ほぼ1年前になる2003年2月、「Quake」や「Half-Life」と並ぶFPS「Unreal」シリーズの最新作「Unreal II -The Awakening-」が発売された。基本的に決まったストーリーを追うシングルプレイタイプのFPSであり。主人公は“Artifact”と呼ばれる超文明の遺産を巡って多くの勢力と争い、最後は宇宙存亡の危機を救うために戦う。 リリース前の情報では、情報を収集したり武器の開発を行なう宇宙船のクルー達との会話システムが用意されていたり、主人公が協力する勢力によってストーリーやエンディングが変わったり、AIが操るNPCとの集団戦の要素なども盛り込まれていたようだ。しかし、年度末が近付き、何とか市場へ製品を出さなければいけない、ということで一応の体裁が付いた状態で発売されてしまった。それはそれとして、ひとつのまとまったゲームとして成り立ってはいたのだが、いまいちあの「Unreal」の続編として考えると中途半端になっていたのは否めない。 その最大の理由とも言えるのが、クラス制を採用したマルチプレーヤーモードが無くなっていたことだ。結局シングルプレーヤータイプのFPSは1本道であり、一旦クリアしてしまうとやることが無くなってしまう。そのため、発売直後は一定の売り上げがあったのだが、数カ月経ってみると後が続かないという状況に陥ってしまった。 それから約1年。「Unreal」シリーズのマルチプレイ分野をカバーする「Unreal Tournament」シリーズの最新作「Unreal Tournament 2004(UT2k4)」の発売がジリジリ延び、結局ホリデーシーズンを外すことになってしまった。しかし、ATARIはこの状況を少しでもカバーできる手を打っていた。それが今回紹介するアドオン「Unreal II -The Awakening- Expanded Multiplayer」、「Unreal II」発売時に外されたマルチプレーヤーモードの復活というわけだ。 このマルチプレーヤーモード「Expanded Multiplayer」(以下、XMP)を遊ぶためには、「Unreal II」本体が必要だ。入手方法は2つあり、「Unreal II」を所持しているプレーヤーはインターネットからMOD形式でダウンロードできるので、「Unreal II」をインストール後Expanded Multiplayerをインストールすることでプレイが可能になる。そしてもうひとつは、「Unreal II」を持ってない人向けの方法で、「Unreal II -The Awakening」と「XMP」が一緒に入った“Special Edition”を購入する方法だ。発売当時は7,000円近くした「Unreal II」だが、これを買えば5,000円弱の安価でひとそろい入手することが可能だ。
■ マップ上の各オブジェクトを確保し、最終的にはArtifactを4つ揃えよう さて、このXMPがどういったゲームかというと、Capture The Flag(CTF)という攻めのモードと、Dominationという守りのモードが混ざったゲームだと言える。ちなみにCapture The FlagはFPSではおなじみ。あらゆる手段を駆使して相手陣地の旗を奪い、自分の陣地の旗に触れればポイントというゲームモード。そして、Dominationは「Unreal」シリーズではおなじみのゲームモードで、マップ中に複数存在する定められた領域(たいていは目印となるオブジェクトがある)すべてを、一定時間確保し続けることでポイントが入るというゲームモードだ。 Expanded Multiplayerにおけるプレーヤーの目的は「“Artifact”をすべて、自陣のArtifact Nodeに設置する」ことだ。ゲームの開始時点でArtifact Nodeは敵味方双方に設置されており、4つあるArtifactはチームごとに2つずつArtifact Nodeにセットされている。プレーヤーは、なんとかして敵Artifact NodeからArtifactを奪い、自陣のArtifact Nodeまで必死に戻らなければならない。
当然これを実行するには仲間と協力するなり、乗り物で突っ込むなりして敵を排除しつつ進んでいくわけだが、そのためには武器や乗り物、各種アイテムなどが必要になる。普通のFPSならそういった武器やアイテムは最初から持っていることがほとんどだが、XMPでは少々事情が異なる。 XMPでは“Energy Supply”と呼ばれるエネルギー供給施設が発生させるエネルギーによって、弾薬やアイテムの供給、Artifact Nodeや固定砲台の稼働が行なわれる。ゲーム実行中は弾薬やアイテムの供給、各施設の維持に伴いエネルギーは消費されていくので、Energy Supplyの確保も目的達成のためには重要になってくるのだ。 また、“Deployment Point”と呼ばれるプレーヤーがRespawn(復活)するための施設もEnergy Supplyと同様に確保する必要がある。こちらもマップ各所に点在しているのだが、位置によっては敵のArtifact Nodeに近い部分に存在し、敵陣攻略の最前線基地となることもあるので、非常に重要な施設だと言えるだろう。 今までの説明をまとめると実際のゲームの流れは、ゲームスタート→Energy SupplyやDeployment Pointの確保→エネルギーが溜まり、装備が整った時点で敵陣へ侵攻→施設を取ったり取られたりを繰り返しつつという状況になる→Artifactを奪取して勝利、という流れになる。 XMPは、通常のCapture The Flagと比べると、施設の確保といったDomination的な部分が加わったことで、Capture The Flagにありがちな「開始早々力押しで終了」といったことが無くなり、周囲のプレーヤーと協力しつつじっくりと戦う必要が出てきた。そのため、知らない人同士で遊ぶ公開サーバーでのプレイでも、プレーヤー同士の協力という要素を味わえるようになっているのは、なかなかよく考えられたゲームモードと言える。
