【特別企画】

「ぷよぷよ」生誕35周年!! シリーズの原点にして1作目から高い完成度を誇った落ちものパズルの大傑作

当時の思い出とともに本作は何が凄かったのかを振り返る!

【「ぷよぷよ」ファミリーコンピュータ ディスクシステム版】
1991年10月25日 発売

 今から35年前――つまり1991年の今日、徳間書店から1つのパズルゲームがひっそりと発売された。この年は、スーパーファミコンの発売から1年ほどが経ち、ちびっ子たちのあいだにも徐々に普及し始めていた頃。また、7月にはスーパーファミコンでは初の「ファイナルファンタジー」シリーズ「ファイナルファンタジーIV」も発売され、大きな話題となっていた。そのため、旧世代機になりつつあったファミリーコンピュータ ディスクシステムで発売されたそのタイトルに、注目している者はそれほど多くはなかった(ちなみにMSX2版も同時発売だった)。

 しかし、発売より35年を経た現在もこのシリーズは何千万もの人々に遊ばれ、公式の世界大会も開かれている。その作品とは落ちものパズルの傑作「ぷよぷよ」。今回は発売35周年を記念して、シリーズ1作目となるディスクシステム版の初代「ぷよぷよ」を当時の情景とともに振り返っていきたい。

翌1992年の秋頃には、大幅にパワーアップされたアーケード版「ぷよぷよ」がゲームセンターに登場。1人用のモードがCPUキャラクターと戦う対戦形式となっている ※画像はアーケード/メガドライブ/Nintendo Switch(SEGA AGES)のもの(以下同)
アーケード版「ぷよぷよ」は画面がゴージャスになり、次に降ってくるおじゃまぷよも視覚的に分かるようになった。何よりの特徴は、連鎖時の魔法の詠唱(連鎖ボイス)だ
アーケード版「ぷよぷよ」。主人公のアルルをはじめ、かわいいキャラクターが登場するため、ゲーマーだけでなく、女の子にも大人気を博した。デートのときに遊ぶタイトルとしても最適(実話)

シリーズ1作目にして高い完成度と中毒性を持つ落ちものパズル! 闘いの熱さは当時ブームの対戦格闘にも負けていなかった!

 じつは1991年は、アーケードにカプコンの「ストリートファイターII」が登場した年でもある。それと時をほぼ同じくしてレンタル専用だったネオジオの一般販売も開始され、ゲーム業界は対戦格闘の大ブームが訪れようとしていた頃であった。ゲームセンターに貼られていた"俺より強いやつに会いに行く"のポスターや、レンタルビデオショップに掲げられていた“凄いゲームを連れて帰ろう”というキャッチフレーズには、懐かしさを覚える読者諸兄もいるのではないだろうか。

 そんななか、ディスクシステムやMSX2といった、次世代機への移行期にあったハードで登場した「ぷよぷよ」。発売された当初はそれほど話題にならず、筆者の周囲でも本作を知る者は少なかった。というか、そもそも筆者自身も本作の存在を知らなかった。それもむべなるかな、この頃は筆者も友人たちも主戦場をスーパーファミコンに移しており、ファミコンソフト、それもディスクシステムまでチェックしている猛者はほとんどいなかったからだ。

 しかし、3つ下の弟の提案で、筆者は本作と出会うことになる。弟によると「ディスクシステムで面白いゲームがある。(自分はそのソフトを友人から借りてくるから)兄はディスクシステムの本体を借りてきてほしい」とのことだった。パッケージ版しかなかった当時はソフトの貸し借り自体は珍しくなかったが、本体ごと借りるというパターンはあまり聞かなかったように思う。それでも、筆者は心当たりをいくつか当たってディスクシステムの本体を用意した。

 こうして我が家にディスクシステム本体と「ぷよぷよ」が揃い、さっそく対戦してみると……これが、とんでもなく面白いではないか! その理由は、勝利条件が「相手より高得点を取ること」ではなく「いかに相手のフィールドを先にいっぱいにして、相手をゲームオーバーにするか」だったことに起因していた。つまり、相手より1分でも1秒でも長くプレイを続けることができれば勝利というわけだ。

とにかく2P対戦プレイが熱い。1P側2P側ともに上まで積み上がっているように見えるが、左から3列目の最上段が塞がっていなければOKだ ※画像は「ぷよぷよ通」のもの

