★ PCゲームレビュー★


3Dになってより楽しさを“体感”できる動物園に
「ズータイクーン2」

  • ジャンル:動物園経営シミュレーション ゲーム
  • 発売元:マイクロソフト株式会社
  • 価格:7,140円
  • 対応OS:Windows 98/Me/2000/XP
  • 発売日:発売中


 動物園経営シミュレーションゲーム「ズータイクーン2」は、年齢性別を問わず、子供から大人まで幅広く楽しめる作品だ。マイクロソフトも10月30日に上野動物園で家族向けのイベントを開催するなど、ユニークな広報活動を行ない、プレーヤーの幅の広さをアピールしている。家族や友人とプレイすることで、コミュニケーションを深めるのにも適したゲームになっている。

 今作では動物園をフル3Dグラフィックスで表現。自ら作成した動物園を自由に歩き回れるだけではなく、動物たちと直に触れ合うことも可能になった。本稿では、ゲームの特徴を紹介するとともに、可愛い動物たちの姿を紹介していきたい。


■動物の仕草や来場者の反応を目の前で見ることができる楽しさ

オープニングムービーでは、さまざまな動物を飼っている動物園が。こんな楽しい動物園を作りたいと思わせるムービーだ。
 「ズータイクーン2」は動物園の園長となって、さまざまな動物を飼育、来場者に喜んでもらう動物園を目指す経営シミュレーションである。動物に快適な環境を心がけ、躍動感にあふれた彼らの姿を来場者に楽しんでもらう。その喜びを素直に体感できる作品だ。

 本作では動物たちとすべてのオブジェクトを3Dグラフィックで再現。また、「来場者視点」を使うことで、自分の経営する動物園を実際に歩くことができる。さらにフェンスの中に入ることまででき、シマウマの親子が仲むつまじく寄り添っている姿や、ライオンがボールで遊ぶ姿などを間近で観察することができる。また、子供達が楽しげに動物たちに手を振る姿など、来場者の反応も見ることができ、彼らの気持ちが直接的に伝わってくる。

 来場者視点では動物たちの世話をすることも可能になっている。動物たちの身体をブラシでこすったり、水やエサを補充する、こういった作業が非常に楽しいのはやはり“動物が喜んでくれる”のがわかるからだろう。エサをやるだけでも楽しいという動物を“飼う”感覚を本作はうまく再現している。動物好きのプレーヤーには、特にオススメできる要素といえるだろう。動物の世話をプレーヤー自身がすることで、飼育係の数を調整できるというゲーム的利点もあるのだが、飼育員を雇ってからも、ついつい動物の世話をやいてしまうだろう。

 「フォトサファリ視点」は、来場者視点のまわりにカメラのファインダーが表示されるモード。スペースキーを押すことで写真を撮ることができる。「チャレンジゲーム」ではさまざまな条件に従った写真を求められることがある。この時、カメラを構えたまま動物の姿を追うことになるのだが、動物たちの仕草の細かさに驚かされるだろう。ジャガーの水浴び、走り回るラクダ、木に角をこすりつけるムース……。開発者のこだわりに驚かされるに違いない。

 本作は経営シミュレーションであるが、リアルな「動物百科事典」として楽しむことも可能だ。少しだけデフォルメされているが、動物たちの仕草や、生命感には確かなリアルさがある。より自然な情景を作り、その中でのびのびと活動する動物を眺める、というベクトルでプレイを突き詰めるのが楽しい作品である。

 ゲームの難易度は、それほど高くないように感じた。基本をきちんと押さえて、丁寧にステップを踏んでいけば、初心者でもすんなりとゲームを進めていくことができるだろう。本作には資金が無制限に使える「フリーゲーム」があり、ここでは経営要素なしに、純粋に思った通りの動物園を作ることが可能になっている。実在の動物園を再現させるというプレイも可能だろう。

 小学生にはちょっと難しいかもしれないが、それでもお父さんお母さんがフォローをすることで、自分だけの動物園を作ることができる。クリスマスやお正月がひかえているこの季節、プレゼントとしても喜ばれる作品だろう。

通常のプレイは俯瞰画面になる。道路の混み具合など、会場全体をチェックできる 動物園入り口。来場者視点では、観客の目線で動物園を散策できる 来場者視点では動物の世話も可能に。檻の中に入り、動物を至近で見れるのもうれしい
写真撮影。アルバムとして保存することもできる。 クジャクのバッグを背負い、ムースの帽子をかぶる来場者。気に入ったグッズを身につけているのがかわいい 遊具を用意することで動物はより多彩な仕草を見せてくれる


■みんなに喜ばれる動物園を作るには?

