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【連載第87回】 あの、おもちゃを徹底レポート




ホバークラフトの走りを完全再現したRC!
TAIYO「EDGE HOVERCRAFT」

TAIYO「EDGE HOVERCRAFT」
発売 TAIYO
価格 89.99ドル (米国、FAO SCHWARZにて購入)
電源 専用充電池 (同梱) 、9V電池×1 (別売)
発売日 発売中



 ホバークラフト! 今ではとんと目にも耳にもしなくなった乗り物だけれど、熱い憧れを抱いていた日々がかつて確かにあった。機体と水面、あるいは地面との間に高速気流を送り込み、その浮力を利用して機体を浮上。猛回転したプロペラが生み出す推進力を利用して前進する……という原理がスゴイ。水はもちろん土の上も難なく走行する「水陸両用」なところもシビレる! そう、今では想像できないが、今からざっと20年以上前の昔、ホバークラフトは「科学の粋を集めた未来型の乗り物」として、当時の子供たちのハートをわしずかみにしていた存在だったのだ。未来が輝かしいものだったあの頃……。

 そんなホバークラフトをそのまま再現したラジコンがアメリカで発売されているという情報をキャッチをした。国内有数のラジコンメーカーとして知られるタイヨーが開発、制作している。良質の科学番組を手がけているディスカバリーチャンネルのオフィシャルショップでも販売されている。……いくつかの断片的な情報を聞くにつれ、興味がムクムクと沸いてきて入手してみることにした。

ビッグサイズのパッケージ。あざやかな色彩も印象的 スカート。プロぺラ。独自のフォルムが美しい



ホバークラフトの機構をそのまま再現!

 はたして到着したブツは、想像通りデカイものだった。成人男性でも片手での持ち運びは厳しめ。両手で抱えてやっとという大きさ。これまで当連載ではアメリカ向けのトイを何度か紹介してきたが、どれも例外なくデカかった。今回も、わずか数センチの食玩に沸く日本をあざわらうかのような巨大ぶり。さすがはアメリカ……と唸らせられる。

 パッケージは英語、マニュアルももちろん英語。だけど、子供向けだけに解読はさほど難しくない。「GOES ON LAND & WATER!」--このラジコンも実物よろしく水陸両用、というわけか。「9 Function Radio Control」--合計9種類の動作が可能。「9.6V RECHARGERABLE BATTERY PACK AND BATTERY」--充電可能の電池と装置が内蔵されているらしい。

 箱から取り出した本体は、ホバークラフトを見事に再現していて、目を見張らせられた。本体を宙に浮き上がらせるスカート。推進力を生み出す2基のラダーとプロペラ。そして乗客を乗せるコクピット。飛行機でもない、船でもない独特なフォルム。見ているだけで、どんどん楽しくなってくる。

 電池を取り出して、充電器にセット。満タンにするのに何時間を要するのか、いまいちわからなかったのでひと晩おいて、翌日に遊ぶことにした。

空気が流し込まれ、膨らんだスカート 本体とはやや不釣合いに大きなプロペラが推進力を生む



地面から浮き上がりスムースに走る!

 ホバークラフトの機構とは正反対に、コントローラーはシンプルなもの。左右のレバーで、プロペラを駆動させる。両方を同時に前倒しにすれば、前進。後ろ倒しにすればブレーキがかかり停止する。片方のレバー軽く前に倒せば、右へ左へと方向を替える。グッと、そして長く倒せば、360度に旋回。……こんな操作になっている。

 本体の電源をオンに。すると、ペチャンコだったスカートが瞬時に膨れ上がり、浮上用のファンがフィィィィィィンと風切る音を鳴り響かせ、にわかに騒然とする。本体は完全に浮かび上がり、プロペラを回していなくても、周囲の風を受けて上下左右にわずかに流れている。ためしに本体を上から地面に押し付けてみたが、気流の抵抗があり接着させることはできなかった。

 コントローラーの左右のレバーを同時に前に押してみる。間髪いれずにプロペラが回転し、本体が前進をはじめた。おっ、おもしろい! 一見すると、床の上を走っているようだ。しかし、その実態は宙に浮かんでいて、抵抗を感じさせず、スッーとなめらかに移動していく。前に動かす。右に動かす。左に動かす。どの動きを見ても、どんな乗り物にも似ていない。ホバークラフトならではの走行を体験できる。ちょっとした空気の流れにあおられて、左右にふらつくのはご愛嬌。ふらつかない本体にするのは重量が必要で、重量があればさらなる推進力が必要となる。オモチャにそれを求めるのは酷、というもの。それよりも、ホバークラフト独特の操作感覚が楽しめる、という良さをじっくりと味わいたい。

コントローラー。アンテナをゴムで覆い、破損を防ぐ配慮がなされている 背面のボタンを押すと、スカートの空気を抜くことができる



水の上も氷の上もオーケー!

 水陸両用、ということで、仕事場の床の上以外での走行も楽しんでみた。まずは歩道。車道をクルマがゴンゴンと走っている横で、スイーッと滑るように走るホバークラフトとの対比が、何より楽しめた。次は、水の上。湖上で……と思ったが、なかなかそうはいかず、仕事場のバスに水をはり、チャレンジしてみた、ひょっとしたら沈んだりして。そんな不安(デカイからね)とは裏腹に、周囲に小さなさざ波を立てて、浮上した。カッコイイ! 前後左右にも当然、動く。ただし1人用のユニットバスゆえ、移動範囲が極めて限られていて、堪能とまではいかなかったのが残念だ。パッケージを見ると、さらに氷上(!)での走行も可能、だという。雪が降り積もった日、あるいはスキーに出かけたときにでも、試してみたい、と思う。

本体の動力は充電電池。電池代がさほどかからない点もいい 懐かしく、それでいて未来を感じさせるフォルム


 最後にちょっとした情報を。このトイは編集部のスタッフがアメリカ旅行にいった際に、購入してきてもらったものだが、その後の調査で、トイザらスなどの一部の店舗のみだが、国内でも販売されていることが判明した。興味のある方は、最寄の大型トイショップなどに問い合わせてみてはいかがだろうか。

スカートのオン/オフ
(MPEG:668KB)

プロペラの回転
(MPEG:923KB)

歩道での走行
(MPEG:821KB)




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(2002年10月31日)

[Reported by 元宮秀介]


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