【特別企画】

「アイマス」シリーズ初の武道館単独公演。千早がスクリーンから飛び出した「OathONE」初日レポート

【如月千早武道館単独公演「OathONE」】
開催日程:1月24日・25日
開催場所:日本武道館

 バンダイナムコエンターテインメントが展開している「アイドルマスター」シリーズのMRプロジェクト「“MR”-MORE RE@LITY-プロジェクト」。2022年7月に始動してから現在に至るまで、同シリーズに登場するアイドルたちの活動の幅を広げ、ゲームの枠に止まらないアイドル活動の拡大を目指して、さまざまな取り組みを行なっている。

 2026年1月24日・25日の両日、日本武道館にて開催された「如月千早武道館単独公演『OathONE』」はそのプロジェクトの一環で、765プロダクション所属の如月千早が単独でライブパフォーマンスを披露。「アイドルマスター」シリーズ初となる日本武道館でのアイドル単独公演だ。

 さらに、演出の一部には、ソニーが開発中のエンターテインメント向け群ロボットシステム「groovots(グルーボッツ)」を導入し、さまざまな演出を盛り込んでいる。本稿では、1月24日に行われた「OathONE」の模様をお届けしよう。

【【冒頭無料配信】如月千早武道館単独公演「OathONE」1/24(土)公演 xRストリーミングライブ【アイドルマスター】】

青いドレスをまとってスクリーンに登場。“千早の背中”は現地だけの楽しみ

 会場には、中央に円筒形のスクリーンが用意されており、開演と同時にスクリーンが上へと移動。ステージには、青いドレスをまとった如月千早が浮かび上がり、観客からの大きな拍手に迎えられてライブスタートとなった。

 会場を埋め尽くす青色のペンライトが動く中、静かに「蒼い鳥」、バラード調の「静かな夜に願いを…」、そして三浦あずさの持ち歌「9:02pm」が歌い上げられ、続いてアップテンポの楽曲「目が逢う瞬間」と、客席からのコールが巻き起こる中で4曲を続けて披露してくれた。なお今回の公演は、数曲で1つのブロックを構成しており、それぞれにテーマが付けられている。この最初の4曲に付けられたのは「心壊」だ。

 今回の公演では、ステージ中央のスクリーンに映る彼女は時折反対側を向いて歌うこともあり、その際は背中側が見えるようになっている。こういった形のライブには何度か参加したのだが、後ろ姿を見せてくれるというのは非常に新鮮。ステージを取り囲むように観客席があるため、このとき反対側ではどのように映っているのだろうと考えるなど、そういった部分でも興味を惹かれた。

 ちなみに、観客席の左右(2階東側と西側部分)には大きなスクリーンが設置されており、そこには配信用の映像が映し出されていた。ここでは常に千早はカメラの方を向いて歌っていたため、背中側を見られるというのは現地のみの楽しみだったようだ。

圧倒的な演出と、本人がそこにいるかのような映像に、観客はステージに釘付けとなった

 「心壊」のブロックが終わると、最初のMCパートへと突入。観客に感謝を伝えると共に「今日は歌で如月千早を伝えたいと思います」とコメント。「時々、自分がどこに立っているのか分からなくなることがあります。だからこそ、しっかりと地に足を付けて一歩ずつ歩いてきました。次は、真っ暗な暗闇からもう一度這い上がるような思いを込めて歌います」と語り「arcadia」を歌い上げてくれた。

 続けて、ステージの周りに炎が吹き出す演出と共に「inferno」を、さらに星井美希の持ち歌である「relations」、「Fate of the World」と熱唱し、ステージと観客が一体になって盛り上がりを見せた。なお、こちらの4曲のテーマは「哭諷」と名付けられている。

「groovots」で千早が通路を歩く! その姿はスクリーンを飛び出したかのよう

 ここで再びMCとなり、彼女は客席に向かって「誰かと繋がるはずの歌が、自分を世界から遠ざけてしまっているような感覚を感じて、すべて静かな夢の中に解けてしまえば良いのにと時々思います」と、静かに語りかける。

 しかし「眠れば何も失わない代わりに何も始められない。次のブロックは、そんな立ち止まってしまった1人の心の物語」と述べ「もし皆さんにもそんな夜があるなら、この歌が寄り添うことができたなら……」として、「再醒」というテーマで「眠り姫」、「Snow White」、「LOST」、「隣に…」の4曲を披露してくれた。静かに、力強いバラード曲が揃ったブロックは最後、三浦あずさの代表曲の一つで締められ、曲が終わると上に移動していたスクリーンが静かに元の位置まで降下し、舞台は暗転する。

 そんな照明の落ちたステージに注目していると、突如として通路に千早の姿が! この演出に観客はこの日一番のどよめきを見せることとなった。先ほどまで中央のスクリーンに映っていたはずの彼女が、1人で通路を歩き退場していくように見えたため衝撃を受けたのだが、これが幅2m×高さ2mのLEDパネルを搭載した「groovots」の大型ロボットモデルだった。

 明るい場所では黒のLEDパネルが目立ってしまうのだが、今回のように灯りを落としたシチュエーションであればうまく隠すことができる。初めて目にしたときは、本当に千早がスクリーンから飛び出して歩いていると思ったほどだ。そんな彼女が手を振りながら通路を退場していくのに合わせて、アリーナ席の観客がペンライトを振って応えていたのが非常に微笑ましかった。

