★ PCゲームレビュー★


“会戦型RTS”の可能性を広げる「コサックス」の兄弟分
アメリカン コンクエスト

  • ジャンル:リアルタイムストラテジー
  • 開発元:GSC Game World
  • 発売元:ズー
  • 価格:8,800円
  • 対応OS:Windows 95/98/Me/2000/XP
  • 発売日:発売中


 ちょうど2年前。筆者に文字通り衝撃を与えたゲームが、戦列を組んだ数百~数千人の大軍勢同士が激突するさまをサクサクと再現し、当時「Age of Empires」(以下、AoE)シリーズの一人勝ち状態だったリアルタイムストラテジー界に新機軸を起こした「コサックス」だった。

 今回紹介する「アメリカン コンクエスト」(「American Conquest」)は、「コサックス」シリーズのゲームシステムをベースに、昨今のPCの能力向上に合わせて規模を拡大した、と書くと単なる改良版のようにも聞こえるが、実のところこのゲーム、「コサックス」を嚆矢とする大兵力同士の大部隊が激突する「会戦型RTS」(筆者が勝手に命名)の根源的魅力を120%引き出す方向性、あるいはその可能性を示唆したゲームでもあるのだ。


■ コロンブス~アメリカ独立までの時代、米大陸を縦横に駆けめぐる

オープニングデモで繰り広げられる大規模戦闘。どんな対戦でもこれ以上の規模で戦闘が繰り広げられるとは限らないが、このゲームが目指す形を象徴しているシーン
ランダムマップでのプレイ条件設定。同時に7勢力まで登場させられる。また何チームかに分かれてプレイも可能。マップについても、地形や気候、マップサイズのほか、資源や好物など、かなりのバリエーションから選んで設定できる
 AoE系RTSと会戦型RTS。この両者、画面やシステムだけを見ればよく似ている。だが、マップ上に敵味方合わせてせいぜい100ユニット程度しか登場しないAoE系に対し、数千から数万のユニットが相並ぶ会戦型RTSは、プレイ時の緊迫感、あの「手に汗を握る」感覚が、まったく違っている。これは単に「数が多いから」というだけではない。思うに、万を超える兵数は、古代~近代における史実の会戦兵力にほぼ匹敵する規模であり、なまじそれを知っている人間にとっては、リアリティが段違いなのだ。

 欧米人の中では、ジオラマとミニチュア(フィギュア)で歴史上の軍隊を再現して楽しむ趣味は割とメジャーな存在で、あちらの博物館などに行くと、しばしば、まさに17~18世紀の華麗な軍装に身を固めたフィギュアが数百~数千体、整然と隊列を組んだ展示を見ることができる。

 筆者などは「あぁ、これが行進を始めたらどんなに壮観か――」とため息をついたものだが、会戦型RTSでは、まさにそれが目の前で繰り広げられるのだ。ゲームとして珠玉だが、それ故にあまりにゲーム的な展開をするAoEと、会戦型RTSとでは、このように目指すところがそもそも違うのである。

 「コサックス」の舞台が欧州だったのに対して、「アメリカン コンクエスト」(以下「アメコン」)の舞台は名称どおり、南北アメリカ大陸。1492年にコロンブスがアメリカに上陸して以降、アメリカ合衆国の独立までの約3世紀をカバーしている。アメリカ大陸に進出していったスペイン、イギリス、フランスの西欧勢と、中南米のアステカ、マヤ、インカ、北米のイロコイ、デラウェア、ヒューロン、スー、プエブロ族といったネイティブアメリカンたち、そして独立を目指したアメリカ植民地軍の合計12勢力の中からプレイする国家(部族)を選ぶ。

 こうした設定は、明らかに北米のプレーヤー狙いだ。歴史上では先祖の土地から追われ、征服されて苦難の道を歩んだネイティブアメリカンを指揮してスペインやイギリスを撃破する、あるいは史実のとおり、イギリス王の圧政から植民地の民衆を解放する戦いに身を投ずる。アメコンではいずれも実現の機会があるから、挑戦のしがいがあることだろう。日本人には「コサックス」以上のマイナー・テーマ、という感じもするが、陸戦だけでなく大規模な海戦も可能なので、大航海時代の雰囲気が好きな武闘派プレーヤーなら十分に楽しめると思う。

