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【連載第166回】 あの、おもちゃを徹底レポート




あのコナミが体感ゲームに本格参入!
コナミ「熱血パワプロチャンプ」、「爽快ゴルフチャンプ」

「熱血パワプロチャンプ」 「爽快ゴルフチャンプ」
発売 コナミ
価格 5,229円 価格 4,179円
電源 専用ACアダプター(別売:1,029円)
発売日 発売中



 こいつは面白くなってきた。ゲーム業界の最大手のコナミが、体感ゲームのジャンルに本格的な参入を果たしたのだ。

 体感ゲームとは、少年少女向けの玩具市場において、大きな盛り上がりを見せているジャンルだ。ゲームのハードとソフトが一体化されており、自由にデザインされた専用コントローラーが付属しているのが特徴。例えるならプレイステーション2などの家庭用ゲーム機よりも、ゲームセンターにならぶ大型体感マシンの方が近い。

 ハードとソフトを一体化することによって、接続の手間などを大幅に省ける。専用コントローラーを使い、体を大きく動かして遊ぶので、爽快感を体感できる。そんな“売り”がファミリー層に受け、長くヒットを続けている。

 この体感ゲームのジャンルは、エポック社が発売している「エキサイト」シリーズが著名で、シリーズも数多く登場している。ここに、コナミが切り込んできたのだから、「どんなゲームになるのだろう?」と興味を掻き立てられる。


32ビットのオリジナルCPUを搭載

 コナミといえば、「実況パワフルプロ野球」や「ウイニングイレブン」など、スポーツゲームのメジャーブランドを抱えていることでも知られている。そんなコナミが、体を使って遊ぶ体感ゲームを手がけるのだから、第一弾ソフトはやはりスポーツゲームとなった。野球ゲームの「熱血パワプロチャンプ」と、サッカーゲームの「爽快ゴルフチャンプ」だ。

 コナミの体感ゲームのコアとなるのは、POEMSというマイクロチップ。ハドソンとコナミが共同で開発したオリジナルチップだ。32bit CPUを搭載し、色数は最大32,000色。音声は最大32chの出力が可能、と実に豪華な作りになっている。

 まずは「熱血パワプロチャンプ」から紹介しよう。「実況パワフルプロ野球」の体感ゲームで、「サクセスモード」も搭載されている。どんなゲームに料理されているのか、期待に胸が高まる。

 セット内容は、バット型コントローラーと本体の2種類だ。本体とテレビを接続には、AVケーブルやACアダプターが必要となり、これらは別売となっている。はじめは別売と聞いて「出費がかさんだらいやだな」と感じたのだが、実のところAVケーブルとACアダプターのセットで1,029円(税込)という安価な価格設定がなされており、安心させられた。一度このセットを買えば、それ以降のシリーズ商品を買うときに、無駄な負担をしなくてよいわけで良心的といえる。

 本体には、大きくカラフルなボタンが4個用意されている。「○」と「×」は、コマンドの決定とキャンセル。右方向と左方向の矢印が書かれたボタンは操作ボタンだと、ひと目で理解でき、とてもわかりやすい。

 それらのボタンの間に並んでいるふたつの小さな穴は、バット型コントローラーの動きを読み取るセンサーだ。バット型コントローラーがふたつのセンサーの上を通過すると、その動きが読み取られ、ゲーム中に反映される仕組みだ。軽く振ればゆっくりとしたスイングになり、力いっぱい振ればフルスイングになる。バット型コントローラーの動きを短くすれば、バントも打つことができる。

 バット型コントローラーを左右に傾けて振っても、センサーは左右の傾きを認識しない。しかし、ゲーム中では例えば右打席の場合、飛んできたボールを早く打てば左方向へ飛び、遅く打てば右方向へ飛ぶようになっている。このような形でボールを打ち分けることができ、プレイ感覚はごく自然で、実際の野球をしているかのような納得感がある。

パッケージでは、本商品の売りである本体を披露している バット型コントローラー。とても軽く、事故防止のストラップが付いている
本体は電源と4種類のボタンが明確され、遊びやすい印象を与える バット型コントローラーを通過させると、センサーがスイングとして認識する


