★ PCゲームレビュー ★


十字軍時代の聖君主の奮闘を描いた異色RTS
Crusader Kings

  • ジャンル:リアルタイムストラテジー
  • 開発元:Paradox Entertainment
  • 価格:32ユーロ(英語版)
  • 対応OS:Windows 98/Me/2000/XP
  • 発売日:発売中


 日本で「ヨーロッパ ユニバーサリスII アジア チャプターズ」(以下、EU2)が発売されて約2カ月、筆者も先のレビューを4月始めに書いたあと、今度はじっくりプレイしようと思っていた。そんな矢先、Paradox Entertainmentが「Crusader Kings」のオンライン直販を始めた、という情報を入手、ほとんど衝動的に購入してしまった。

 北米でも近日発売になるようなので、日本の輸入ショップでも入手可能になるだろう。そこで、「アンタ最近、Paradoxのゲームばかりレビューしてないか!?」というツッコミを覚悟しつつ、今回は「Crusader Kings」(以下、CK)を紹介したい。


■ 「覇者」だけでなく「聖君主」も目指せるゲーム

シナリオは、1066年~「Hastings」、1187年~「The Third Crusade」、1337年~「Hundred Years War」の3本。プレイする領主は、王、公爵、伯爵の一覧から選択する。基本的に伯爵=単一エリアの支配者だが、複数エリアの伯爵を兼ねる人物もいる
 CKは、西暦1066年~1453年の約400年間にわたるヨーロッパ~中東の歴史を再現したリアルタイムストラテジーだ。1066年といえば、ノルマンディー公ギョームがイングランドに侵攻、サクソン系のハロルド王をヘースティングスの戦いで破り、イングランド王ウィリアム1世として即位した年。そして1453年は、ご存じの方も多いだろう、オスマン・トルコのメフメト2世がコンスタンティノープルを占領し、東ローマ(ビザンツ)帝国を滅ぼした年である。

 つまり、「ヨーロッパ ユニバーサリスII」(以下、EU2)の世界で、西欧勢力が世界に向かって乗り出していく、その直前の中世後期、ちょうど「Crusader」すなわち「十字軍」の遠征を通じて、西欧が「世界」に再び目覚めていく時代を扱ったタイトルだ。

 この時代の世界観を反映しているのか、地図の東端はロシア~ペルシアまで、プレーヤーが選べるのもキリスト教国だけとなっている。その分、エリアはEU2より細かく分割され、イングランド、フランスといった国家の「王」(King)や「公爵」(Duke)に加え、EU2では登場しない「伯爵」(Count)レベルでもプレイできる。エンジンはEU2と共通で、インターフェイスや操作はそう変わらない。ゲームの最小単位は1日、プレイ速度は例によって8段階で切り替えできる。

CKのゲームスタート時には、画面の説明がポップアップされるようになった。EU2に比べ、さらに初心者向けの配慮と言えるだろう。「More」を押すと、もう少し詳しい説明が、全画面で開く

ゲーム中随時、F2キーを押すことで勝利ポイントの順位を確認できる。CKでは、威信や信仰心が国家ではなく個人の属性になったためだろう。信仰心は、属国のうち「司教領」の忠誠度にも影響を及ぼす
 ゲームの目的もEU2と同様に、諸国の中でもっとも高い勝利ポイントを獲得することなのだが、その計算の基準となる要素として、従来の「威信」(Prestige)だけでなく「信仰心」(Piety)が加わっているのが、CKならではの特徴だろう。つまり、いかにキリスト教国の主としてふさわしい行動をとるか、という基準が、勝利ポイントの源泉となる。

 信仰心を上げる方法は、教会への寄進、司教領の創設、そして「異教徒」の打倒。特に、いったんローマ教皇が十字軍の遠征を提唱するイベントが起きたあとは、十字軍に「参加しない」ただそれだけで、信仰心の値がどんどん落ちてしまう。

