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【連載第142回】 あの、おもちゃを徹底レポート




スタイリッシュなデザインのお手軽ギター
タカラ「WE LOVE GUITAR」(ウィー・ラブ・ギター)

WE LOVE GUITAR
発売 タカラ
価格 10,290円
電源 アルカリ単3電池×4(別売)
発売日 発売中



 ギターは、音楽好きなら一度は憧れる楽器だろう。ロックでいえば、ギタリストは、ボーカルと並ぶ人気のポジションだ。ハードロックのギタリストのようにソロをバギューンと決められたら、さぞかし気持ちがいいだろう。しかし、多くの楽器がそうであるように、ギターもまた弾けるようになるには、相当の練習が必要になる。左手で押さえるコードが難物で、これに泣いてギターの習得をあきらめた人も多いのでは? 筆者はといえば、コードを押さえるまでにも至らぬ段階。「今度の日曜日にはギターを買いにいこう」と思い立って以来、22年間まったく実行に移していないていたらくだ。

 今回紹介する「WE LOVE GUITAR」(ウィー・ラブ・ギター)は、そんな「ギターを弾きたい症候群」に捧げられたアイテム。複雑なコードと弦が簡略化され、初心者でもギターの演奏を楽しめるという触れ込み。以前、当連載でレポートしたピープルの「持ったときから、弾ける、唄える。」に近いコンセプトを持っている。「持ったときから、弾ける、唄える。」との比較も交えながら、遊び心地をお伝えしていこう。


“未来型のギター”ともいえるスタイリッシュなデザイン

 パッケージを見て驚いた。皮製の楽器ケースを思わせるシブい色使い。まるでトイとは思えない。ハハ~ン、わかった。この「WE LOVE GUITAR」、簡単プレイを目指しながらも、ギターという楽器が持っている“カッコよさ”や“色っぽさ”はそのまま再現し、本格的なイメージでユーザーを魅了しようと考えているのだな。その考えは、パッケージの上ぶたをめくったときに確信となった。まるで、ケースに収められたギターそのままだ。確かに格好いい。

 「WE LOVE GUITAR」本体を取り出して、実際に手にしてみても印象は変わらない。本体はウクレレを彷彿とさせるコンパクトなサイズ。しかもトイらしく軽い。だけど全然安っぽさを感じさせない。ギターの弦が大胆にも省略され、丸みと直線が混ざったイメージは、“未来のギター”にも見える。このままどこかへ持っていって誰かに自慢をしたい。そんな気分にさえなる。

パッケージ。日本語を使わず、大人っぽいテイストを演出している ふたを開けたイメージは、まさにギターケースに収められたギター
「WE LOVE GUITAR」本体。ギター本来の味わいを残しながら、新しさも感じさせる 本体。プレイに必要なボタンのほとんどが前面にあり、操作も簡単


ボタンを押すだけで最適な音が奏でられる

 とはいえ、これはあくまでギターのトイ。弾き心地がよくなくてははじまらない、と気を取り直してプレイをしてみる。

 マニュアルを読まずにとりあえず挑戦してみたところ、さすがはポピュラーな楽器。操作方法はすぐにわかった。本来のギターなら弦が張ってある部分のスイッチは、「プレイスイッチ」。これを指でこすると、音が奏でられるのだな。ネックにズラリと並んだボタンは、「コードボタン」。表面に「Am」や「E」、「Fm」などとコード名が書かれており、ボタンを押すだけでコードを押さえたことになる、というわけか。指を複雑に折り曲げて押さえるコードを、ボタンひとつで押さえたことになるのだから便利だ。

 「WE LOVE GUITAR」には、大きくわけてふたつのプレイ方法がある。「デモプレイ」と「ノーマルプレイ」だ。「デモプレイ」はプリセットされた曲を再生しながら、弦を弾くように「プレイスイッチ」をこすると、そのときに最適な音が鳴り響く。プレーヤーが行なうのは、指を上下に動かすだけなので、とても簡単だ。

 プリセットされている曲は、全部で24種類。吉田拓郎の「結婚しようよ」やチューリップの「サボテンの花」、イルカの「なごり雪」のようなフォークソング。スピッツの「ロビンソン」やSMAPの「夜空ノムコウ」、福山雅治の「桜坂」のような最新J-POP。そして、ビートルズの「イエスタデイ」やベン・E・キングの「スタンド・バイ・ミー」、サイモン&ガーファンクルの「サウンド・オブ・サイレンス」などの定番の洋楽曲が収められ、幅広いジャンルにまたがった選曲に好感が持てる。