チューニングされたバッティングは、“打つ喜び”を味わえる

 モードは、「サクセスモード」「しあいモード」「ミニゲーム」「データ」の4種類だ。「サクセスモード」は、リトルリーグが舞台。「かっとびレッズ」に参加し、地区大会の優勝を目指す。プレイステーション2版のように選手を育成する要素はないが、テイストは「サクセスモード」そのもの。やべくんに勧誘され、「かっとびレッズ」に加入するオープニングをはじめ、対戦チームにあばた選手がいてあばたボールを投げてきたり、決勝戦にいかり選手が出てきて猛スピードのボールを放ってきたり、ニヤリとさせられる。

 試合には攻撃で参加する。打席に立つすべての選手を操作し、バット型コントローラーでボールを打つ。オリジナルのゲームと同様に、ホームベース上に浮かんだミートカーソルにボールが届いた瞬間にバットを当てるとヒットとなる。ボールが当たると、ミートカーソルには色が付き、そのカラーリングで打ったタイミングがわかる。ブルーなら早い。レッドならジャストミート、グリーンなら遅い。という感じだ。

 また空振りをすると、早過ぎや振り遅れ、見送りなど失敗した要因が表示される。これらのヒントを手がかりに、ジャストミートできるタイミングを会得できるようになっている。

 ボールを振るタイミングは、見事にチューニングされており、空振りしたときは、失敗した理由がスイングが早すぎたのか遅すぎたのか、ハッキリと体感できる。そのため、ヒットやホームランを打てたときは、自分の手で成果を収めたという喜びを味わえる。

 ゲームは試合が終わると、練習があり、また新たな試合に挑むという流れ。練習の内容は、この後で触れるミニゲームと同じなので、のちほど紹介したい。

 最初の練習試合のボールはストレートが主体だが、決勝戦となると速球が増え、縦横左右に変化が加わり、打つのが難しい。筆者は準決勝まで快調に進んでいたのだが、決勝戦のピッチャー・いかり選手が投げるボールに翻弄され、毎回のように取られる大量得点に追いつけず、優勝を逃してしまった。

「サクセスモード」は、主人公が新たな町に引っ越してきたところから始まる やべくんに勧誘され、「かっとびレッズ」の一員として活躍することになる 画面の構成は、「実況パワフルプロ野球」そのもので、親しみやすい
守備はすべてオート操作で展開する 地区大会での優勝が目的。まずは決勝進出を目指そう 本家パワプロでも主人公の前に立ちはだかるいかりくんが最後の相手

 「しあいモード」は、1人か2人で遊ぶモード。「サクセスモード」と同じく、攻撃の回だけを操作する。「データ」は「サクセスモード」で獲得した称号や「しあいモード」の結果を見られる。

 「ミニゲーム」では、バッティングにちなんだ4種類のゲームをプレイできる。「バッティングセンター」は、自分の打ちたい球を設定し、10球ほど打てる。打ち返した球の場所によって得点が変化し、壁に設けられたマークに近いほど、点が高くなる。「ボードヒッター」は、グラウンドに配置されたボードにボールを命中させ、破壊するゲーム。狙ったボードが轟音と共に破壊される様子が心地よい。「ホームランきょうそう」は、10球の投球のうち、何本のホームランを打てるかに挑戦。ストレートのクセの球が放たれるので、気持ちよくホームランを打つことができる。「ピッチャーこうりゃく」は、「サクセスモード」に登場する名物ピッチャーと対戦するゲーム。「サクセスモード」で勝てないピッチャーがいた場合、これで練習すると打ち崩す糸口を見つけられる。

「バッティングセンター」。壁のボールのマークを狙うと、高得点が手に入る 「ボードヒッター」。左右に並んだボードにボールを当てて割る
「ホームランきょうそう」。10球のうち、何本のホームランを打てるかに挑戦する 「ピッチャーこうりゃく」。ゲーム中に登場するピッチャーと対決し、打ち崩す


