「エヌ・シー・ジャパンが行く! 2009年ユーザー感謝祭」 「タワー オブ アイオン」編
「タハバタ」、「ヴォカルマ」など強ボスが一堂に集うアトラクション。気になる「2.0」は年明けに詳細を発表


12月27日 開催

会場:THE GRAND HALL



「エヌ・シー・ジャパンが行く! 2009年ユーザー感謝祭」2日目は「タワー オブ アイオン」のイベントが行なわれた

 エヌ・シー・ジャパンが、同社の人気タイトルのファンを集めて行なうオフラインイベント「エヌ・シー・ジャパンが行く! 2009年ユーザー感謝祭」が、12月の26、27日に品川THE GRAND HALLにて開催された。

 「The Tower of AION(タワー オブ アイオン)」(以下、アイオン)は2009年の7月に正式サービスが始まった同社の最新作。東京での大規模なオフラインイベントはローンチパーティー以来となる。会場には国内プロデューサーの西本直樹氏と、イベントで毎回MCを務めているコンテンツプランニングチームの田辺裕貴氏と青木淳氏が登場。また、NCsoftのワールドデザインディレクターのイ・ジホ氏が来日して、ファンとの歓談も行なわれた。

 当初は、イ・ジホ氏から次の大型アップデート「2.0」についての発表がある予定だったが、開発状況の遅延を理由に直前になって中止になってしまった。代わりに、ロビーで直接歓談する時間が設けられ、ユーザーの質問に気軽に答えていた。このレポートでは、トークショーの様子や、西本氏やイ氏から聞いた最新情報についてお届けする。



■ 1,000人近い来場者で、多数のユーザーが入場できない事態に

入場の行列
会場の様子

 「2.0」の発表が土壇場で中止になってしまったことで、来場者が少なくなるのではないかと思われたが、「アイオン」としては久しぶりの大規模なオフラインイベントだったということと、レアアイテムの「アヌハルト」武器が当たるくじが引けたり、来場者全員にアイテムキットが配布されることもあり、会場前からホールのキャパシティを越える大勢の来場者が行列を作った。

 会場はホールに400人、ロビーに300人程度が収容できるキャパシティを備えていたが、1,000人近くが訪れたため並んでいたが入れずに諦めて帰ってしまった人もいた。会場に入れなかった来場者のために、1回目のプログラムが終了した後、急遽2回目のトークショーが企画されたほか、アカウントを登録して後日、お詫びとしてゲーム内アイテムがもらえるような処置が取られた。ローンチパーティーの来場者を元に準備をしたということだが、予想を超えた数の来場者のために、次回からはなにか方策を講じたいとスタッフは話していた。

 早くから会場に足を運び、無事会場に入れた来場者は、天族と魔族の名札をつけて、座席もステージに向かって左側が天族、右側が魔族と分かれた。座れなかった来場者は、座席背後に天魔混在で立ち見になったので、そこは「アイオン」の対人エリアになぞらえて「アビス」と呼ばれていた。「今日はここがアトレイアですから」と田辺氏。

 ホールの背後では、協賛企業による「アイオン」を使った「バンジージャンプ」ゲームが行なわれていて、ミニゲームを上手くクリアした来場者は、ゲーム内アイテムが当たるスピードくじを引くことができた。ロビーのグッズコーナーでは、「アイオン」のTシャツや、推奨キーボード、推奨グラフィックボードの販売や、発売予定の「プレミアムキット Ver.2」の予約が行なわれていて、ショップで5,000円以上購入した人も、同様にくじを引くことができた。

 ロビーでは同社が運営しているオンライン麻雀ゲーム「雀龍門」のタッチパネルバージョンや、オンライン野球ゲーム「パーフェクト9」の試遊コーナーも用意されていた。奥にはドリンクや軽食のサービスもあって、サーバー名が書かれた札が立てられた机に、サーバーごとに集まって自己紹介をしている姿が見られた。

 今回初めての試みとして、「I-ON AIR ライブ in ユーザー感謝祭」としてTwitterとTwitcamをつかった生中継も行なわれた。今回のイベントに直接参加できないユーザーも、ネットを通してイベントの様子を見ることができた。


日本プロデューサーの西本直樹氏「MC田辺」こと田辺裕貴氏「MC青木」こと青木淳氏
「パーフェクト9」コーナー「雀龍門」コーナーグッズ販売コーナー


■ 「2.0」の発表は来年初頭に延期。気になる「アイオン」の行方は?