 よきキリスト君主であろうとすれば、十字軍の兵を起こさないわけにはいかないのだ。このゲームの時代、特にその初期には、イスラム諸国のほうが文化や技術レベルが高く、兵も強い。不利な条件の中、強迫されるかのように十字軍の大事業に参加する。これがプレイの「らしさ」、時代の雰囲気を高めてくれる。

ゲーム中随時、F2キーを押すことで勝利ポイントの順位を確認できる。CKでは、威信や信仰心が国家ではなく個人の属性になったためだろう。信仰心は、属国のうち「司教領」の忠誠度にも影響を及ぼす 教皇の十字軍布告。教皇の期待度に応じて、各領主に信仰心マイナスの修正が付く。ゲーム的な手法ではあるが、「信仰心」が「見える形」として期待された時代背景を考えれば、案外リアリティがあるのかも



■ 単に領土を拡張するのではなく、一族の繁栄を目指せ

 十字軍を有利に戦うためには、確かにある程度の国力が必要なのだが、その国力を作り出すのが、CKでは一筋縄ではいかない。EU2のように単純に直轄領(Demesne)を増やしていく拡張方針では、国の「効率」が落ちて、小回りが効かなくなるのだ。物や情報の行き来が不自由だった現実を表現しているのだろう。必然的に、属領(Vassals)を作り、臣下を「公爵」や「伯爵」に封じることになる。

 とすれば、いざというとき頼りになるのは「他人より親族」。王位や公爵位の継承権を持つ(=世継ぎになれる)自分の直系子孫を残すだけでなく、娘を有能な臣下に与えて重要な土地に封じるとか、他国領の継承権者に息子や娘を送り込むとか、親族の入った属領を増やしていくのが定石だ。代が変わって傍系になった領主には、新たに親族間で婚姻を重ねる、といった配慮も必要だろう(ただし近親婚にならないように)。

 縁戚となる相手を見いだすためには、「PORTRAITS」スクリーンの個人情報を詳しくチェックしよう。EU2では「国家元首」と「将軍」に抽象化されていた個人能力だが、CKでは個々人ごとに「Martial」(軍事)、「Diplomacy」(外交)、「Intrigue」(策謀)、「Stewardship」(幹事)の4基本能力を中心に、さまざまな「特性」(traits)、血族関係、臣従関係のパラメータが設定されている。

PORTRAITSスクリーン。1枚目はウィリアム1世(征服王)の晩年。2枚目は王位継承権1位の(長男)ロバート(この時点ではノルマンディー公)。直系の一族なので、忠誠度に+2.0の補正が付いている。ロバートの長男ジェフリーは、王位継承権2位になる

個性が付加されるイベントの例。息子アーサーが「乱暴に馬に乗る」のを禁止すると、それぞれ25%の確率で、「Lazy」(怠惰)または「Wise」(賢明)を身につける。Lazyになると、4つの基本能力がすべて「-1」
 一族の特性は、個性(好色、寛大、誠実、公正etc)、疾病(病気、肺炎、ストレスetc)、教育(教会教育、宮廷教育、軍隊教育)、教育の結果(神学者、黒幕、戦略家、浪費家etc)、特殊属性(親族殺し、異端、私生児、十字軍士etc)などが、各個人にアイコンで表示される。このうち、個性はイベントの結果として付与されることが多く、特殊属性はおおむね行動の結果として付加される。

 教育の特性についていうと、生後5歳に達した一族の男女は、教会/宮廷/軍隊(男子のみ)のどこで教育を受けるか決定する。その結果として、基本能力のいくつかが上昇するほか、成年(15歳)に達すると、教育の結果の特性がランダムに付与されることがある。このような特性は、基本能力の増減に直結する、健康(寿命)、子作り能力、名声や信仰心の増減などに影響を及ぼす。

