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【連載第86回】 あの、おもちゃを徹底レポート




走る! 座る! 寝転がる! 一歩進んだロボットトイ
バンダイ「うごくまモーフィン」

バンダイ「うごくまモーフィン」
発売 バンダイ
価格 6,980円
電源 アルカリ単3電池×4
発売日 発売中



 脚本スタンリー・キューブリック、監督スティーブン・スピルバーグ。このふたりの天才が手を組んだ作品として世界中の注目を集めた「A.I./ARTIFICIAL INTELLIGENCE」。結果は賛否両論、どころか否定的な意見のほうが多く感じられる結果だったけれど、誰もが「アッ! これはいい!」と感じるであろうアイディアがひとつあった。孤独な身の上の主人公を助けるペットロボットの「TEDDY」だ。見た目は、まんまクラシックスタイルのティディベア人形。しかし、それが未来の技術によって人間のようにしゃべり、立ちふるまい、行動するのだ。しかもサイズはあくまでヌイグルミ大とあって、かわいらしさ爆発。「うちのヌイグルミもあんなふうに動くといいのになあ」と、多くの人の憧れを誘う魅力があった。

 今回紹介する「うごくまモーフィン」は、そんなTEDDYを彷彿とさせるトイ。誰もが親しみを感じているテディベア人形にロボット機能をプラスした着眼点は、まったく正しい。「この子が人間のように動いてくれたら、もっともっとお友達になれるのに」と小さな子供が思い描く夢が実現するからだ。

 対象は3歳以上という完全な子供向けのトイではあるけれど、e-Toyファンにとっても見逃せないトピックスが、この「うごくまモーフィン」にはある。完全な二足歩行。しかも走る。さらにはしゃがんで、寝転がる。つまり、これまでに発売されたロボットトイから、大きく一歩リードした機能を備えているのだ。これは注目せねばなるまい。

全高約33センチ。小さな子供がギュッと抱きしめてちょうどいいサイズ 一見ごく普通のテディベア。だから親しみがわきやすい



ぬいぐるみが動き出す。そのイメージを大切に

 パッケージの中には、「うごくまモーフィン」の本体と小さな絵本が入っている。この絵本は、「モーフィンに読ませると喜ぶ」というようなギミックがあるわけではなく、純粋に読んで楽しむもの。モーフィンの個性が伝わるエピソードや小さな冒険が描かれており、「モーフィンを好きになって!」と子供たちに向けたメッセージが感じられる。

 モーフィンのサイズは、全高約33センチ。毛並みは手触りがよく、大きな目をしたあどけない表情を眺めていると、ごく普通のヌイグルミのように思えてくる。

 電池は足の裏に入れる。電源スイッチは背中にあり、その開閉口は毛並みに覆われ、すぐには発見できないようになっている。電源の類を見せ付けて、子供の気持ちをいたずらに損なわないようにだろう。そんな配慮が伺える。ボディに組み込まれたスイッチも同様だ。右耳にはリセットボタン。おなかにはだっこをせがむスイッチ。左手には走り出すスイッチ。そして背中には抱きしめるためのスイッチが内蔵されているにも関わらず、それらの箇所を押してみても、いかにもスイッチが入ってます、という感触は伝わってこない。「ヌイグルミが動き出した」という雰囲気を非常に大切にして作られているのだ。

付属の絵本。モーフィンが女の子と友達になるまでのストーリー 電源スイッチは、毛並みの奥深くに隠されている



二足歩行でドタバタと走る!

