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東京ドーム、過去最大規模のリニューアルとDX(デジタルトランスフォーメーション)を実施

2022年3月オープン戦から稼働開始予定

【「東京ドーム」リニューアル】

2022年3月オープン戦~ 稼働開始予定

 読売新聞グループ本社、読売巨人軍、東京ドーム、三井不動産の4社は、プロ野球・読売ジャイアンツの本拠地である東京ドームにおいて、過去最大規模のリニューアルを実施する。稼働開始は2022年3月のオープン戦からを予定している。

 4社は各社の知見を集結し、これまでの約4.4倍の面積となる国内最大級のメインビジョンの新設や、入場ゲートおよびコンコースのデザイン刷新、多様な観戦スタイルに対応した新たな観客席の設置に加え、完全キャッシュレス化や顔認証技術の導入などのDX(デジタルトランスフォーメーション)を行ない、来場者に「ジャイアンツの世界を五感で、存分にお楽しみいただく、新しい観戦体験」を提供できるように取り組むとしている。

 2020年から取り組んでいる、新型コロナウイルス感染予防のための施策「世界トップレベルの清潔・安全・快適なスタジアムを目指して」は、来場者が安心して東京ドームでの試合を観戦できるよう、引き続き対策を徹底していくとしている。また、東京ドームは「今回のスタジアムでの大規模な改修を手始めに、東京ドームシティ全体をより魅力ある街へと変貌させるべく、今後も継続的な整備、リニューアルに取り組んでまいります」とコメントしている。

日本最大級のメインビジョンおよび外野フェンス上部リボンビジョンを新設し、迫力ある映像演出を実現

 メインビジョン単体の面積としては国内スタジアムで最大規模となるフルカラーLEDメインビジョンが誕生する。サイズは横幅が約125.6m、面積が約1,050㎡。従来のメインビジョン(約238㎡)と比較して面積は約4.4倍に拡大し、画質(画素の細かさ)の面においてもメインビジョンとしては国内プロ野球場最高レベルとなり、高精細映像を使った迫力ある映像演出が楽しめるようになる。

 メインビジョンとともに導入する送出制御システムにより、音楽や照明と連動した映像や静止画の演出表現、アニメーションなどの動きを交えた様々な特殊効果のほか、後述の外野フェンス上部リボンビジョンや場内コンコースのデジタルサイネージと連携したコンテンツ発信も可能になる。なお、当初、2021年シーズンオフ・2022年シーズンオフの2期に分けた改修が計画されていたが、工事期間が短縮される。

メインビジョンイメージ図(正面)/提供:竹中工務店
メインビジョンイメージ図(ライト方向より)/提供:竹中工務店

【メインビジョンの概要】
・スクリーンサイズ
(右翼から左翼に伸びる上段横長部分) 約125.6×7.5m(横×縦)(中央下段部分)約20×5.4m(横×縦)合計面積約1,050㎡
・画素ピッチ:10mm
・発光方式:SMD方式
・解像度:(右翼から左翼に伸びる上段横長部分)12,560pix×750pix (中央下段部分)2,000pix×540pix

 上記のメインビジョンに加え、東京ドームとして初めて、ライト側とレフト側の外野フェンスそれぞれにフルカラーLEDの映像送出装置(リボンビジョン)が設置される。リボンビジョンは両翼ポール傍から右中間・左中間に向かって外野フェンス上端に帯状に取り付けられ、横幅は2面合計で約107mに達する。約4mの外野フェンス高に対して上部約3分の1にあたる1.28mがリボンビジョンとなり、鮮やかな色彩で映し出した演出映像がメインビジョンと連動して送出することで、より臨場感の高まる観戦を体験できる。

メインビジョンとリボンビジョンの全体イメージ図/提供:竹中工務店

【外野フェンス上部リボンビジョンの概要】
スクリーンサイズ(片側):53.76×1.28m(横×縦)、面積68.813㎡
画素ピッチ:10mm
発光方式:SMD方式
解像度:5,376pix×128pix

 また、東京ドーム場内のLED照明器具約650台をDMX(DMX512)連動によって制御するシステムも導入される。DMXは照明器具の調光などの制御を行なうための通信規格で、これに連動したシステムを構築することで、メインビジョンの映像や音響と連動させた照明パターンの再生が可能となり、躍動感ある球場内演出が実現できるようになる。

【DMX連動によるLED照明制御システムの概要】
 DMX(DMX512):512チャンネルのデジタル信号を送受信することができる通信規格。DMX連動では、照明器具1台1台を個別に制御できるため、場内のLED照明器具を様々なパターンで点灯、調光することが可能となる。

