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【連載第164回】 あの、おもちゃを徹底レポート




プラレールを運転して日本一周ができるゲーム!
「日本一周 僕はプラレール運転士」

「日本一周 僕はプラレール運転士」
発売 トミー
価格 7,329円
電源 アルカリ単3電池×4(別売)
発売日 発売中



 「プラレール」という言葉を聞くと、あなたの脳裏には何が思い浮かぶだろうか。小さな頃に両親から買ってもらい、夢中になって遊んだ日々。大人の人にとっては、おそらくは郷愁を感じるだろう。筆者もそうだった。

 ところが「プラレール」の最新アイテムは、そんな甘い思い出を軽く吹き飛ばすほどに進んでいる。一読すれば「今のプラレールはこんなにも進んでいるのか!」と驚かされるだろう。


「日本一周 僕はプラレール運転士」は、XaviXシステムを使ったテレビゲーム

 今回紹介するアイテムは「日本一周 僕はプラレール運転士」というタイトル。テレビを使うゲーム仕立てなので、通常のプラレールシリーズというよりは、派生商品と捉えた方がいいかもしれない。

 内容をひと言でいえば、“CPUとソフトが内蔵されたマスコン型の本体をテレビに接続して遊ぶトイ”となる。……ここであることに気がついたあなたは、相当のトイ通だ。そう、この「日本一周 僕はプラレール運転士」は、当連載で常に追いかけている体感ゲームの流れにある商品なのだ。開発は、メーカーを超えて体感ゲームの制作を一気に引き受けている新世代株式会社。エポック社の「エキサイトスタジアムDX」やスクウェア・エニックスの「剣神ドラゴンクエスト」など一連の体感ゲームは、新世代株式会社のXaviX(ザビックス)というシステムで制作されているのだ。もちろん、この「日本一周 僕はプラレール運転士」も、XaviXシステムで作られている。

 パッケージの中には、マスコン型の本体と、AVケーブル、そして取扱説明書が入っている。シンプルな商品構成とも思えるが、それが体感ゲームの良さでもある。マスコン型の本体に、別売のアルカリ単3電池を4本入れ、AVケーブルを使ってテレビと接続したら、準備は完了だ。迷うところも悩むところも一切ない。


マイクを使ってアナウンスを行なう

「日本一周 僕はプラレール運転士」本体。ソフトは内蔵されている
 さすがプラレール関連の商品だけあって、取扱説明書に記載された対象年齢は「3才以上」。小さな子供向けの商品だ。しかし、30代半ばの筆者は、自分でも驚くほどにこのアイテムを楽しんでしまったことを告白しておく。

 乱暴な言い方をすれば、「電車でGO!」や「Train Simulator」の子供版。しかし、マニアックな両タイトルとは異なり、子供向けならではの楽しい趣向がふんだんに凝らされている。また適度な難しさなので電車特有の操作が苦手でも気軽に楽しめる。そんなところからズッポリとハマッてしまったのだった。

 本体は、前述の通り電車を操作するマスコンの形をしており、これをコントローラとして使用する。左側にはマスコン、右側にはブレーキレバーが付いており、まさにそのまま。この他に、ライトボタン、ワイパーボタン、戸閉めボタン、そして警笛ボタンが付いている。特筆すべきは、アナウンスマイク。このマイクに向かって、「まもなくトンネルです」や「まもなく停車駅です」など、乗客へのアナウンスを話しかけるのだ。実に凝っている。

マスコン。電車の速度は2段階に切り替え可能だ ブレーキレバー。その上に各種の操作ボタンがまとまっている
小さな子供向けの商品だが、サイズはほどほどにあり、大人が遊んでもしっくりくる マイクを使って車内アナウンス。運転士気分が盛り上がる



本格的な電車の操作を気軽に楽しめる

 内容は大きく分けると、電車の運転を楽しめる「うんてんモード」と、車両をコレクションできる「ずかんモード」に分かれる。「うんてんモード」の対象となるのは、北は北海道から南は九州までの日本全土。なるほど、タイトルの「日本一周」とは、ここからきているのだな。

 「うんてんモード」を選ぶと、まず最初に出発点となる地域を選ぶ。北海道、東日本、西日本・東海、四国、九州の5エリアだ。次に運転したい車両を選ぶ。例えば東日本なら東京駅から博多駅へ向かう700系新幹線、北海道なら函館駅から八戸駅へ向かうスーパー白鳥、九州なら鹿児島中央駅から新八代駅へ行く九州新幹線つばめなどを選ぶことができ、バラエティに富んでいる。

