Taipei Game Show 2010現地レポート

台湾産ゲームを集めた「GAME STAR & MIT 遊戯精品館」レポート
磁力を操るXbox 360用TPS「Cold Energy」など、注目作品を紹介!

2月5日~9日開催

会場:台北世界貿易中心

入場料:大人 150台湾ドル
    子供 100台湾ドル


 Taipei Game Show 2010には、「GAME STAR & MIT 遊戯精品館」というブースが出展されていた。このブースは台湾のメーカーが作った優れたゲームをまとめて紹介しようという目的で作られ、Made in Taiwan(MIT)のゲーム21作品と、台湾経済部工業局と台北市コンピュータ協会が優れたゲームに贈る「Game Star Award」に入賞した、台湾産ゲーム17作品が展示された。

 出展作品はPC用のオンラインゲームからコンシューマーゲーム、携帯電話用のゲームまで幅広く、中には既に日本でサービスを開始している「星辰Online(日本名:ルーセントハート)」や「空色幻想Online(日本名:Le Ciel Bleu:ル・シエル・ブルー)」などもあった。この記事では、ブースの様子をレポートすると共に、MIT作品と「Game Star Award」入賞作品の中から、プレイしてみて面白かったものや、観客の興味を引いていた作品を数点取り上げて紹介する。


【展示コーナー】
展示ブースの中には、台湾で作られたゲーム全38作品が勢揃いした。メッセージボードには、ゲームへのメッセージや来場記念のサインなど、思い思いの言葉が書かれていた




■ 台湾の国産ゲームだけを集めて、ビジネスチャンスを探る

ずらりと並んだ台湾企業の面々
ブースはエントランス近くの目立つ場所にある

 「GAME STAR & MIT 遊戯精品館」のブースは、Taipei Game Showのメインエントランスのすぐ横にあり、最初に目に付く場所だ。通りに面した場所には小さなステージが設置されて、ブースのパンフレットやオリジナルグッズを配布していた。プレイアブルコーナーは受付を挟んでMIT作品と、「Game Star Award」入賞作品に分かれて配置され、中央の壁にはプレイした来場者が自由にメッセージを書けるボードが置いてあった。

 人気があるのはやはりアクションゲームやMMORPGで、グラフィックスに力の入ったXbox 360用のアクションゲーム「Cold Energy」はひときわ目を引いていた。ジャンルは他にもパーティーゲーム、レースゲーム、シミュレーションと様々で、プラットフォームも携帯電話用のゲームやブラウザゲーム、ソーシャルゲームとバラエティに富んでいた。

 MIT作品のゲームは、まだサービスをするパブリッシャーが決まっていないものもあり、話を聞かせてくれた担当者も、日本でのビジネスチャンスを探していると話していた。発売前のものもあるため、玉石混淆の感が強いが、その中でもいくつかはコンセプトや雰囲気に、今までにない意欲を感じた。




■ 磁力を操り、ステージを縦横に駆けるシューティングゲーム「Cold Energy」

台湾でもFPSやTPSのガンシューティングは人気のジャンルだ
ミュータントに支配され、荒廃した未来の地球が舞台

 全作品の中で唯一のXbox 360用ゲームが、Keystone Games Studio(KGS)が出展していたTPSアクションゲーム「Cold Energy」だ。KGSは、2005年に設立された台湾メーカーで、本作がデベロッパーとしてのデビュー作になる。

 

 「Cold Energy」は磁力を操る女性キャラクターを操作して、ミュータントを倒していくTPSスタイルのガンシューティング。未来の崩壊した世界で、多彩な武器と磁力を操る力を駆使して、巨大な敵と戦う。試遊台では、キャラクターが磁力を操って、近くにあるドラム缶を持ち上げて敵に投げつけ、爆弾のように使ったり、壁のパイプの上を横向きに走ったりすることができた。ドラム缶の動きに物理シミュレーションを使ったりと、磁力の表現に力を入れている。

 