入場ゲートおよび場内コンコースのデザイン刷新とデジタルサイネージの導入

 各入場ゲートから観客席に到着するまで、ジャイアンツの世界に没入できるよう、デザインを刷新。デジタルサイネージが導入される。全ゲートが新たなデザインに変更されるほか、コンコースにはLEDディスプレーやデジタルサイネージが設置され、快適で洗練された空間へと生まれ変わる。

22ゲート内エントランス イメージ図

【場内コンコースにおけるLEDディスプレー、デジタルサイネージの概要】
 場内コンコース等に約260台のデジタルサイネージが導入される。これにより、座席から離れていても、これまで以上に多くのエリアで試合映像や演出映像が観られるほか、試合展開にあわせて場内サイネージを特定の演出映像で一斉表示するといった送出制御も可能となるため、球場全体の一体感をより高める企画が実現できるようになる。

 内野22ゲートと外野25ゲートのエントランスには、大型LEDディスプレーが設置され、迫力ある映像の送出が可能となる。東京ドームのメインゲートである22ゲートでは、大型LEDディスプレー3面(6.5×3m[横×縦]が1面と、5×3m[横×縦]が2面)に加えて、16本の天井LEDディスプレーが設置され非日常的な空間をより一層楽しめる。ジャイアンツファンの専用ゲートである25ゲートでは、9×2.5m(横×縦)の大型ディスプレーで様々なジャイアンツコンテンツを表現し、入場直後のユーザーを出迎える。

2階コンコース イメージ図
25ゲート内エントランス イメージ図(LEDディスプレーは図の右部分)

ライトスタンドへの入場ゲートである25ゲートのデザインを刷新

 今回のリニューアルでは、各入場ゲートのデザインも一新。なかでもジャイアンツファンがライトスタンドへと入場する25ゲートは、ジャイアンツカラーが施され、中央にプライマリーマークを装飾。象徴的なゲートへと刷新される。なお、その他のゲートのデザインは後日詳細が発表される予定。

25ゲート外観 イメージ図

内コンコースおよび各ゲート等のデザイン監修:三井デザインテック

観客席の新設、増設およびプレミアムラウンジのフルリニューアル

 ニューノーマルな時代の中で、野球の観戦スタイルも多様化している。時代に合った様々な付加価値を各観客席エリアや座席自体に備えることで、ユーザーのニーズに応えるだけでなく、新しい野球の楽しみ方も提供する。

 今回のリニューアルでは、グループ席の新設や既存エリアの拡張、改装が実施される。座席の形状や材質に個性を出すだけでなく、各席種での観戦体験をイメージした付帯サービスまでが設計され、ユニークさを追求。ユーザーが目的に合った座席を選びやすくなるとともに、これまでの東京ドームでは体験できなかった、より快適な観戦環境も届けられる。

観客席の新設

 観戦スタイルの多様化に加え、感染対策も起因し、小規模グループで観戦を楽しむ需要が高まっている。今回のリニューアルでは、場内の4カ所に定員数や専有面積、付帯設備などで特長をつけたグループ席が400席新設される。

(1)THE 3rd PLATINUM BOX (ザ サード プラチナ ボックス)
 白を基調としたL字のソファを1階席3塁側スタンド内に配置した、寛ぎながら観戦ができる4人定員のグループ席。座席には、テーブル、試合の中継映像用モニター、スマートフォンなどを充電できる電源も備え付けられる。

席数:4人席×18区画 計72席 1区画の広さ:1,600(一般席の2列分)×2,500mm(縦×横)
座席サイズ:(3人席)1,920×(座面)550×830mm(幅×奥行×高さ)/(1人席)550×(座面)460×830mm(幅×奥行×高さ)

 なお、観客席の料金等は「読売ジャイアンツシーズンシートサイト」にて確認してほしい。

(2)SKY TERRACE (スカイ テラス)
 2階席の前方ブロックに位置する、クッション性のある座面がついたベンチソファタイプのグループ席。グループ観戦がしやすいように周囲を木目調の仕切りで囲い、前方には食事や飲み物を広げて食べられるカウンターを設置。家族同士や友人同士でカジュアルに野球観戦を楽しめる。

席数:4人席×44区画 5人席×4区画 計196席
1区画の広さ(4人席):1,105(一般席の1.5列分)×2,500mm(縦×横)
座席サイズ(4人席):2,350×440×805mm(幅×奥行×高さ)

 なお、観客席の料金等は「読売ジャイアンツシーズンシートサイト」にて確認してほしい。

(3)MASU CABANA (マス カバナ)
 2階コンコースMASU SUITE(マススイート)の並びに位置される半個室のグループ席。前方にソファセット、後方にカウンター席が配置されたレイアウトで、“リゾート”をコンセプトにした内装やインテリアが設えられる。

