先行レビュー

【ポケモン】「よけろ!ピカチュウ!」を実際に口にできるボードゲーム「お前、もしかしてロケット団?」先行プレビュー

【お前、もしかしてロケット団?】
11月12日 発売予定
価格:2,200円

 ポケモンは11月12日に、情報秘匿型のボードゲーム「お前、もしかしてロケット団?」の発売を予定している。開発元は株式会社ポケモン、そしてYOKA Gamesが本作の開発に携わっている。

 今作は相棒として選んだポケモンと共にカードを駆使して独自のポケモンバトルが楽しめる作品で、プレーヤーはそれぞれが担当する役割を秘匿しながら自身の勝利条件を目指すゲームだ。「ポケモンカードゲーム」とも異なる今作ならではの戦略性と、ボードゲームならではの複数人で盛り上がれるゲーム性、そして新たに描き下ろされたポケモン達の姿を楽しめたりとファン必見のアイテムとなっている。

 今回はそんな本作を一足早くプレイできたので紹介したい。

ゲームルール

 まずは本作のルールを簡単に説明しよう。本作は4~6人でプレイできる情報秘匿型のボードゲームで、プレーヤーは最初に相棒となる「ポケモンのカード」1枚と自身の勝利条件が記載された「役割カード」を1枚ずつ与えられる。「ポケモンのカード」にはそれぞれ異なるユニークな能力が備わっており、全プレーヤーが共有する山札から加わる様々なサポートカードと合わせて他の対戦相手のポケモンとバトルさせながら、自身の勝利条件を達成するのがゲームの大枠だ。

【商品内容】
【ポケモンのカード一例】
カントー地方のパートナーポケモンなども大集合!

 「役割カード」は4種類存在し、勝利条件の特徴としては”どの役割をどの順番で退場させるか”が重要となっている。

 ゲームの最初に唯一存在が公開され、全ての「挑戦者」と「ロケット団」を退場させれば勝利となる「ジムリーダー」。自分が「ジムリーダー」を退場させれば勝利となる「挑戦者」。「ジムリーダー」と協力して自身が退場させられてしまったとしても最終的に「挑戦者」と「ロケット団」を退場させれば勝利となる「ジムトレーナー」。「ジムリーダー」以外のトレーナーを全て退場させた状態にした上で、最後にジムリーダーを退場させる事ができれば勝利となる「ロケット団」。

 これら各役割の配分としては「ジムリーダー」1人、「ロケット団」1人、「ジムトレーナー」と「挑戦者」は最大3人となる。

 それぞれがポケモン世界の住人をモチーフとした役割となっていて、印象としては今作のタイトルにもなっている「ロケット団」がバトルの鍵を握るトリッキーな存在として華のある役職という印象だ。

 「ジムトレーナー」は「ジムリーダー」をサポートするように動いたり、「挑戦者」は正体がバレないように立ち回りながらチャンスを見つけて「ジムリーダー」の首を狙っていく。「ロケット団」に関しては状況に応じて「挑戦者」のフリも「ジムトレーナー」のフリも有効になるので器用な立ち回りが求められたりと、ポケモンバトルをベースにしながら”嘘”が絡む情報秘匿型ゲームらしい面白さを味わう事ができる。

【役割カード一覧】

 次に実際のポケモンバトルのシステムについて紹介しよう。バトルに使用するのはプレーヤーが最初に選んだ相棒の「ポケモンのカード」と、共通の山札から手札として毎ターン補充できる「プレイカード」だ。

 プレーヤーは自身のターンに手札とポケモンの能力を駆使して、他プレーヤーに攻撃やサポートを行なう事ができる。初期手札は4枚で、毎ターン2枚のカードを共有デッキからドローする事ができ、自分のターンの終了時に手札が4枚になるように捨てなければならないルールだ。

 そしてバトルの根幹を握るのが「くらえ!」と「よけて!」の2種類のカード。「くらえ!」は使用する事で1ターンに1度ポケモンのわざをつかって相手に攻撃を仕掛けられるカードで、「よけて!」はその名の通り攻撃のターゲットになった際にその攻撃を避ける事ができるカードだ。この2種類のカードは他のサポートカードの能力でも参照されることも多い印象で、本作の基盤となる存在だった。