 例によって、ランダムマップによるプレイ、9つのシングルミッション、8つのキャンペーンといった1人プレイの構造はコサックスとほぼ変わっていないが、マルチプレイについては、インターネット上での他人のプレイを「観戦」するシステム、多人数参加で北米大陸を模したエリアを対戦ごとに争奪し合う「ウォー・フォー・アメリカ」モードなど、単発のオンライン対戦にとどまらない新機能が追加されている。当然ながら、コサックスの醍醐味だったPT(ピースタイム、戦闘禁止時間)の間にお互い好みの軍勢を構え、存亡をかけた大会戦を行う、といった王道プレイも可能だ。

 さて、肝心の「マップに登場可能なユニット数」の上限だが、コサックス(8000ユニット)の倍、16000ユニットまでとなっている。ごく普通にプレイしていると、効率よく連続的に兵士を作っていったとしても、1国で5000ユニットを超える数を揃えるのは結構な手間だ。ユニットを千単位で並べて悦に入りたい、という人は、コンピュータ相手なら長時間PTを設定する、相手プレーヤーと談合する、はたまたエディタでユニットを並べてからプレイを始める、のどれかを考えよう。

キャンペーン選択。「コロンブスの航海」から「アメリカ独立戦争」まで、西欧側、ネイティブ側、とバリエーションに富んでいる。例によって初期条件は設定済みなので、自分なりの軍を育てたい、という人はランダムマップかネット対戦のほうが楽しめるだろう

ネット対戦専用の「史実の戦い」。テノチティトランの戦いからヨークタウンの戦いまで6つ用意されている。筆者はインターネット対戦不可の評価版でプレイしたので、残念ながらこのプレイはできなかったが、コサックスの同じ史実の戦いよりは、ゲームとしても楽しめそうな感じ マップの大きさは、1,024×768ドット換算で最大30×20スクリーン分。その分戦場も広大で、1,920×1440ドットでズームアウトした「Lモード」表示でも、画面右下のミニマップ白枠の範囲内しか一度に表示できない、という規模だ



■ アメコンの兵士たちは、「訓練」された普通の住民

「コロンブスの航海」キャンペーンの最初のシナリオ「新世界」は、ユニットの育成(方法を憶える)がミッションの目的になっており、徐々にゲームの基本スタイルを憶えることができる
プエブロ族は、住民も歩兵も騎兵も全部「町の公会堂」で育成できるので、住民の訓練は不要。北米の他部族の場合、砦/要塞の代わりに(コサックスと同様の)歩兵/騎兵育成所でユニットを「訓練」することになる
インカ、アステカ、マヤの場合、砦はなく要塞を最初から作ることができる。その分、ユニットの種類も少なかったりするわけだが、北米のネイティブアメリカンと同様、ユニットの強化と数で圧倒できるかどうかが勝敗のカギか
 原稿執筆時点で、アメコン日本語版発売からずいぶん経過しているので、コサックスにハマった面々のうちかなりの人が、すでにアメコンのプレイに勤しんでいるのではないか。そこで以下では、コサックスとの違いは随時示すが、むしろ「『コサックス』はやっていないが、『アメコン』をプレイしてみたい」というプレーヤーにも配慮しながら紹介を進めたい。

 シングルミッションとキャンペーンは、「コサックス」以来の伝統なのか、総じて難しいのだが、「コロンブスの航海」キャンペーンにはチュートリアル的ガイダンスが付いているので、初めてのプレイならこのあたりから始めて、続いてランダムマップを自分vsコンピュータの2国でプレイしつつ、操作感をつかんでいくといい。

 最初はスペイン、イギリス、フランス、アメリカの西欧系4カ国、またはインカ、アステカ、マヤのいずれかでプレイするのが無難だろう。というのも、北米のネイティブアメリカン系勢力は、施設の種類が微妙に違い、プレイの進め方も変わってくるからだ。

 ランダムマップでプレイするなら、「町の住民」で施設を作り、内政をして資源を確保しつつ軍備を整えていく。西欧系の場合、まずは、砦と住居、製粉所、倉庫を作る。製粉所を作ると自動的に食料が生産されるので、それを住民を使って収穫することと、住民が伐採してきた木を収納するために倉庫が必要なのは「コサックス」と同じ。ただし、「町の住民」を作る場所は「町の公会堂」ではなく「住居」である。残る「砦」は何をするところかというと、住居で作った住民を、砦や要塞の中で「訓練」しないと兵士にならないのだ。砦と要塞では、作成できるユニットの種類が違うので、いずれは要塞も建てなくてはならない。

