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【連載第128回】 あの、おもちゃを徹底レポート




6輪6脚を搭載した未来型戦車のラジコン
京商「全方位移動型6輪走行R/C ガンローラー」

「全方位移動型6輪走行R/C ガンローラー」
発売 京商
価格 18,000円
電源 アルカリ単4電池×4~6(別売)、006(9V)電池×1(別売)
発売日 発売中



 2002年の6月に当連載でも紹介した「ガンウォーカー」のシリーズ最新作。「ガンウォーカー」は、足底に強力なマグネットを装着し、鉄板の上を歩かせることで完全二足歩行を実現するというユニークなアイデアを採用していたが、“ユニーク”という点では今回の「ガンローラー」も負けていない。「ガンウォーカー」と同様に未来の自衛隊の戦車というSF的な設定なのだが、キャラピラ走行ではなく、何と先端にタイヤが付いた6本の脚で駆動するのだという。そんなラジコン、オレは見たことない! これは遊ぶしかないだろう。

宮武一貴氏がデザインした未来の自衛隊の戦車

パッケージ。女子供を寄せ付けない重厚なイメージ
 本体のデザインは、前作同様にスタジオぬえの宮武一貴氏が担当。遊び心を中心にしながらもいかにも兵器らしい無骨なデザインが施され、その格好のよさは「さすが」と唸るしかない。パーツは一部が組み立て式となっているが、接着剤は不要。しかも塗装済みとあって、面倒な感じはない。ものの5分もあれば、完了する。

 完成した本体を改めて眺めてみると、やはり目をひき付けられる。宮武一貴氏のデザインが秀逸なのはもちろんだが、モデリングもいい。ボディのそこかしこにハッチや手すりが付いていて、それらのモールドも実に細かい。このまま飾っても十分に映えるだろう。

 そして、何といっても6本の脚。ここには特に力が入っているようで、ディテールもひときわ細かく、そして美しい。脚の先端から見えるタイヤは、丸みを帯びていて、タイヤでありながら、肉球のようでもある。そうした印象が単なる“戦車”に留まらず、何かの生き物のようにも感じさせて、飽きさせない。

 デザイン以外で注目したいのが、電池周り。本体にはアルカリ単4電池をセットするのだが、電池の数を調整することで走行性能を変えることが可能なのだ。取り扱い説明書には、電池4本なら「練習用走行」、6本なら「ハイパワー走行」と記されている。今までたくさんのラジコンを遊んできたが、こうしたアイデアを目にしたのは、これがはじめて。「ハイパワー走行」とはいかなるものなのだろう、と期待に胸が膨らんでくる。

組み立て前の様子。これだけでも十分に映える出来栄え パーツは彩色済み。手すりなどの細かいものが多いので、好みで接着剤を使用するのもいいだろう パーツを取り付ければ完成となる。6本の脚が目を引く、異形ともいえるデザインだ
脚には合計72個ものホイールが組み込まれていて、複雑な走行を生み出す 底面から脚を見る。どこか生き物のようにも見える 電池を4個にするか、6個にするかで、走行性能が変わる


 コントローラは、さすがに6本の脚を操作するだけあって、本体に負けない独自のデザインになっている。全体はラグビーボールを思わせる楕円型。マシンを操作するボタンは、電源スイッチを除いて、8個も付いているのだ! 考えてみれば、脚が6本もあるのだから、8個くらいあってもおかしくはない。しかし、うまく操作できるのだろうか、とちょっとした心配が頭をかすめる。

リアルタッチな本体とは異なり、コントローラはSF風。このアンバランスさが面白い 側面のボタンが操作のカギ。このボタンを使うと、真横や斜め方向への移動が可能になる



通常の戦車では不可能な、複雑にして繊細な動作が楽しめる

 操作を試してみると、心配は杞憂だった。難しいどころか、実に簡単。シンプルな操作で、これまでにない複雑で魅力的な走行が楽しめるとは。この「ガンローラー」の真価をしっかりと体験することができた。

 前進と後進、左右旋回、そしてその場でグルグルと回る急信地旋回は、これまでのラジコンでも楽しめるアクション。「ガンローラー」の本領は、ここから先の操作にある。まずは真横移動。コントローラーの側面、プレイステーションのコントローラーならL、Rボタンに相当するボタンを押すと、本体が真横に移動する。右を押せば右に、左を押せば左に瞬時に走行する。何を当たり前のことを……と言われそうだが、こんな動きを披露するラジコンは、自分は見たことない。あえて言うならアニメの中でなら見たことがある……といった感じだ。

 続いて斜め移動をチェック。先ほどの側面のボタンと他のボタンを組み合わせて押すと、おおっ、動いた。斜め45度とはいかないが、30度くらいの角度に向けて、前進や後退を行なう。これもすごい動きだ。

 真骨頂は、「ノーズ・イン・サークル」と「テール・イン・サークル」。見慣れない言葉だと思うが、それもそのはず。「ガンローラー」独自の動作で、前輪や後輪のひとつを軸にして、大きく円を描くようにして回るのだ。試してみると、その動きに目は釘付け。戦車の動作といえば、急信地旋回がハイライトだと思うが、それとも違う、ダイナミックで繊細な動き。う~ん、お見事。未来の戦車と呼ぶにふさわしいアクションだと言い切れる。

 電池をさらに2本足し、合計6本にして遊んでみる。走行スピードに目立った変化はないようだが、タイヤが床をこする音が違う。ボリュームが一段階上がったかのように、低音が響き渡った。障害物や悪路を走破するときなどに効果を発揮しそうだ。価格は18,000円と決して安くはないが、高価に見合うだけの性能と楽しさがある。

ボタンを使用する操作なので、迷うことはなく、実に簡単に扱える 「ガンローラー」や「ガンウォーカー」が活躍する、架空の世界の設定を詳細に記したカード
【ムービー】
「前進~超信地旋回~真横移動」
MPEG、1.11MB
「斜め移動」
MPEG、213KB
「ノーズ・イン・サークル」
MPEG、978KB


 すっかりと愉しんでしまったが、希望を言えば、やはり射撃システムがほしい。BB弾でも赤外線でもかまわないが、対戦ができれば、6脚走行の魅力がさらに引き立つはず。おそらくは発売元の京商でも同様のことは検討しているはずだ。何よりコントローラに2個もある未使用ボタンがそれを証明している。楽しみにしていますよ!


□京商のホームページ
http://www.kyosho.co.jp/


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(2003年10月16日)

[Reported by 元宮秀介]


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