ガンホー、iモード用MMORPG「ラグナロクオンライン Mobile Story」を公開
GvGや1人用ストーリークエストを実装して今夏サービス開始
「サーガ」シリーズ新作「シーフと禁断の秘術」も発表


5月23日 開催

会場:ディファ有明


 ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社は5月23日、Windows用MMORPG「ラグナロクオンライン (RO)」のオフラインイベント「ラグナロクオンライン ファン感謝祭2009」を、ディファ有明にて開催した。

 このイベントでは、目玉となる「RJC2009」の決勝トーナメントのほかにも、いくつかの発表が行なわれている。本稿ではその中から、新作のモバイルMMORPG「ラグナロクオンライン Mobile Story」と、モバイルゲームサイト「ラグナロクオンライン GAMES」の最新情報をお伝えする。


「ラグナロクオンライン Mobile Story」(左)と「ラグナロクオンライン GAMES」(右)はどちらもイベント会場内にコーナーを設けており、来場者は誰でもゲームを試遊できた



■ GvGまで可能なモバイルMMORPG「ラグナロクオンライン Mobile Story」

プレゼンテーションを行なった、エイタロウソフトゲーム事業部の野呂和正氏(左)と、ガンホー第一マーケティング部第一企画課の渡辺竜太郎氏(右)

 まず3月に発表された「ラグナロクオンライン Mobile Story」については、より詳細な情報が発表されるとともに、会場内には早くもプレイアブルで出展された。これまでに登場している「RO」関連のモバイルゲームは、世界観を広げるサブストーリー的なものが多かったが、本作は本家「RO」と同じMMORPGとなり、ビジュアルやゲームシステムも非常に近いものになっている。

 今回試遊できた端末では、ほぼ初期状態のキャラクターを操作し、モンスターと戦闘できた。キャラクターの移動は方向キーを使い、3ボタンを押してターゲットを選択、さらに方向キーを押すとターゲットを変更でき、決定キーを押すとそのターゲットを攻撃する。4~9のボタンにはスキルのショートカットが割り当てられ、攻撃と同じくターゲットを選んで決定キーを押すと発動する。回復や補助スキルも同様に、スキルを選んだ後に近くにいた他のプレーヤーを選択すれば発動する。ショートカットキーは3ページ分用意されていて、切り替えて使えば最大18個まで入れておける。

 モンスターを倒すと経験値が得られ、経験値を貯めるとベースレベルとジョブレベルが上がる。今回はステータス画面が開けないようロックされていたが、ステータス割り振りやスキルの選択は「RO」と同様に自由にできるという。さらにレベルアップしていけば、6種類の1次職への転職、さらには2次職にもなれるそうだ。

 ショートカットキーは18枠のほかに、エモーションコマンドにも切り替えられ、こちらも18種類のエモーションをワンタッチで使用できる。フリーワードでのチャットも可能で、他のプレーヤーとの会話もでき、チャットログだけでなく、きちんと頭上にも表示される。パーティやギルドも組め、その中でのチャットも可能だ。

 グラフィックスは一見すると2Dの見下ろし形だが、OpenGL ESを使用し、キャラクターは2D、背景は3Dという、「RO」と同じ仕組みを採用。これによって、視点の拡大縮小や回転、さらには角度の変更(真上から斜め方向まで)もできる。

 戦闘面ではGvGも実装され、携帯電話で最大20対20の戦いが実現できるという。システム面では、カードシステムは実装するが、ペットシステムは予定していないとしている。フィールドは、サービス開始時点ではプロンテラ、ゲフェン、イズルードの3都市と、その周辺の計16フィールド、ダンジョンとしてプロンテラの地下水道を実装予定としている。

 さらに本作には、Windows版にない独自要素として、「ストーリークエスト」が用意される。ストーリー性を持たせたクエストで、NPCからの指示を順にこなしていくという流れのできたものになっている。これには携帯電話の環境を鑑みて、1人でも遊べるものを提供する狙いがあるという。ボスモンスターと1対1で戦うようなものも考えているそうで、本作においては重要なコンテンツとなりそうだ。このほかにも、Windows版にはない独自要素を考えているという。

 気になるWindows版との連携機能は、現在は検討中としている。Windows版のキャラクターをそのまま使えるということはなさそうだが、ゲーム自体がかなり本家「RO」に近いものだけに、今までにない形での連携も考えているという。

 サービスは、まずiモード版が2009年夏より開始される予定。その他のキャリアについても順次検討するとしている。対応機種は、FOMA 905iシリーズ以降のメガiアプリ対応端末で、iアプリオンラインにも対応する。利用料金は未定で、アイテム課金など月額課金以外のビジネスモデルも含めて検討しているという。


画面は一見して「RO」とわかる。既に質の高いものになっており、他のプレーヤーや多数の複数のモンスターが表示されても特に重くなったりはしなかったが、グラフィックスについてはさらに改善を進めていくという

【スクリーンショット】



■ 「PCと遜色ないMMORPGを作るには携帯が1番」と期待をかける森下社長

ガンホー代表取締役社長の森下一喜氏
ガンホー新規事業開発室長の市川彰彦氏
エイタロウソフト代表取締役社長の西島栄太郎氏

 さらに今回、ガンホー代表取締役社長の森下一喜氏と、本作のエグゼクティブプロデューサーを務めるガンホー新規事業開発室長の市川彰彦氏、そして本作の開発を担当する株式会社エイタロウソフトの代表取締役社長を務める西島栄太郎氏に、本作のサービスの狙いなどについて話を聞けた。

