★ PCゲームレビュー★


あのMMOコンバットシムに日本語版が登場
強豪を押しのけエースパイロットを目指せ!

Fighter Ace 日本語版

  • ジャンル:コンバットアクション
  • 開発元:PCCWジャパン
  • 発売元:メディアカイト
  • 価格:6,800円
  • 対応OS:Windows 98/Me/2000/XP
  • 発売日:4月25日発売発売中


 「Fighter Ace」は、かつて米Microsoftのゲームサーバー「Microsoft Gaming Zone」でダウンロード提供され、ゲーム性や安定性で高い評価を得た第二次世界大戦をモチーフとした多人数大戦型エアコンバットシミュレータだ。数千人ものプレーヤーが同時に空中戦を行なうことが可能なほどのサーバーポテンシャルを備え、サーバーには日夜世界中からエースパイロットを目指すプレーヤーが接続し、熱い空中戦が繰り広げられている。

 その「Fighter Ace」がこれまでの無料ダウンロードによるクライアント提供を中止し、4月25日に「Fighter Ace日本語版」としてパッケージ販売される。パッケージの価格は2カ月無料のアクセス権付で6,800円。サーバー使用料の月額料金が1,300円から1,000円に値下げされる。今回発売される「FighterAce日本語版」は、クライアントのバージョンを3.0から3.5へとアップデートすると同時に、テキストの日本語化が施されている。また、搭乗可能な機体も16機種追加され、クライアントの安定性もさらに増しているなど、既存ユーザーにもお勧めの内容だ。


■ まずはオフラインゲームでパイロットとしての腕を磨く

 「Fighter Ace」は、冒頭で触れたようにオンラインゲームでの多人数対戦をメインとしたタイトルだが、オフラインゲームもしっかり実装されている。同作ではオフラインゲームで数多くの基礎知識を身につけることになるので、まずはこれから紹介していこう。

 オフラインゲームは3つのアリーナで構成されている。ひとつ目は、基本的な操作を学ぶための「Training Arenas」。ふたつ目は、実戦演習的な「Practice Arenas」。3つ目は、CPUを相手に仮想マルチプレイモードがプレイできる「Sample Arenas」。

 全モードとも飛行中の指示などは、音声についてはすべて英語で行なわれるが、並行して画面に表示されるテキストは日本語化されておりとてもわかりやすい。しかし、搭乗する機体に大日本帝国を選んだ場合にも英語音声なのは、日本語版においてはややマイナスポイントだろう。

 なお、「Sample Arenas」以外のゲームレベルはあらかじめ初級モードに設定されているため、簡単に初歩的な操作方法を学ぶことが可能である。フライトシュミレータビギナーの筆者も基本的な動き、計器の読み方、空中戦での射撃、爆撃機での爆弾投下の仕方等、数多くの知識や操作を学ぶことができた。ゲームの大まかな流れや「FighterAce」のゲーム性を知ることができ、オンラインゲームをプレイする前には必ずやっておくことをお勧めする。

オンラインプレイ中の様子を撮ってみた。見栄えのするシーンが多く、フライトファンにはたまらない作品だ

 ここでオフラインゲームで行なえることをまとめてみたい。下記を見ればわかるようにこれだけのボリュームがあり、ひととおりプレイすることでゲームに必要な知識やテクニックをもれなく学ぶことができる。

・Training Arena
01 基礎飛行訓練

視点切り替え、操縦方法と計器類の説明、離陸および上昇と下降について学ぶ。

02 上級飛行訓練
横旋回、縦旋回を含む、各種の旋回方法について学ぶ。

03 着陸訓練
飛行場への着陸方法について学ぶ。

04 発着艦訓練-発艦編
カタパルトを使って空母から離陸する方法について学ぶ。

05 発着艦訓練-着艦編
飛行甲板に着陸する方法について学ぶ。

06 射撃訓練
空対空射撃の基礎を学ぶ。

07 対地攻撃訓練
空対地射撃の基礎を学ぶ。進入角度と速度が大切。

08 対地ロケット訓練
ロケットを使って、地上の目標を攻撃する方法を学ぶ。

09 水平爆撃訓練
爆撃照準器の使用方法と高高度からの水平爆撃について学ぶ。

10 急降下爆撃訓練
急降下爆撃について学ぶ。

11 魚雷投下訓練
魚雷を使って艦船を攻撃する方法について学ぶ。

・Practice Arena
1 戦闘訓練-対戦闘機編
戦闘機を攻撃する練習を行なう。

2 戦闘訓練-対爆撃機編
爆撃機を攻撃する練習を行なう。

3 近接支援
ロケットや爆弾を使って戦車を攻撃する練習を行なう。

4 洋上攻撃援
爆弾や魚雷を使って艦船を攻撃する練習を行なう。

5 テリトリアルコンクエスト
自国の領土を防衛し、敵の領土を攻撃、占領する練習を行なう。

 ちなみにオフラインゲームモードで、忘れてはならないのが機体のチェックを行なうこと。オンラインゲームで戦果を上げるには、パイロットとしての技量の向上はもちろんのことだが、機体の性能を把握し、その性能をフルに発揮することが必要不可欠である。