 「コサックス」と「アメコン」の大きな相違点として、この軍を整備するプロセスの違いが挙げられる。コサックスでは住民は住民、兵士は兵士と分けて育成していたのに対し、アメコンでは住民→兵士の2ステップで変化する(兵士を住民には戻せない)。生まれつき兵士という人間は存在しないから、リアルな表現に見えなくもないが、新大陸に駐屯した西欧正規軍はたいてい現地徴集ではなかったので、実はヒストリカルとも言い難い。こういうシステムが採用された理由のひとつは、ユニット数上限との兼ね合いだろう。

 アメコンでは、ユニット数の上限は全施設が持つキャパシティの合計値に依存する。理論的には、施設を建て続けていれば上限を気にしなくてもいいわけだが、現実には、同じ施設を建てるほど、次第に建設コストが高くなるため、自ずと限界がある。ユニット数が上限に達したあとで兵士が必要になったとき、住民と兵士が別々の育成だったら住民を消去して兵士を作ることになるだろうが、「アメコン」なら、極端な話、すべての住民を兵士に訓練を施し、戦闘に投入することすらできる。

木と食料以外の、石、金、鉄、石炭といった資源を集めるためには、コサックスと同様に鉱山を建設し、住民が採掘しなければならない。北米系ネイティブアメリカンのほとんどは鉱山が作れないので、代わりに交易所で資源を入手する

多くのアップグレードを研究するのは「町の公会堂」の役割に移され、コサックスの「研究開発施設」は無くなった。簡略化の方向性は間違っていないが、一方で砦/要塞が持つ多機能性はタブ切換方式で操作するようになり、忙しいPT期間中の手数が増えているなど、やや一貫性に欠けるインターフェイスになっている


■ 壁の代わりに施設を連ねて、駐屯ユニットで防衛せよ!!

砦や要塞などの施設を「防衛モード」に切り替えると(左下ウィンドウの右上のボタンが赤く変わっている)、ユニットの訓練が中断されて、近づく敵に対して自動的に銃撃が行われるようになる
PT中の国境沿い防衛施設。これではまだまだ弱い。駐屯する兵の強さと数により、施設の射撃能力が変わるので、自軍のユニットの強さ(「攻撃」力)を比べ、できるだけ防衛用に有効なユニット(たいていは火打石銃兵など)を駐屯させたい
 ところで、砦と要塞は何も兵士を訓練するだけの施設ではない。名前のとおり、ユニットを駐屯させると、防御施設として利用できる。この「駐屯させる」というのがミソ。「アメコン」の砦/要塞は、コサックスの「塔」などと違い、自動で防衛はしない。ユニットを駐屯させて、かつ新しいユニットの訓練を停止しているときでなければ防御射撃ができないのだ。その防御力は、駐屯しているユニットの数とその強弱に依存する。

 砦/要塞以外の施設についても、ユニットを駐屯させなければ防衛できないのは同じ。施設には、敵方のユニットが突入でき、その際に駐屯しているユニットとの間で近接戦闘が起こる。駐屯軍が負ければ、その施設は敵に奪取されてしまう。つまり、ユニットが駐屯していない施設は、敵ユニットが接近してきたら即、奪取されてしまうと考えておくべきなのだ。

 味方部隊が敵地へ前進攻勢をしているときは別としても、最前線の防御施設は無論のこと、後方の各施設についても最低限のユニットは駐屯させておくように気を付けよう。後方防衛が欠かせない理由は、「アメコン」にはコサックスの基本防衛手段である柵と城壁が存在しないからだ。

 PTが十分にあるゲームなら、国境沿いにできるだけ詰めて防御施設を作っておき、その狭間に軍を配置することで防衛線を築くこともある程度まで可能だが、それでも一点突破されれば、あっという間に後方を荒らされる。生産基盤が甚大なダメージを受ければ、劣勢になるのは避けられない。

 西欧勢力でプレイしているとき、要塞を作るのはできるだけ早いほうが(その分、強力な部隊を早く登場させられるので)ベターなのだが、上記と同様の理由から、建設する場所には十分な考慮が必要だ。砦も要塞も、2つも3つも簡単に作れる代物ではない(相当な資源を消費する)ので、できれば最初の要塞は国境近くの要所に配置し、その左右を防舎(防衛専用の施設)などで固めていきたい。


