「Dark Age of Camelot」は、大規模な対人戦、重厚な世界観、美しい3Dグラフィックなどを特徴とするMMORPGである。その拡張パック第1弾が、今回紹介する「Dark Age of Camelot: Shrouded Isles」だ。本作では、大陸や種族、職業など追加されるほか、グラフィックエンジンやインターフェイスにも手が加えられるなど、盛りだくさんな内容となっている。ちなみにタイトル名のShrouded Isles(シュラウデッド・アイルズ)とは、「隠された島々」という意味だ。
■ Dark Age of Camelotとは?
2001年10月にサービスを開始した「DAoC」は、ファンタジーを題材とした3DMMORPGである。プレーヤーは、フル3Dで描かれたファンタジー世界で、他のプレーヤーと力を合わせてモンスターと戦ったり、クエストを解きながらキャラクタを成長させていく。 ご存知の方も多いと思うが、こういった3DMMORPGは昨今その数が非常に多く、また「Ever Quest」という定番タイトルが既に存在している。「DAoC」ならではの特徴はどこにあるのかというと、国と国が覇権を争う壮大なスケールの対人戦にある。 ざっくりと言えば、一般的な冒険型RPGとして遊べるだけでなく、さらにその先には何十人、何百人で構成されたプレーヤー軍同士が戦う、対人戦の舞台が用意されているのだ。ゲームバランスも良好で、比較的ライトユーザーでも楽しめるよう仕上がっているのが人気の秘密である。 少しだけ補足しておくと、「DAoC」のゲーム世界は、あらかじめ3つの国に分けられている。
・ アーサー王伝説をモチーフとしたAlbion(アルビオン) 上記の3つの国は固有の領土を持っており、それとは別に3カ国共通の戦場(対人戦エリア)が用意されている。各プレーヤーはこの中のひとつを選んでゲームをスタートし、ゆくゆくは他の国のプレーヤーと戦うという構図だ。
本編について今回初めて興味を持ったという人は、「西尾ゆきの海外ゲームレポート」もぜひ合わせて参照していただきたい。
■ 冒険面をさらに充実させるShrouded Isles
先に少し触れたが「DAoC」のゲーム世界は3つに分かれており、それぞれ独立している。本編では、各国につき14のエリアと5つのダンジョンが存在し、4種族と10前後の職業が用意されている。 これを多いと見るか少ないと見るかは微妙なところだ。一般的なMMORPGと比べれば、ひとつの国ですら十分な規模を持っている。ただし、大御所の「Ultima Online」や「Ever Quest」には及ばないといった感じだ。そこで登場したのが今回の「Shrouded Isles」というわけである。 この拡張パックによってもたらされる新要素と変更要素は以下のとおり。
・新大陸の追加-各国にひとつ 追加要素は後術するとして、ここでは改良された部分をフォローしておこう。 まず、グラフィックエンジンの改良だが、「DAoC」では、グラフィックの描画にNumerical Design LimitedのNetImmerseエンジンを採用している。「Shrouded Isles」では、このNetImmerseエンジンのバージョンアップによって、プログラマブルシェーダーにも対応。一段とリアリスティックなグラフィックを実現している。 プレイしてすぐに気がつくのは、背景描写の美しさだ。「Shrouded Isles」では高解像度のテクスチャーを新たに追加した。そのため、全体的に鮮明でシャープな画面になっているのだ。その違いは草木のディテールや、空模様にはっきりと現れている。特に自然さを前面に押し出した空の表現は秀逸である。 エンジンのバージョンアップによってもたらされた大きな変化もいくつかある。ひとつはプログラマブルシェーダーを使った水面の表現だ。多少不自然な感じはあるが、水が波打つ様子や光を反射してキラキラ輝く様子が描き出されている。また光源処理もパワーアップしており、プレーヤーキャラクタやモンスターの影もくっきりと表示されるようになった。 ちなみに、新グラフィックをフルに表示させるためには、NVIDIAのGeForce 3やGeForece 4(MXを除く)か、ATIのRADEON 8500以上のチップを搭載したビデオカードが必要となる。もちろん上記以外のビデオカードでも動作条件を満たしていれば、問題なくプレイできるので安心して欲しい。 次にインターフェイスの改良についてだが、「DAoC」ではコマンド入力に操作を頼る部分が多い。そのためPCゲーム初心者には少々とっつきにくい部分がある。そのような敷居を下げるために、今回新たに2つのウィンドウが追加された。 ひとつは「/Attackw」や「/Follow」などの超基本的なコマンドをボタン化してまとめたウィンドウで、もうひとつはプレーヤーキャラクタ名の表示/非表示や、呪文のエフェクトの表示/非表示といったオプション設定のウィンドウだ。 率直な感想を言えば、現状でもまだ「ゲーム内で解像度やキー配置を変えられるようにして欲しい」とか、「もっとコマンドをボタン化してあらかじめ用意して欲しい」といった不満はあるが、どちらのウィンドウも使い勝手は良好だった。今後もこのような形で改良を続けてくれることを期待したいところだ。
なお、このインターフェイス関連の変更に限り、拡張パックを導入していないユーザーにもパッチで無償提供されている。
■ 数々の冒険が待つ新大陸。推奨レベルは40以上か?