【「くらえ!」&「よけて!」のカード】
”ポケモンらしい掛け声”を実際に口にできるのが楽しい2枚。「くらえ!ピカチュウの10万ボルト!」や「よけろピカチュウ!」が実際のゲームプレイで体験できる

 他の「プレイカード」もバトル状況を大きく変化させるカードが多数存在する。カードタイプとしてはポケモンに1つだけ持たせて効果を常時発揮できる「もちもの」、ポケモンの回復やレベルアップなどが行なえる「どうぐ」、他プレーヤーの手札を奪ったりダメージを与えたりするなど、大きなアクションが可能な「イベント」の3種類のカードだ。

 これらのカードで自分の選んだポケモンの能力とコンボを狙ってみたり、サポートカードも他のプレーヤーに使用する事ができるので味方(だと思う存在)を助ける事ができたりなど、ゲーム内で柔軟な立ち回りができる事も多いのが特徴だ。

 また「プレイカード」にはそれぞれ左上に「おてんき」という属性が書かれており、同名カードでも「おてんき」が異なっているカードも存在している。山札の上をチェックするタイミングや手札に対応するおてんきを要求する場面など「おてんき」を参照とする能力が本作には度々登場し、運要素の一部としてゲームを盛り上げるスパイスとなっている。

 カードゲームらしい面白さを兼ね備えながら勝利条件によって立ち回りが変わったり、派手なアクションでヘイトを集めると集中的に狙われてしまったりするなど、パーティーゲームらしさも存分に楽しめるバランスの取れたシステムとなっていた。

【もちものカード】
【どうぐカード】
【イベントカード】

実際にプレイ! 本作のトリックスター「ロケット団」視点での面白さを体験

 ここからは実際にプレイした際のゲーム体験をベースに、細かなルーリングを記載しながら本作の面白さを紹介していこう。

 まず最初に役割カードがランダムに与えられたのだが、今回の試遊では運良く一番本作の花形と言ってもいい役割の「ロケット団」を引く事ができた。勝利条件の難しさはピカイチだが、どの役割にも偽装するメリットがある非常に面白い役割なのでニヤニヤが止まらない。

 筆者がプレイしたテーブルでは5人のプレーヤーが参加し、「挑戦者」が2人で他の役割は1人ずつというルールでのゲームとなった。

【「ロケット団」カード】
30年以上生きてきたが”ロケット団になる”という実績を解除するとは思わなかった

 次に今回のゲームで相棒となるポケモンを選ぶ。今回筆者達が遊んだルールは初心者でも簡単にプレイしやすい基本ルールとの事で、最初から進化後のポケモンを使用できるド派手な展開が特徴の形式となっていた。

 玄人ルールだとポケモンの進化要素が加わったり、手持ちのポケモンが2匹になったりと、より戦略性の高いゲームを楽しむ事ができるらしい。

 本作に登場するポケモンカードの枚数は60枚も存在しているのだが、相棒を選ぶ際は自由に選ぶのではなく、ランダムに配られた2枚のポケモンカードの中から1枚を選ぶ方式が推奨されていた。

 順番が「役割を決める→相棒ポケモンを選ぶ」という形式なので、自身の役割とマッチしたポケモンを考えて与えられた選択肢の中からどちらが有効かを選ぶのが勝利のカギとなるだろう。

 今回筆者の手元に来たのは「ヤドン」と「ヒトカゲ」のカードで、進化後の「ヤドラン」と「リザードン」を今回のルールでは使用可能だった。

 相手からのダメージを受け流す能力を持つ「ヤドラン」と、自身の体力を削って大ダメージが狙える「リザードン」は対極の性能と言っても過言ではない2匹だ。「ロケット団」の勝利条件を踏まえると最後まで生き残る事が重要そうだったので、今回は「ヤドラン」をピックしてゲームに挑戦する事にした。

