コードマスターズ、「F1 2010」完成披露発表会にF1のレジェンド達が登場!
片山右京氏も唸る完成度「ゲームのレベルじゃない」。高橋国光氏、中嶋悟氏は「こっそり練習」!?




「F1 2010」(ゲーム画面は開発中のものです)

 コードマスターズ株式会社は9月29日、新作レースゲーム「F1 2010」の完成披露発表会を開催した。「F1 2010」はプレイステーション 3、Xbox 360、PC向けに10月7日発売予定のタイトルで、開発は「GRID」、「DIRT」シリーズなどを手掛けた英Codemastersが担当している。レースゲームの老舗が手がけた「F1」のゲームとして、非常にリアリズムへのこだわりが見られる作品となっている。価格はPS3/Xbox 360版が7,770円、PC版が8,000円。CEROレーティングはA(全年齢対象)。

 発表会の会場は東京・六本木にあるF1ファンのためのスポット「F1 PIT STOP CAFE」。元F1ドライバーの高橋国光氏、中嶋悟氏、片山右京氏ら豪華なゲストを招いてのトークショウやデモプレイも行なわれ、非常に力の入った発表会となった。

【「F1 2010」最新トレイラー】




■ ゲームはシミュレーターにどこまで近づいたか? 元F1レーサーが高く評価する「F1 2010」

司会を務めたピエール北川氏
片山右京氏と川井一仁氏が登場!
「試遊台」のコックピットに身を沈める片山氏
片山氏のプレイ画面。正確なライン取りでコースを疾走する

 コードマスターズの代表取締役社長 三宅一壽氏は、発表会の冒頭にあたって「Codemastersが手がけた本作は、リアリティを徹底的に追求するという点において、他社の追随を許さない高品質に仕上がりました。是非ご自身でそのリアリティを体験して頂きたいと思います」と挨拶。続いて作品内容紹介が行なわれ、F1レーサーになりきる「キャリアモード」の概要や、ダイナミック・ウェザー(リアルタイム天候変化)システムの紹介などが行なわれた。

 「キャリアモード」では、プレーヤーはひとりのレーサーとして数年間のキャリアをプレイすることになる。ゲームの冒頭は、デビュー直前のレーサーがマスコミからインタビューを受けるという演出となっており、ここで自分の名前やコールサイン、難易度、プレイするキャリアの年数、そして所属チームを決める仕組みだ。シーズン毎に19戦のレースを戦っていくなかで、レースの結果だけでなくマスコミのインタビューにどう答えるかといった部分もプレーヤーのキャリア形成に影響してくるといい、まさにレーサーに「なりきる」ことを目指した内容となっている。

 肝心のレース内容は非常にリアル志向。燃料の重量やタイヤの温度、車体の空力特性、その他複数の要因で変化するドライビングシチュエーションを細かくシミュレートすることはもちろん、ピットストップ戦略などにいたるまで徹底して正確に再現することを目指しているという。とはいえ難易度調整オプションとして各種のドライビングアシスト機能も実装されており、決して難しいだけのゲームではないということも紹介された。その点でCodemastersの作品らしい点を挙げるならば、「フラッシュバック機能」を搭載するところだろう。これは「GRID」で初出となった機能で、レース中いつでも時間を巻き戻して任意の時点からゲームを再開できるものだ。

 会場ではスポーツ実況フリーアナウンサーのピーエル北川氏が司会を務め、ゲストとして元F1レーサーの片山右京氏と、モータースポーツジャーナリストの川井一仁氏が登場。片山氏は開口一番「控え室でゲームの練習をやりすぎて、汗だくになったので急遽服を着替えてきました」と、「F1 2010」にはやくものめりこんでいる話を披露した。

 続いて片山氏は、会場内に用意された試遊台(レッドブル・レーシングのマシンにハンドルコントローラーと液晶モニターを取り付けたもの)でデモプレイを披露。「皆さんの前でやってみたら笑わせるだけなんでね(笑)」と謙遜していたものの、さすがに元F1ドライバー、見事なスピードコントロールとライン取りで華麗なプレイを見せていた。途中、川井氏と掛け合いながらしゃべっていたため集中が途切れたのか、コースを見誤ってピットロードへ突入するアクシデントもあったが、終始おどけた調子でのプレイだったということもあり、会場へのウケ狙いだとすれば功を奏したようだ。

 プレイ後、片山氏は「実際に300キロ出しているわけではないし、G(重力加速度)は無いですけど、こういうことをやったらこういうことが起きる、という想定が全部ゲームに入力されているんですよ。ラインを踏んでゴミを拾ったりとか、そういうことを含めてゲームのレベルじゃないですね。本当に真剣にやらないと。F1チームで使っているシミュレーターに非常に近いものがあります」と語り、本作の車両挙動を非常に高く評価した。一方の川井氏は本作の監修を務めたF1ドライバーのアンソニー・デビッドソン氏に言及し、本作を「シミュレーターに近づけること」を目標としていたというエピソードを披露した。

 その後川井氏とのトークでは、レーサーの専門用語も多数飛び交いながらリアルのF1と「F1 2010」でのプレイ内容を振り返った片山氏。「映像がきれいとか、そういうことだけじゃなくて、本当によくできている」と、本作の完成度に太鼓判を押した形だ。


