一般にFPS、ファーストパーソンビューシューティングと言えば、3D空間の中を自分の目で見た視点(一人称:ファーストパーソンビュー)で移動し、キャラの手に持った銃で敵キャラを撃って倒していくゲームを指す。国内コンソール市場ではこのジャンルのゲームは数が少ないが、アメリカやヨーロッパといった海外市場ではRPGと同じくらいの1ジャンルを形成しており、最近ではXboxの発売と同時にリリースされた「Halo」がこのジャンルのゲームとしては代表的なものだ。今回紹介する「Unreal Tournament 2003(以下UT2k3)」は、PCゲームにおける三大FPSのひとつに分類される有名シリーズ「Unreal」の三作目にあたる。
■ リアル系が大勢を占めていたFPS界に登場した久しぶりの王道タイトル 三大FPSといえば「Quake」、「Unreal」、「Half-Life」、これらのタイトルの特徴といえば「未来SFに出てくるような派手な超兵器」、「1発2発の弾じゃまず死なない」、「マップ内はスピードに乗って高速移動」というキーワードに象徴されるように敵を倒す爽快感に主眼が置かれている。 一方で「Counter-Strike」に代表される最近のFPSの流行であるリアル系は、「一発の弾丸の当たり所が悪ければ即死」、「マップ内を移動するときは音を立てずにこっそりと」、「弾を撃ってる時間より敵を探す時間が長い」といった緊張感に主眼が置かれていた。ここ2年くらいにリリースされたFPSの多くはリアル系の味付けがなされており、FPSに爽快感を求めるプレーヤーの多くはいまいちのめり込みづらかった感がある。 加えて三大FPSのどれもが、'99年の年末(Half-Lifeはもう少し前)に発売して以来パッチのみのリリースが行なわれ、3年の長きにわたってメジャーリリースがなかった。いくら好きなゲームといっても、同じゲームを3年もの間プレイし続けるのは相当つらいわけで、多くのFPSプレーヤーはだんだんと寂れてきた三大FPSから次第に離れてリアル系のFPSへとメインゲームを移していった。しかし、前述したとおりリアル系FPSをプレイしていても、彼らの求める爽快感が得られるわけでもなく、いまいち煮え切らない状況でFPSをプレイしていたのが現状だ。
そんな状況に満を持して3年ぶりにリリースされたのが「UT2k3」だ。三大FPSの一角であるUnrealシリーズの最新タイトルのリリースということで、FPSから離れていたプレーヤーの多くが復帰し、Unrealシリーズ以外のプレーヤーも「UT2k3」に流れ込んで「UT2k3」のプレーヤー層は活況を呈してきている。 ■ 未来のバトルトーナメントを勝ち抜き、チャンピオンを目指せ! さて、これから「UT2k3」を始めようというプレーヤーのために、「UT2k3」がどういうゲームかということについて解説しよう。「UT2k3」には、Unreal Tournamentという名前が示すとおり、プレーヤーは未来世界で行なわれる殺戮トーナメントに出場してチャンピオンになるという目的とストーリーが一応設定されている。 これまでのFPSのように地球を守って異星人と戦ったり、降って湧いたモンスターたちを排除するために銃を取る、といった厳密な意味でのストーリーはない。なぜかというとゲームそもそもの目的がネットワークを介したマルチプレイゲームを主眼においているからだ。 用意されているゲームモードも当然のごとく対戦を意識したものだけが用意されており、オフラインで楽しむシングルゲームもBOTと呼ばれるAIが操作する敵プレーヤーを相手に戦い抜くことになる。シングルゲームはマルチゲームのための練習のために用意されたものと割り切ってプレイするといいだろう。
では、スクリーンショットを見ながら「UT2k3」に用意されている5つのゲームモードを紹介していこう。
■ 12種類のド派手な武器を、戦況にあわせて的確にチョイスして使いわけろ!