 壁に仕切られたプライベートな空間の室内には、試合中継映像用モニター、スマートフォンなどを充電できる電源、コート掛けなどが備え付けられる。ビーチサイドにあるプライベートスペース「カバナ」のように、リゾートさながらのリラックスした気分で観戦しながら、グラウンドの臨場感も感じられる座席。

席数:4人席×8区画 6人席×6区画 8人席×2区画 計84席

 なお、観客席の料金等は「読売ジャイアンツシーズンシートサイト」にて確認してほしい。

(4)CRAFT COUNTER (クラフト カウンター)
 2階コンコースの外野寄りに位置する、ペア観戦用のカウンター席。厚みのあるカウンターには真鍮の席番プレートがあしらわれ、座席には飾り鋲が施されるなど、クラフトマンシップが感じられる仕様となる。カウンターのみ設置した立ち見指定も販売され、好みに応じて観戦スタイルが選べる。外野スタンドの熱気を味わいながら、気軽に野球観戦が楽しめる座席。

指定席エリア(座席あり):2人席×12区画
立ち見エリア(座席なし):2人席×12区画 計48席
座席サイズ(指定席エリア):420×350×960mm(幅×奥行×高さ)
カウンターサイズ:6,400×250×(天板)1,080mm(幅×奥行×高さ)

 料金や販売方法は詳細が決まり次第発表される予定。

観客席エリアの拡充

(1)車椅子席エリアの増設および付添者用座席のリニューアル
 これまで22席分(1塁側:12席、3塁側:10席)を確保していた車椅子席のエリアが、今回のリニューアルで30席分(1塁側:15席、3塁側:15席)に増え、グラウンドが見渡せる両翼寄りに移設される。付添者用の座席は、ジャイアンツのロゴが入ったオリジナル背面で、クッション性能も向上した座席にリニューアルされる。

(2)ダイヤモンドボックスの増設
 バックネット裏に位置する最高ランクのシート「ダイヤモンドボックス」が、現在の160席から290席に増設。寛ぎながら観戦できる、ゆったりとした前後左右の幅はそのままに、既存のエリアから1・3塁側に2ブロックずつ拡張される。座席に付属する専用タブレットもリニューアルされ、試合中継映像視聴や、フードデリバリーの対象店舗が増えるなど、高品質なサービスが提供される。また、「チャンピオンシート」の設定位置が変更され、座席数が321席から367席に増設されるなど、バックネット裏後方エリアが一体的に刷新される。

(3)マススイートの増設
 2020年に、日本の伝統的なグループ観客席である「枡席」をコンセプトに設置された「マススイート」が、1塁側に2部屋増設される。増設される部屋の定員は7人と9人で、マススイートの中でも人気のタイプの部屋が採用されている。

(4)JCBバックスクリーンクラブ専用ラウンジの改装
 ジャイアンツファンの熱気をダイレクトに感じられるライトスタンドの座席に加え、センターバックスクリーン裏側の専用ラウンジを利用できる「JCBバックスクリーンクラブ」。ライト側のラウンジのみグラウンドが見渡せる仕様となっていたが、レフト側のラウンジもグラウンドに面した壁がガラス張りに改装。ライト側同様バックスクリーンからの特別な景色が見渡せるようになる。ビュッフェエリアも拡張され、食事も利用しやすくなる。

プレミアムラウンジのフルリニューアル

 3階エリアに位置するバルコニー席「プレミアムラウンジ」が、誕生した2008年以来初めて大幅にリニューアルされる。来場者を迎えるエントランスには、正面にインフォメーションカウンターや100インチの大型サイネージが配置され、ラウンジエリアは全面リフォームし上質な雰囲気を提供。プレミアムラウンジのユーザーのみが利用できる専用バーも新設され、ビュッフェコーナーとあわせて食事もより一層楽しめるようになる。

 また、バルコニー側に並んだ座席と試合中継映像用のモニターも全て新調される。座席は、茶系の柔らかい合成皮革に変わり、肘掛にカップホルダーが備え付けられる。座面のクッションも厚みが増すなど、高級感に加え機能性も向上した座席となる。なお、料金等は「読売ジャイアンツシーズンシートサイト」にて確認してほしい。

プレミアムラウンジ エントランス イメージ図

【プレミアムラウンジ・ビュッフェのリニューアルおよび料金改定について】
 リニューアルに合わせ、ビュッフェメニューも刷新される。ビュッフェコーナーに新たに設けられるライブキッチンでの後楽園飯店料理長監修「ふかひれ入り汁そば」の提供をはじめ、ホットドック、ナチョスといったボールパークをイメージした多彩なメニューが追加され、カップケーキや季節のゼリーなどスイーツも充実したラインナップになる。なお、ビュッフェ券の販売価格は料金改定が行なわれる。

※現行料金:2,700円(税込、当日料金)⇒ 新料金:3,700円(税込、当日料金)

