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【連載第146回】 あの、おもちゃを徹底レポート




お手軽価格で本格的なラジコンヘリを楽しめる
大陽工業「7.2vパワー ジャイロホーク」

7.2vパワー ジャイロホーク
発売 大陽工業
価格 9,429円
電源 アルカリ単一電池×8本(別売)
アルカリ9V電池×1本(別売)
発売日 発売中



 「高値の華だったラジコンをお手ごろ価格で――」。

 ここ数年のトイ界を俯瞰すると、そんなトレンドが見て取れる。トミーの「ビットチャーG」やタカラの「デジQ」はその代表格。低価格で、誰でも手軽に遊べるような工夫がなされている点が最大の魅力だ。

 ラジコンの老舗である大洋工業は、この「ラジコン低価格市場」に、得意とする“飛行モノ”で参入している。戦闘機にしろ、ヘリコプターにしろ、“飛行モノ”はラジコンの中で最も上級者向けと言われている。フルセットを揃えると数万円は下らない価格設定はもちろん、ラジコンを大空で意のままに、安全に飛ばすには、相当の熟練を要求される。そんな「大人向けのホビー」の分野に、大洋工業は「低価格」と「簡単操作」をモットーに挑戦をしている、というわけだ。

 当連載でも取り上げた「夜間戦闘機 月光」は、実売価格6,000円前後という低価格で、本格的なラジコン飛行機の面白さを体験させてくれた。今回はそのシリーズ作に当たる「7.2vパワー ジャイロホーク」を取り上げる。戦闘機に続く、ヘリコプターのラジコンだ。


本体は強度の高いEPP製。デザイン面も改良された

パッケージ。大人が腕で抱えるほどの大きさ
 本体のボディはEPP(発泡ポリプロピレン)でできている。表面には発泡スチロールのような気泡があるが、強度はまるで別物。衝撃に強いことから自動車のバンパーにも採用されているほどのものだ。これなら安心して(?)地面に墜落させたり、壁に激突させたりできるというものだ。

 「夜間戦闘機 月光」では、その本体デザインの甘さに不満を感じたものだが、「ジャイロホーク」では随分と改良されている。最新鋭のヘリコプターそのもののデザインで、正面、真横、後方といろいろな角度から眺めても「格好いい~」と酔える出来栄え。素材の特性上、細かなディテールが刻まれていないなどの問題はあるが、それも大して気にならないクオリティだ。

正面から見た図。魚のひれのように見えるのが「フラップウイング」 コックピットの上にあるメインローターと後方のテイルローターが回転する メインローターは、事故防止のため“遊び”のある仕様。飛行の前に一直線に整える
携帯電話との比較。入門用とはいえ、サイズは大きめ EPP製で多少の気泡が目に付くが、さほど気にはならない 本体を支えるスキッド(脚)も完備されている

 組み立て作業は、ほとんどないに等しい。「フラップウイング」と呼ばれる小さな羽を、本体に対して垂直になるように取り付けるだけ。実際に取り付けてしまうと目立たない2枚の羽だが、実はこれこそが「ジャイロホーク」の核となるパーツなのだ。この羽の設置によって飛行が安定し、本来ならテクニックが要求されるヘリコプターの操作を簡単に行なえるようになるとのことだ。

 充電器は、ヘリポート型。上に「ジャイロホーク」を乗せて、充電器の側面から伸びる充電プラグをセットすれば、充電が開始される。充電は4分で完了し、約1分の飛行が可能になる。

 充電プラグは「ジャイロホーク」の下部に差込み、その様子はまさにヘリコプターが給油を受けている姿そのもの。単調になりがちな充電も楽しく感じられる趣向だ。

 充電器自体に電力を送る方法は、ぜんぶで3種類。1つめは本体に単一アルカリ電池を8本入れる方法。2つめは、別売のバッテリー「TAIYOパワーパック」を利用する方法。3つめは付属の「シガーライター用ソケットコード」を使い、自動車の電源を転用する方法。屋外で「ジャイロホーク」を飛ばすときに有効な手段だ。

 単一アルカリ電池を使用すると、8本にも及びコストもかかるため、いくつもの選択肢が用意されている点は高く評価したい。

充電ポートは下部にあり、このようにしてプラグを差し込む 充電器。ヘリポートを模した楽しいデザインだ
充電プラグは、充電器の側面に差し込むことができ、コードが邪魔にならない 「ジャイロホーク」の充電。4分間の充電で1分間の飛行が可能