観客の誰もが、彼女がステージを降りるとは思っていなかったはず。それだけに驚きも大きく、この日一番のサプライズになった。会場が暗かったこともあり遠くからはLEDパネルが見えず、筆者も本当に千早が通路を歩いていると思っていた

 再びスクリーンが上部に移動すると、それまでの青いドレスからきらびやかなステージ衣装へと着替えた千早が登場。「声廻」と題したブロックへと移り、今回のための新曲「輝夜(かぐや)」、アニメ「アイドルマスター」のエンディングでも使われた「my song」、そして萩原雪歩の持ち歌「Kosmos, Cosmos」、さらには高槻やよいなどが歌唱する「Light Year Song」を歌い上げ、しっとりとした時間が過ぎていった。

 「Kosmos, Cosmos」からは、幅0.3m×高さ1.3mの「groovots」の群ロボットたちが左右の通路から各4台ずつ登場。搭載したLEDパネルにステージ上空のスクリーンと合わせた映像演出を行ない、ステージの周囲を移動しながら楽曲を彩ってくれた。

楽曲に合わせて、ライティングだけでなく「groovots」も演出に参加。ステージ上を周回しながら、上下のスクリーンとマッチした色とりどりのエフェクトを見せてくれた

 続いてのMCでは「新曲の『輝夜』はたくさんの人々との出会い、そして今ここに居る奇跡を歌った、そんな私の新しい大切な楽曲です」と教えてくれた。さらに「仲間のみんなと一緒に、大切に歌ってきた曲たちを披露しましたが、これらに自分が声を重ねることは正直とても不安でとても緊張しました」と今の気持ちを吐露した。

 しかしながら「“千早ならきっと大丈夫”と背中を押してくれた仲間やスタッフの皆さんが、ずっと隣を歩いてくれたことを改めて感じました。だから私も、私らしく胸を張り前を向いて、みんなと同じ空を見上げます」として、MASTER ARTISTにて発表された音無小鳥の楽曲「空」を歌い、続けて「君に映るポートレイト」、「Coming Smile」、「Just be myself!!」と、しっとりとしたバラードから疾走感溢れる曲で魅せ、観客もそのパフォーマンスに酔いしれた。

 曲が終わると静寂の中、千早は「このステージに立つまで、たくさん歌ってきました。迷ったり立ち止まったり、時には挫けてしまいそうなこともありましたが、自分の声で、歩幅で前に進んできた時間が、今の私を作っていると思います。歌が私を、ここまで導いてくれたんです」と話した。そして「この曲は、ここまで歩いてきた時間と歌への思い、私と仲間たちが積み重ねてきた一つの答え、夢を描き続け私が今ここにいる証の曲です」と告げると、力強く「M@STERPIECE」を歌ってくれた。ここまでの5曲は「吟我」と名付けられたブロックとなっている。

13人が揃う演出。今後のMRプロジェクトにも期待

 ここで一度幕が下りたが、会場からの「アンコール」の声に応えて、ステージには再び千早の姿が登場。「奏誓」というテーマのこのブロックでは静かに「細氷」が歌い出された。力強いその歌唱にステージから目を離すことができず、会場全体が彼女の歌に飲み込まれていったかのようだった。

 また、これまでは8台だった群ロボット「groovots」が、ここでは12台が登場。左右の通路に6台ずつが位置してLEDパネルに演出を施し、よりしっとりとした雰囲気を作ってくれた。

 ついに終わりが見えてきた「OathONE」。その最後を前にして、千早は客席に「私の歌は、皆さんの心に届きましたか?」と問いかけた。それに応えるように会場から拍手と歓声が沸き上がると、再び「迷ったり立ち止まるたびに、隣にいてくれる仲間、支え続けてくれた人たち、そして私の歌に耳を傾けてくれる皆さんがいました」と語った。そして、本当に最後となる楽曲の前に「立ち止まってしまった過去の私へ、これからの私へ。何より、笑顔で歌う私の歌を好きといってくれた、私に歌う喜びを教えてくれたあなたへの“約束”です」と結び、優しくも温かな歌声で「約束」を熱唱してくれた。

 ここでは、先ほどまで通路に並んでいた「groovots」12体が、鮮やかな765アイドルカラーで舞台の上を周回して、13人が揃う“魅せる演出”を披露。これを見て感極まって泣いてしまったという人もいたほどだ。

 こうして3時間弱に及ぶ公演は、最後に映画のようなエンドロールが流れ、大盛況のうちに幕を閉じた。全体的に見ると初日の楽曲は、しっとりとしたバラードを中心とした構成だったが、彼女の会場を包み込むような圧倒的歌唱力は、最初から最後まで観客を魅了してくれた。特に度肝を抜かれたのが、千早が通路を歩いて退場していくシーンだが、ここは是非とも生で体験して欲しいものだ。

 最後に「OathONE」初日のセットリストを掲載しておこう。これだけのMRイベントを最初に行なっただけに、今後の「“MR”-MORE RE@LITY-プロジェクト」にも大いに期待したい。