NCsoftのイ・ジホ氏(左)と西本氏。手にしているのはプレゼントのクッキー
来場者に囲まれて歓談をする両氏

 イベントでは、中止になった発表会の代わりに、イ氏と西本氏と直接歓談ができる時間が設けられた。歓談はロビーの一画で行なわれ、両氏はさっそく来場者に取り囲まれていた。歓談は1度目のイベント終了後、2度目のイベント終了後の2度行なわれ、1時間近くじっくりと話し込んでいた。

 筆者もいくつか質問をぶつけてみた。それによると、今回発表できなかった「2.0」の内容は、来年初頭には改めて発表されるとのことだ。発表の方法が今回のようなオフラインイベントになるのか、ウェブ上での発表になるのかはまだ検討中らしい。

 イ氏は「2009年は日本、アメリカ、EUサーバーのローンチと、ずっと地盤を作る作業に追われていたが、ようやく一息つけたので、来年からはどんどん新しいことをしていきたい」と語ってくれた。

 また、レベル差が5以上あると経験値がほとんど獲得できないためパーティーが組みにくくなっている問題については、レベル差による取得経験値の補正値を、今後緩和していく方向性での調整を考えているとのことで、来年にはパーティーの組みにくさが解消されることになりそうだ。

 韓国では最近、ユーザーが要望について話し合う専門の掲示板が作られたが、日本には同様のものは入らないのかと聞いてみたところ、西本氏は、来月にでもユーザーからどんな要望が出ているのかを、ユーザーが確認できる形で紹介するようなページを公式ホームページの中に作る予定だということだ。

 レギオンレベルの解放や、サーバー統合、サーバー移動サービスについては現在検討中だという。慌ただしいサービス開始の1年を終えて、来年はゲーム内の拡張が加速していきそうな雰囲気だ。



■ 女性キャラ比率65%、しかし女性プレーヤーの比率は?

トークショーは、来場者からも適宜アンケートをとりつつ行なわれた

 ホールでは西本氏、田辺氏、青木氏によるトークショーが行なわれた。「数字で見る『タワー オブ アイオン』の世界」と題して、サーバー別の人口比や、男女のプレーヤー比率、不正者の処分件数など、気になる数字や面白いデータで「アイオン」の今を語った。ローンチパーティーの時には、クローズドβテスト(以下、CBT)までのデータを元に、同様のスタイルでトークショーが行なわれており、その頃に比べて「アイオン」がどう変わっているのかがよく見えた。

 西本氏によると、CBT以来、通算で58万キャラクターが「ディーヴァ」になったそうだ。キャラクターの性別比は、男性キャラクターが35%で女性キャラクターが65%と倍近く女性が多い。ところがプレーヤーが登録している性別は80%が男性で、女性プレーヤーはわずか20%。この結果を踏まえて田辺氏が来場者に「完全に女性を騙っている人は?」と聞いたところ、1名手を挙げたのはトリニエルのユーザーだった。先日のキャンペーン中にキャラクターの性別を変えた人は952人で、男性から女性への変更が多かったそうだ。

 RMTとBOTへの対策については、当初無料トライアルがあったことで大量にいたが、9月に無料トライアルを停止、Keycryptやセキュリティカードの実装でセキュリティ強化し、「オード」抽出に制限をかける「ビュリフォケーション スペル」が実装されるなど、様々な角度から対策が取られている。現在は、これらの対策が、徐々ではあるが効果を上げてきているそうだ。今後はFS(ファンサポート)の数を増やして巡廻を強化するなどの方策が強化されていく予定だ。


プレーヤーとキャラクターの男女比の差に注目不正利用者との戦いの軌跡も紹介された

 サーバーごとの人口比率では、トリニエルサーバーを覗いて全てのサーバーで天族の方が多かった。ただ、最大10%の差に収まるように調整されているので、もっとも差が大きなシエルサーバーでもその範囲内で収まっている。

 職業バランスでは「シャドウ・ウイング」が最も人数が多く、次いで「ソード・ウイング」、「スペル・ウイング」が続いている。やはりアタッカー職の人気が高い。クラス別の対人での死亡割合では、切り込み隊長の「ソード・ウイング」や、装備が柔らかい「シャドウ・ウイング」、「スペル・ウイング」が上位を占めた。


サーバーごとの天族と魔族の人口比率「レギオン」は「アイオン」のギルドにあたる
8つのクラス別の人数比率クラス別の対人での死亡率

 ネームドモンスターの討伐数では、レベル30から入れる天魔共通のインスタンス・ダンジョン「炎の神殿」に潜む3種類のボスが揃ってランクイン。おそらくほぼ全てのプレーヤーが毎日のように倒していた「タフ・シプス」と「シルバー・ブレード・ロータン」には、敬意を込めて「先輩」の敬称がつけられていた。