 まず本作の開発のきっかけについて市川氏に尋ねたところ、「2007年くらいに森下と『携帯電話でMMOはできないのか』という話をしていた。その後検討をしていく中で、既に実績のあるエイタロウソフトさんを見つけた。2007年末ごろに連絡してみようと思った矢先に森下に呼ばれ、『エイタロウソフトさんにアポイントを取った』と告げられ、2人で会いに行ったのが始まり」という。

 森下氏はこの時点で、モバイルの「RO」を作ることは決めていたという。森下氏は以前から、コンテンツサービスにおいて携帯電話の可能性は大きいと考えていたそうで、iモードのサービスが始まった1999年には、F501iを発売日に購入して周りに自慢していたそうだ。

 ではなぜ「RO」のサービス開始から6年以上も経った今のタイミングになったかと聞くと、「より『RO』のユーザーを開拓していくには、違った角度からアプローチしていく必要がある。マルチプラットフォーム戦略の一端」としつつも、「ニンテンドーDSなどもやっているが、PCと遜色ないMMORPGを作ることを考えると、現時点では携帯電話が1番近いと判断した。たとえば文字入力も、PCでキーボードは難しいという人はいても、携帯では打てる人が多い」と、携帯電話への期待感も示した。

 ガンホーから話を受けた西島氏は、「我々は携帯電話でのオンラインゲームの可能性を強く信じていて、広げていきたいとは思っていたが、当時は『まだ無理、やれてもせいぜいミニゲーム』と言われていた。これだけ大きなタイトルを本格的にやっていくという話はなかなかできないことで、それを言っていただけたことに震える思いがした」という。また「このタイトルを成功させなければ、携帯電話のオンラインゲームに広がりはないと感じている」とも述べ、強い決意を持って臨む姿勢を表した。

 本作のコンセプトについて市川氏は、「世界観は踏襲するが、単なる移植はしない。コンシューマゲームの考え方を取り入れ、スタンドアローンで遊べる要素を取り入れる。通信環境が悪い場所でも遊べるようなものも組み込んでいる」という。さらに西島氏は、「本作で初めて携帯電話のオンラインゲームに触れ、コミュニケーションや協力プレイを体験するユーザーさんも多いと思う。普段遊ばれているオフラインのゲームから突然オンラインゲームに入って戸惑ってしまわないよう、慣れ親しんだ形で遊びながらいろんな人と協力したりすることで、オンラインゲームの楽しさを感じてもらえるような要素を考えている」と答えた。

 最後に一言ずつ、読者に向けたメッセージをいただいた。

「なるべく早い段階でサービスを提供したい。今ある携帯電話のスペックの限界まで作りこんでいるので、ぜひ1度触れていただいて、長く遊んでもらいたい」(市川氏)

「携帯電話だからといって簡易なものに落とし込むのではなく、MMORPGとして楽しんでもらえる作品に仕上げていきたい」(西島氏)

「クオリティ的にも今までに見たことのない、感動や驚きを与えるものに仕上げたい。それが実現できるよう、こだわりをもって作っていく。期待を裏切らないものにしたい」(森下氏)




■ 「サーガ」シリーズ第2弾を発表した「ラグナロクオンライン GAMES」

ジー・モード国内事業本部 RPGサービスユニット兼RO&ECOサービスユニットの原慈氏

 モバイル関連では、株式会社ジー・モードがサービスしているモバイルゲームサイト「ラグナロクオンライン GAMES」の最新情報も発表された。まずは新作として発表された「ラグナロクオンラインサーガ シーフと禁断の秘術」は、「ラグナロクオンラインサーガ」シリーズの第2弾となるRPG。今回はシーフの「レアード」が主人公。妹の「チコ」が倒れたことをきっかけに、陰謀の渦に巻き込まれていくという。

 システムは前作同様、ベーシックなスタイルのRPG。2Dグラフィックスのフィールドを歩きつつ、ランダムエンカウントで出現した敵とターン制のコマンドバトルを行なう。ストーリーに沿ってゲームを進めていく中で仲間も増えていき、最大4人のパーティとなる。

 「RO」本編との連動も行なうが、内容はまだ企画中としている。配信時期はiモード版が2009年夏から秋にかけての予定で、EZwebとYahoo!ケータイ版も順次配信予定としている。


【登場キャラクター】
メインビジュアル主人公のシーフ、レアードレアードの妹チコ
マジシャンのニーナアコライトのタリオクルセイダーのリオルカ

【スクリーンショット】
ベーシックなスタイルで進むRPG。戦闘では携帯電話のインターフェイスに合わせた十字のコマンド選択を採用している


 このほか、現在iモードとYahoo!ケータイで配信中のモンスター育成&合成シミュレーション「ラグナロクオンライン モンスターブリーダー」では、6月8日13時にアップデートを行なうことが発表された。このアップデートにより、「RO」で使用できる連動キューペットとして「天仙娘々」と「デュラハン」が追加される。今後も連動キューペットの追加を予定しているという。またEZweb版の配信も予定されており、配信に合わせたキャンペーンも企画中としている。


新たな連動キューペット「天仙娘々」(左)と「デュラハン」(右)

【スクリーンショット】
「RO」にも登場する100種類のモンスターを育てたり合成したりしながら強くしていく。他のプレーヤーが育てたモンスターと対戦もできる


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(2009年 5月 25日)

[Reported by 石田賀津男]