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大幅延期のクライムアクションFPS「バトルフィールド ハードライン」はどうなる?

鋭意製作中のVisceral Games クリエイティブディレクターインタビュー

9月18日~21日 開催(一般公開日 20日~21日)

会場:幕張メッセ1~9ホール

入場料:

前売り 1,000円

当日 1,200円

小学生以下無料

ブースでは本作を大々的にフィーチャー

 大人気「バトルフィールド」フランチャイズの最新作として2015年春の発売を目指す「バトルフィールド ハードライン」。当初の発売予定だった2014年10月からおよそ半年の延期となったわけだが、その背景には開発元Visceral Gamesによる完成度への強いこだわりがあった。

 TGS 2014のエレクトロニック・アーツブースでは、ブースの大半を使って本作を大々的にフィーチャーしており、イチオシの注目作品であることは間違いない。また、これに合わせて本作のクリエイティブ・ディレクターを務めるIan Miham氏が来日。よりよい形を目指してブラッシュアップ中の本作について、現在の状況と製品版に向けての話を聞くことができた。

ブースには16台の試遊機があり、「ホットワイア」モードの対戦プレイが可能
「ホットワイア」は乗り物中心のゲームモードで、非常に展開が早い。凄まじい勢いで箱乗り状態の両チームの車両が行きかい、ものの5分程度で勝敗がつく感じだ。

「ハードライン」らしい面白さをさらに広げ、磨くための延期。毎日テストプレイ!

Visceral Games クリエイティブ・ディレクター Ian Miham氏

─── Ianさんのプロジェクトにおける役割を教えて下さい。

Ian Miham氏: クリエイティブ・ディレクター、またアート・ディレクターとして、作品の世界観をまとめる役割をしています。ビジュアルとゲーム体験をひとつに繋げることが主な仕事です。

─── 何度も聞かれたかと思いますが、発売を延期した理由を教えて下さい。

Ian Miham氏: ゲームの完成度を最善のものに仕上げるためです。6月に実施したβテストではプレーヤーのみなさんからたくさんのフィードバックをいただき、作品にもっと手をかけるべき部分が見えてきました。また、自分も1人のゲーマーとして本作をさらに磨き上げる必要性を感じていました。延期は一時のことですが、出来の悪いゲームは一生残ってしまいますので。

─── βテスターのフィードバックには、ネガティブなものが多かったのでしょうか?

Ian Miham氏: いいえ、ポジティブでもネガティブでもなく、「もっとこうしたら面白くなるのでは」というようなアイディアの提案が多かったです。βを提供するときに私達が一番心配していたのは、従来の「バトルフィールド」からあまりにもかけ離れていることをファンに嫌がられることだったのですが、実際は逆でした。従来作に合わせようとしてβを提供したら、もっと違うほうがいいという声が多かったのです。ですから、もっと時間をかけて、全く違うものを作ろうと考えました。

─── 犯罪がテーマということで、軍事バトルの「BF」とは毛色が全く違いますものね。

Ian Miham氏: はい。開発当初はβよりももっとたくさんのゲームモードが考えられていました。強盗とかカーチェイスとか、いろいろです。βを通じて、そういった本作のユニークな部分ににいま1番手応えがあるように考えています。

─── クライムアクションとしては「PayDay」シリーズが人気ですが、本作にはその雰囲気や、あるいは捕虜を救出するモードは「Counter-Strike」的な雰囲気を感じます。やはりいろいろなゲームを参考に?

Ian Miham氏: もちろん、私達の開発チームメンバーは全員がゲーマーで、たくさんのゲームを遊んでいます。ですが「BF」は、そのものがとても深いゲームプレイを含んでいて、ユニークです。ミッション、チームワーク、車両によるアクション、それに“Levolution”など。私達としては、他のゲームを真似するより、「BF」の可能性を最大限に活かすことを考えてゲームを製作しています。

─── 「BF」は、マップが巨大で、車両と人が入り乱れ、非常に幅広いスケール感が特徴ですね。これをきちんとまとまったゲームに調整するのは至難の業だと思いますが、やはり開発の苦労はありますか?