■ 特性が異なる3種類のクラスを状況によって使い分けよう さて、プレーヤーは以下の3種類のクラスから、自分の好みにあったクラスを選んでゲームに参加することになる。もちろん、Respawn時に状況に合わせてクラスを変える事も可能。クラス紹介に入る前にまずは各クラス共通の基本動作を説明しておこう。 FPSで基本となるWASDキーによる前後左右への二次元移動をベースとして、XMPでは以下の特殊動作がある。
・Sprint
・Dodge
・Jet Pack
・Medic
それでは、実際の3クラスの紹介に移ろう。
・Ranger
・Tech
・Gunner
■ あらゆる障害を乗り越えて、Artifactの奪取を狙え! さて、XMPのどの部分がおもしろいのか。それはやはり花形であるArtifactへのアタックだろう。ゲームモードの説明を読んでもらってもわかるように、Artifactへたどり着くのはかなり大変だ。 普通に考えると、チームメンバーと協力して敵のEnergy SupplyやDeployment Pointを一個一個潰し、迎撃してくる敵を随時撃退しつつ、ジリジリと敵のArtifact Nodeまで勢力を前進させてからやっとArtifact Nodeが攻められそうなイメージがあるが、実はそうではない。 足の速いRangerなどで姿を隠しつつ敵陣に接近、煙幕グレネードで周囲の視界を潰し、一気にArtifactを奪取。近くに止めてあった敵の乗り物を奪って意気揚々と引き上げると言うこともできるのだ。しかし、この作戦がいつも成功するわけではない。飛び込んではみたものの、巧妙に隠された地雷やレーザー起爆式の爆弾によって吹っ飛ばされたりする方がむしろ多いだろう。 だが、これが成功したときの達成感と、“してやったり”という感覚は何事にも代え難いものがある。常にこういった奇襲作戦を狙うのはどうかと思うが、戦線が膠着したり、敵の防御態勢が薄かったりするならば挑戦してみる価値はある。 基本的にはチームベース、それもかなり高度なチームプレイを要求されるXMPだが、特にチームプレイを意識しなくても何回かゲームに参加して遊んでいれば、自分が何をすべきなのかというのはすぐに理解できるわかりやすい作りになっている。初めてゲームを始めたときは、まず周りの動きをじっくり観察しておけば、数時間後には違和感なく周りにとけ込めるだろう。
「UT2k4」までのつなぎとして出された感が強い本製品だが、ゲーム自体は、何も考えずに遊ぶプレーヤーも、戦略を練って遊ぶプレーヤーも同時に受け入れられる奥深いゲームだ。体験版はマップがひとつという制限はあるもののゲームシステム自体は100%楽しむことができるので、まずは体験版からXMPを味わってみて欲しい。 Unreal(R) II - The Awakening (C) 2003 Epic Games Inc. Raleigh, N.C. USA Unreal and the Unreal logo are registered trademarks of Epic Games, Inc. ALL RIGHTS RESERVED. Unreal II - The Awakening was created by Legend Entertainment, an Infogrames studio and was manufactured and marketed by Infogrames, Inc. New York, NY, under license from Epic Games, Inc. The Atari trademark and logo are the property of Infogrames. All other trademarks are the property of their respective owners.
□「Unreal II - The Awakening」公式ホームページ http://www.unreal2.com/ □関連情報 【2003年12月6日】PCゲームレビュー「Unreal II - The Awakening」 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030214/unreal2.htm 【2002年12月6日】PCゲームレビュー「Unreal Tournament 2003」 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20021023/ut2k3.htm (2004年1月20日)
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