 電車を選んだら、出発進行だ。場面は駅のホームとなり、選んだ電車に乗客が乗り込むシーンが映し出される。車両運転のハイライトのひとつといえる出発の場面は、なかなか凝っている。乗客が乗り終わったら、戸閉めボタンを押してドアを閉める。次にアナウンスマイクを使って発車のアナウンスをする。画面の指示に従って「まもなく発車しまーす」と言うと、その声がマイクを通じてテレビから再生され、エコーがかかり、本格的な雰囲気をかもし出す。アナウンスを終えると、電車の出発準備は完了となる。このアナウンスマイクは一言一句を識別しているわけではないが、何かをしゃべらないと次のステップへ進めないようになっており、重要な作業として位置付けられている。おかげでアナウンスをするときに高揚感があり、気分を盛り上げる。

 運転はマスコンとブレーキレバーを使って行なう。ブレーキレバーを手前に引き、ブレーキを解除。続いてマスコンも手前に引き、スピードを出す。これで電車は走り出す。画面は電車の先頭車両から見た風景に切り替わるのだが、この風景描写が最高に楽しい。線路がプラレール特有の青いレールなのだ。素晴らしい遊び心だ。

タイトル画面。新幹線が美しく描かれている 遊べるモードは「うんてんモード」と「ずかんモード」の2種類 最初に運行の出発点となるエリアを選ぶ
次に路線と電車を決定すれば、走行開始となる 画面の指示に従って「まもなく出発します」とアナウンスをする プラレール特有の青いレールの上をどこまでも走る

 次の停車駅にたどり着くまでには少々時間がかかるが、この間も子供たちを飽きさせない工夫がなされている。ひとつは警笛。鉄橋やトンネルを渡るとき、警笛を押すように促される。もうひとつはライト。トンネルに入ったり、時間が経って辺りが暗くなったりすると、ライトを付けて前方を照らすのだ。雨が降ったり、霧に包まれたりしたら、ワイパーを使って窓を掃除する。

 この他にもいろいろなイベントが起きる。運転中に見かけたことのない車両とすれ違うと、その電車が「ずかんモード」に登録される。新しい種類の電車は、様々なアングルから映し出され、格好よく演出される。また富士山や大阪城などの名所にさしかかると、その近くを通過する電車が映し出される。これなら単調になりがちな電車の運転も、「次はどんなことが起こるのかな」と期待して、存分に楽しむことができる。

トンネルに入るときはアングルが変わり、その模様を映し出す トンネル内ではライトを点灯させ、前方を明るく照らす 新しい車両とすれ違うと、「ずかんモード」に登録される
大阪城に五稜郭。日本全国の名所が美しく描かれる

 駅への停車は、出発以上に大切な作業だ。電車が駅に入ると、画面はホームから電車を見た視点に切り替わる。「停車ゲージ」を見ながら、ブレーキレバーをタイミングよく使うと、電車は正しい位置に停車する。タイミングが狂うと失敗となってしまうが、シビアなものではないので、落ち着いて楽しめる。

 路線の途中で乗り換え可能な駅に停車すると、別の電車に乗り換えることができる。この乗換えを巧みに使いながら、日本一周することが「うんてんモード」の最大の目的だ。

 筆者としては、「電車でGO!」や「Train Simulator」に何度か挑戦したものの、知識や技術が足らず、あまり楽しめなかったという苦い思い出がある。それでも電車を上手に操作してみたいという願いはある。その夢が「日本一周 僕はプラレール運転士」で叶ったのだから、文句なしだ。

停車の場面。画面下側のメーターでタイミングを計る 駅では別の列車に乗り換えることもできる


特定の駅に停まるとミニゲームを遊べる

電車を迫力のあるアングルで鑑賞することもできる
 「うんてんモード」をさらに楽しく盛り上げるために、3種類のミニゲームが用意されている。これらのミニゲームで遊ぶためには、指定された駅に正しく止まらなければならない、という仕掛けがうまい。E2系もしくはE3系で到着する盛岡駅で遊べるのは、車両同士を連結させる「れんけつゲーム」。300系で到着する静岡駅では、マイクに向かって大声を出し、声が大きいほど新幹線が前に進む「GO!GO!しんかんせん」を遊べる。223系に乗ると停止できる福知山駅では、転車台を操作して機関車を格納庫に入れる「てんしゃだいゲーム」を楽しめる。

マスコンを使って安全に列車を連結させる「れんけつゲーム」 マイクに向かって大声を出す「GO!GO!しんかんせん」
機関車をすばやく格納する「てんしゃだいゲーム」 「ずかんモード」では、実在の電車のデータを見られる


 「ずかんモード」は、運転中にすれ違った車両を鑑賞できるモードだ。その車両の詳細なデータや、格好いいアングルから映し出したアニメーションを見ることができる。すっかり堪能した今、筆者が言いたいことはひとつだけ。「今の子供たちは、こんなにすごいプラレールで遊んでいるのか! なんとぜいたくな!!」。ついつい嫉妬してしまうほどの楽しさなのだ。

(C)2004 TOMY (C)2004 SSD COMPANY LIMITED


□トミーのホームページ
http://www.tomy.co.jp/
□製品情報
http://www.tomy.co.jp/plarail/lineup/others/


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(2004年11月11日)

[Reported by 元宮秀介]


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