 こうして、一族の中には有能な者、無能な者、特定の目的に適する者(十字軍の戦士として有能、等々)と、個性豊かな人材が登場してくる。むろん、自分の直系に優れた子孫を残すためには、能力ある女性を伴侶とし、宮廷で子供をたくさん作るのだ。伴侶を先に失ったら、再婚も検討しなければならない。君主とは、戦場を渡り歩くだけでは一族の義務を果たせないのだ。

5歳になった廷臣の子・エディスの教育特性を選ぶイベント。女子なので宮廷か教会のどちらかを選ぶことになる。宮廷ではまんべんなく能力が伸びるが、教会を選ぶとDiplomacyを中心に上昇する カスティーリャ王サンチョの婚姻。他国の領主一族との婚姻であれば、持参金が付いてくるが、適齢期の相手、しかも能力の高い伴侶を見つけられるかどうかは、かなりタイミングの問題



■ 領国統治は、人材配置と資産管理がキモ

Treasuryスクリーン。直轄領からの領地収入のみ、自動徴収される。「Army Upkeep」は、動員中のみ軍の費用を計上。この画面のように毎月70以上の収入があれば、かなりの大軍を動員しても財政的に耐えられる
資格が聖職者に限定されるものに、もうひとつ、司教領(Bishopric)の設置がある。世俗の諸侯を封じる代わり、ローマ教会が支配する属領を作ることになるが、その代償として信仰心が上昇するので、十字軍時代には重宝する
 このゲームでは、領主ごとに「宮廷」が存在する。君主の補佐役として、廷臣を「MARSHAL」、「CHANCELLOR」、「SPY MASTER」、「STEWARD」の4つの役職に任命すると、彼らの能力がそれぞれ(MARSHALなら、Martialの値が)君主の基本能力に加算され、領主としての能力になる。それぞれの役職に、適正な(特定の能力値が高い)人材を任命したい。候補が少なければ、自国の家臣と他国の家臣を結婚させて、自国の家臣に移籍させる、という手もある。直轄領においては、「DIOCESE BISHOP」(教区司教)の任命もできるが(君主の信仰心に影響する)、この資格者は、聖職者の特殊属性を持つ人物に限られる。

 君主の仕事として、宮廷や属領の人事と同じぐらい大切なのは、やはり財務。何事も、まず先立つものがなければ始まらない。各エリアには、「NOBLES」(貴族)、「CLERGY」(聖職者)、「BURGHERS」(市民)、「PEASANTS」(農民)という4階層の住民がおり、彼らの力関係と君主への忠誠度、そして領内の生産力によって、エリアの収入が変わってくる。君主は、聖職者をのぞく各階層への税率と属領からの上納額、教会への寄進額を決め、手元に多くの資金が残るよう、やりくりすることになる。

 直轄領に限って、各階層の力関係を変更することができる。弱体化された階層の忠誠心は下がるが、税率次第で各階層の忠誠度を増減させられるので、この調整により反乱を抑え込みつつ、自分の意図に沿った住民の力関係にしていきたい。

 というのは、この力関係が、いくつかのパラメータに影響してくるからだ。たとえば、エリアで「Regiment」(軍)を動員するときの兵種の多い少ないに関係していて、貴族の力が強いエリアでは、Knights(騎士)の数が増える。あるいは、資金を増やそうと市民の力をあまりに増やしてしまうと、君主の信仰心にかなりマイナスの修正が付いてしまう。大切なのは、バランスということだ。

 直轄領の各エリアでは、さまざまな施設を建設できる。「Court of Justice」(法廷)を建設すれば、犯罪を抑止し、市民の忠誠度を毎月0.2上げる作用がある反面、収入は10%減る。「Library」(図書館)を建てれば、収入を5%増やし、一度だけ威信のボーナスを得ることが可能だ。これらの施設のいくつかは、研究で「進歩」を獲得することで建設可能になる。

