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【連載第165回】 あの、おもちゃを徹底レポート




充実した機能とコンテンツを誇るキッズ向けパソコン
エポック社「スーパーテレビパソコン」

「スーパーテレビパソコン」
発売 エポック社
価格 12,000円
電源 単3アルカリ電池×4(別売)
発売日 発売中



 子供向けの定番トイの中に「キッズパソコン」というジャンルがある。お父さんやお母さんがパソコンを操る姿に憧れて、「自分もパソコンを使ってみたい!」と願う子供たちの夢を叶える商品だ。パソコン独特の操作をいかに子供向けに噛み砕いて伝えるか。子供のパソコンのスキルを上げ、向上心を伸ばすために、どのような工夫を施すか。商品開発者の視点に立って考えてみれば、なかなか興味深く、面白そうなジャンルだ。しかし、筆者が知る限り、これまでに発売されたキッズパソコンに、感心させられたものではない。いかにも子供だましで、チープなものばかりだった。

 しかし、この「スーパーテレビパソコン」は違う。練りに練られ、作りこみの深さはハンパじゃない。自分が子供の頃にこうしたトイに触れたら、どれだけハマってしまうのだろう、と想像してしまうほどだ。価格は12,000円と子供向けの商品にしては高いが、遊んでみるとそれも納得の出来栄えになっている。


パソコンと同じキーボードで実践的な練習を行なえる

パッケージの裏面。ギッシリ書きこまれた機能の多さに注目
 パソコンと聞くと、「OSは?」「CPUは?」と反応してしまう人も多いだろうが、ちょっと落ち着いてほしい。「スーパーテレビパソコン」は、あくまでパソコン風の作りをしたトイ。内蔵されているテクノロジーは、当連載で何度も紹介しているXaviXシステムだ。また従来のXaviXとは少し異なり、高画質を謳ったSuper XaviXを採用している点が注目に値する。

 本体は、可愛らしいデザイン。わずかながら初期のiBOOKを彷彿とさせるが、基本は玩具らしいテイストに溢れている。操作ツールとして専用のマウスが付属している点もなかなかだが、最大のポイントはキーボードの配列。通常のパソコンと同じキー配列になっており、Shiftもあれば、Enterもあり、Escもあるのだ。これなら、文字入力の練習になり、実践的だ。

 キーボードの手前には、複数の丸いボタンが用意され、ゲームに使うものだとひと目でわかる。

 使用するための準備は、実に簡単だ。付属のAVケーブルを使って家庭用のテレビと接続する。アルカリ単3電池4本を用意して、本体の裏面にセットする。付属のマウスのケーブルを、本体の側面にあるコネクタにセットする。これで遊べるようになる。

「スーパーテレビパソコン」本体。デザインは女の子向けのテイスト 使用するときは、キーボードカバーを上に上げる
コネクター類。機能が明記され、非常にわかりやすい 専用マウスは、ボタンがひとつ。マッキントッシュタイプだ


 冒頭から筆者は「スーパーテレビパソコン」を絶賛しているのだが、理由のひとつはコンテンツの豊富さにある。ゲーム風にモードの数で説明すれば、実に150モードものコンテンツが収録されているのだ。

 大きく分類するだけで、「ワープロ」「ファミリーメール」「ゲーム」「がくしゅうゲーム」「わんわんタイピング」「エンターテインメント」に分かれる。これだけではピンとこないかも知れないが、ワープロ機能があり、国語、算数、理科、社会、英語の学習ソフトが内蔵され、さらにはタイピング練習ソフトもあり、お絵かきツールや音楽演奏ソフトも用意されているのだ。パソコン向けに発売されているエデュテイメントソフトを買って、これだけのものをそろるとなると一体いくらかかるのか。実際、筆者はテストプレイをしながら、「うわ~まだまだたくさんある! 締め切りに間に合うかなあ……」と青ざめたことをこっそりと告白しておく。


デスクトップにウインドウ。パソコンの基本がわかる

デスクトップ画面は明るく、楽しそうな雰囲気だ
 コンテンツをくわしく説明する前に、重要なことを説明しておきたい。コンテンツのカテゴリーの中に、「ファミリーメール」という項目があるが、インターネット接続機能は有していない。メール機能も同様だ。このふたつに関しては、あくまで練習用だが、ほかのコンテンツはみな本格的だ。

 電源を入れるとデスクトップ画面が現れる。パソコンと同じように壁紙が貼られ、ワープロやメール、学習などの各コンテンツを起動するショートカットアイコンが並べられている。メニュー構造は、ウインドウズともマッキントッシュとも違う。しかし、機能の深い階層に進むと次から次へとウインドウが出現するインターフェースは、まさにパソコン。まったくの初心者にパソコンを教えると、デスクトップやウインドウの概念から教えなければならないが、基礎の基礎が正しく表現されており、しっかりした内容だと感じさせられる。