 体験プレイで遊んだステージでは、武器はずっと固定のエネルギー銃だった。磁力の操作は、ドラム缶を操る右手と、壁走りをするための足に分かれていて、それぞれ対象のオブジェクトに近づいてボタンを押すとその動きをする。壁走りは、壁のパイプに近づくと画面がくるりと90度回転する。壁を走る感覚は面白いのだが、少し高い場所に移動するために、階段の変わりに鉄のパイプに吸着して渡っていくといったふうに、アクションというよりも純粋な移動手段として使われているので、操作できる場所が限定されているのが残念だ。

 

 まだ開発途上のためか、ガンシューティングとしては良くも悪くも大味で、タイトな照準操作は必要なく、敵をどんどん倒していける。敵は複数が1度に襲ってくるので、それをなぎ倒していく爽快感に重点が置かれているようだ。ただし、試遊台でプレイできたのは最初のステージなので、奥に進んでいくとまた違った楽しみ方があるのかもしれない。発売はまだ未定で、現在は販売を手がけるパブリッシャーを探しているとのことだ。
【スクリーンショット】
ミュータントをエネルギー中で倒していくというTPSガンシューティング
磁力を操って、壁のパイプを地面と水平に向いて走ったり、ドラム缶で攻撃したりできる
「Cold Energy」のスクリーンショット




■ 2万人のNPCが住む町で、プレーヤーが協力して店を経営する「開店王」

友達と一緒にプレイできる共同経営モードが売りの1つ

 MIT作品コーナーに展示されていた「開店王 OnShop -我的便利商店-(以下、開店王)」は、コンビニを経営するWindows用のMMOゲーム。開発会社のHappyHomeは、日本でソリッドネットワークスが運営を行なっている「ニアディアオンライン」の開発を手がけた会社。独自のエンジンを使用した、一見2Dのような3Dの背景と2Dのキャラクターとを組み合わせた作品を得意としている。

 HappyHomeは過去にもケーキ屋、ラーメン屋、中華料理屋などを経営するWindows用のオンラインシミュレーションゲームを開発している。「開店王」では最大2,000人のプレーヤーが住む町で、コンビニを経営する。パーティーを組んでモンスターと戦う代わりに、友達と共同事業を行ない店を発展させていくのがプレイの目的となる。

 街の中にはプレーヤーキャラクター以外にNPCの住人が2万人ほど住んでいて、プレーヤーの店に買い物に来る。店を経営する傍ら、近くの住人と交流を図ったり、チラシを巻いたりすることで店の「人気度」を上げることができる。扱える商品は数百種類あり、店内の飾りや家具の配置は変更可能。アルバイトを雇うこともできる。シミュレーション要素以外に、クエストをこなしていくストーリーモードがあるそうだ。

 今までにない視点で面白そうなゲームだが、インターフェイスが煩雑で、最初は何をしていいのかわからず戸惑いそうだ。試遊では友達との共同経営モードは試すことができなかった。台湾ではすでにクローズドβテストに入っているが、日本へのサービスは決まっていない。


【スクリーンショット】
店の中では商品を並べたり掃除をしたりと仕事をこなし、街ではNPCやプレーヤーとコミュニケーションを図る。操作性があまりよくないのが気になる




■ 萌えキャラを育てる育成系ソーシャルゲーム「美少女Online」

女の子を自分好みに育てていく。女の子は、得意分野の違う何人かから選ぶことができる

 最後に紹介するMIT作品は、Kugaが開発したFacebook用のソーシャルゲーム「美少女Online」だ。台湾で大ブームのFacebookで動くソーシャルゲームで、2009年の10月にCBTが行なわれ、現在は正式サービスに向けて開発中だ。

 プレーヤーは数人の美少女から1人を選んで自分のキャラクターとして育てていく。美少女は育成シミュレーションゲームのように、毎日のスケジュールをこなすことで成長する。試遊台では、少女の部屋にはゴキブリが大量にはいまわり、ゴミが散乱しているというひどい有様だった。美少女を育てるためには、部屋の片付けからという、非常にユニークな作品だ。

