにできないそうだが、対象商品は「三ツ矢サイダー オールゼロ(500ml)」と「ウィルキンソン タンサン(500ml)」の飲料2種類になるという。関氏は「詳細は言えないが、かなり大きなものになるので期待して欲しい」と語った。

 そして、本作のアニメ化も発表された。WEBなどでの公開を想定したショートムービーになるそうだが、戦闘シーンだけではなく、戦闘に行くまでの過程でキャラクターが何をしているのかを描くものになるという。既に作成には入っており、会場では絵コンテも公開された。アニメの公開は「夏辺りをめどにしたい」としている。

 このほか、プレーヤーからTwitterを通じて寄せられた質問にもいくつか答えた。まず開発において、「衣装のファッションどう決めるのか」という質問には、ジョン氏が「運営とも話し合い、月1回、テーマを決めて選んでいる」と回答。武器については同様に会議で決めるほか、「銃器のバランスを考えて、開発チームでテストして決めている。他のゲームで人気の武器なども見て考えている」という。

 システム面では、「解像度変更やPing値の表示、チームシャッフル機能などの変更はないのか」という質問が多く寄せられたという。これについてジョン氏は、「開発は進めていて、優先順位は高い。ただし検討中のものなので、実装時期は後日発表する」と答えた。

 またジョン氏は「大事なお知らせ」と前置きして、「開発者を探しているので、ゲームポットのリクルートページを見て応募して欲しい」と語った。


5月11日から実施予定の特殊能力アイテムの公開テスト。バランスを大きく変えるアイテムが登場するだけに、今後の動向には注目が必要だ新キャラクター「フ○○」。プレーヤーには既に知られたキャラクターだが、イタチだということは知られていなかったようだ
6月21日から予定されているタイアップ企画。ローソンでこれらのドリンクを購入すると何かがある、ということだろうか?ショートアニメの制作も発表。ゲームでは見えない、戦闘に出る前の様子が描かれるという。キャラクターはもちろん平面。ハヤテが扉を開けるとそこにはティナが……というお約束のシーンも収録



■ 声優3人によるトークショー。6日実装のアイドルボイスを実演

左から、声優の高階俊嗣さん、檜山修之さん、又吉愛さん。先輩・後輩の仲だけあって、樋山さんが2人への容赦ない突っ込みで会場を沸かせていた
Twitterで募集された台詞の実演も。樋山さんは普段とは違うクールなガイを演じた

 本作のイベントでは恒例となった声優トークショーには、今回はガイ役の檜山修之さん、ヴァン役の高階俊嗣さん、アルル役の又吉愛さんが登場。先に発表されたアニメ化についてや、5月6日のアップデートで実装される「アイドルボイス」について語られた。

 まずアニメ化については、檜山さんが「今聞きました。完全に事後承諾です」と、今日まで知らされていなかった様子。ただ「本当に嬉しい情報。ゲームは1人ずつ収録するので、CDドラマで一堂に会して収録したのが楽しかった。今度はそれに絵がつくということなので、ここにいる3人以外のメンバーも喜ぶと思う。掛け合いで楽しい作品ができると思う」と語った。

 高階さんは、「声優は絵がありきの仕事だったりするが、CDドラマは絵がないので、何をやってもいいんだという楽しさがあった。ゲームだと他の声優さんと絡むことがないので、CDドラマは役者同士のやりとりが生々しくて面白い」と述べた。そのCDドラマについて又吉さんは、「アドリブ合戦で、笑ったら負け(NGになってしまう)みたいな収録だった」と振り返るなど、かなり楽しい収録になったようだ。

 「アイドルボイス」については、年末に収録済みだという。檜山さんは「それぞれの役者が、アイドルとはこうだと解釈して作っているはず。今までは我々のキャラクターごとの演じ分けを楽しんでもらってきたと思うが、今回は横の演じわけを楽しんで欲しい」と語った。

 その演じる内容は、樋山さんは「20歳の熱血アイドル」、高階さんは「25歳の横暴なアイドル」、又吉さんは「12歳のいたずらなアイドル」と、それぞれが演じてきたキャラクターに近いようでちょっと違った設定になっている。台詞の実演も行なわれ、樋山さんは「目だって目だって目立ちまくるぜ!」、高階さんは「俺がスーパースターだ!」、又吉さんは「仲間を蹴落としてでも目立たないと」と、それぞれの特徴が出た台詞が披露された。

 最後にファンへのメッセージとして、檜山さんは「ゲームの音声取りに参加して数年、イベントにも2回ほど参加して、皆さんの熱気がどんどん高まっているのを肌で感じている。CDドラマもやりましたし、次はアニメ化と盛り上がってきているので、僕も演者一同も、『ペーパーマン』を盛り上げるために精進していく」と語った。

 高階さんは実体験を交えてコメント。「ゲームを少し遊んでいるが、僕のキャラの声を聞くにはお金を貯めなければいけないくて、なかなか自分のキャラを買えない。ゲームの中でも僕の声のキャラをあまり見かけない」というと、会場からは「あー」と納得するような声があがり、「僕のキャラを買える人は、買って聞いて欲しい」と付け加えた。

 又吉さんは、「これからもいろんな展開があると思うので、末永く応援してください。私も楽しみなので、役者一同頑張ります」と挨拶。ちなみに今年は卯(うさぎ)年で、Twitterではウサギのキャラクターのアルルにちなんだ台詞の応募もあり、又吉さんが会場で実演した。ただ又吉さん本人はその関連に最初気づかず、「さっき言われて気づいていた」と檜山さんに突っ込まれ、会場の笑いを誘っていた。




 イベントの最後に、木村氏が来場者に向けて挨拶した。「このイベント企画は、初めはクラン戦を主体にしていたが、震災を受けて内容を大きく変えた。震災の時にTwitterで、『自分の名前を覚えていてくれているところがペーパーマンで、そこが無事だった』というコメントがあったと聞いた。そういうコミュニケーションの場を提供しているんだという使命感を得た。エンターテイメントの会社なので、被災されたみなさまのお手伝いとともに、楽しさを提供していきたいと改めて思った。それがこういうイベントの形に実り今日は嬉しく思う」と述べた。

 普段とは違うチャリティーイベントという企画だったが、結果的には過去最多の来場者を集めるなど、大成功の形で幕を下ろせたと言えるだろう。次回は国内最強クランの決定戦、そして国際大会の開催にも期待したい。


チャリティーグッズの販売も大盛況で、最後はほぼ完売。売り上げ金額は592,000円が全額寄付される恒例のじゃんけん大会も行なわれた

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(2011年 5月 4日)

[Reported by 石田 賀津男 ]