【相棒ポケモンの選択】

 ゲームが開始するとお互いに様子見をするフェーズが何ターンか続いたが、最初に動いたのは「挑戦者」のプレーヤーだった。

 唐突に「ジムリーダー」を集中的に攻撃し始めたので、全員の共通認識として攻撃を仕掛けたのは「挑戦者」なのだろうと判明する瞬間だ。この時の「挑戦者」のプレーヤー曰く「準備が整ったし自分がジムリーダーを攻撃し始めれば味方の他の挑戦者も動きやすいから」という事で、非常にゲーム性を理解しているアクションだったことが分かる。

 「ジムリーダー」の選んだ「ガラガラ」と、「挑戦者」が選んだ「ガルーラ」がお互いのターンにバチバチに殴り合う展開が繰り広げられる。

【対面のポケモン達】
積極的な「ガルーラ」の攻撃をなんとか凌ぐ「ジムリーダー」のガラガラ! この対面しているお二人は同じメディアの同僚だったらしいのだが、真っ先にガチンコバトルを始めたのが非常に面白かった

 このタイミングで加勢するプレーヤーがいれば「挑戦者」の2人が割れるのだが、今回の試合ではもう1人の「挑戦者」はここで正体を秘匿するプレイを選択したようで派手な攻撃には加勢しない。残りの2人のプレーヤーは自身が選んだポケモンの強化や準備を優先したので、まだ役割が確定できない状況でゲームが進行することになる。

 複数体攻撃とサポートを行なえる「ウインディ」と、いやらしい能力を持った「サンドパン」がそれぞれ睨みを効かせた状態で「ジムリーダー」と「挑戦者」のバトルは続く……!

【ウインディ】
ダメージ量が増加する「プラスパワー」を使用してビックアクションの準備を進める。役割を隠すために全体攻撃で程よく全員を攻撃していたら、全員から殴り返しを貰ってピンチになっていたことも……!
【サンドパン】
「もちもの」を持たせて回復、自身の特性で生存力を上げるといったプレイで様子を見る「サンドパン」。派手なアクションを見せないので「ジムトレーナー」か「挑戦者」かは判断つかない状態だった

 「ロケット団」の筆者はここで「ジムリーダー」を倒される訳にはいかないので、自分を「ジムトレーナー」だと偽装しながら「ジムリーダー」をサポートする事にした。

 「くらえ!」の代わりに手札2枚を捨ててわざを使用できる「きあいのハチマキ」を持たせて「ヤドラン」を強化し、「みらいよち」でダメージを与えながら山札の上を操作して手番が筆者の2個先だった「ジムリーダー」に強力なカードが渡るようにゲームメイク。事ある毎にジムリーダーに向かって「そちら、僕からの贈り物です」と伝えて恩を着せまくるのが面白く、「ヤドラン」の強みを十分に体感できた要素となっていた。

【ヤドラン】
毎ターン「みらいよち」を撃てる状態にしてジムリーダーに強力なカードが渡るようにサポート!
相手の手札から1枚盗める「バリヤードのトリック」がジムリーダーに渡るように山札を操作したら2枚目を持っていて大波乱となった。「よけて!」を軒並み奪われた状態で「挑戦者」を追い詰めることに……!

 献身的なサポートが実ったのか「ガルーラ」を退場させる事に成功し、もう一人の「挑戦者」の疑惑をかけられた「ウインディ」の退場にも成功した。HPが0になって退場した際は「役割カード」を表にして自身の身分を公開するルールなので、この段階で「挑戦者」は全て居なくなった事が判明する。

 次に勃発したのが「ジムトレーナー」の信用勝負で、お互いに様々なアプローチでジムリーダーをサポートしながらもう一人を退場させるためにバトルする展開へ。

退場した際は役割カードを全て公開する

 「ジムリーダー」はどちらが「ロケット団」でも大丈夫なようにバランスよく攻撃をしてくるので、筆者目線では早々に「サンドパン」を倒さないとジリ貧な状況だ。

 バトルの途中には直接ダメージを狙える「ライバルからの挑戦」をイベント打消しカードである「フリーザーの守り」で防いだと思ったら、それを打ち消すように「フリーザーの守り」を使われたりと、非常にカードゲームらしい攻防が繰り広げられる。

 最終的には「ジムリーダー」の攻撃と合わせる形で「サンドパン」を上手く退場させる事に成功し、あとは「ジムリーダー」を退場させるだけの状態まで試合を運ぶことができた。

 最後の一騎打ちになった瞬間、自分の役割が「ロケット団員」だと全員にバレるのだがこの瞬間が最高に気持ちいい! 情報秘匿型ゲームのカタルシスも存分に味わうことができた。

「ジムリーダー」を残し全滅させたのでゲームはついにラストスパートへ……!