条件さえ合えば、複数の動物を同じエリアで飼育できる。シマウマとサイは同じサバンナ気候の動物。複数の動物がいるエリアは、来場者に特に喜ばれる
どんどん大きく、多彩になっていく動物園。ちょっとした達成感を感じることも
 さて、楽しいことだらけの動物園だが、ゲームの中心となるのは、前作と同じように、動物園を経営していくというシミュレーション要素にある。動物園経営に必要不可欠なのはなんといっても園の主役である動物たち。そこでまずは動物の飼育の仕方から紹介していこう。

 ゲームでは最初からある程度の土地が与えられており、その土地を最大限に使って動物園経営を行なっていくことになる。動物を展示するには、まずはある程度の大きさを持ったフェンスを設置する必要がある。動物たちが自由勝手に園内を動き回るのを防ぐためだ。

 次にフェンス内を購入する動物に適した環境に模様替えしてやる。動物にはそれぞれ、サバンナや、湿地帯、ツンドラなど生存に適した環境が設定されている。もちろん食べ物などもそれぞれ違う。

 本作では動物への環境を用意する操作は非常に簡略化されている。動物をクリックし、“飼育員のアドバイス”押すだけで、その動物に適した地形、餌、さらには遊具や獣舎などが提示されるのだ。ツールを使ってフェンスの中の環境を適したものにして、餌と水を置けば、動物の基本的な欲求は満たせる。フェンスにきちんと出入り口を設定して、飼育員が出入りできるようにしておくことを忘れないようにしたい。

 飼育に関しては前述の通り、プレーヤー自身が手入れをしてやれば問題ないが、飼育員を雇うことでより安定した環境を動物に用意することができるだろう。オスとメスをつがいでフェンスの中に入れてやり、環境を整えることで動物は繁殖していく。動物の子供は非常にかわいく、プレーヤーのみならず、来場者の目を楽しませてくれる。資金にまだ少し余裕があるなら、獣舎を作って動物のプライバシーも確保したいところだ。

 フェンスの前の道は、できるだけ広いものにして、多くの来場者が動物を見れるようにしたい。インストラクターを雇い、レクチャーカウンターをフェンスの中に設定すれば、来場者はより詳しく動物のことを知ることができる。喜んだ来場者は、募金箱を設置しておけば気前よく寄付してくれる。来場者からの寄付は、動物園の大事な資金になる。

 来場者のために、トイレとベンチはきちんと設置しておきたい。ジューススタンドは来場者に喜ばれる最も基本的なお店だ。カップを捨てるためのゴミ箱も必要となる。動物園の規模が小さいうちはプレーヤー自身で掃除を行えばOKだが、リサイクル員を雇うことで、いつでも園内は清潔に保たれることとなる。

 経営をうまく軌道に乗せることで、次の動物を飼うことも可能になるだろう。通りやすい道を心がけて新しいフェンスまで来場者を誘導していこう。来場者が増えていくことで、ハンバーガーショップや、子供のための乗り物など、さまざまなものを設置し、より楽しい動物園を目指す。木のテーブルなど、座って食べられるスペースもきちんと作っていく。動物たちも、つめ研ぎ用の柱や、ゴム製のボールを与えることで、より豊かな表情を見せるようになる。

 これらの新しい施設、アイテムを使用するためには、研究費が必要になる。動物の心、来場者の気持ちに合わせて、よりよい動物園を目指し、安定した経営を可能にすることで来場者を増やしより多くの資金を確保していこう。