【後楽園飯店料理長監修「ふかひれ入り汁そば」が登場】
 今回リニューアルされるビュッフェメニューの目玉の1つが、後楽園飯店料理長である稲飯龍典氏が監修する、「ふかひれ入り汁そば」。後楽園飯店名物の「ふかひれの姿煮入り汁そば」と同様、後楽園飯店伝統の中華スープに鶏肉と豚肉からとった濃厚な出汁を加えたスープに、ふかひれの細切りを入れた本ビュッフェ限定の東京ドームホテルオリジナルメニューとなっている。

プレミアムラウンジ ビュッフェゾーン イメージ図

スイートエリアが「THE SUITE TOKYO」としてフルリニューアル

 グラウンドを一望できるバックネット裏3階エリアに位置する全28室のスイート倶楽部が、新たに「THE SUITE TOKYO(ザ スイート トウキョウ)」としてリニューアルする。

 「THE SUITE TOKYO」は、専用のゲートおよび専用フロアを有し、個室で食事を楽しみながら、野球をゆっくり観戦できるエリア。今回、エントランス、廊下、各個室、客席のすべてがリニューアルされ、提供される料理にも新たなメニューが加わり、より上質で、特別な空間として生まれ変わる。

「THE SUITE TOKYO」個室 イメージ図

場内の完全キャッシュレス化と顔認証技術の本格導入

 東京ドーム場内の全売店、客席販売、場内チケットカウンターなどにおいて、2022年3月から「完全キャッシュレス化」が実施される。2020年からの3カ年計画でその環境整備と周知への取り組みが行なわれてきた。

 これまで現金の受け渡しなどで生じる接触機会を減らせることは感染対策の強化につながるほか、売店等でのユーザーの待ち時間が短縮されることも期待される。

 完全キャッシュレス化は巨人戦のほか、東京ドームで開催される他のスポーツ・音楽等の催しでも適用される。身軽で多彩なキャッシュレス決済により、より快適でスムーズな買い物やスタジアム観戦が楽しめる。なお、場内には「DXサポートデスク」が設置され、初めてキャッシュレスを利用するユーザー等への丁寧なサポートも行なわれる。

【完全キャッシュレス化の対象】
売店(飲食・グッズ)、客席販売、場内チケットカウンター、自動販売機、コインロッカー ほか

【多様なキャッシュレス決済方法】
・クレジット決済(VISA/Mastercard/JCB/American Express/DISCOVER/Diners Club/銀聯)※NFC対応カード(タッチ決済ほか)も利用可
・電子マネー:非接触IC決済(交通系IC/nanaco/iD/QUICPay/Edy/waon)
・電子マネー:コード決済(PayPay/d払い/楽天ペイ/LINE Pay/Alipay/WeChat Payほか)
※より詳細な情報は後日発表。

【利用者へのサポート体制】
・場内に設置する「DXサポートデスク」にて、初めてキャッシュレスを利用するユーザーへのフォローや、キャッシュレスに関する様々な問い合わせに対応。
・電子マネーへの入金(チャージ)には、場内に設置のnanacoチャージ機、交通系ICチャージ機、セブン銀行ATMが利用できる。また、ユーザーには、来場前に電子マネーへのチャージをするよう協力の呼びかけが行なわれる。

顔認証入場および顔認証決済の本格導入

 2022年シーズンから、東京ドーム巨人戦における入場(チェックイン)や場内飲食物販店舗での決済方法として、事前登録した顔画像による認証が一部の入場レーンおよび店舗にて本格導入される。顔画像の登録方法など詳細は後日、読売ジャイアンツ公式ウェブサイト等で発表される。

演出アトラクションや場内各種サービス等の刷新

 上記の施設改修(リニューアル)や DXに加え、東京ドームにおける2022年シーズンからの読売ジャイアンツ公式戦では以下の項目等についても刷新する予定。今後、順次発表される。

・上記のメイン・リボンビジョンやDMX連動による照明制御システムを活用した新たな演出および試合前やイニング間のアトラクションのリニューアル。球場内でのサウンド体験の向上
・場内外飲食店舗の一部リニューアルおよび新定番メニューの開発、選手コラボメニューの充実化
・場内サービススタッフ(係員の新たな名称)によるユーザーサービスの向上策の導入
・場内サービススタッフのモチベーションアップ施策の導入(従業員満足度(ES)の向上)

「世界トップレベルの清潔・安全・快適なスタジアム」を目指す取り組みの継続

 東京ドームにおける新型コロナウイルス感染防止対策とDXについては、今後もハード・ソフト両面で継続的に施策が行なわれ、「世界トップレベルの清潔・安全・快適なスタジアム」を追求していくとしている。また、「環境配慮として、場内における各種ごみの総量削減およびリサイクル率の向上にも努めます。」とコメントしている。