「UT2k3」には特殊武器も含めて12種類の武器が用意されている。加えてUnrealシリーズの特徴として、マウスの左ボタン(プライマリアタック)と右ボタン(セカンダリアタック)で異なった弾が発射されるという特徴がある。どちらもまったく違う性能の弾が発射されるので、実際は24種類にも上る武器の使い方を把握する必要がある。では、写真を交え各武器の特徴と性能に関して紹介しよう。
これから紹介する2種の武器は、通常武器ではないスペシャルウェポン。どの武器も問答無用の威力を誇っており、そう簡単には使うことができず、連射することもできない武器だ。だが、それだけにうまく状況にあわせて使いこなせば状況を一変させるだけの威力を秘めている。一度でも使ったらその威力のとりこになってしまうだろう。
前作「Unreal Tournament」は、ひとつの武器を使い込んで得意武器を作ればどんな状況でも切り抜けられる事が多かった。しかし、「UT2k3」ではマップが広くなり遠距離での撃ち合いが多くなった、マップ上に大量に配置された遮蔽物が追撃された際の逃亡を容易にし、各武器の攻撃範囲が前作に比べて意図的に狭く設定された、などの理由により「ある程度まで得意武器でダメージを与えておいてから、Assault GunやMini Gunといったばら撒き&即着弾系の武器で止めを刺す」といった使い方が重要になってくる。 自分が得意とする武器が使いやすいのはわかるが、ひとつの武器にこだわらず状況に合わせた武器選択を心がけよう。状況判断が正しくなるにつれ、ネットワーク対戦などでの勝率がだんだんと上がってくるようになるだろう。
■ 次世代PCゲームの映像表現を用いた「UT2k3」
「Unreal Tournament 2003」の名前が示すとおり、「UT2k3」には3D描画エンジンの一種であるUnrealエンジンの最新版(俗にUnreal2エンジンと呼ばれている)が使用されている。「UT2k3」もUnreal2エンジンも同じEpicGamesが開発に携わっていることもあり、限界までのチューニングが施されたその画面描画は、これまでのPCゲームとは一線を画した美麗なものとなっている。とりあえずゲーム内のスクリーンショットを見てもらえるとその美しさが理解していただけると思う。
さて「綺麗な画面PCの3Dゲームをやりたければ、それ相応の性能を持ったマシンが必要」というのは、読者の方もすでにご存知だろう。「UT2k3」をちゃんとゲームとして楽しむにはPCの性能も相当高いものが必要なのでは? と心配される読者も多いことと思う。ちゃんとゲームとして楽しむという点に関しては「UT2k3」に抜かりはない。 「UT2k3」の公式ページにある推奨性能(PCゲームの場合、推奨性能がゲームを楽しむための最低スペックだと思ったほうがいい)を見ると1GHz以上のCPUとGeforce2、Radeonチップを積んだ32MB以上のVRAM搭載のVGAとなっている。最低限これだけのスペックがあればゲームを楽しむ分にはまったく問題無い。なぜかといえば、「UT2k3」の画面描画設定は幅が広く、うまく選択することで一世代前のスペックでも十分楽しむことができるのだ。ここで同じ画面を描画設定を最低レベルに設定したときと、最高レベルに設定したときの違いを見てみよう。 性能が低いマシンでゲームを楽しもうと思ったら、画面の描画設定を限界まで落とすのが有効だ。一方で一線級の性能を持ったマシンでも意図的に画面の描画設定を落としてゲームを遊ぶ人たちがいる。Flame Per Secondを最重視する人たちだ。彼らは画面の美麗さよりもまずFPSを重視する。ちなみにFPSとは1秒当たりの画面書き換え回数の単位だ。 アニメーションだと1秒間に24回、コンシューマーゲームだと1秒間に30~60回画面を書き換える。この数値が高ければ高いほどゲーム画面が滑らかに描かれ、逆に値が10くらいまで落ちると、ゲーム画面がコマ落ちして見えるわけだ。FPSの増減はPCの性能に比例しており、PCの性能が同じならば実行するゲームの画面描画の重さが関係してくる。 FPSをヘビーに楽しむ人々の間では、ゲーム進行に影響を与えない(ゲーム中にコマ落ちしない)レベルで楽しむには最低FPSが60以上ないと辛いと言われている。FPSが上がれば上がるほど敵の動きがはっきりわかるようになり、敵に照準を合わせるのが容易になるからだ。 マルチゲームをしていてどうも勝てないということがあったら、画面の描画設定を見直してみよう。今まで敵に先に撃たれていた状況でも、敵を先に撃つ事が可能になるかもしれない。ちなみに現在の状況でのFPSを見たい場合はコンソール画面を表示して(標準だと[半角/全角]キーを押すと表示される)「stat fps」と入力することで画面右上に現在のFPSと平均FPSが表示される。これを見ながら画面表示とFPS値のバランスを取っていこう。 また、UT2003.exeのあるフォルダ(標準ではC:\UT2003\System\)にBenchmark.exeという名前のベンチマークプログラムが用意されている。これはマップ内を飛び回るFlybyテストとBot同士を戦わせるBot Matchテストによって、現在使用しているPCシステムの性能を数値で表現してくれるものだ。 Flybyの数値がビデオカードを中心とした画面描画性能を、BotMatchの数値がCPUを中心とした計算能力の数値を表している。1024×768の画面サイズでこのベンチマークを実行した場合、Pentium4 2.53GHz、Geforce Ti4600というトップクラスのシステムならば、Flybyが150前後、Botmatchが60前後の数値がでている。Pentium III 966MHz、Geforce 3の環境ならばFlybyで80前後、Botomatchで30前後といったところだ。すでに先行して配布されている「UT2k3」のデモにも同様のベンチマークプログラムが収録されている。「UT2k3」を購入する前にデモでベンチマークを実行し、CPUとVGAのどちらを強化するか判断するといい。