 資金が無制限に使えるフリーゲームでも、まずは小さな範囲から経営を始め、感触をつかんでいくプレイがオススメだ。より行き届いたサービスが可能になり、バラエティー豊かな動物たちがいる動物園をうまく作ることができたとき、だれかに披露したくなるだろう。

 家に訪れた友人に、来場者視点でプレイしてもらい、色々見てもらうことで達成感はより大きくなる。他にも、本作では動物たちの姿を収めた写真をHtml形式にエクスポートし、自分のホームページで公開することもできる。みんなに見てもらいたくなるような動物園を作りたくなる作品なのだ。

 非常に間口が広く、さまざまな年齢層のユーザーにオススメできる本作だが、操作性において少しプレイしにくい部分もある。フェンスを引くときに石や木があったとき、フェンスがとぎれてしまうところや、太い道路を一気に引けなかったり、設置オブジェクトの選択など、もうちょっと便利になっていればなあと思うところがある。大きな動物園を一から作り上げるときなどは操作の不満が大きくなる場合もある。パッチなどでの対応にも期待したいところだ。

動物の配置には、まずフェンスが必要となる。とぎれがないように注意したい 飼育員のアドバイスを受ければ簡単に動物に適した環境を用意できる 餌と水を置き、飼育員用のゲートをつければ動物の基本的な欲求は満たせる
来場者のための施設も忘れてはならない。ゴミ箱とトイレは、必要不可欠 飼育員を雇うには多くの賃金がかかるが、動物に細かいケアを行なうことができる インストラクターの話は、来場者に喜ばれる。できるだけ用意したい
ゲームを進めることで様々なオブジェクトが使用可能に。記念撮影を行えるブース 水浴びをするジャガー。地形ツールを使って、より多彩な環境を作ることもできる 動物が妊娠をし、出産をすると光が降り注ぐ。新しい命の誕生だ


■現実世界の動物園への興味がわいてくるリアルな経営要素

キャンペーンゲームではさまざまな難問に挑戦することになる
チャレンジゲームでは、イベントで課題が提出され、こなすことでゲームが有利になる。しかし、満たすことが難しい条件には辞退するのも手だ
 本作のゲームモードは、さまざまな条件をクリアしていく「キャンペーンゲーム」、動物園を最初から経営していく「チャレンジゲーム」、無制限の資金を使って好きなように動物園を作る「フリーゲーム」の3つが用意されている。

 キャンペーンゲームの一番最初のシナリオはチュートリアルになっていて、本作の基本的な操作方法を学ぶことができる。チュートリアルはいささか駆け足気味で、はじめてプレイする人は、その情報量の多さに少し戸惑ってしまうかもしれない。しかし、いざプレイを始めると、このチュートリアルのおかげですんなりと必要なものがわかるのである。チュートリアルは必ずプレイしておきたい。

 キャンペーンゲームの他のシナリオは決められたポイントをクリアしていく、いささかパズル要素の強いモードとなっている。手元の資金を元に、条件クリアを目指していくという形だ。さまざまな条件をクリアしていくことで動物園の経営のノウハウを学ぶことができる。病気の動物を直すなど、極端な状況も用意されており、挑戦しがいがある。

 しかし、純粋に動物園を経営して楽しめるのはやはりチャレンジモードだ。最初に設定されているのは動物園の入り口のみ。ここから、たくさんの動物を擁する一大動物園を目指すこととなる。

 初期費用は増減させることができるが、1つ、もしくは2つのフェンスからスタートし、道を増やし、来場者の施設を増やしていくことになるだろう。筆者は途中、月のおわりにかかる維持費のおかげで資金がマイナスになってしまい、月半ばまで何もできないということにもなってしまった。ある程度動物園が大きくなってくると、経営に歯ごたえも出てきて、小さな動物園を何とかやりくりし、大きな動物園への夢を膨らませるというプレイが楽しめた。