 それでは各コンテンツを紹介していこう。


1) ワープロ

 ワープロを使うときは、まずテンプレートを選ぶ。ノートが基本だが、レターやメッセージカードがあり、名刺や時間割、チケット、宛名ラベルを作ることもできる。子供がワープロを使ってしたいことをすべて網羅しているといっても過言ではないだろう。

 文字入力は、かな入力とローマ字入力の両方から選べる。もちろん漢字変換も可能だ。パソコンのキーボードと同じ配列なので、筆者はすんなり使うことができた。入力してから、テレビに文字が表示されるまでに若干のタイムラグがあり気になったが、全体的な使用感はパソコンと変わらない。作成した文書は、別売の専用プリンタを使えば、プリントアウトできるというのだから、なお本格的だ。

ワープロを使うときは、まずテンプレートを選ぶ 通常のワープロ。顔文字も使用できる 自分だけの名刺を作成することも可能だ


2) ファミリーメール

 家族とメールを交換する機能。登録したユーザーは、家の形をしたメールボックスを持つ。そこでメールを作成し、家族のうちの誰かに届ける。メールが届いていたら、家の煙突から煙が上がり、ひと目でわかるようになっている。

 メールの文面の作成は良好で、ワープロのときに感じられた「重さ」はなく、軽快だった。

 また家族とは別に、「スーパーテレビパソコン」のキャラクターから一日一回メールが届く仕掛けもある。ネットに接続はしていないが、メール・コミュニケーションの楽しさは理解できるだろう。

ファミリーメールの基本画面。同時に4人まで利用可能だ メールは、手紙のような書式を使って書く


3) ゲーム

 息抜きに遊ぶゲームもあり、ジャンルが豊富だ。シューティングゲーム、アクションゲーム、スポーツゲーム、クイズゲーム、しりとりなど約18種類が用意され、ひとつひとつはシンプルながらも、これだけのボリュームがあれば、十分楽しめるはずだ。

ゲーム「アストロポコポコ」。いわゆるモグラ叩きの要領だ ゲーム「いがいがパニック」。木から落ちてくるクリを避ける
ゲーム「GOGOドライブ」。ジャンプをしながらゴールをめざす ゲーム「クイズ王」。4択問題にチャレンジする


4) がくしゅうゲーム

 国語、算数、理科、社会、英語の科目があり、それぞれ多数の問題が用意されている。例えば国語ならひらがなの勉強ができる“クロスワード”、カタカナを覚えられる“しんけいすいじゃく”、さらには漢字の読み方やことわざ、慣用句などに関するクイズもある、ひとつの科目だけでこれだけの内容なのだから、総ボリュームの凄さは想像していただけるだろう。

算数ゲーム「100マス計算」。足し算と掛け算を解く 英語ゲーム「ブランククイズ」。抜けている箇所に当てはまる文字を打つ 社会ゲーム「せかいクイズ」。偉人に関するクイズもある


5) わんわんタイピング

 いわゆるタイピングソフトだ。出題された言葉をキーボードで正確に素早く入力していく。ノルマをクリアするたびに、画面の中のポチが新しい芸をひとつ覚えるというご褒美がある。

わんわんタイピング。タイピングの基礎を覚える 練習が進行すると、ポチが芸をマスターする


6) エンターテインメント

 ミュージックでは、キーボードをピアノの鍵盤に見立て、演奏する。えっ、どうやって? と驚かされたが、よく見るとキーに「ド」や「ラ」などの音階が書かれていた。好きなように演奏できるのはもちろん、「ロンドンばし」や「ジングルベル」などの曲をガイドに沿って弾くこともできる。

 ペイントまんがでは、グラフィックツールを使い、イラストを描いたり、4コマ漫画を作成したりすることができる。ほかには、その日の運勢やふたりの相性がわかる占い機能も備わっている。

ミュージック。自由な演奏が楽しめるほか、課題曲を演奏するゲームもある ペイントではイラストを描くだけでなく、4コママンガを作成できる 占いもある。ちなみにこれは筆者と小学4年生の娘の相性診断の結果だ


 ここまで読んでいただけたのなら、冒頭から筆者が力説していたことが理解できたと思う。子供向け用のパソコンはまだまだ発展の可能性があり、「スーパーテレビパソコン」はその優れた第一歩だと思う。今後もエポックメイキング的な商品と出会ったら、レポートしてみたい。

(C) 2004 SSD CO.,LTD. (C)2004 EPOCH CO.,LTD.


□エポック社のホームページ
http://www.epoch.gr.jp/
□「テレビパソコン」シリーズのホームページ
http://www.epoch.gr.jp/tvpc/
□「スーパーテレビパソコン」のページ
http://www.epoch.gr.jp/stvpc/


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(2004年11月18日)

[Reported by 元宮秀介]


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