■ 陣形を組んで戦術を尽くせば、士気高く強い陸軍になる

西欧各国の歩兵のうち、火打石銃兵は18世紀の指揮官がいないと陣形を組むことができない。アメコンでは、前方に味方がいるときに射撃するとその味方にも被害が及ぶので、銃兵は横隊陣を組むのがもっとも効率的だ
騎兵の効用は、なんといっても突撃で敵軍の士気を崩壊させること。それなりに数を揃えてから突撃しないと、相手がネイティブアメリカンの場合は敵兵の海に埋没してしまい、一騎ずつつぶされることもある
「攻撃は最大の防御」ではあるが、敵にいったん後背に回り込まれると、後詰めの兵力確保に大きな影響が出る。一気に敵地へ乗り込むか、まず敵攻撃主力を撃退するか、判断はプレーヤーの経験にかかってくる
 守りきるだけでは勝てないので、タイミングを図って攻撃に転じたい。率直な話、「コサックス」も「アメコン」も、野戦の基本は「数」を揃えること。ただ、ネイティブアメリカン勢が、安価な弓兵などを洪水のように何波も送って攻めてくるのを正面から迎え撃っているだけでは、さしも精鋭の火打石銃兵といえども徐々に損害が増えていく。敵の損害のほうが圧倒的に多いとしても、相手はスグに補充できるのに対して、高価で訓練に時間がかかる銃兵や騎兵はそうもいかない。

 野戦軍について言えば、まずは陣形を組むこと。これが最低条件だ。コサックスでは士官と鼓笛隊と一定数の歩兵がいれば陣形が組めたが、アメコンの場合、歩兵陣形を1つ組むために士官、鼓手、旗手の3ユニットが必要になった。騎兵についても、騎馬士官(と一部の国では騎馬旗手)がいないと陣形が組めない。17世紀と18世紀の指揮官は陣形を組めるユニットが違うことにも注意しよう。陣形には攻撃に防御にボーナスが付くが、「アメコン」では、それ以上に陣形を組む意味がある。それは、「士気」の維持に有利に働くことだ。

 士気は「コサックス」にはない、「アメコン」独自の要素だ。簡単に言えば「兵士が戦闘を継続する意志」を示すパラメータなのだが、ゲームの中では、いくつかの事態が引き金となって一定の確率で兵士が戦闘を放棄して逃げ出すことがあり得るのだ。引き金となる事態は、自分の近くにいる他の兵士が、「敵歩兵の剣や槍で死んだとき」「敵の銃撃で死んだとき」「敵騎兵の突撃で死んだとき」、そして「パニックになったとき」(パニックの連鎖)だ。逆に、戦闘経験を積んだ士官が率いる軍は、士気が高い。

 現実の戦闘では、昔も今も、部隊が全滅するまで戦うことはほとんどない。たいていは、一定の損害を受けると部隊の士気が崩壊し、兵士は敗走するのだ。SLGなら割と一般的に導入されている、この士気という要素、RTSではこれまで取り上げられなかった(兵士は皆、死ぬまで戦い続けていた!)。アメコンの士気システムは、簡単な仕組みで、この劇的な展開を再現したわけだ。

 柵や城壁など移動の制約が作れないこともあって、側面や背面からの一斉銃撃、騎兵突撃、といったプレーヤーが判断する戦術の効果が、コサックス以上に鮮やかに現れるだろう。もっとも、言うは易く行うは難し。筆者にしても、寡兵で「ネイティブアメリカンの海」を簡単に撃退できるほど戦術と陣形操作に長けてはいないが、数に押し切られないユニット数を確保(育成基盤を確立)しつつ、防御施設で敵襲を受け止め、その間に騎兵や銃兵を後輩に回り込ませて撃退、反攻に転じる、といった連携のタイミングを求めて、日々精進している。


■ Art of Warの実戦を目指すも、ミニチュアに劣らぬ臨場感を堪能するもヨシ

 ところで、多くのユーザーがこのゲームをプレイする際に、直接影響するのがゲームの必要スペックだ。カタログ上は、Pentium II 450MHz以上、DirectX 8.1対応でビデオメモリ1MBのカードで動く「ことになっている」が、現実には、推奨環境のPentium III 1GHz、ビデオメモリ4MBのカードであってもパワーは足りない。

 筆者は最初、Pentium4 2.4GHz、GeForce4 MX440という環境を用意したが、1,920×1,440ドットの高解像度でプレイするとスクロールなどに引っかかりがあり、ビデオカードをGeForce FX5600に交換して、なんとか快適にプレイできるようになった。平均的な登場ユニット数が増え、グラフィックスも美麗になった結果と言えるが、コサックスが同じ解像度でも「軽くてサクサク動く」というイメージが強かったのに比べると、処理の重さは予想以上だった。