■ 新しく追加された3種類の特殊移動と4種類のアドレナリンを使いこなしてマップ内を縦横無尽に駆け巡れ! ところで、前作「Unreal Tournament」と「UT2k3」で何が一番変わったかと言われればゲームの根幹に関わる移動システムの変更とプレーヤーキャラの性能を強化するアドレナリンだ。「Unreal Tournament」では、移動キーを同方向に2回連続でタップするとその方向に向かって勢いのついたジャンプをするDodgeという移動方法があった。「UT2k3」では、このDodgeに加えDouble Jump、Dodge Jump、三角飛びという3種類の特殊移動が追加された。
・Double Jump
・Dodge Jump
・三角飛び そしてもうひとつのキャラ性能強化だ。まずこれを発動させるためにはマップ内にあるアドレナリンカプセルを拾ったり、敵を倒したりして画面右上に表示されているアドレナリン値を100まで溜める必要がある。アドレナリンが溜まったら移動キーを使って以下の移動キーを入力すると以下の4種類のアドレナリンが使えるようになる。
移動や武器のシステムだけを見てみると「UT2k3」自体、「Unreal Tournament」と大きく変わる部分は少ない。しかし、上記の特殊移動を使うことで、ゲーム内での移動や攻撃の仕掛け方など、それまでの常識が大きく覆った。「Unreal Tournament」の時代もDodgeを使いこなしたプレーヤーが勝率を上げていったのと同じように、「UT2k3」でもこれらの特殊移動やアドレナリンを使いこなしたプレーヤーが勝利に一歩近づくことになるだろう。 最後にストーリー紹介でも触れたとおり、「UT2k3」の舞台は「Unreal Tournament」に引き続き未来のスポーツである殺戮トーナメントだ。ゲーム内のアナウンスや演出、開幕ムービーを見るとその傾向は前作からさらに強化されており、射撃能力、戦術、洞察力といった「プレーヤーの人間性能」を競うためのゲームとなってきた。 また「Quake」、「Unreal」、「Counter-Strike」などで名を馳せた「ライバルプレーヤーに勝つ」ことを一番の喜びとしている多くのFPSのトッププレーヤーたちが「UT2k3」を次のメインゲームとして参入してきている。日々の練習と対戦を積み重ね、自分の存在すべてをかけた対戦を行なってほしい。勝利の果てに味わえる達成感と高揚感は今までにあなたが感じたことのなかった世界を味あわせてくれるだろう。 Unreal(R) Tournament 2003 (C) 2002 Epic Games, Inc. Raleigh, N.C. USA.Unreal and the Unreal logo are registered trademarks of Epic Games, Inc.ALL RIGHTS RESERVED. Unreal Tournament 2003 was created by Digital Extremes in collaboration with Epic Games Inc. Dolby and the double-D symbol are trademarks of Dolby Laboratories. The Maya logo and Maya Personal Learning Edition are trademarks of AliaslWavefront, a division of Sillcon Graphics Limited. Manufactured and marketed by Infogrames, Inc., New York, New York, under license from Epic Games, Inc. The Atari trademark and logo are the property of Infogrames.Use of this product is subject to acceptance of the terms of an end-user license.
□「Unreal Tournament 2003」公式ホームページ http://www.unrealtournament2003.com/ (2002年10月23日)
[Reported by tyokuta]
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