 どのモードを遊んでもパワプロテイストに溢れている。これが何より楽しい。バントや球の打ち分けなども可能だが、基本的にはバット型コントローラーを力いっぱいに振って遊ぶゲームだけに、たちまち汗が吹き出してきて、体を動かす爽快感を味わえる。体感ゲームを遊んだことがない、という人は、「熱血パワプロチャンプ」から遊んではいかがだろうか。


戦略性が要求される本格的なゴルフゲーム

 「爽快ゴルフチャンプ」は、少年少女のゴルフプレーヤーが活躍するゴルフゲーム。「熱血パワプロチャンプ」と同様に、ゴルフ型コントローラーと本体が付属している。
ゴルフ型コントローラー。万が一体に当たっても痛くない、柔らかい素材を使用している 本体のセンターは中央にあり、3個設置されている


遊ぶ前に、自分が操作するキャラクタを選ぶ
 キャラクタの年齢設定が少年少女とはいえ、ゴルフゲームとしてはごくごく本格的。操作の都合で守備の回を体験できない「熱血パワプロチャンプ」と比べると、より実際のゴルフに近いといえる。プレイ中はカップを目指してクラブを振り、ボールを打つ。クラブの選択やショットの方向は自動的に最良のものが選ばれる仕組みだが、クラブのスイングの力はプレーヤーの動作がそのまま反映される。ショットの方向も調整することができ、コースや風向きをよく読んで、ベストなものに変えることで、スコアを伸ばせるようになっている。筆者がプレイしたときも、最初のうちは、ゴルフ型コントローラーを力いっぱいスイングしてボールを打つだけで良かった。しかし、ホールが進むと、力いっぱいに打った先に池やバンカーが配置されており、実際のゴルフ同様に戦略を練って、ショットの方向を変えていくことが要求された。グリーン上のパターも次第に芝目が複雑になり、単純にボールを弾くだけではカップインすることは難しい。

 子供向けだとたかをくくっていると、泣きを見る。子供と一緒に遊んでいたお父さんが次第に熱中していく様が、目に浮かぶようだ。

コントローラーを思い切り振れば、ナイスショットになる 画面表示やゲームの流れは、家庭用のゴルフゲームを踏襲していて、とてもわかりやすい
グリーンでは芝目を読んで、ベストなショットを繰り出すことが重要だ バンカーやウォーターハザードは、もちろん存在する


 プレイモードは、「ストロークプレイ」「マッチプレイ」「トーナメント」「ミニゲーム」、そしてスコアを確認できる「クラブハウス」の5種類がある。

 「ミニゲーム」のひとつ「ドライビングコンテスト」は、3ホールか6ホールをプレイして、飛距離の合計を競うゲーム。ボールがラフやバンカーに入るとポイントが半分になるペナルティもあり、単にボールをかっ飛ばせばいいのではなく、コースを読むことも求められる。「スターゲットバトル」は、グリーン上に散りばめられた星マークを取るゲーム。複数の星マークを1ショットで取るのは快感だが、ボールがグリーンから出るとOBになってしまい、ペナルティが課せられる。通常のゴルフプレイ以上の繊細なパッティングができるかどうかが鍵を握る。

「ドライビングコンテスト」の結果画面。飛距離の合計点を競う 「スターゲットバトル」。複雑に並んだ星を少ない打数で取る

 スポーツゲームのコナミだけに、どちらも完成度の高い内容だ。体感ゲームを求めるユーザーのニーズは、十分に叶えられている。POEMSチップによる映像は美しく、とくに音声は臨場感があり、耳に残った。

 あえて注文をつけるなら、「ええっ、ここまでやるの!」と驚かしてくれる仕掛けが欲しかった。それこそが優れた玩具の条件だと思うからだ。次回作以降にコナミらしいサプライズがあることを期待したい。

C) 2004 KONAMI & Konami Computer Entertainment Studios


□コナミのホームページ
http://www.konami.jp/
□PLAY-POEMS シリーズのページ
http://www.poems.konami.jp/


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(2004年12月2日)

[Reported by 元宮秀介]


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