 研究は、「Realm」(領国)スクリーンから操作できる。「軍事」、「文化」、「経済」の3分野の進歩を研究対象としてそれぞれ指定できるが、EU2と違い、開発に予算は不要だ。その代わり、いつ完成するかも定かでない。CKでは、エリアごとに進歩の度合いが違う。領国が獲得した進歩は、あくまでその領国の宮廷があるエリアの進歩でしかない。極端な話、ある分野では領国内の別のエリアのほうが進歩している、ということもよくある。進歩は、エリアからエリアに徐々に伝わってもいくので、宮廷での研究は、周囲に存在しない進歩か、早急に必要な施設を建設するための進歩に絞る、という考え方も成り立つ。

 同じRealmスクリーンでは、領国の統治方針を変更することもできる。こちらは、「継承法」(どういうルールで領国が継承されるか)、「領国法」(4階層の住民たちの基本的な地位を定めるルール)、「教会法」(教会と世俗との関係のルール)を決め、その方針により一族の継承順位が変わり、税率や寄付の変更可能な範囲(%)が変わる。方針の変更を行なうと、属領領主の忠誠度が一気に100低下するので、属領が少ない序盤に変更を行なうほうがダメージが少ない。

Essexは、現状、貴族9%、聖職者11%、市民39%、農民40%という力関係。ここで軍を動員すると、Heavy Infantry(重歩兵)中心の軍になる Salt Refineryは、イングランド王国(Essex)でも研究済みだが、すぐに周囲のエリアに広がるとは限らない。かえってこの画面のように沿岸沿いに広がる進歩もあるようだ



■ 争いの種になるのは、爵位と領地と十字軍

 どこの君主を選ぶにせよ、序盤の数年は、内政に重点を置いて、エリア住民の力関係の変更、施設改善、軍の整備などを進めておけば、のちのち軍事行動に活きてくる(基盤の弱い君主の場合、なかなかそうもいってられないが)。軍の徴用率は、動員していない期間に応じて改善される(「Training Grounds」を建設すると徴用速度をアップできる)。動員可能な兵数は、エリアの経済規模と城の規模に応じて決まる。

 その間、周囲のエリアをのぞいてみよう。弱体な領国を見つけたら、序盤の内政も一巡し、軍の徴用もほぼ終わったころを見計らって、軍事行動を起こす準備に入ろう。ただし、キリスト教徒の領主に対しては、何も仕掛けないままでは宣戦ができない。また、小規模の独立国はともかく、イングランド、フランスやドイツの諸侯に対して軍事行動を起こすと、その国の王をはじめ、各領主が参戦してくる可能性がある。

 キリスト教領主に対して宣戦するためには、「王位/爵位の請求」が必要だ。最初からある特定の爵位に対する請求権を有する領主も存在するが、目標とする領主の領国に請求権がないのであれば、まず「Grab Title」で爵位を奪う必要がある。一定の威信の低下と引き替えに爵位を奪うことで、その爵位が示すエリアを奪取する口実となり、相手領主に宣戦布告できるようになる。

 もうひとつ、ローマ教皇に破門された領主に対しては宣戦ができる。破門は、ローマ教皇を「支配する」プレーヤー(選出された新教皇の近親者である等の条件による)にのみ実行可能な行為で、教皇の威信を低下させる代わりに破門を宣告できる。教皇にターゲットの領主を破門させて、宣戦する、という段取りだ。

 いずれにしても、和平条件で目標エリアの割譲を認めさせなければ自領にはできないし、割譲させた時点でキリスト教諸国間での「Reputation」(名声)が下がるので(属領の領主の忠誠度も下げる方向に働く)、仮に軍事的実力があったとしても、あまり連続してキリスト教国に侵攻しないよう、間をおいた戦略を考える必要がある。CKでも、十年、百年単位、あるいは三代、四代先の子孫まで見据えた展開が大事なのだ。