 キャラクターは学校の寮に住んでいるという設定で、友達の部屋に自由に遊びにいくことができる。服装も学生らしく、ブルマ姿の体操服やスクール水着など、美少女ゲームに求められる萌えポイントを抑えたアイテムが揃っている。Facebookのゲームは日本からでも気軽に参加ができるので、正式サービスを楽しみに待ちたい。


【スクリーンショット】
テストプレイのキャラクターは、可愛い部屋の中がゴミとゴキブリだらけで、なかなかショッキングな映像だった




■ 携帯アプリには、台湾で大人気のキャラクターを使ったものも

使えるキャラクターは「関羽」か「呂布」の2択

 「Game Star Award」入賞作品は、やはりオンラインゲームが多数だが、そんな中でも携帯アプリの多さが印象的だった。その中でも特に目を引いた「重装三国」と「OPEN小將卞丁車」を紹介する。

 「重装三国」は、携帯ゲームを多く手がけるJoyMasterが開発した携帯アプリ。大量に襲ってくる敵をコンボ攻撃でなぎ倒す、無双系の横スクロール2Dアクションゲームだ。小惑星が地球に衝突して混乱に陥った世界で、「関羽」か「呂布」を選んで、「コア」を収集するというSF的な設定だが、ゲームの画面からはあまりSF要素は感じない。ストーリーモード以外にも、チャンレンジモードなど遊び方の違う複数のモードを楽しめる。


【スクリーンショット】
簡単にコンボが出るので、どんどん敵をなぎ倒していくのが爽快だ。画面切り替えのたびにはいるローディングが少々長い


「OPEN小將」は台湾のあちこちで商品を見かける人気キャラクター

 「OPEN小將卞丁車」は台湾で人気の携帯ゲーム「蒼神録」で知られるAuerが開発したレースゲーム。「OPEN小將(OPENちゃん)」は台湾のセブンイレブンの人気マスコットキャラクター。この携帯ゲームでは、「OPENちゃん」とその仲間たちがカートに乗ってレースをする。

 擬似3Dの2Dゲームで、途中にあるアイテムを拾うと、相手の邪魔をするミサイルやバケツ、自分を守る盾やロケットブースターがランダムで手に入る。「マリオカート」シリーズによく似たゲームだ。画面のクオリティは高いが、クライアントは起動も動作も非常に軽く、ストレスをまったく感じない。このあたりはさすが携帯アプリの大手らしいスマートさだ。


【スクリーンショット】
擬似3Dの画面がレトロだが、操作性はよくキャラクターも可愛い




■ プラットフォームもジャンルも、独自性のあるコンテンツが出揃う

 上記の作品以外にも、「剣仙Online」や「中華英雄Online」などのMMORPGや、落ちものパズル、マージャンと色々なジャンルの作品が並んでいた。ふっと目を引く作品あり、完成度の点で多少首をひねるような作品もありと、小粒の作品が集まったブースならではのバラエティ感が楽しかった。

 流行を敏感に察知して、流行しているジャンルの作品がどっと出てくるのは台湾の特徴だ。だから、1つのジャンルに固まらず、実に多彩なジャンルとプラットフォームの作品が出揃ったことは、台湾のゲーム業界が流行に流されずにオリジナルコンテンツを生み出していくという段階に入りつつあるのだろうかと思えた。


【その他のゲーム】
「三国群雄傳2Online ~黄巾逆襲~」「寶石幻想 ~亞薩斯戦記~」「忍豆風雲3」
「剣仙2.0」「神●闖江湖」(●は金へんに票)「空色幻想Online」


Copyright (c) 2008 KEYSTONE GAME STUDIO.inc.All Right Reserved.
COPYRIGHT (c) 2008 HappyHome CO.,Ltd.
(c)2009 Kuga
Joymaster Inc./All Right Reserved.
Copyright 2007 by Auer Media & Entertainment Corp. All Right Reserved.

(2010年 2月 9日)

[Reported by 石井聡 ]