「EA TOKYO SHOWCASE 2010」タイトルレポートその2
EAの3DSローンチタイトルはガーデニングゲーム「My Garden」。「Create」、「FIFA 11」、「Dead Space 2」にも注目


9月15日開催

会場:京王プラザホテル



 米Electronic Artsが9月15日に東京・新宿で開催したプレスカンファレンス「EA TOKYO SHOWCASE 2010」でプレゼンテーションされた7本の注目タイトル。本稿ではそのうちニンテンドー3DSのローンチタイトルとなる「My Garden」のほか、EA Sportsブランドのフラッグシップ「FIFA 11」、サンドボックス系パズル&エディットゲーム「Create」、前作日本未発売の話題作「Dead Space 2」の情報をお届けしよう。




■ EAから登場の3DS向けタイトルはガーデニング! 「My Garden」

Phil Katz氏
「Tanuki」

 カンファレンスの冒頭で紹介されたタイトルが本作、「My Garden」だ。本作はEA Salt Lakeで開発中のニンテンドー3DS向けゲームで、テーマは名前のとおりガーデニング。色とりどりの植物を育てたり、各種アイテムを配置して素敵な庭を創りだすというものだ。

 カンファレンスでは本作のプロデューサーを務めるPhil Katz氏が登壇し、ニンテンドー3DSならではの立体視を活用し、他のプラットフォームでは実現できないタイトルに仕上がっていることが語られた。デモ映像では美しい色彩の草花に、これまた美しい文様の蝶が戯れるシーンを見ることができた。3DSのシェーダー機能を生かし、グラフィックスにはかなりの力が入れられている。

 本タイトルで目を引くのは、プレーヤー(すなわち庭師)のガイド役となる和風キャラクターの存在だ。その名を「Tanuki」。文字通りの狸キャラで、酒屋や蕎麦屋などの店先で見かける信楽焼のアレそのものだ。どういう意図で本作に狸が登場するのかはいまひとつはっきりしないが、庭づくりといえば代表格は日本庭園、日本といえば……という連想で起用されたということだろうか。

 ともかく、このキャラクターはプレーヤーのガイド役として登場し、プレーヤーの庭づくりの手引きをしてくれたり、作った庭で戯れたり……といった、ゲームの楽しみを増幅してくれる存在になる。マイクを通じてインタラクションをする、特別なコスチュームを着せて遊ぶ(例えば虫取り網を持たせると、昆虫を捕まえて遊ぶようになる)といったことも盛り込まれている。日本庭園のような和風のガーデンを作れば、完全に風景に溶けこんでしまいそう。

 作成した庭の3D写真を撮るなど、単にゲームをプレイする以上の広がりがあることも言及された。本作は北米ではニンテンドー3DSのローンチタイトルとして2011年に発売予定。日本国内でどうなるかは今のところ未定となっている。


【My Garden】




■ 箱庭を作成してプレイ! サンドボックスパズルゲーム「Create」

「Create」。同じベースからでもまったく異なる世界が生み出されていく
物理パズルを作り、プレイする。作成したものはオンラインで幅広く共有、発展させることができる

 続いて紹介されたタイトルも何かを作り上げることがテーマだ。EA Bright Lightが開発する「Create」は、無数のパーツを組み合わせて自由に箱庭を構成し、そこに独特の遊びを生み出すというサンドボックス系のゲームだ。対応プラットフォームはプレイステーション 3、Xbox 360、Wii、PC、Macとなっており、11月の発売を予定している。

 本作の紹介を行なったEA Bright Lightのゲームデザイナー、Emily Newton Dunn氏は、本作を語るにあたって「作る」、「遊ぶ」、「共有する」という3つのキーワードを強調した。本作ではベースとなる地形が同じでも、自由にエディットすることによって無数のバリエーションを持つ「箱庭」が生み出されていく。プレーヤーはそれをオンラインで共有し、他のプレーヤーの作品に手を加えて「リミックス」バージョンを生み出すこともできる。手を加えたという情報も明示的に共有されるあたりは、2008年のPCゲーム「SPORE」に近い仕組みだ。

 さて、本作の「箱庭」での遊びというのは、物理処理を組み合わせたパズルゲーム仕立てだ。1つのステージには複数の「チャレンジ」があって、代表的なチャレンジは次のような形となる。「スタート地点からボールが転がり落ちていくので、定められた組み合わせのパーツのみを追加で配置して、特定のコースをたどってゴールを通るように誘導する」というものだ。雰囲気としてはNHK教育の有名番組「ピタゴラスイッチ」を彷彿とさせる。さぞかし、全編通してとんちを効かせたゲーム内容になりそうだ。

 プレイを経ていくとポイントが獲得され、これによって様々な追加のエディット用のパーツや、追加のテーマなどがアンロックされるといった「リワード」が用意されているようである。明確に子供向けではないが前年例向けのユニバーサルなデザインで、ゲームの雰囲気はとてもおだやかに構成されている。とはいえ、作成物を共有する仕組みを大々的に取り入れていることで、知能自慢の大人も唸るようなパズル世界が一部には構築されるかもしれない。