 他にも「アビス宝物庫」のボス「覚醒中の守護神長」からドロップするユニークアイテム「ドラゴニック ゴッド リーダー」武器シリーズがサーバー内にいくつ存在しているのか、生産で作れるレア武器「シャイニングクライングドラゴンキング」と「シャイニングダークドラゴンキング」武器がいくつあるのかも発表された。会場内にもこのうちの1つを持っていた人がいたが、サーバーによっては1つも出ていないところもあるほど、非常にレアな存在だけに驚きの声が上がっていた。

 また、クエストクエリアで手に入るタイトルのランキングと「Episode1.5 龍族の侵攻」で追加されたが、持っている人がほとんどいないレアなタイトルの紹介があった。最後に対人戦で手に入るアビスポイント(AP)のキャラクター別の獲得量と、サーバーごとの天魔別の獲得量を天族と魔族の対戦形式で発表。結果は5勝4敗で天族の獲得量の方が多かった。


人気のあるクエスト上位は繰り返しのコインクエスト討伐された数の多いネームドモンスター
レア武器のサーバー内存在数生産スキルの取得比率
人気のある「タイトル」の変遷ほとんど知られていない回復職のタイトルを紹介
クラス別のアビスポイント獲得状況サーバーと種族別のアビスポイント獲得状況



■ 「ノフサナ」と「クロタン地下要塞」がまったく新しい戦いの舞台に?

田辺氏と青木氏が、ローンチパーティーに続いて天族と魔族のシンボルである羽を背負って登場

 トークショー以外には、2つのユーザー参加型イベントが行なわれた。1つは事前にホームページで募集したチーム同士による24対24の対人戦「The Tower of Battle ノフサナ Edition」。もう1つは会場内から参加者を募ったタイムアタック対戦「爆走!!マイロード3」だ。

 前者は本来レベル25~28向けのインスタンス・ダンジョン「ノフサナ訓練所」を使った対人戦だ。訓練所内のNPCを消して、代わりに天魔各10本ずつの「守護塔」を設置。早く「守護塔」を10本壊した方が勝利するというルールだ。

 事前に応募していたチームが、種族に分かれて24人の「フォース」を組んで戦う。中には、女性だけで参加しているチームもあった。使用するのはあらかじめクラスが設定されたレベル50のキャラクターで、現段階でプレーヤーの最終目標とも言える「ディーヴァニオン」装備と「アビスアクセサリー」で全身固めているという豪華版だ。

 しかし「守護塔」の前には、本来「要塞戦」にしか登場しないはずのボスキャラクター「守護神長」が天族、魔族それぞれに配置されていてプレーヤーの行動を阻んだ。天族は最初に「守護神長」の側にある「守護塔」を破壊する作戦、魔族は要塞内部にある守護塔を破壊してから「守護神長」周辺を攻撃するという作戦で挑んだ。主催者側の予想を裏切る善戦で、かなり拮抗した戦いが続いたが、最終的に見つかりにくい場所にある「守護塔」を先に発見した魔族が勝利した。

 勝ったチームはレアアイテム「アヌハルト」武器が当たるかもしれないくじを引くことができた。くじは後半のイベントと共通で、「アヌハルト」武器は1つしか入っていないため、残念ながらこのときには出なかった。


キャラクターは全員レベル50用「ディーヴァニオン」をフル装備「守護塔」の前には巨大な「守護神長」が田辺氏と青木氏のカウントダウンで対戦がスタートした
短い準備時間に、スキルをセットし、画面レイアウトを変える女性プレーヤーも手慣れた手つきでキャラクターを操作していた勝利した魔族チームのくじ引き。装備品やポーションなどゲーム内アイテムが当たった

後半のイベントは、ボスだらけのダンジョンでタイムアタック

 後半のイベント「爆走!!マイロード3」は、「アビス宝物庫」の1つ「クロタン地下要塞」をアレンジして作ったオリジナルのインスタンス・ダンジョンで行なうチーム対抗のNPC戦だ。勝利条件は、要塞内部にある4本の「守護塔」を壊し、レベル50用の「暗黒のポエタ」を最高レベルの「S」でクリアしたときだけ戦えるボス「炎の守護者 タハバタ(以下、タハバタ)」を倒すこと。制限時間は30分で、どちらかがミッションを果たせばその場で終了する。こちらも24人のフォースで挑んだ。

 洞窟内には「タハバタ」以外にも、あちこちの高レベル向けダンジョンのボスが勢揃いしてプレーヤーの行く手を阻んだ。「アールキナ宮殿」のボス「クイーン・アールキナ」、「ドラウプニル洞窟」の「千年物の黄金ニンジン」やボスの「軍団長ヴォカルマ」などそうそうたる面子が待ち構えていた。さらに、嫌がらせとしか思えないほどのハイドモンスターが途中の通路に隠れていたり、触るだけで3,000ダメージをくらう爆弾が設置してあったりと「かなりマゾい」(田辺氏)という言葉通りのハードさ。

