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「社内でも煙たがられていた」プレイステーションストアの意外な歴史をSIE・西野秀明氏が明かす【TGS2025】

20年の歴史を振り返る基調講演

【東京ゲームショウ2025】
会期:9月25日~9月28日
ビジネスデイ 9月25日10時~17時/9月26日10時~17時
一般公開日 9月27日9時30分~17時/9月28日9時30分~16時30分
会場:幕張メッセ

 本日9月25日より開幕したイベント「東京ゲームショウ2025(TGS2025)」。開催初日の11時よりソニー・インタラクティブエンタテインメントの社長CEO・西野秀明氏による基調講演が行なわれた。

 同講演では「ゲーム市場の変革者:プレイステーション ストアがもたらしたもの」と題して、プレイステーション ストアがゲーム業界に貢献してきた約20年にわたる歴史を総括。その役割や意義をまとめた上で、今後の展望についても語られた。

【【TGS2025】ゲーム市場の変革者 : プレイステーション$00AEストアがもたらしたもの】

 西野氏はまず、昨年2025年12月にプレイステーションが30周年を迎えたことを紹介。そしてプレーヤーとゲームクリエイターをつなぐ「エコシステム」の一環として、プレイステーション ストアが存在するという話へと展開していった。

ソニー・インタラクティブエンタテインメントの社長CEO・西野秀明氏

 今から19年前、2006年11月11日にサービスを開始したプレイステーション ストア。当時はディスクビジネスが主流だったため、規模が小さかったが、2024年には2兆円以上の売上にまで成長している。しかしその歴史の裏側には、いくつもの「イノベーションのジレンマ」が存在したという。

 話はプレイステーション ストアの前史にあたる2000年へ。当時のプレイステーション 2には本体の拡張ベイに「BBユニット」を接続することでインターネットに接続できる仕組みがあった。こうした設計には大きなコストがかかるものだが、強い意志をもってネットワークにつなげることを推進していたと明かす。

 そしてこの機能を活かしたオンラインゲームとして登場したのが、2002年にプレイステーション 2およびPC向けに発売された「ファイナルファンタジーXI」だった。

 その後、2006年にプレイステーション 3が発売されると同時にプレイステーション ストアが始動。とはいえまだ高速ネットワークは普及しておらず、ほとんどのゲームはディスク版とデジタル版を同じタイミングで発売できないという時代でもあった。そのため販売タイトルの本数は少なく、「社内でもビジネスとしては受け入れられていない状況」だったという。

 2010年ごろには、「20年近く続くディスク配信vsネットワーク経由での販売」という社内での議論が白熱。しかし依然として主流のビジネスとして力を入れるのは難しく、ネットワークビジネスは「本流のビジネスを脅しかねないものということで、社内でも煙たがられていた」と明かす。

 それから2013年にプレイステーション 4が発売されると、潮目が変わることに。デジタル販売への理解が高まったことで、ディスク版とデジタル版を同時発売する「Day and Date」が実現した。

 さらにネットワークスピードの進化で、より快適にゲームをダウンロードできるようになり、ビジネスチャンスが拡大。ここで西野氏は、2018年に登場した「フォートナイト」がデジタルビジネスの広いユーザーへの浸透に大きな影響を及ぼしたことにも言及した。

 そして2020年にプレイステーション 5が発売され、ネットワークに接続してゲームを楽しむことが当たり前の時代に。プレイステーション ストアの機能も進化を続け、プレイステーションネットワークの月間アクティブユーザー数は過去最高を実現した。

 最後に西野氏はプレイステーション ストアの未来について語り、今後も日本のパブリッシャーがプレイステーションの成功にとって欠かせない存在だとした上で、「これからも日本の素晴らしいコンテンツを世界に届けるための発信拠点であり続けたい」と宣言。プレーヤーにとっては「最高の遊び場」、クリエイターにとっては「最高の出版の場」でありたいとして、その両者をつなぐのがプレイステーション ストアだと語った。