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Gokuri選手「アイムストロング!」 大会2日目はDetonatioN Gaming Whiteが大会最多の16キルでドン勝を獲得

【MET Asia Series: PUBG Classic】

7月26日~28日開催

会場:BITEC Bangna(タイ バンコク)

 「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」のアジア大会「MET Asia Series: PUBG Classic」が会期2日目を迎え、6ラウンドが行なわれた。初日は選手を取材したり、会場を視察したりして慌ただしかったが、2日目は客席後方やプレス席でじっくり観戦を楽しむことができた。

【「MET Asia Series: PUBG Classic」2日目】
2日目がスタート!
インターバルにはコンパニオンが登場する用に
週末に入ったこともあり、大勢のゲームファンで賑わった
タイチームが活躍するとこのようにライトアップされる
日本から応援に駆けつけてくれた「PUBG」ファンもいた
客席に見慣れた人物がいると思ったらDeToNatorのSPYGEA選手だった。DeToNator KOREAを応援するためにバンコクを訪れたという

 ただ、筆者の国際大会を久々にライブ観戦できたことによる満喫感や満足感とは裏腹に、「PUBG」大会の会期2日目は、多くの関係者にとっては鬼門の1日だ。これは3日間の長丁場で優勝が競われる「PUBG」ならではの特異性だと思うのだが、初日は過去の地域大会の経験、配信動画での研究をベースに、各チームが最新のメタを用意して臨試合に臨む。しかし、今大会に出場しているような世界トップクラスのチームは、リーグの配信や動画によって研究されていることを逆手に取って、さらにメタを変えてくる。それは実際に相対してみないとわからない程度の微妙な違いで、これが実際には初日の大きな結果の差となって出てきてしまう。

 大事な初日に思うような結果が出せなかったことに、多くの選手は戸惑い、余裕がなくなり、表情からは笑顔が消える。バックヤードではコーチやアナリストを中心とした対策会議に熱が入り、場合によってはパフォーマンスが出ない選手に対して怒号が飛ぶ。優勝一発で13万ドル(約1,400万円)という金額の大きさも然る事ながら、国際大会で勝つことの大事さは、トップチームであればあるほどわかっている。PJSとは比較にならないほどピリピリした厳しいプロの世界がそこにはある。

 日本チームも同様で、開幕直前にインタビューしたWesker選手(Rascal Jester)をはじめ、多くの選手から初日にあったような余裕がなくなっていた。13位、14位という初日の結果は彼らにとっても想定以上に悪い内容だったようで、結果を求めて誰もが深刻な表情をしている。このままでは、優勝はおろか、彼らが“左側”(左右8チームずつ表示されるところから来ている)と呼んでいる入賞圏内すら覚束ないからだ。

【ピリピリする2日目】
アナリストNicop氏を中心に集まるDetonatioN Gaming Whiteの選手達
こちらはTAKOMAYO氏の解説を聞くRascal Jesterの選手達
試合中、アナリストのNicop氏は、フードを被り、イヤフォンを付け、マップ画面と日本語配信に集中している
Black Ananas(中国)は喫煙エリアで先のラウンドでミスをした選手に、かなり激しく怒っていた。ラウンド7の14位1キルに低迷した原因を作ったことを叱責しているようだが、それにしても激しい

 そういう彼ら選手達に喝を与え、自信を取り戻させるのがコーチ、アナリストの役目となるが、果たして日本代表チームは初日からムーブや立ち回りを修正することができたのか? 結論からいうと、修正できているような気もするし、できないような気もする。

 2日目に最初に見せ場を作ったのは、初日あまり活躍できなかったDetonatioN Gaming Whiteだ。ラウンド10のMiramarで、本大会最多となる16キルでの堂々のドン勝を獲得。その裏ではRascal Jesterも8キル(10位)という、日本2チームで24キルという上々の結果を残した。

 中でも鬼神のような活躍を見せたのがGokuri選手。1人で9キルというPJSでもあまり見られない結果を残し、ドン勝チームの選手インタビューでは、練習の成果が出たことを報告しつつ、アジアの「PUBG」ファンに向けて「アイムストロング!」という名言を残した。

【DetonatioN Gaming White】
ラウンド10、20分が経過した中間報告では、Rascal Jester 8キルに対して、DetonatioNはまだ5キルだったが、ここから快進撃が始まった
終盤に入り、ハイペースでキルを重ねるGokuri選手。DRMによる中距離射撃がおもしろいように当たる
止まらないGokuri選手。ついに9キルを達成し、チーム15キルを記録
弾ける笑顔を見せたDetonatioNの選手達
「アイムストロング!」と叫ぶGokuri選手

 続くラウンド11では今度はRascal Jesterが7キル2位の活躍。惜しくも2戦連続日本チームドン勝は逃してしまったが、中盤3人生存の状態から、やや不利な位置からリスクを取って一気に中央に寄るムーブが成功し、2位という好成績を収めた。

 ただ、両チームに共通して言えるのは、14位、15位、16位といった序盤での脱落が目立つ。これは日本チームだけでなく、ドン勝を取った多くのチームが共通しているが、勝利したチームは気が緩むのか、ドン勝直後のラウンドは低迷することが多い。DetonatioN Gaming Whiteはドン勝後は16位、Rascal Jesterも2位後は16位だった。せっかくドン勝を取ってもその後が悪ければ、ドン勝の意味が減退してしまう。

【Rascal Jester】
ラウンド11。Rascal Jesterは3人で、DPG Denawa(韓国)を撃破するなど活躍して最終局面まで生存したがWeibo(中国)との3対3の好機を逃し、2位となった

 そういった点で、やはり安定しているなと感じたのは韓国勢だ。2日目で全チーム唯一となる2度目のドン勝を獲得し、2位と23ポイント差を付けて首位を独走するGEN.Gを筆頭に、彼ら韓国勢はとにかく順位とキル数が安定している。中でも驚きなのは、2位のDPG danawa(DD)で、今大会で1度もドン勝を取っていないにも関わらず総合2位に食い込んでいる。その彼らもアベレージの順位が高く、コンスタントにキルを重ねているかがわかる。

 その彼らでも15位や16位で離脱するラウンドはあるのだが、そうした短時間での生存でも0キルが一度もないのは凄いと言わざるを得ない。総合優勝は、現在108ポイントで首位を独走するGEN.Gは揺るぎそうにないが、抜群の安定感で0ドン85ポイントで2位に付けているDDが爆発すれば逆転優勝もありえるといったところだろうか。

 日本代表チームの2日目の結果は、順位は1日目から変わらず、DetonatioN Gaming Whiteが13位(54ポイント)、Rascal Jesterが14位(49ポイント)とお互いの位置を入れ替えただけとなっている。随所に見せ場を作るものの、それ以外のラウンドで凡退が多く、なかなか順位を上げられず苦しんでいる印象だが、両チームともキルは確実に取れてきているため、彼らの頑張りに期待したい。

【抜群の安定感を誇る韓国勢】
ラウンド11が終わった時点での上位4チームのスタッツ。このうち、2位のDPG Denawaと、DeToNator.KOREAは1度もドン勝を取っていないが、凄まじいキル数とダメージを稼いでいることがわかる
ラウンド12の結果。このラウンドは、途中でサーバーがダウンして再試合となったが、勝ったのは韓国GEN.Gだった
2日目の結果。日本勢は順位変わらず。むしろ韓国勢に差を広げられる結果となってしまった
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