まず、新大陸へのアクセスの方法について。これはシンプルでわかりやすい。「Shrouded Isles」発売後は、それぞれの国にひとつずつ特別な魔法のゲートが追加されている。このゲートを利用するとすぐに新大陸へ行くことができる。非常にあっさりしているが、頻繁に往復することを考えると、このぐらいがちょうどいい感じだ。 次に新大陸のボリュームについてだが、執筆時点で確認できた情報では、各大陸につき、6つのエリアと3つのダンジョンが存在する。従来の世界が、14エリアと5ダンジョンなので大幅にボリュームが増したといえる。探索した印象では、起伏に富んだエリアが多く、またサイズも従来のエリアよりも一回り大きいように感じた。 気になる難易度は、期待通りというべきか、高レベルキャラクタをターゲットとしている。新大陸で冒険するには基本的にキャラクタレベル30以上必要。最も易しいダンジョンでも、レベル50近いキャラクタで構成されたパーティが必須といった感じである(「DAoC」のキャラクタレベルは現在50が上限)。最近始めた人には残念かもしれないが、以前からプレイしている人にとってははうれしい内容だ。
その他にも「Ever Quest」流の「ファクション(派閥)による対立構造」が盛り込まれたり、最近のオンラインRPGでは定番となりつつある「ランダム生成のマジックアイテム」も追加されており、奥深さが増している。ぜひ仲間と共にスリリングでエキサイティングな冒険を満喫してもらいたい。
■ ユニークな新種族と新職業 さて、新大陸はどちらかというとベテランプレーヤー向けだったが、新しい種族と職業は誰もが楽しめる追加要素である。これから始める人にとって選択肢が豊富なことは大歓迎だろうし、ベテランプレーヤーなら、気分転換に新種族で遊んだり、新職業を研究して、対人戦に特化したキャラクタを育てたりと、いろいろな楽しみ方ができる。 ちなみに「DAoC」は、種族と職業を組み合わせてキャラクタを作成する方式である。今回の新種族と新職業も同じ方式なので、新種族で旧職業を選んだり、旧種族で新職業を選ぶといったこともできる。意外にバリエーションは多いので、その組み合わせを楽しんでもらいたい。 それでは、新たに追加された計6の職業と3つの種族を紹介しよう。 ● Albionの新職業
・Necromancer
・Reaver ● Hiberniaの新職業
・Animist
・Valewalker ● Midgardの新職業
・Bonedancer
・Savage
■ 初心者にも挑戦して欲しいMMORPG 「DAoC」初の拡張パックとなった「Shrouded Isles」は、オーソドックスながらよくまとめられている。個人的には、対人戦の側面が今後どうなるのか気になっているが、それはさておき、新大陸はボリュームがあるので、長く楽しめるに違いない。 また、ファンタジー映画を見るような映像美を味わえる今回の拡張パックは、MMORPG初心者にも注目してもらいたいところだ。 初心者にとっては、英語版のタイトルであることが大きなネックだが、国内には多くのファンがおり、いくつものコミュニティサイトがある。また、2002年夏からは日本語マニュアルのついた国内版の販売がスタートし、その敷居はかなり低くなってきている。本格的なMMORPGを体験したい人には間違いなくお薦めできるタイトルなので、この機会にチャレンジしてみて欲しい。 (C) 2002 Mythic Entertainment, Inc. All rights reserved.
□「Dark Age of Camelot」公式ホームページ http://www.capcom.co.jp/capcom-pc/daoc/ □関連情報 【2002年6月10日】カプコン、「Dark Age of Camelot」を7月26日に発売 拡張パック「Dark Age of Camelot: Shrouded Islesa」も発売決定 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020610/camelot.htm 【2001年11月3日】西尾ゆきの海外ゲームレポート 世界でもっとも旬な3D MMORPG「Dark Age of Camelot」 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20011106/yuki01_1.htm 【2001年10月30日】「Dark Age of Camelot」、MMORPG史上最短で有料登録者10万人を達成 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20011030/daoc.htm (2003年1月1日)
[Reported by 下村隆善]
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