 その一方、イスラム教国や異教徒に対しては無条件で宣戦できるし、いくら領土を獲得してもReputationは下がらない。だから、イベリア半島やイタリア、ビザンツ領の君主でプレイしているなら、手っ取り早いターゲットとして近隣のイスラム教国へ攻め込むことができる。もっとも、一伯爵程度ではとうてい太刀打ちできない相手のほうが多いわけだが――。

 イングランド・フランス・ドイツあたりの君主でプレイしている場合は、イスラム諸国への侵攻ははるかかなたまで海陸を越えて行くことになるので、かなりの出費を伴う大事業の覚悟が必要だ。ただ、十字軍の期間には、最低でも何度かは出撃せざるを得ないし、これら王国が一丸となればイスラム教国にも十分対抗できる。見返りも小さくないから、総力を挙げて出兵する価値がある――場合も出てくる。

Grab Titleで王位や爵位を奪うには相応の威信を代償とする。この例では、Poitou公爵位を請求するために2125もの威信が必要だが、ローマ教皇が破門に処すなら-29(29増)の威信で足りる。エリア獲得のためには結局、Grab TitleかUsurp Titleしなければならないが


■ シリーズ伝統の自動解決戦闘により、行軍のタイミングが大事

軍の陸上移動は、EU2などと同じ。陸路が山がちで時間がかかる場合、最短ルートとして海路が提示されることもあるが、海上移動にはお金がかかるので、金欠の時は小刻みに陸路を設定することに
和平交渉。ここではNorthumberlandの譲渡と500ゴールドを条件としているが、Warscoreにはまだ余裕があるので、すでに譲渡された他のエリアがある場合、そのエリアの請求権を持つ領主に請求権を放棄するよう要求することもできる
 宣戦した相手と実際に戦争をするときは、まずエリアの軍を動員する必要がある。直轄領については、Provinceウィンドウに表示された兵のアイコンをクリックすれば、動員できる。属領でも領主の忠誠度が60以上であれば、直接動員することが可能だ(ただし忠誠度が20下がる)。直接動員をしない場合には、「Grand Mobilization」(総動員)を発令することで、各属領領主ごとに派兵をするかしないかを判断し、派兵を了承した属領の軍だけが動員される。

 いったん動員された軍は、プレーヤーの任意で移動できる。複数のエリアの軍を統合することも可能。CKには海軍が存在しないので、海域を越えて移動するときは、費用を支払って海上移動を行なう。費用は、エリアに港を整備することで節減できる。

 敵軍と遭遇したら、あとはEU2同様、自動的に戦闘が解決される。内部的には6フェイズから成るターンを繰り返し、どちらかの士気が崩壊するか全滅すると戦闘は終結する。プレーヤーとしては、他のエリアから援軍を送り込むか敗北前に撤退する操作しかできないが、余裕があれば、自分の軍の戦闘をよく観察して、弱い兵種の攻撃/防御スキルを(研究で)上げたり、バランスのよい編成を目指していきたい。

 敵地で敵軍を撤退させたら、そのまま攻城戦に移行する。攻城戦も自動で処理されるので、そのまま眺めているか、場合によっては軍を分けて、一隊はそのまま攻城戦を続け、別の隊はさらに敵地へ侵攻する、ということもあるだろう。城塞が陥落すれば、そのエリアを占領したことになる。

 目的とするエリアを確保しただけでは、和平交渉でそのエリアを確保できない場合もあるので、周囲の状況が許せば、できればさらに2、3エリアを占領してから、和平にのぞみたい。和平交渉は、プレーヤーが戦闘で獲得した得点の範囲で、請求権を持つ爵位とその該当エリアを獲得できる。王位や公爵位を獲得した場合、それまでの王や公爵の属領を、属領として獲得することができる。予想以上の戦果を得ている場合は、和平交渉前に、さらに敵の王位や爵位を奪っておけば(その分、威信は低下するが)、追加でエリアを獲得できるわけだ。

戦闘で勝利すれば、攻城戦がそのまま連続して発生する。城の増強がされていれば防衛力も動員力も上がるが、そのエリアが万一他国に継承された場合、手強い拠点を作らせてしまうことになるので注意


■ 歴代君主の個性を発揮しつつ、血統を連綿と続けよ!