Ian Miham氏: そうですね、そこは確かに大変難しいテーマです。開発チームメンバーは毎日毎日プレイテストをしていて、プレーヤーの視点で細かい部分のバランスにまで目を光らせています。ゲームのバランスは新しいものを追加することに対してすごく敏感で、バラエティを広げるのがとても難しかったのですけども、やりとげることができたと思っています。

─── では現在は完成度を上げるためのブラッシュアップが開発の中心になっているということですか。

Ian Miham氏: そうです。開発チームは毎日プレイして改善を続けていますし、専属のQAチームも1日中プレイして、問題を報告してくれます。マップも何十個も作って、テストしています。ただ、全体のスケジュールを管理するプロデューサーは「もうあまり要素を追加しないでくれ」と言うのですが、私達のようなクリエイティブを担当する人間はもっと新しいフィーチャーを追加したり、変更したりしたがるので、そのせめぎ合いが大変です(笑)。

─── なるほど。しかし、開発の皆さんはそれだけ毎日プレイしているのなら、かなりの腕前なんでしょうね。βテストにも混ざっていましたか?

Ian Miham氏: そうですね、ベータの時には開発チームのメンバーも参加していました。ただ、名前は変えていますよ。プレーヤーにバレてしまうと、質問攻めに合ったり、集中的に殺されたりしてゲームに集中できませんので(笑)。

製品版ではさらなるモード、コンテンツが。ローンチ前にはもう1度βテストも!

─── 現在、βに搭載されていた2つに加えて捕虜救出とカーチェイス、全部で4つのゲームモードが公開されていますが、製品版ではさらに多くのモードや、コンテンツが実装されますか?

Ian Miham氏: はい。さらに4つほどのゲームモードと、3つの新マップなど、たくさんのコンテンツが追加されます。それに、製品版に含めるかどうかはっきりと決まっていないものも含めて、まだまだたくさんのアイディアがあるんですよ。

─── 「BF」本編との関連でいうと、さらに戦車等のミリタリーよりの乗り物や、海メインのマップ等も登場してくるんでしょうか? ソマリアの海賊プレイなど楽しそうですが(笑)。

Ian Miham氏: ソマリアの海賊は出ませんが(笑)、海を含むマップは入りますし、ボート系のユニットも一揃い登場します。「BF」本編のようなミリタリーよりの車両は、少なくとも当面はなさそうですね。私達としてはまず、作品のテーマに沿うようなユニットを出していきたいと考えていますので。

─── 「BF4」ではコマンダーモードが搭載されていますが、本作でも製品版ではそういった要素が搭載されますか?

Ian Miham氏: コマンダーモードではないのですが、そんなような方向性で、かなりイケてるアイディアがあるんですよ。期待していてください。

─── 本作は犯罪をテーマとすることで、ときおり一般マスコミにやり玉にあげられる「ゲームと犯罪の関連性」が指摘されそうですが、そこについて気にしたりはありましたか?

Ian Miham氏: いいえ、全く。私達は警察のタクティクス・シミュレーションを作るつもりはなくて、あくまで映画的なクライム・ドラマファンタジーを作ろうとしています。現実世界との接点というようなものは全然考えてなくて、荒唐無稽でも楽しければそれでよし、という考えです。

─── 「BF」は発売後も通年でたくさんの拡張パックがリリースされ、ゲームモードやマップが拡大していきますが、本作でも同様のビジネスモデルを考えていますか?

Ian Miham氏: 現在は製品版にベストのコンテンツを入れることだけを考えて開発していますので、はっきりとしたことは言えませんが、同様の形で発売後、ゲームを拡張していく可能性はあると思います。いずれにしても、まず製品版が最高のものに仕上がってから考えていきたいですね。

─── 最後のβからだいぶ時間が経って、テスターの皆さんも忘れてしまうころかと思いますが、また新しいバージョンでβテストは実施する予定ですか?

Ian Miham氏: はい、やります。発売の1カ月ほど前に、全プラットフォームでβテストを実施する予定です。もっと面白い「ハードライン」が確かめられると思いますので、ぜひ参加してください。

───期待しています。引き続き開発をがんばってください。ありがとうございました。

(佐藤カフジ)