 さっそく弾いてみよう。「コードボタン」に数字が振られており、これを押すことで選曲ができるようになっている。ジョン・レノンの「イマジン」をセレクト。本体に内蔵されたスピーカーからおなじみのイントロが流れてくる。思いのままに指を動かし、「プレイスイッチ」を押すと……オッ、オロロロ? ギターの音が聞こえてこない。耳を「WE LOVE GUITAR」に近づけても、どれがギターの音かハッキリしない。

 どうやら原因はボリュームのようだ。筆者がプレイした環境だと、ボリュームスイッチを動かして、MAXに近い音量にしないとギターの音が前面に出てこない。伴奏の方が目立ってしまうのだ。ボリュームをMAXにすると、ギターの音が立ってきた! あとは「プレイスイッチ」に触れるたびに、最適のコードで音が鳴り響く。あまりの簡単な動作に最初は気恥ずかしさも感じたが、次第にノッて、どんどん気持ちよくなってきた。立て続けに、風の「22才の別れ」やイーグルスの「ホテル・カルフォルニア」を演奏した。

中央付近にあるふたつのボタンが「プレイスイッチ」。演奏の要だ ネックにズラリと並んだ「コードボタン」
付属のストラップを付ければ、肩にかけて演奏できる 基本的なプレイスタイル。ギタリストの気分を味わえる


より本物のギターに近い演奏も体験できる

 「ノーマルプレイ」は、24個あるコードボタンを自分で押さえながら、「プレイスイッチ」を指で弾き、曲を演奏するモード。伴奏がなく、コードも自分で押さえるので、本物のギター演奏に一歩近くなっている。

 コードを押さえるとはいえボタン形式だし、簡単だよな、とタカをくくって始めた筆者は、たちまち青ざめることになった。ボタンになっているとはいえ、24個もある。次に押すべきボタンをすぐには見つけられず、オタオタしてしまう。付属の歌本を見ながらさっそうとコードボタンを押したいのだが、そうはいかず。ひとつのコードを奏でては、ネックをジッと見つめ次のボタンを探す。次のコードを押してはまたコードボタンを見つめる。というふうに、中断することおびただしい。初心者対応がうたい文句とはいえ、多少の練習は必要のようだ。

 筆者自身のプレイで言えば、まず歌を大きな声で歌う。コードボタンを押すのは多少遅れようが間違えようがかまわない! と割り切ってプレイしたら、少しずつ上達しはじめた。こうなってくると現金なもの。先ほどまでの不満はどこへいったやら、「WE LOVE GUITAR」のプレイが楽しくなり、次から次へと歌いまくってしまった。

「プレイスイッチ」をこすると音が奏でられる 曲の展開に合わせて、「コードボタン」を押す


練習を重ねれば達成感も味わえる

 結論をいえば、多少の練習は必要だが、確かに初心者でも楽しめる。練習が必要なところは、「腕が上がった!」という達成感を味わわせてくれるための配慮かな、とも思える。

 何度も述べてきたが、デザインはやはり格好いい。フェンダーの「ぞうさん」のように、「WE LOVE GUITAR」を使って曲を披露するミュージシャンが今後登場する予感もある。

 冒頭で述べた、ピープルの「持ったときから、弾ける、唄える。」と比べると、「持ったときから、弾ける、唄える。」の方が7千円近く高い事情はあるが、筆者としては僅差で「持ったときから、弾ける、唄える。」かなあ……という気がする。初心者でも弾ける点において、「持ったときから、弾ける、唄える。」の方がコードボタンがさらに簡略化され、より一層の敷居の低さを感じたからだ。弦が付いている点も、筆者のような「ギターを弾きたい症候群」にとってはうれしく感じられる。

 わがままをいえば、「WE LOVE GUITAR」の優れたデザインと、「持ったときから、弾ける、唄える。」の遊びやすさが合体した商品が登場してほしい。

(C)TAKARA Co.,Ltd. 2004


□タカラのホームページ
http://www.takaratoys.co.jp/
□「WE LOVE GUITAR」のページ
http://www.takaratoys.co.jp/wlg/
□関連情報
【3月29日】タカラ、東京・COREDO日本橋に直営ショップ「GARAGE」オープン
30歳台をターゲットにしたライフエンタテインメントショップ
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040329/garage.htm
【2月17日】春の「東京インターナショナル・ギフト・ショー」開幕
タカラの「WE LOVE GUITAR」など出展される
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040217/gift.htm
【1月15日】「2004 コナミ・タカラ新商品合同発表会」開催
手軽にギターを楽しめる「WE LOVE GUITAR」など
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040115/toy.htm


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(2004年4月22日)

[Reported by 元宮秀介]


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