【Create】



■ いよいよデモ版配信開始! 22人同時プレイを実現した「FIFA 11」

会場ではトレーラームービーの上映後、デモ版の配信日が9月16日からとアナウンスされた

 続いて、カンファレンスの司会進行を務めたEAのCOO、John Schappert氏が自ら紹介したタイトルがプレイステーション3、Xbox 360、PSPの3機種で10月21日に国内発売予定の「FIFA 11」だ。このうちPS3、Xbox 360版は、最新機能盛りだくさんのフラッグシップバージョンとなっている。

 毎年のグレードアップによりさらに磨きをかけた「FIFA」シリーズは、「FIFA 11」でさらに洗練。今作で導入された最大のポイントは、本作のスローガンである「WE ARE 11」に集約されている。最大11対11人、つまり22人のプレーヤーで対戦できるようになったことだ。

 これは、前作「FIFA10」まではプレーヤー自身がプレイすることできなかった、ゴールキーパーがプレイできるようになったということでもある。本作ではこの点が「BE A GOALKEEPER」と呼ばれる大要素として本格的に作りこまれており、ゴールキーパーとしてプレイする場合、そのポジショニングから、シュートに反応してダイブするタイミング・方向、さらにはコーチングの要素までを完全に操作することもできる。

 さらに試合内容を向上させるために導入された新要素が「Personality+」。これは選手の献身性、運動量など目に見えにくい要素をきっちりパラメータ化することで、プロのピッチで見られるような個性を再現しようとするもの。また、ビジュアル面でも体系タイプを倍増させるなどして、より正確な選手の見た目が再現されるようにもなっている。

 また、従来のシリーズで「姿勢やポジショニングなどにかかわりなく、ピンポンゲームのようにダイレクトパスが簡単に行き交ってしまう」という批判があったとし、今作で力を注がれた要素のひとつが「Pro Passing」というもの。選手の姿勢や運動状態、パス先への角度や視野といった要素を勘案し、より現実的なパス出しを実現したとされている。これは「Personality+」との絡みもあって、高いスキルを持つプレーヤーはより難しい形からのパスが出せるなど、個性付けにも一役買っているようだ。

 会場では、本作「FIFA 11」のデモ版が欧米で9月16日にリリースされることがアナウンスされた。サッカーゲームファンの皆さんはぜひ試してみよう。


【FIFA 11】




■ 「Dead Space 2」は「PlayStation Move」対応のPS3版を一押し!

PlayStation MoveとSIXAXISで2人協力プレイを見せる、EAのMatt Bendett氏
「Dead Space 2」は試遊台の設置もあった

 部位欠損、死体損壊などのグロテスク表現がゲーム性の根幹をなす、というレーティング泣かせの仕様から国内発売が見送られてしまった「DeadSpace」。海外では傑作SFホラーTPSとしての名声をゆるぎないものにしている作品で、その続編が2011年1月の発売と迫っている。

 「Dead Space 2」は、前作の3年後のエピソードを描く作品。主人公は前作から引き続き「Izaac」となり、より大きなスケールでエイリアンまみれとなった空間へ飛び込んでいく。本作の対応プラットフォームはプレイステーション3、Xbox 360、PCの3機種が予定されているが、今回、EAが特にイチオシとしているのがプレイステーション3版だ。

 というのは、プレイステーション3版のみ、Wii向けの外伝的作品であった「DeadSpace: Extraction」のHD版が限定版パッケージに付属するからだ。「Extraction」はWii向けの作品で、Wiiリモコンを使ったガンシューティング的なゲームであった。それが、最新コントローラーであるPlayStation Moveにぴったり。これに合わせて画面解像度もHD化したバージョンを添付するというわけだ。

 カンファレンスでは本作のマーケティングディレクターを務めるMatt Bendett氏が登壇し、「Extraction」をひとりはPlayStation Move、ひとりはSIXAXISで操作して協力プレイをする様子がデモされた。このほか「Dead Space 2」本編のゲームプレイも披露されている。

 「Dead Space 2」は、基本的なシステムはそのままに前作のテイストを受け継ぎ、冒険のフィールドとなる世界が非常にスケールアップしている。広大な宇宙空間を遊泳したかと思えば、巨大なステーション居住区の中でエイリアン生物とのグロテスクな戦闘。商店街など生活感溢れる中でのホラー表現は、見ているだけで不安をかきたてる。

 日本版の発売は現時点でアナウンスされておらず、海外ゲームファンだけの楽しみになってしまいそうなのが残念なところ。サプライズ的に発売となればファンの多くが狂喜しそうなだけに、淡い期待くらいは抱いておきたい。


【Dead Space 2】

(C) 2010 Electronic Arts Inc.

(2010年 9月 16日)

[Reported by 佐藤カフジ ]