 購入できる動物が最初は少な目というのも、リアルなところだ。筆者は経営が苦しくなってしまったとき、インドクジャクのオスを売って欲しいという提案に思わず飛びついてしまい、その後、そのフェンスはメスばかりになってしまい、かなり後悔した。メスしかいないため、繁殖もできず、しかも地味なため、来場者の反応もいまひとつ。明らかな判断ミスだった。

 初期のころからの人気者のラクダ、繁殖力が凄くあっと言う間に大家族になってしまったジャガーなど、購入できる動物がある程度ランダムであるが故に、その動物園ならではの「歴史」が作られるところが特に面白く感じたポイントだった。園長になりきって、たくさんの来場者がいる動物園を歩いて眺めているときは、「ようやくここまできた」なんていう感慨までわき上がってくる。3Dグラフィックで表現される動物園はその感触をよりリアルにしてくれる。

 動物園を大きくしていくとさまざまなジレンマを感じてくる。もうちょっと道路が広かったら、大きな噴水を設置したいのに場所がない、動物にはどのくらいのスペースが快適なのか? こういった問題に自分なりの解答を求めて頭を悩ましているときに浮かんでくるのは、「現実の動物園はどうなんだろう?」という疑問だ。

 多摩動物園や上野動物園など大きな動物園、さらに地方の小さな動物園、それらはどんな対策や運営をしているのだろう? おみやげ屋さんは? ジュース売り場は? トイレはいくつ? 気がつくと、現実の動物園への興味がふくらんでくる。プレイをしていると、現実の動物園に行きたくなってしまうのだ。この感触は非常にユニークなものだった。

 経営を楽しみ、動物の豊かな表情を観察し、自分だけの動物園を散策することができる。無限の資金を使うことで、たっぷりと時間をかけて理想の動物園を追求するのも良いし、資金をやりくりして、計画性と妥協の産物である動物園で歴史を感じても良い。ここから現実の動物園へ興味のベクトルを持つのも面白い。動物好きな人、経営シミュレーションが好きな人には特にお勧めできる作品である。

チャレンジゲームでは世界中に動物園が建てられるが、残念ながら日本はないようだ 来場者の声にきちんと応えることが、よりよい動物園を作る秘訣だ 象の噴水に、カンガルーの乗り物。より楽しい動物園を目指そう
デフォルメされてはいるが、リアルさもきちんと感じさせるモデリング。泣き声や仕草など、データは非常に細かい 希少動物であるユキヒョウ。気高さを感じさせる表情もきちんと再現している おっぱいをあげるライオンのお母さん。動物の仕草には思わず笑みがこぼれる
必死になってお母さんの後を追うペンギンの赤ちゃん。子供の動物の姿は特にかわいい 走るキリン。大きな動物が走り回る姿は圧巻だ 増えた動物は野性に帰すことで動物園の名声が上がる。他の動物園に売って資金にすることも
羽を広げるクジャク。オスは人気が高く、手放すと再入手は難しいようだ 地形ツールを使って、高低差のある展示場を作ることも可能 木に登るワオキツネザル。動物の姿を追っているだけでも楽しい作品だ

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【ズータイクーン2】
  • CPU:Pentium III 1GHz以上(Pentium 4 1.4GHz以上推奨)
  • メモリ:256MB以上
  • HDD:600MB以上
  • ビデオカード:VRAM 32MB以上(64MB以上推奨)


□マイクロソフトのホームページ
http://www.microsoft.com/japan/games/
□「Zoo Tycoon 2 日本語版」のホームページ
http://www.microsoft.com/japan/games/zootycoon2/
□関連情報
【11月1日】マイクロソフト、「Zoo Tycoon 2 特別イベント at 上野」を開催
発売日は12月10日、「エンカルタ」との共同キャンペーンを実施
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20041101/mszoo2.htm
【9月26日】マイクロソフト、「Zoo Tycoon 2」を日本語版で出展
フル3Dになって新しく生まれ変わった最新作はカップルや女性に大人気
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040926/mszoo.htm
【2003年9月6日】マイクロソフト、「Zoo Tycoon Complete Edition 日本語版」一般初公開イベントを開催
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030906/mszoo.htm

(2004年12月15日)

[Reported by 勝田哲也]


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