 機体のチェックといってもそのポイントは多岐にわたる。旋回性能が良い機体、速度が出る機体、火力が高い機体等、機体性能に差がある。たとえば大日本帝国の零戦は、非常に軽量で旋回性能こそ最大の武器であるのだが、装甲が薄く機体スピードも連合軍のライバル機に遠く及ばない。

 このような性能を持つ機体で、アメリカ合衆国のムスタング等の圧倒的なスピードを持つ機体を相手に後方から戦闘を仕掛けても、スピードに物を言わせて振り切られてしまうことは必至だ。その逆もしかりで、零戦相手に旋回で勝負を挑んでも簡単に撃墜することはできないだろう。

 このようにオフラインゲームで自分が乗る機体のチェックをし、相手にする機体の情報を把握することが、オンラインゲームで有利な戦況を作り出す第一歩なのである。複数の機体を乗り比べて、好みの機体を探し出すという試みは、途中で逃げ出したくなるほど地味な作業だが、オンラインプレイで戦果を上げるために少々我慢が必要である。

三菱・零式艦上戦闘機
第二次世界大戦初期、欧米人の常識を覆させた日本が誇る機体。素晴らしい上昇力、空戦力、そして20mm機関砲を2門という強力な火力を有していた。しかしながらその素晴らしい性能の裏には欧米のような高出力のエンジンの開発ができなかったため、機体の防弾装備を極端に削り、軽さを追求するといった犠牲の上に成り立っていた
メッサーシュミット・Bf.109
シリーズ通算3万機以上もの生産台数を誇ったドイツ軍の名機。小型、軽量で高出力なエンジンを搭載し、安定した操縦性を持つ。ドイツ空軍のエースパイロットらによって、優れた戦術形が作り上げられていった
スーパーマリン・スピットファイア
イギリス本土を守った伝説的機体。ナチスの対英侵略戦である「バトル・オブ・ブリテン」で、ドイツ空軍から本土を守り通した。その美しい機体は戦闘機でありながら芸術作品といっても過言ではない。ドイツ軍のメッサーシュミットとは好敵手と言ったところだろうか
ノースアメリカン・P-51D・ムスタング
第二次世界大戦最高の機体との呼び声の高い米軍を代表する名機。700km/h以上の最高速度を持ち、優れた加速性、運動性を持つ。さらには零戦並の航続距離を飛行できるため、長い航続距離を誇る戦略爆撃機の援護が可能になり、戦略爆撃に必要不可欠な存在であった



■ ビギナー、ベテランも満足の難易度調整

 フライトシミュレータは、機体を空中で制御するだけでも難しい。そんなイメージを持つプレーヤーも多いだろう。実際「Fighter Ace」も高難易度設定では相当難しいゲームになる。しかし、幅広い難易度設定のおかげで腕相応に楽しむことが可能になっている。

 難易度設定は大別して3つに分けられ、初心者でも簡単に機体を操ることのできる初級レベル。可能な限り実機に搭乗している状態に近づけた上級レベル。初級と上級の中間的な操作が要求される中級レベルがある。

 気象や搭乗する機体等を同条件とし、初級レベルと上級レベルを比べプレイしてみたところ、機体の挙動にかなりの違いがあった。たとえば、上級レベルはまったく機体に無理が利かなくなる。上級レベルでは初級レベルの感覚で機体を操作してしまうと、ちょっとした動作で機体がぶれ始めスピンをしながら失速してしまうのだ。

 初級レベルでプレイしている時は、機体の状態に気を使うなんてことは敵機からのダメージぐらいだった。しかし上級レベルでのプレイは、速度や機体の耐久度に気を使わなければ、敵機を撃墜することは到底できない上、自らの操縦で墜落の危機が訪れてしまう。その他には、初級レベルではウイングにダメージを受ける設定はOFFになっているのだが、上級レベルでは100%再現され、急激な旋回操作により、自らの機体を破壊してしまう結果につながってしまうのである。