本作をプレイすると現役の記憶が蘇ってついつい熱くなってしまうという片山氏。大はしゃぎでプレイしていたのが印象的だ




■ 日本のF1界を牽引してきたレジェンドが続々登場、豪華ゲストで彩られた発表会

高橋国光氏、中嶋悟氏も交え、ゲームとリアルの話題が交錯する
含蓄のある「レース愛」を語った高橋国光氏
重厚な雰囲気と、独特の会話展開が魅力的だった中嶋悟氏

 続いて会場には、日本人F1ドライバーの先駆者として活躍した2人のビッグゲスト、高橋国光氏と中嶋悟氏が登場した。現在もレーシングチーム「チーム・クニミツ」を率いる高橋氏は2輪、4輪の両方で活躍し、1977年、富士スピードウェイで行なわれたF1日本グランプリに出場したF1界の先達だ。中嶋悟氏は日本人初のF1フルエントリードライバーとして、1987年から1991年まで日本のF1シーンに一大旋風を巻き起こし、現在はNAKAJIMA RACING総監督を務める、ご存知のとおりのレジェンド。

 早速話題はリアルのF1をテーマに。2010シーズンでは給油がなくなってピットストップが1回になったということで、「タイヤをいたわりながら走る」傾向があると言及する片山氏。川井氏は今シーズンが初開催となる韓国GPについて触れ、新コースであるだけに予習したがっているドライバーも多く、「シミュレーターがわりに使いたいというチームがいっぱいある」とリアルの流れを紹介した。

 自身のキャリアについて話をふられた高橋氏は「日本全国のコースを走っているなかで、自分もぜひF1に乗りたいなという気持ちがすごくありました。そして1977年、富士スピードウェイで出場することができたわけですが、そこで世界レベルというのはものすごい、ということを感じましたね。特にF1は凄い戦いです。これっぽっちのスキマも与えることなしに、この人達は頭のネジが1、2本飛んでるんじゃないかという競争をするわけですよね。ですからカーレースはすごいなと。F1のゲームができたこともよかったですし、おめでとうと言いたい気分です」と、F1の「すごさ」に言及。

 中嶋氏は、「実際のレースを生で見て、ここを目指さなきゃウソだと思って。それから準備万端すぎて10年もかかってしまったわけですけど、思うのが遅かったのか、なるのが遅かったのか、少し疲れた状態でデビューすることになりましたね」と自身のキャリアに触れた。また現役時代のレースの思い出について問われた中嶋氏は、「1年ごとに日本に帰ってくるたびに、ずっと海外にいて日本国内のニュースを何も知らないわけですから、年々変わっていくなかで、普通に街を歩くことが辛いみたいなことを覚えてます」と話し、また、F1の魅力について問われると「自動車を運転しているときの楽しさ、競争の楽しさですかね。あとは当時は毎年16戦ありましたから、16の国を旅できたことかな」と、若干ピントのずれた「中嶋節」を披露して会場を楽しませた。

 続いて、まもなく開幕となる日本GPコースの鈴鹿サーキットの攻略ポイントについて。中嶋氏が「東側のスタンドから見える側はいいね。ダンロップコーナーを切れていくところ、気持ちイイすよ。西側は、ここは人があまりいないからいいやって」と語ると、すかさず川井氏が「西コース手を抜いてたんですか?!」とすかさずツッコミ。司会の北川氏が「攻略です」と念を押すと今度は、「攻略? 道から外れないことだよ!」と言って会場も大ウケだ。

 一方の片山氏は真面目に攻略について語った。「セクターワンというS字コーナーはスピードが速くて、1回ラインを外れたら戻ってこれないという感じなので、ラインに乗ることが大事ですね。さらにブレーキを踏む勇気も必要。つい行き過ぎちゃうので、コースに乗ることが本当に大事ですよね」と、本作のプレイを踏まえてのコメントだ。

 続いて片山氏のデモプレイを見た中嶋氏は「本当にすごいゲームですね。でも人前ではできないな。こっそり練習しないと子供に馬鹿にされちゃいそうだ」と、こっそりプレイしてみたい意欲が見え隠れ。デモプレイを終えたばかりの片山氏も「このゲームは練習したら上手くなるというか、本当の車みたいに運転すれば速くなります。その感覚さえわかってくると、現役時代をどんどん思い出すのでついつい熱くなっちゃいますね。あとで中嶋さん、こっそり対戦しましょうか」と、こちらも「こっそりプレイ派」。これに対して「もう本当にこの人達は見栄っ張りで負けず嫌いなんだから!」とツッコミを入れる川井氏という構図だ。

 元F1ドライバーも熱くなってしまう出来栄えのF1ゲーム「F1 2010」。日本GP開幕直前の10月7日発売予定だ。レースゲームファンの皆さんは是非本作をハンドルコントローラーで本格的にプレイしてみて欲しい。F1レーサーの気持ちになり、新たな次元のゲーム体験を楽しめるはずだ。


【最新スクリーンショット】





(2010年 9月 30日)

[Reported by 佐藤カフジ]