米Epic Games、「Unreal Engine 3.0」無償版を公開開始
アカデミックの分野からUnrealテクノロジーの普及促進を


11月5日発表(現地時間)




 米Epic Gamesは現地時間の11月5日、同社が世界に展開しているゲームエンジン「Unreal Engine 3.0」の開発キットの無料バージョン「Unreal Development Kit(UDK)」の無償配布を開始した。ファイルサイズは562MBで、日本語ローカライズ済み。自社サイトのほか、パートナーのNVIDIA等のサイトから入手可能となっている。

「Unreal Development Kit(UDK)」のサポートを行なう専用のサイトも開設された

 「Unreal Engine 3.0」は、「Gears of War」シリーズへの実装で一躍世界にその名と実力を知らしめた世界でもっとも有名なゲームエンジン。開発文化の違いから日本メーカーでの採用例はまだ限られているが、「ラストレムナント」(スクウェア・エニックス)や「ロストオデッセイ」(マイクロソフト)など複数のタイトルが存在する。

 今回の発表のポイントは、非商用利用や学究利用は一律無料としたところだ。「Unreal Engine 3.0」の開発キットの無償バージョンは、企業向けには昔から公開されてきたが、一般向けに誰でも気軽にダウンロード可能な状態での公開は今回が初めて。「Unreal Engine」誕生から11年目にしてゲームエンジンビジネスの大規模な戦略転換となる。

 この背景には、多様化するゲームエンジンビジネスにおいて、「Gears of War」シリーズや「Unreal Tournament」シリーズ等の自社タイトルにいち早く実装し、その実力を見せつけることでライセンスを獲得してきた旧来のアプローチが限界に来ていることが挙げられる。今後は、アカデミックへの働きかけを一層強めていくものと見られる。日本での教育現場でどれだけ採用されるかは未知数だが、現場としては歓迎すべきニュースだ。


(C) 2009 Epic Games, Inc.

(2009年 11月 6日)

[Reported by 中村聖司]