 このルールは、今から考えてもよくできていた。単に得点を競うだけでは、どこか味気なさが残るし、スコアが表示されればどんなゲームでも対戦できることになる。そもそも単にスコアを競うだけなら、2人が同時にプレイする必要がない。仮に対戦でスコアを競っても、自分がプレイしていない時間は退屈なだけだろう。

 しかし、「ぷよぷよ」は2人が同時にプレイする直接対決。しかも、ぷよを消すことで敵陣地に"おじゃまぷよ”を落とし、間接的に相手を攻撃できる。「マリオブラザーズ」や「アイスクライマー」でさえ対戦ツールにしていた(これ、みんなもやったよね?)我々兄弟が、本作にハマらないはずがなかった。どれほどの時間、2人で対戦したか分からない。母には「あんたたち、いつもそれ(ぷよぷよ)やってるね」などと言われたこともある。おそらく兄弟がいて、かつ「ぷよぷよ」を買ったり借りたりしていた人は、みな同じだったのではないだろうか。

考えて楽しい! 発動して爽快! ぷよが次々と消えていく連鎖はもはや芸術だった!

 最初のうちは落ちてくるぷよをただ消しているだけでも楽しかった。しかし、対戦を重ねていると、たまに大量のおじゃまぷよが降ってくることがあるのに気づく。それを人為的に起こすことはできないだろうか?と考えるのに、そう時間はかからなかった(いや、もちろん、連鎖を行なえば人為的に起こすことは可能なのだが、当時はRPG以外のジャンルでそこまで理論立ててゲームを考えることはなかった)。

 やがて、マニュアルを何度も読んで連鎖の存在に気づく。だが、インターネットもSNSもない時代。おまけに、まだ知名度が高くないせいで周りに「ぷよぷよ」をやり込んでいる友人なども存在しない。

 それからは1人用のモードで試行錯誤をくり返し、ようやく連鎖になりそう?な形を組み上げた……ときに限って出てくるBIG PUYO。これは一種の救済アイテムで、2列分の横幅をしたデカぷよ(と我々兄弟は呼んでいた)が現れ、BIG PUYOを置いた2列に積み上がっているぷよをすべて消してくれるというものだ。ふだんはありがたい存在だが、連鎖の研究中は大迷惑。せっかく組み上げた仕掛けが無情にも消えていくではないか! そんなうまくいかない時間さえもが楽しかった。

 ちなみに、この救済アイテムはオプションでオフにすることもできるのだが、連鎖を試してみたい気持ちばかりが先走り、その日はじめてプレイするときはいつもオフにするのを忘れていた思い出がある。また余談だが、救済アイテムにはBIG PUYOのほかにCARBUNCLEもいた。こっちは「CARBUNCLEが歩いた軌道上にあるぷよを、すべて同じ色にする」という効果を持っている。どちらが出るかはゲーム開始時に選択でき、1回のプレイで両方が出現することはない。

連鎖こそ「ぷよぷよ」の華! 当時は自力で(=偶発的ではなく)3連鎖以上を組めるだけでヒーローだった。 ※画像は「ぷよぷよSUN」のもの

 夜は夜で、休むために布団に入るも寝るために目をつぶればまぶたの裏にぷよの群れが浮かんでくる。連鎖が発動するような組み方を考え、明日試してみようとワクワクしながら眠りにつく。これも、同じゲームを遊び続けた経験がある方なら共感いただけるのではないだろうか。

 そんな夜を幾度となく過ごし、ある夜、ついに階段積みの法則にたどり着いた。今でこそ基本中の基本だが、自力で編み出したときは、それは嬉しかったものだ。こんな積み方を知っているのは世界中で俺だけじゃないのか? いや、そんなわけはないのだが(笑)、そううぬぼれるほど「ぷよぷよ」をプレイしていた。その後、アーケード版「ぷよぷよ」の攻略本「ALL ABOUT ぷよぷよ」を制作したスタジオベントスタッフに入社することを考えれば、このときの経験も決してムダにはならなかったように感じる。

対戦だけじゃない! 超充実の1人用モード「エンドレスモード」と「ミッションモード」を搭載!