 コントローラは、オーソドックスな作り。左側に上昇ボタンと下降ボタン。右側に左回転ボタンと右回転ボタンが設置されている。見ただけで操作方法を理解できるシンプルさだ。

 「ジャイロコプター」を操作する方法は、こんな感じだ。上昇させるときは、上昇ボタンを連続で3回押す。するとパワーが0%から25%→75%→100%とアップし、「ジャイロコプター」が飛翔する。100%のパワーで飛行させる場合は、上昇ボタンを押しっぱなしにする。

 下降させたいときは、下降ボタンを2回押す。パワーが75%→25%→0%となり、プロペラが停止する。

 左回転や右回転は、「ジャイロコプター」が上昇したのちに行なう。左回転ボタンを押すと、「ジャイロコプター」がホバリングしながら左へ180度回転。右回転ボタンを押すと、右へ180度回転する。

自動車の電源を利用できる「シガーライター用コード」 コントローラー。すべてがボタン式で、その数も少なく親しみやすい


力強く一気に5メートルの高さに上昇!

 野外で飛ばしてみる前に、仕事場でテストフライトを行なうことにした。風がないので練習にはうってつけ、と考えたのだ。仕事場の中央にある作業台の上に、充電器ともども「ジャイロコプター」をセット。コントローラの上昇ボタンを押す。「ヒュンヒュンヒュンヒュン……」と心地よい音を立てて、メインローターが回転をし始める。ボタンを押してからメインローターが回転するまで、一切の間がなく、まさに瞬時。

 しかし、「これなら良好な運転が楽しめそう……」と思った瞬間、悲劇が起こった。「ジャイロコプター」がわずか数センチしか浮かび上がらず、そのまま右方向へスライドし、大きな音を立てながら床へ不時着したのだ。慌てて拾い起こすと、さすがはEPP製。かすり傷ひとつ付いておらず、安心させられた。気を取り直して再トライ。が、今回も同じ結果に……。充電が足りないのではないかとか、操作方法が誤っているのではないかとか、細部をチェック。目立った問題は見つからず、「う~ん」と悩んでいると、ふと閃いた。上昇ボタンを押すリズムを早くして、一気に100%のパワーを出力すればいいのでは! 早速、実行してみると「ジャイロコプター」が一気に上昇した! 多少左右にふらつくものの、上昇の様子は力強く、見ていて惚れ惚れするくらい。格好いい~。

晴れ渡った青空の下で「ジャイロホーク」を飛ばす気分は、爽快のひと言
 近所の公園に出かけ、大空の下で「ジャイロコプター」を飛ばしてみることにした。梅雨のまっただ中にも関わらず、見事な快晴の日で、風もそよ風程度。最高のヘリコプター日和だ。

 周囲に誰もいない安全な場所を選び、コントローラの上昇ボタンを押す。メインローターが回転するやいなや、風圧で周囲の枯れ草が飛び散り、迫力満点。映画の1シーンみたいだ。上昇ボタンを押しっぱなしにして100%の出力をキープ。「ジャイロコプター」は地面から5メートル以上の高さまで飛翔し、その様子にシビれる。右回転ボタンを押すと、風にやや流されながらも、本体を軸にして右方向へグルリと回転。これぞヘリコプターといえる動きに感激させられた。左回転も同様。操作に慣れれば慣れるほど、面白さが増していく。小さくてどこか頼りない「ジャイロコプター」が宙を飛んでいく様子が何とも不思議で、そして痛快で、心から楽しんだ。

 ヘリコプターのラジコンを楽しむ入門編としては、十二分な出来栄え。多少の練習は必要だが、“飛行モノ”のラジコンを楽しんでみたい、という期待に見事に応えてくれるはずだ。

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□大陽工業のホームページ
http://www.taiyo-toy.co.jp/
□「7.2vパワー ジャイロホーク」のページ
http://www.taiyo-toy.co.jp/html_new/gyro-hawk.html
□関連情報
【2003年3月20日】気になるe-Toy遊んでレポート
手軽な価格で楽しめる本格的なラジコン飛行機
大陽工業「夜間戦闘機 月光」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030320/toy104.htm


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(2004年6月17日)

[Reported by 元宮秀介]


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