DeNA、「MobageオープンプラットフォームForum」
守安功氏が登壇したMobage概況、グローバル展開についての講演などを紹介
株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)は4月25日、「MobageオープンプラットフォームForum - 国内外、成長の方程式 -」を開催した。
今回で4回目を迎えるこのフォーラムはソーシャルゲームデベロッパーを対象に、DeNAが運営するソーシャルゲームプラットフォーム「Mobage(モバゲー)」の国内外の概況や、ソーシャルゲームのグローバル展開について、DeNAの2012年以降の方針や戦略を発表した。
この記事では、DeNA代表取締役の守安功氏の講演から、DeNAのグローバル展開の成果と、ソーシャルゲームの世界進出についてをまとめ、お伝えする。
【フォーラムの様子】 | ||
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講演やパネルディスカッションだけでなく、横浜DeNAベイスターズのマスコット「スターマン」の登場や選手からのビデオレターなどもあった |
■ 国内で大きく成長したMobageとグローバル展開の成果
DeNA代表取締役の守安功氏 |
ウォルト・ディズニー・ジャパンのゼネラルマネージャーのジャスティン・スカルポーネ氏 |
フォーラム開始に先立って登壇した守安氏は、まず2011年度を振り返った。国内については「モバゲーコインの売り上げは1月から3月で約500億円、年間で2,000億円になる大きなプラットフォームに成長できた」と説明、特にサードパーティタイトルの売り上げが大きく伸びており、昨年度と比較すると4~5倍になったという。
海外については「クロスボーダー、クロスデバイス戦略でいくつかのリージョンに分けてプラットフォーム展開を進めている。結果として欧米、中国、韓国という4つのプラットフォームをローンチし、アンドロイド、iOSを含めて展開している」と語った。
特にグローバルでの大きな成果として、USのMobage Globalで提供している「Rage of Bahamut」がGoogle Play(旧Android Market)の全Androidアプリ売上ランキングで米国1位を獲得したことを挙げた。このタイトルは国内で提供されている「神撃のバハムート」というソーシャルRPGを英語化したもので、守安氏は「2012年はこういった実績をどんどん出していきたい」と語り、引き続きグローバル展開に注力していく姿勢を見せた。
DeNAは3月30日にウォルト・ディズニー・ジャパンとソーシャルゲーム事業の国内外の事業提携を結んだ。この提携について今後の展望をウォルト・ディズニー・ジャパンのゼネラルマネージャーのジャスティン・スカルポーネ氏がDeNAとの提携について語った。
「ディズニーといえばテーマパークや映画などの印象が強いが、携帯電話向けのコンテンツも提供している。最初は待ち受けからスタートし、時代の流れとともに、音楽からデコメールなどと変化してきた。今まではフィーチャーフォンの国内配信がメインだったが、今回の取り組みによって、初めて日本で作ったコンテンツをグローバル展開できるという嬉しい局面に入った」と今回の提携による大きなメリットを説明した。
3月28日に配信を開始した「ディズニーパーティ」、「ディズニーファンタシークエスト」については、「順調なスタートを切った」と話した。また今年の夏を目処に「MARVEL」のゲームを公開する予定だという。「MARVEL」は欧米に強いIP(知的財産)で、日本でもフランチャイズとして強めていきたかったので、DeNAと共同開発する今回のタイトルは社内的にも注目度が非常に高いそうだ。
最後にジャスティン氏は「日本の市場は長いゲーム業界の歴史に豊富な実績がある。DeNAのグローバルネットワークのおかけで日本発のディズニーコンテンツをグローバル展開できるのは嬉しい。DeNAとはこれからも長くガッチリとタッグを組みながらグローバル展開をしていきたい」とまとめた。
2011年度の振り返り。大きく成長し、グローバル展開を進めている | ||
ディズニーとの提携で、ディズニーコンテンツのグローバル展開していく |
■ 日本のソーシャルゲームは海外にも通用する。DeNAの今後の戦略は?
ngmoco,LLC CEOのNeil Young氏 |
守安氏は続いて、DeNAの今後の戦略について話し始めた。守安氏は日本のプラットフォームについて、「現在展開している4カ国の中でもっとも大きなマーケットとなっている。今の課題としては今のカードバトルゲームをどう進化させていくかということと、それに頼らない新しいゲームのジャンルを作っていくことが重要だ」と話した。
米国については「成長期に入ったと思う。今出て行かないでいつ出て行くんだというタイミングで、デベロッパーの皆さんには最優先でタイトルを提供して欲しい」と話した。
米国の状況についてngmoco,LLC CEOのNeil Young氏は「欧米の市場が日本のソーシャルゲームデザインノウハウを受け入れ始めている」と話し、その具体例として「忍者ロワイヤル」や「SKYFALL」を挙げた。
そして成功要因として「カードバトル系のゲームシステムはイベントを導入するとARPDAU(デイリーアクティブユーザーあたりの平均収益)を飛躍的に向上させられる事」、「AndroidとiOSの両プラットフォーム向けに開発する事」、「各言語へのローカライズをする事」、「テーマやアートについて各国の文化にあわせた調整をする事」を挙げた。
具体的には、「日本で人気のある農場ゲーム『農園ホッコリーナ』は非常にシンプルなグラフィックスだが、欧米の農場ゲームではもっとリアルなグラフィックスが求められている。またキャラクターにも違いがあり、日本ではアニメや漫画スタイルのキャラが人気があるが、欧米ではもっとリアルなグラフィックスの必要がある」と説明した。
「怪盗ロワイヤル」をきっかけとしてソーシャルゲームが爆発的に広まった日本。「Rage of Bahamut」は、欧米版「怪盗ロワイヤル」になり得ると守安氏は示した |
最後に守安氏は欧米向けのソーシャルゲームの開発について、「日本のタイトルをそのまま持って行っても成功する。今までは欧米はアプリじゃないと難しいと言われていたがそうでもない。ブラウザでもいけるというのがわかった」と話し、「日本で成功したソーシャルゲームはなるべく早く欧米市場に展開するべき。テーマやアートにもよるが、みんな作り始めると思うので乗り遅れないようにしたほうがいいと思う」と日本発のタイトルのグローバル展開について話した。
また開発方法についても「これまでの開発はフィーチャーフォンに最適化したあと、スマートフォンに移植していた。また欧米版は移植するのではなく、アプリから作り直すというのが一般的だったが、欧米でもWebで通用すると思うので、アートやテーマで欧米受けするものを選び、スマートフォンで同時に世界展開を狙っていくという手法に変わってきたのではないか」と話した。
日本のソーシャルゲームは欧米でも通用する | ||
グローバル展開を前提としたこれからのソーシャルゲーム開発 |
(2012年 4月 26日)