編集部がオススメするDCソフトカタログ
【トレーディング・カードゲーム】

MAGIC:The Gathering

●セガ●6,800円●1人
シングルプレイにこだわった至高のカードゲーム

 カードゲームというのはなかなか難しいところがある。無敵のデッキを作るための膨大な量のカード、勝つまでやり込むための自由な時間と環境、そしてこれが一番難しいのだが、相手をしてくれる対戦仲間が必要である。学生の頃はいくらでもいたそういった仲間が、社会に出た途端、まわりからいなくなる。それでもカードゲームへの飢えは一定の周期で確実にやってくるから、何らかの代替処置を取る必要に迫られる。それがDC版「MAGIC:The Gathering」というわけだが、余談はまだまだ続くのである。

 ネット社会の現代では、その気になればすぐ仲間を見つけることができるし、カード集めに関しても便利な店がたくさんある。実際問題、どうにも我慢がならなくなったとき、お店に入って綺麗に並べられたカード群を眺めてみたり、同好の士が集まるBBSを覗いたりした。しかし、結果としてそういった手段の最後の一歩を踏み出さなかったのは、どうやらことの本質はそういうことではないからのようで、今回、紹介記事を書くにあたり、このあたりの事情について冷静に自己診断してみた。

 結論として私は「発作が起こったときだけ徹底的に好きなだけやりたい」のである。つまり、前日にしっかり準備をして、当日仲間とワイワイ騒いでといったカードゲームに付随する一連の楽しみをそぎ取ってでも、カウンターを当てる妙味やパワーで押し切る醍醐味、窮地を天使が救ってくれる安らぎなど、純粋にカードゲームのおもしろさだけを味わいたい。10年前なら「そんな馬鹿な話があるか」と一笑に付されるところだが、一昔前まではマイピックのPC版「MAGIC:The Gathering」(第4版使用、生産終了)があったし、今ならDC版もある。ともかくも、こういったミクロ的な愉しみ方が存在しうるのもコンピュータゲーム全盛の現代ならではといえるし、そういった愉しみ方があってもいいと思うがどうだろうか。

 さて、ようやく本題、DC版「MAGIC:The Gathering」の紹介に入りたいところだが、GameJamレポートレビューという2度の紹介記事で書きたいことはすべて書いてしまっているので、実をいうと書くことがない。最後にひとつだけ付け加えておくと、DCユーザーのほとんどがご存じのように、DC版マジックの後を追うように「カルドセプト セカンド」が発売された。マジックがネットワーク対戦に未対応なのに対し、この純国産カードゲームはしっかり対応しており、連日連夜、日本中のユーザー同士で対戦が盛り上がっている。私も熱心なファンのひとりだが、それでマジックをやらなくなったかというと、まったくそうではない。これはやはりマジックだけが持つ史上最高の奥深いゲーム性と、「徹底的に好きなだけやれる」シングルプレイにこだわったつくりゆえだと思う。どちらも秀作でやり込むには時間が掛かるが、相手は逃げない(売り切れになる可能性はあるが)ので自分のペースでぜひ試してもらいたい。

こだわりぬいたシングルプレイのための作りがこのゲームの魅力


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