フジテレビ、「2012年度ゲームラインナップ発表会」を開催

「テルマエ・ロマエ ネットでガチャガチャ」、「Numer0n」など、スマホソーシャル事業に本格参入


3月28日開催

会場:フジテレビジョン本社



 株式会社フジテレビジョンは3月28日、本社のマルチシアターで「フジテレビ2012年度ゲームラインナップ発表会」を開催した。この発表会では、フジテレビのデジタルゲーム事業部が2012年に展開するゲーム作品が紹介された。

 今回の発表会では、3年間で1,000のアプリリリースを目指すという、「フジテレビ怒濤のゲームアプリ1000本ノック」、「Yahoo!モバゲー」でのソーシャルゲーム、「Angry Birds」とのパートナーシップと、現在進行中のプロジェクトに加え、テレビ番組をモチーフにした「Numer0n(ヌメロン)」や、美少女カードゲーム「武神エターナル」など、これからのタイトルも多数発表された。フジテレビのゲーム事業への力の入れようがわかる発表会だった。


ゲームを体験した「アイドリング!!!」のメンバー。左上より、遠藤舞さん、横山ルリカさん、菊地亜美さん、橘ゆりかさん、後藤郁さん




■ 3年で1,000タイトルをリリース、「フジテレビ怒濤のゲームアプリ1000本ノック」

フジテレビアナウンサーの平井理央氏。渡辺和洋氏と2人で司会を担当した。フジテレビの看板アナウンサー2人が発表会の司会を担当したことで、ゲーム事業への力の入れようがわかる
フジテレビ執行役員クリエイティブ事業局長の大多亮氏
Eagle代表取締役ファウンダーの藤永真至氏
GMOインターネットグループ代表の熊谷正寿氏

 発表会で最初に登壇したのは、フジテレビ執行役員クリエイティブ事業局長の大多亮氏。大多氏は「フジテレビはこれまで10年間、ホームページで『フジテレビプラネッツ』というゲームコーナーを作り、好評を博しています。そこで、昨今のソーシャルゲームの展開を受け、社内と、そして今日来ていただいているパートナーの皆さんと大きな動きができないかと思っています。『ゲームと言えばフジテレビ』といわれるようにチャレンジしていく、本日はそういった決意表明をしていきたいと思います」と語った。

 発表会では、フジテレビのこれまでと、これからのゲーム事業展開が語られた。フジテレビはすでにいくつかのゲームコンテンツを展開している。1つの柱となっているのが、Eagleと共同でiOS向けにゲームを開発、配信している「フジテレビ怒濤のゲームアプリ1000本ノック」だ。この「1000本ノック」は、シンプルなゲームを、3年間で1,000タイトルリリースしていこうというプロジェクトで、2011年1月よりスタートしている。

 現在までに72本をリリースしており、シリーズ全体で200万ダウンロードを実現した。2012年内には1,000万DLを目標にしているという。Eagle代表取締役ファウンダーの藤永真至氏は、「iPhoneはコミュケーションを円滑にする、みんなが楽しめるアプリを提供できるハードだと思っています。『1000本ノック』はクリエーター教育プログラムにより、大学生がプログラミングや企画を行なっています。最初はレベルが低いものでしたが、今後は面白くなっていきます。若い世代のゲームを世界に展開していきたいと思っています」と語った。

 今回はこの「1000本ノック」をGMOインターネットグループがゲームアプリマーケット「Gゲー」において、Android端末向けに5月より展開していくことが発表された。GMOインターネットグループ代表の熊谷正寿氏は、「『Gゲー』は日本だけでなく、世界にゲームを配信しており、会員数560万人を突破しました。このたびの『1000本ノック』プロジェクトにより、フジテレビ様、GMOの2つの事業が発展することを信じています」と挨拶した。

 発表会では、紹介されたゲームをフジテレビの番組から生まれたアイドルグループ「アイドリング!!!」のメンバーが実際に体験した。「1000本ノック」では現在の人気ナンバー1であるという「ブロック工場」と、3月末に配信されるという「DARTS WORLD SHOT」が紹介された。

 「ブロック工場」はベルトコンベアーで流れてくるブロックを示されたお手本通りの形に整形するアクションパズル。向きは関係が無いというところも攻略要素の1つで、難易度が上がると、ベルトの流れが速くなっていく。「DARTS WORLD SHOT」はダーツのゲームで、的の中の指定された赤い部分へダーツを投げ込む。傾きセンサーに対応しており、本体でバランスを取りながら投げ込んでいく。真ん中に当てれば高得点だ。どちらもシンプルでわかりやすいゲームだ。この他にも「あいのり2恋愛診断」、「めざせ! 3冠王」といったタイトルを続々とリリース予定だという。


現在の人気ナンバー1であるという「ブロック工場」。指示されたブロックを積んでいく
傾きセンサーに対応している「DARTS WORLD SHOT」。3月配信予定だ




■ 好評な「Yahoo!モバゲー」でのソーシャルゲーム

特に女性に人気だという「Yahoo!モバゲー」でのソーシャルゲーム

 次に紹介されたのが、PC上のブラウザで楽しめる「Yahoo!モバゲー」のラインナップ。現在フジテレビでは2010年10月よりサービスしている「ネットでガチャガチャ もやしもん」、2011年からサービス開始している「ネットでマングローブ」、そして2012年2月より「テルマエ・ロマエ ネットでガチャガチャ」をサービスしている。