 電源スイッチをオンに入れる。「モーフィン」がしゃべり出した。「げんきぃ? ぼくとあそぼう!」、「ぼく、げんき!」、「きみのことだいすき!」、「ずっーといっしょにいようね」、「ちょっとおなかへったかも」。そんなセリフが次から次へと飛び出してくる。声色は、低く、そしてすこしダミ声のようなクセがある。ドナルドダックなどの声を思い出してもらうとちょうどいいだろう。

 動きを見てみようと、左手を押してみる。これで走ったり、散歩をしたりするはずだ。「おいかけっこしない?」という掛け声。よしっ、いいぞ。さあ走れ、走れ、はし……あれ、ピクリとも動かないぞ。ひょっとして、これ故障品なのか。不安な気持ちのまま、マニュアルを熟読したら、書いてありました。「電池が消耗すると、一部の機能が正常に動作しない場合があります」。そのとおり、実は最初に入れた電池は、一度ラジコンに使用したものだったのだ。あわてて新品と取り替えると、動いたっ! 「はしるのたのしいね!」と掛け声のあと、身を前にグッとかがめ、両足をドタバタと動かして前に走り始めたのだ。しかも、その歩みの速いこと! 今まで二足歩行を売りにしたトイを何個も見てきたが、現段階ではこれが最高峰だろう。足の裏のローラーを使う擬似的なものではなく、きちんと足を前後させて、力強くズンズンと走るのだ。これはいい。

写真はブレているが、前かがみになってズンズンと前進する 走っているところのムービー
(MPEG:1.15MB)



上半身をむっくりと起こす!いびきでおなかを膨らます!

 次にくしゃみの動作を見てみよう。鼻のスイッチを押すと、立った状態から座りこむまでの動作を披露してくれるのだという。鼻をギュッと押す。「ハックシュン!」。くしゃみが出たようだ。それが呼び水となって、さらに大きく「ばっくしゅん!」。その勢いで前かがみになり、何とか体勢を元に立て直そうとしていたら、バランスを崩し、後ろにバタンと倒れてしまった。そのあと、間髪いれずに、バツが悪そうに「エヘヘヘヘ……」と照れ笑いをしながら、上半身をむっくりと起こす!!! もう一度、くり返そう。

    (1)くしゃみをして前かがみになる。
    (2)体勢を立て直そうとするも、バランスを崩して、後ろにドテーンと倒れる。
    (3)バツが悪そうに笑い声を立てながら、上半身を起こして、座るポーズを取る。

 1万円を切るロボットトイが、ここまで人間くさく、複雑な動作を演じるだなんて! ちょっと感激させられた。

残念ながら座った状態から立ち上がる動作はできない 倒れて座るところのムービー
(MPEG:1.99MB)


 そのままにしておくと、「ちょっと、ねむくなった。ふあああ」としゃべって、再びゴロンと上半身を横たえる。眠るのかと思いきや、「起こして! いっしょに遊びたいよ!」と、オモチャ売り場の子供のように、手足をジタバタとさせる。そうこうしているうちに疲れて眠くなったのか、「ふぐあああああ……」といびきを立てはじめた。そしてなんと、寝息にあわせてお腹を大きく小さく膨らませるのだ! とはいえ、実はこの動作には多少のデフォルメがある。寝たままの状態から足を上下に動かすことで体を持ち上げ、あたかも呼吸しているように見せかけているのだ。だけどそんなカラクリを知ろうとも、ヌイグルミがここまで動くのか! という驚きとモーフィンのかわいらしさは変わらない。

 ほかにも「ねえ、お鼻にキスしてよ!」とキスをせがんで手足をバタバタさせたり、ユーモラスな音楽を奏でながらゆっくりと歩いて散歩をしたり、さまざまな動作を見せてくれる。

眠ったあと、深い呼吸でお腹を上下に動かす キスをおねだりして、手足をジタバタ 深呼吸しているムービー
(MPEG:4.85MB)



 もちろん、A.I.が内蔵されているわけじゃないし、パソコンで動作をコントロールできるわけでもないから、モーフィンがくり出す動作は、いつしか飽きる。大人ならそうだろう。だけど、何も知らない子供がモーフィンを手にして、この動作を見たら、その感激はずっと胸に残るのではないだろうか。

 もうすぐクリスマス。小さな子供にプレゼントをするのなら、この「うごくまモーフィン」……お勧めです。

□バンダイのホームページ
http://www.bandai.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.bandai.co.jp/press/press_P00305.html


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(2002年10月24日)

[Reported by 元宮秀介]


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