 初級、中級、上級とレベルは分かれてはいるのだが、細かい設定を行なうことで融通は利く。燃料消費率や弾薬搭載量を無制限にすることや、ブラックアウトやレッドアウトの有無等も選択することができる。上級レベルの基本設定で、弾薬搭載量を無制限にして空中戦を行なうことも可能だ。「Fighter Ace」はかなりの幅で難易度の設定が可能であると言うことから、ビギナーもベテランも満足のいく仕上がりになっている。

 ちなみに、ブラックアウトやレッドアウトとはなにか? これは通常の生活を送っている人間には体験することは無いだろう。空中戦が行なわれている状況下では、機体が上昇降下や高速旋回をし、パイロットの体には通常ではありえないほどの高いGが掛かる。高いGを体に受け続けた場合、パイロットはそのGに耐えることができずに気を失ってしまう。その前触れがブラックアウト、レッドアウトなのである。

 ブラックアウトは、降下から急上昇等の操作を行なうと、頭上から押し下げてくるGが働き、脳や眼球に血液が届かなくなり視界が暗くなったり視野が狭くなる症状がおこる。レッドアウトは、頭上に押し上げるGが働いた場合、過剰に血液が頭部へ集中する。通常ではありえない充血を引き起こし視界が赤くなる。フライトシュミレータでは必ずと言っていいほど再現されている現象である。

多くのフライトシュミレータで再現されているブラックアウトとレッドアウト。「FighterAce」ではこのように再現される


■ さあ、オンライン大戦の大海原へ

 オフラインゲームでパイロットとしての基礎を学んだら、いざオンラインゲームの世界へ。オンラインゲームには世界中からまだ見ぬつわものがごまんと待ち受けている。

 オンラインゲームには大きく分けて「Dogfightind Arena」、「Territorialconquest Arena」の2つのアリーナが用意されている。「Dogfightind Arena」は、「Free for All」と「Nation at War」などのゲームモードが用意されている。

 「Free for All」は空中戦に必要のない要素を省き、空中戦のみに特化したモードと言える。周りにいる全ての機体が敵という過酷な状況の中、頼れるのは己の腕のみ。高度な戦闘スキルや回避テクニックが要求される。四方八方から問答無用に射撃してくる敵機を相手に、どのように有利な展開に持っていくかと頭もフル回転させなければならない。

 獲物としている機体の後ろをやっと取れたと思いきや、実は私を虎視眈々と狙っている機体が後ろを取っている。こんなシチュエーションが毎回のようにくり返される弱肉強食の世界。まさに食うか食われるかである。トップクラスの撃墜数を上げるには相当の腕が必要とされる。

 「Nation at War」は、国別対抗戦(チームデスマッチ)。先のFree for Allとは違い、国別に分かれてのチーム戦のため、個人の技量を他のパイロットが補ってくれる場合が多い。チャットでコミュニケーションをとることによって、味方機と共に敵機を襲うシチュエーションを作り出すことができる。基地の上の制空権を取られてしまうと、基地から飛び立つこともままならない状態になってしまうが、周りにいる機体が突然敵に変わることがないので、ゲームバランス的にはこちらの方が筆者好みであった。

 さて、もうひとつのArenaは「FighterAce」の特徴である、多人数大戦型エアコンバットフライトシュミレータの特性をフルに生かしている「Territorialconquest Arena」である。このモードは自軍の味方と協力し、基地を防衛しつついかに敵軍の基地を攻略するか? といった空中戦に戦略の要素が強く加わったゲームモードである。

 資材や燃料、弾薬等物資面も数値化され物資が足りない等の状況報告がテキストで流れる。筆者のプレイ中には資材や燃料がそこを尽きることは無かったのだが、軍用機を作るためにタンクの資材を投入するといったテキストが頻繁に流れていた。

 これは恐らく、守備に回っているタンク等の数に影響が出てくるものと思われる。内政面もさることながら「Territorialconquest Arena」ではプレーヤーは輸送機、爆撃機等にも搭乗することが可能である。輸送機に搭乗し、空挺部隊を送りこんだり、資材を投下したりすることで自軍の戦果となるのだ。つまり、どのような腕のパイロットでも基本的な理解、共通意識を持っていれば楽しめる仕様なのだ。

 しかし、闇雲に輸送機や爆撃機のような大型機に搭乗して敵基地に向かおうとしても、迎撃してくる敵戦闘機に撃墜されてしまうが関の山である。そこでデフォルトF12キーで作戦提案をし、自軍の戦友に呼びかけることをお勧めしておきたい。チャット等で細かい指示を出し、自軍の爆撃機を援護しつつ敵軍の基地や滑走路を襲う一体感は他のゲームでは味わいがたいものがある。