 「ぷよぷよ」というと、やはり対戦形式のイメージが強い。しかし、本作はシリーズ1作目にして1人用のモードも高い完成度を誇っていた。収録しているのは、エンドレスモードとミッションモードの2種類。

 エンドレスモードは、のちに発売されるメガドライブ版やスーパーファミコン版で言うところの「とことんぷよぷよ」モードだ。無限に落ちてくるぷよぷよをひたすら消していき、ハイスコアを目指すというもの。最初のうちはぷよぷよの種類(色)も少なく落下スピードも緩やかだが、徐々に色が増えていき落下も速くなってくる。

 また、BIG PUYOやCARBUNCLEといった救済アイテムこそあるものの、おじゃまぷよは出現しない。おじゃまぷよに連鎖の起点を潰された……といった運要素が少なく、自分との戦いと言っていいだろう。先述したように、連鎖の研究用としても利用できるモードだった。

アーケード版以降の作品(メガドライブ版やスーパーファミコン版などの移植作も含む)では、1人でもCPUキャラクターと戦う疑似的な対戦モードを楽しめる

 もう1つのミッションモードは、言うなれば「ぷよぷよ」の詰め将棋。ゲーム開始時にあらかじめぷよが配置されていて、「3連鎖を行なえ」、「○色のぷよをすべて消せ」など、ステージごとに設定されている課題を達成すればクリアとなる。ステージ数は当時としてはボリューム十分の全52ステージだった。

 このモードで面白いのは、クリアへの道が1本ではないこと。どういうことかと言うと、たとえば「3連鎖を行なえ」という課題のステージがあったとしよう。そこで最初から配置されているぷよを連鎖をせずに消してしまっても、即座にゲームオーバーとはならない。新たに落ちてくるぷよで改めて3連鎖を達成すればクリアになるのだ。この仕様のおかげで、遊び方に工夫の余地が出た。

 課題は3連鎖だが、あえて5連鎖を狙う。あるいは「○色のぷよをすべて消す」という課題では、そのぷよが一度の連鎖ですべて消えるような仕掛けを組む。一見すると無駄な行為のように思えるかもしれないが、当時はスマホもネットもSNSもなく、娯楽といえばマンガかゲームだけだった。そこで1つのゲームを遊び尽くそうと子供たちが自ら創意工夫して、開発者が本来想定していない遊び方を考案していたというわけだ。

35年経っても色あせない面白さ! かつて兄弟で熱中した「ぷよぷよ」は、今や世界で競われる競技に!

 こうして振り返ってみると、初代「ぷよぷよ」はシリーズ1作目にして、すでにゲームの根幹となる面白さが完成していたことが分かる。落ちてくるぷよを同じ色4つ以上つなげて消す。ただそれだけのルールにもかかわらず、連鎖を組むまでの楽しさ、それを発動したときの爽快感、攻撃を仕掛けるタイミングの駆け引き、互いに画面上ギリギリまでぷよが積まれているときの意地と意地のぶつかり合いなど、さまざまな要素が詰まっている。35年ものあいだ、多くの人々を熱中させてきたのもうなずけるだろう。

 そして35周年となる今年、第20回アジア競技大会でeスポーツ競技のタイトルとして「ぷよぷよ」が初めて採用された。その「ぷよぷよeスポーツ」部門では、世界10カ国の選手たちが出場。最終的には11歳3カ月の栗原悠輝選手が準々決勝から決勝まで圧倒的な強さで勝ち抜き、金メダルを手にしたことは記憶に新しい。弊誌でも試合結果を取り上げたので、ご存じの方も多いのではないだろうか。

「ぷよぷよeスポーツ」はNintendo SwitchまたはPlayStation4で遊ぶことができる。本作を競技として楽しむために最適化したタイトルだが、パーティーゲームとしてもオススメ ※画像は「ぷよぷよeスポーツ」のもの

 また、現在では気軽に「ぷよぷよ」に触れることもできる。セガから配信されているAndroid / iOS用のパズルRPG「ぷよぷよ!!クエスト」に、「とことんぷよぷよ」モードが搭載されているからだ。基本プレイ無料なので、興味を持った方はぜひ一度遊んでみてはいかがだろうか。そして、1人でも多くの方に連鎖の爽快感を味わっていただければ幸いだ。