 ここで筆者の誤算だったのが、ゲームの途中まで「ジムリーダー」に「みらいよち」で強いカードを渡し過ぎた事で一騎打ちがメチャメチャ苦しかったという点だろう。さらに「サンドパン」からのダメージも引きずっての勝負だったのでボロボロの「ヤドラン」でバトルを継続しなければならず、常に劣勢を強いられることになる。

 ここで活躍したのがゲーム中盤から必死に集めていた「どうぐカード」の「キズぐすり」だ。このカードはHPが無くなった際に2回復して復活できる能力を持ち、番に1回しか実質ダメージを受けない「ヤドラン」の特性「どんかん」と組み合わせる事で確実に1つの番を生存できるコンボが可能なのだ。

手札に「きずぐすり」は3枚なので実質3回復活できる状態で一騎打ちへ……!

 しかし相手の「ジムリーダー」も戦いの中で徐々に対策カードを引き込んでいく。「ガラガラ」のわざ「ホネブーメラン」は実質2回の攻撃が可能な事を利用し、攻撃がヒットした際に相手を特殊状態にする「おうじゃのしるし」や「どくバリ」などの「どうぐ」を組み合わせて苛烈なコンボ攻撃を繰り返したのだ。

 熾烈な削り合いの中でついに「ヤドラン」が毎番ダメージを受けてしまう「どく」状態になってしまい、「キズぐすり」が足りなくなって筆者も退場となってしまった。

 途中までは良い感じにゲームメイクできたように思いつつ、最後の最後で「ジムリーダー」に敗北するという非常に惜しい結果となったが、本作の面白さを存分に味わい尽くせた一戦だったとも思っている。

 最後の一騎打ちではお互いに「プレイカード」と「ポケモン」の能力を組み合わせたコンボで戦う強い”カードゲーム性”が、ゲーム中盤の正体を秘匿しながらそれぞれの思惑で誰かをサポートする展開は”このゲームらしさ”が存分に発揮されていたワンシーンだろう。

 筆者自身も敗北はしてしまったが、「ロケット団員」という立ち回りが独特な役割を存分に楽しめたゲームだったと個人的には感じている。

激戦を繰り広げた後の感想戦がまた楽しい! お互いに「あそこのプレイはこういう意図で~」という答え合わせをしてみると相手の深いプレイングも分かって非常に勉強になった

 今回は時間の関係上1戦しかプレイできなかったが、パートナーポケモンの数だけ戦い方が変わるゲーム性は何度も遊びたくなる非常に高い戦略性を秘めた作品だったと筆者は感じた。

 ゲーム終了後に他のポケモン達も少し拝見したが、全員独特の能力を持っているので、与えられた「役割」と組み合わせて無限のプレイスタイルが存在するのは本作のポイントだと言えるだろう。

 今回販売されるセットでは多くの「ポケモン」プレーヤーに馴染み深い「カントー地方」のポケモン達から各カードが選出されているとの事なので、お気に入りのポケモンを見つけてみるのも楽しいだろう。

【ポケモン一例】
上級者向けのルールでは「進化」要素も組み込まれるため、全ての「ポケモンのカード」が両面+中開きカードとなっている。カントー地方では進化しなかったポケモンもカードが強化されるという形式で進化システムを取り入れているものもあった

 今回プレイできなかった上級者向けのルールと合わせて遊びのバリューがとても広いタイトルとなっていたので、ボードゲーム好きにも「ポケモン」ファンにもぜひ一度遊んでみてほしい作品となっていた。

 本作はゲームマーケットでの出展やポケモンセンター等での体験会などのイベントを予定しているとのことなので、気になる人はぜひ続報を追ってみてほしい。