 高解像度環境でのプレイでもうひとつ気になるのが、ズームの使い勝手だ。アメコンでは「Lモード」という機能で、より広範囲のビューを表示したまま直接ユニットを操作できるのだが、おそらくこの機能は1024×768~1280×1024ドット程度を想定しているらしく、それ以上の高解像度ではかえって使いにくく(ユニットが小さくなりすぎて非常に見づらい)なってしまっている。コサックスから変わらぬ「ミニマップが小さくなりすぎる」問題と合わせて、1,600×1,200ドット以上でプレイするユーザーのためのマップに関してはより切実に改良を望みたい箇所だ。

 ユニット操作についても同様だ。会戦型RTSは、一般的なRTSよりユニット数が格段に多いにもかかわらず、ユニットの操作方法はAoE系のそれを、ほぼそのまま継承している。必然的にユニット操作の頻度が上がるだけでなく、マップも広大になるためその都度画面をスクロールまたは切り替える必要が出てくる。陣形を組み、上記Lモードを大いに活用することである程度までは軽減できるものの、それでも司祭や住民は個別にちまちまと動かさねばならない。あるいは戦術を駆使しなければ勝てない状況で、個々の部隊の操作に「秒単位の反射神経」が要求されるようでは、ゲームとしての奥の深さを味わえるプレーヤーはほんの一握り、ということになってしまう。会戦型RTSならではの、もう少しラクにユニット操作ができる方法が提示できないものだろうか?

 さらにもうひとつ。これは課題と言うよりはゲームとしてのバランス、もしくは好みに属することかもしれないが、筆者にはユニットが「死にすぎる」ように思えてならない。士気システムを導入したのだから、攻撃による死傷率をもっとリアルにして(率を下げて)もよいのではないか。ユニットが次々と倒れるほうが絵になるのはわからないでもないが、歴史RTSで、現実よりもゲームのほうがブラッディになる、というのは(演出的にどうしても必要だ、といった確固たる根拠がない限り)決してほめられない表現だと思うのだが、どうだろう。

 いずれにせよ、アメコンの登場で見えてきた会戦型RTSの将来像のカギとなるのは、「内政を省力化しつつ差異の生まれる余地を残す」ことと、「陣形・部隊単位の操作性up」にある。全体として、内政、特に生産を簡略化する方向が進みすぎると、ゲームの根幹をなす「プレーヤーごとに違う軍のカラー」の差別化が難しくなってしまうし、操作性向上もあまりにサービスし過ぎると「自分の操作技術で戦術を編み出す」興をそいでしまうことになりかねない。この二律背反を意識しつつ、バランスの取り方、ないしは新たな軍の操作体系を作り出すことが、性急に求められていると思う。

 と、課題はいくつかあるものの、確かに言えるのは、現時点で「アメコン以上の出来の会戦型RTSは存在しない」ということだ。極限的「RTS道」を追求するエキスパートだけでなく、ミニチュアの華麗な戦列にフェティッシュを持てるゲーマーには、ぜひお勧めしたいゲームである。

1,024×768ドットと1,920×1,440ドットでの同じマップのLモードを比較。高い解像度でのプレイが可能というのはメリットなのだから、その解像度に適合した操作性を考えてほしい

(C) 2002 CDV Software Entertainment AG. All rights reserved. CDV, the CDV logo and American Conquest are either registered trademarks of CDV Software Entertainment AG or GSC Game World in the US and/ or UK and/ or other countries.


【アメリカン コンクエスト】
  • CPU:Pentium II 450MHz以上(Pentium III 1GHz以上を推奨)
  • メモリ:64MB以上(256MB以上を推奨)
  • HDD:1.5GB以上
  • ビデオカード:VRAM 1MB以上(4MB以上を推奨)


□ズーのホームページ
http://www.zoo.co.jp/
□「アメリカン コンクエスト」の公式ページ
http://americanconquest.zoo.co.jp/
□関連情報
【7月7日】ズー、「American Conquest 日本語版」を7月11日に発売
最大1万6,000ユニットが激突する大規模RTS
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030707/zoo.htm
【2月7日】本日到着! DEMO & PATCH 「American Conquest」Multiplay Demo
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030129/demo0129.htm

(2003年10月8日)

[Reported by culi


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