 「ネットでガチャガチャ もやしもん」は、アニメ化もされたコミック「もやしもん」(石川雅之著、講談社刊)をモチーフに、菌を発酵させ、様々な発酵食品を作っていくというソーシャルゲーム。友人と協力し合うことが可能で、購入したパーツで自分の蔵(部屋)を飾り立てることが可能になる。

 「ネットでマングローブ」はマングローブの森のファームで生き物の楽園を作っていくソーシャルゲーム。椰子の木や花といったアイテムもあり、自由に自分の農場を飾り立てることができる。さらにゲーム内で100本のマングローブを植えると、実際に沖縄の海にマングローブの木が1本植林されるというエコロジー名要素もあり、現在2万本の植林が決定しているという。

 「テルマエ・ロマエ ネットでガチャガチャ」は、コメディコミックの「テルマエ・ロマエ」(ヤマザキマリ著、エンターブレイン刊)を原作としたソーシャルゲーム。古代ローマ時代の浴場の技術者ルシウスが、タイムトラベルをしてしまい現在の日本に出現、日本の風呂文化に触れることになる。

 ソーシャルゲームではプレーヤーは「風呂」を飾り立て、自分のセンスにあわせた空間にしていく。友人と一緒に湯船に浸かることも可能だ。イベントで、ルシウスがプレーヤーの風呂に出現することがあり、購入しておいたアイテムで彼をもてなせば、経験値などボーナスが得られる。


「ネットでガチャガチャ もやしもん」は、菌を発酵させ、様々な発酵食品を作っていくというソーシャルゲーム
「ネットでマングローブ」はマングローブの森のファームで生き物の楽園を作っていくソーシャルゲーム
古代ローマ人に現代の日本の風呂の良さを教える「テルマエ・ロマエ ネットでガチャガチャ」




■ 「Angry Birds」とのパートナーシップに、世界展開を目標としたゲーム制作

Rovio EntertainmentのBusiness Development日本代表のAntti Sonninen氏
パンカク代表取締役社長の柳澤康宏氏

 この他、フィンランドのRovio Entertainmentとのパートナーシップ契約により、「Angry Birds」のプロジェクトが進行中であることも発表された。オフィシャルパートナーサイト「アングリーバード×フジテレビ」の開設と、ブラウザ版「Angry Birds」にフジテレビの社屋をイメージしたステージなどが登場する新エピソード「サクラ・ニンジャ」が3月8日より公開されている。

 登壇したRovio EntertainmentのBusiness Development日本代表のAntti Sonninen氏は、「Rovio Entertainmentは世界中のエンターテイメントに優れたエンターテイメント企業とパートナーとなっており、日本ではフジテレビさんと組んでいきます。弊社の今年は、4本の『Angry Birds』の新作、そしてまったく新しいゲームも発表予定です。日本でも様々な展開を行なっていきますので、ご期待下さい」と語った。

 さらにパンカクによるiOS向けのサバイバルシューティング「GangHound」、BIGFACEによるテレビ番組をモチーフとした「Numer0n(ヌメロン)」、グリーで配信される歴史上の人物を美少女化/イケメン化したカードゲーム「武神エターナル」が発表された。どのタイトルも日本だけでなく、世界を目指したタイトルとなっているという。

 最後には低年齢向けを視野に入れたカードゲーム「Wコアバトル英雄伝」というタイトルが紹介された。配信はBIGFACEが、制作はクラフト&マイスターが行なう予定で、世界の偉人をモチーフに、動物や、伝説のモンスターといった要素を合わせたキャラクターが活躍する。実際のカードと連動したカードバトルゲームとなるという。北米での展開も視野に入れ、開発を行なっているとのこと。

 この他にもさらに、スポーツゲームや、有名キャラクターを使ったゲームなどを準備中とのこと。今回の発表会は、すでに稼働中のタイトルも多く、かなり詰め込んだ印象を受けた。一方、フジテレビという知名度のある会社が本格的にゲームを展開するという中で、何処までユーザーを得られるか注目したいと感じた。この他にも多数のIPを活かした展開を行なう予定ということで、今後の展開に注目したい。

左から、BIGFACE代表取締役の水野英明氏、クラフト&マイスター代表取締役エグゼクティブプロデューサーの須藤克洋氏、クラフト&マイスター第一開発チームプロデューサーの醤野貴至氏
ブラウザ版「Angry Birds」新エピソード「サクラ・ニンジャ」には、フジテレビの社屋が登場する
iOS向けサバイバルシューティング「GangHound」。価格無料で、AppStoreに提供中
4月上旬にiOS向けにリリース予定の「Numer0n」。2人のプレーヤーが3桁の数字を当て合う、テレビ番組をモチーフとしたゲーム
ナポレオンや武田信玄が美少女化したカードゲーム「武神エターナル」。4月20日よりグリーで配信予定
2012年にリリース予定の「Wコアバトル英雄伝」。世界の偉人をモチーフに、動物や、伝説のモンスターといった要素を合わせたキャラクターが活躍する

(2012年 3月 28日)

[Reported by 勝田哲也]