 しかし、この一見攻略不可能に思える難易度のダンジョンですら、プレーヤーはどんどん倒して進んでいく。天族のルートには、普通は戦闘することがないNPC、「アビス」の拠点にいる「エレシュランタ総司令」の「ボタン」までいて「ヴォルカマ」や「タハバタ」と共にプレーヤーを襲っていた。

 最終的には、途中のMOBを上手く処理した天族のチームが「タハバタ」を倒して勝利を掴んだ。「アヌハルト」武器は、シエルサーバーのプレーヤーが手にした。


ホールの両サイドには、参加者のパソコンがずらりと並ぶ魔族はMOBの処理に手間取り出遅れた見知らぬ者同士がチャットで話し合って連携をとっていく
思わぬ難敵だった「クイーン・アールキナ」1度リンクするとどこまでも追いかけてくる「ヴォカルマ」炎のブレスで次々とプレーヤーを血祭りに上げていく「タハバタ」



■ 来年以降は、運営とユーザーの距離がさらに縮まる?

ゲーム内宝くじの抽選会と、来場者へのプレゼント抽選会が行なわれた

 最後のステージイベントは、ゲーム内で配布された「~歳末アトレイア大感謝祭~ シューゴのワクワク☆チケット」の抽選会が行なわれた。これはゲーム内で登録した任意の数字の中から、1~5等を選んでゲーム内通貨の賞金を出すという、ロトくじのようなイベント。投票は、クリアケースに入った番号が書かれたボールを、西本氏が選ぶという方式で行なわれた。

 さらに会場の参加者にプレゼントが当たる抽選会が、同じ方式で行なわれた。抽選会では、ウェブマネーや、グラフィックボード、コーヒーメーカー、CPU、さらにハイスペックなパソコン本体など豪華な賞品が次々にプレゼントされた。

 最後に青木氏、田辺氏、西本氏が一言ずつ挨拶をして、イベントを締めくくった。

 「想像以上にたくさんの方にご来場いただきまして、イベントも盛り上がっていただいて非常に嬉しい限りです」(青木氏)。

 「今回は私の方でアトラクションを作らせてもらいました。面白かったでしょうか? 次回はもっとマゾイのを作ってギャフンと言わせます。次回もやると思いますので、その会場でお会いできたらと思います」(田辺氏)。

 「今日はこんなに集まっていただいてありがとうございます。この後皆さんで飲みに行かれたりすると聞いていて、ユーザーさんがコミュニケーションをとれる場所を設けたかったので、とても嬉しいです。2009年を振り返ってみて、至らない点もたくさんあり、ユーザーさんから運営サービスチームはユーザーの意見を聞いているのかというお話をよく聞きます。まず、私たちは間違いなく、皆さんのご意見に目を通しています。それに対するこちらからのコミュニケーションが足りなかったかなと、反省している点でもあります。今日のこのイベントは、I-ON AIRで流しています。来年の私の目標ですが、皆さんと直接コミュニケーションを取る機会をたくさん増やして、我々が考えていることを率直に伝えていきたいと思っています。みなさんの側に私たちがいますので、ぜひご理解いただければと思います。どうもありがとうございました」(西本氏)。

 予想以上の来場者にも少しでも楽しんでもらおうと、現場を走り回るスタッフの姿が印象的だった。正式サービスの賑わいから、アカウントハック問題やBOT対策の遅れなど、良いことも悪いこともあった1年だった。しかし西本氏に、手作りのクッキーを渡して「頑張って下さい」と声援を送るユーザーや、ロビーの机に置かれたサーバーの名前が書かれた紙に、寄せ書きのように残されたユーザーのメッセージを見ていると、みんな「アイオン」が本当に好きで、楽しんでいるんだという気持ちが伝わってきた。運営や開発サイドは、応援してくれるユーザーの声に応えて満足行くサービスを提供して欲しいと思う。


西本氏がカラーボールに書かれた数字を読み上げたラッキーな当選者にはゲーム内で大金が手に入る来場者へのプレゼントには豪華な賞品が次々と登場

それぞれが来場者やファンへの感謝を口にした


The Tower of AION is a trademark of NCsoft Corporation. Copyright (C) 2009 NCsoft Corporation. NC Japan K.K. was granted by NCsoft Corporation the right to publish, distribute and transmit The Tower of AION in Japan. All rights reserved. .

(2009年 12月 28日)

[Reported by 石井聡]