 EU2に比べ、君主の個性がより強調され、かつプレイに影響を及ぼすようになっているのは、中世後期という時代性の反映だろうが、そのおかげで、英主の後継者が凡庸な人物であったとき、プレーヤーには素直に血統を継承していくかどうかの判断が求められる。むろん、補佐の臣に有能な人材を確保することで、ある程度まで凡主の能力をカバーすることができるだろう。

 あるいは、あえてリスクを負って継承法を変更すれば、一族の中の有能な人物が継承することも可能になるし、いくつかの王国では選挙王制(全家臣の中でもっとも有能な人物が継承する)を取っているところもある。当然、これまでの王族は、反発して忠誠を下げ、反乱に奔る者も現れるはずだ。

 実際、ヨーロッパの王国ではしばしば王朝(王家)が代わっており、その都度、王位継承の争いも頻発しているのが現実の歴史なのだ。プレーヤーとしては、単一の血統にどこまでもこだわるのか、あるいは国家のまとまりを優先して、王朝交代を許容するのか、等々、最長400年近いプレイ期間の間には、シビアな判断を求められるときが来るかもしれない。それは、歴史に関心を持つ者にとって、もっともしびれる瞬間ではないだろうか。CKとは、そういうゲームだ。

 ところで、CKの発売により、Paradoxのラインナップをプレイすれば、11世紀(CK)~15世紀(EU2)~19世紀(Victoria)~20世紀(Hearts of Iron)と約千年間にわたる歴史をたどれるようになった(多少の抜けはあるけれども)。昨今のゲームとして、ビジュアルは相変わらず地味だが、揺るがぬコンセプトにより日本でのファンも着実に増えている。

 実はCKには、セーブデータをEU2用(英語版)にエクスポートできる、という機能がある。試してみたところ、EU2の開始年、1419年より前の時点でエクスポートしても、その時点での領域情報が1419年に引き継がれるようだ。これはこれで、いろいろな楽しみ方ができるかもしれない――。

 テーマだけで判断すれば、日本人にとってEU2以上にひときわマイナーだけれども、EU2との連結機能もあることだし、個人の特性については、もしかしたらEU3の先取りになるかもしれない機能とも言えるので、機会があればぜひプレイしてみてほしい。なお、例によって(苦笑)、現在のバージョン1.02にはバグがそれなりにあるので、北米版が日本に並ぶころには、影響の大きいバグが解消されていることを期待したい。

1112年のデータをEU2にエクスポートすると、確かにイングランドが占領しているバレンシアやバレアレス諸島がイングランド領になっている。考えてみれば、まだまだ広大なビザンツ帝国でそのままEU2をプレイすることもできる。日本語版の「アジアチャプターズ」には非対応なのが残念だ

(C) 2004 Paradox Entertainment AB Ltd. All Rights Reserved.


【Crusader Kings】
  • CPU:Pentium II 266MHz以上(Pentium II 450MHz以上を推奨)
  • メモリ:64MB以上(256MB以上を推奨)
  • HDD:800MB以上の空き容量
  • ビデオメモリ:2MB以上


□Paradox Entertainmentのホームページ
http://www.paradoxplaza.com/
□「Crusader Kings」のホームページ
http://www.paradoxplaza.com/crusaderkings.asp
□関連情報
【2004年4月23日】PCゲームレビュー「ヨーロッパユニバーサリス II アジアチャプターズ」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040423/eu2ac.htm
【2003年10月16日】PCゲームレビュー「Victoria: An Empire Under the Sun」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040105/victoria.htm

(2004年6月1日)

[Reported by culi]


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