「Fighter Ace」では、機体にダメージを受けた場所に対して、機体の挙動がリアルタイムに変化していく。たとえば左翼にダメージを受けた場合プレーヤーはジョイスティックを常時右に倒しておかなければ機体は水平を保てずに墜落してしまう。つまり、致命傷を受けなくても機体は確実に自由が奪われていくわけである


■ 意外にも高い要求スペック

 「FighterAce日本語版」の推奨スペックは記事末に掲載しているとおり。これを見る限りシステムメモリーの要求こそ高めだが、2世代ぐらい前のPCでも快適動作をすると思いがちだが、実際は少し違っていた。

 今回の評価プレイでは800×600に画面解像度を設定し、テクスチャのクオリティーや機体ディテール、その他の設定を限界まで上げてオンラインゲームをプレイしてみた。ゲームモードは「Free for All」で、接続している人数は35人。プレイした結果、筆者環境を用いても所々フレームレートの低下を感じた。混戦時に特に低下が激しくなるようだ。

 ちなみに筆者の環境はこのようなPC構成になっている。

[CPU]Pentium 4 2.53GHz
[メモリー]512MB
[ビデオカード]GeForce4Ti4200 128MB

 シングルゲームなら、極端にフレームレートの低下が起こらない限りプレイに支障をきたすことはあまりない。しかしオンラインゲームの場合、極端なFPSの低下はもちろん。多少のFPSの低下でも敵機からの射撃によって撃墜されてしまう恐れがある。敵機の後ろを取っているようなチャンスの場面でもかなりの影響を受けることになるだろう。

 空戦時に高度差などで不利な状況に陥ってしまうのは仕方がないことだ。しかし、システム的な要因であるフレームレートの低下で相手より不利な状況を受けてしまうのはなんとしても避けたいところ。

 空戦時にフレームレートが落ちてしまう場合は、オプションモードで32bitテクスチャー、プロペラ可視や光沢のチェックを外し、機体ディテール等の設定を下げてみることをお勧めする。もっとも、これだと開発者の意図した3D世界を堪能することができなくなってしまう。フレームレート、視覚的クオリティー、どちらも犠牲にしたくないプレーヤーにとっては、かなりのスペックが要求されるゲームといえそうだ。

 多人数大戦型エアコンバットシミュレータだけに、オンラインイベントも活発だ。2チームにパイロットを分け、チーム戦を行なう「FA Japan紅白戦」。「Fighter Ace」を始めて間もないビギナープレーヤーを対象にベテランパイロットが基本的な操作方法を中心に、空戦機動や理論を解説する「フライトスクール」、多数の敵の網をかいくぐり目標に向かってパラシュートで降下する「ピン・ポイント・パラシューティング」。最大速度800kmを超える機体を手足のように自在に操り峡谷をかっとぶ「エア・レース」。これぞと思われるスクリーンショットを募集する「FA Japan戦場写真家コンテスト」など、種類も豊富だ。

 「FighterAce日本語版」はオンラインゲームでの対人戦やコミュニケーションが好きなプレーヤーにお勧めだろう。シングルプレイに飽きたプレーヤーの方はぜひとも購入を勧めたい。体験版もリリースされているので、事前にプレイして購入の参考としてもいいだろう。

コックピット内部のスクリーンショット。精度の点ではマイクロソフトの「Combat Flight Simulator 3」に多少劣るが、機体の数を考えれば、必要充分な再現性といえる

(C) 2002-2003 PCCW Japan Group. All Rights Reserved.


【Age of Mythology】
  • CPU:Pentium III 500MHz以上(Pentium III 800MHz以上を推奨)
  • メモリ:256MB以上(512MB以上を推奨)
  • HDD:450MB以上
  • ビデオカード:VRAM 32MB以上(64MB以上を推奨)


□メディアカイトのホームページ
http://www.media-kite.co.jp/
□「Fighter Ace」の公式ページ
http://fa.vr1.co.jp/
□「Fighter Ace」ジョイスティックプレゼントキャンペーンのページ
http://www.gmani.com/gsoftdetail/face/facecampaign.html
□関連情報
【4月14日】メディアカイト、「Fighter Ace」発売記念イベントを開催
「Fighter Ace ~Air Battle in AsoBitCity~」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030414/mk.htm
【4月11日】メディアカイト、「Fighter Ace」予約キャンペーンを実施
予約者全員にジョイスティックをプレゼント
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030411/joy.htm
【4月11日】「Fighter Ace 日本語版」体験版
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030411/demo0411.htm
【3月27日】メディアカイト、「Fighter Ace 日本語版」を4月25日に発売
96種類の二次大戦機を揃えたオンラインコンバットシム
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030327/fighter.htm

(2003年4月30日)

[Reported by 渡辺 智]


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