【特別企画】
CR惜しくも2位! ZETAも出場した「オーバーウォッチ チャンピオンズ・シリーズ ASIA Stage 2 Grand Finals」韓国現地レポート
2024年10月8日 15:48
- 【OWCS ASIA Stage 2 Grand Finals】
- 10月5日 開催
- 会場:釜山eスポーツアリーナ
「Overwatch 2」(以下、OW)のアジア大会「OWCS(Overwatch Champions Series)2024 ASIA Stage 2」が韓国で開催された。前半戦は9月末にソウル、後半戦は10月頭に釜山で行なわれ、上位2チームが11月にストックホルムで開かれる「OWCS 2024 Finals」に出場できる。
日本代表はLazuliとNyam Gamingの2チームであったが、残念ながらいずれもソウルで敗退。釜山行きの切符を手にしたのは韓国代表のCrazy Raccoon(以下、CR)とTeam Falcons(以下、FLC)、そしてZETA DIVISION(以下、ZETA)であった。ご存知のとおりCRとZETAは日本企業が運営するチームということもあり、日本での注目度も高い。
筆者は昨シーズン「Stage1」の際に日本代表INSOMNIAの通訳として現地を訪れ、韓国「OW」ファンの熱気が非常に高いことを知った。その後、ZETAがOW部門を立ち上げた際に筆者がインタビューさせていただいたご縁も相まって、ぜひ現地での盛り上がりを文章に残しておきたいと思い現地取材を実施した。
本稿では、「OWCS ASIA Stage 2 Grand Finals」の様子を現地で撮った写真とともレポートをお届けする。
試合会場は常設eスポーツ競技場「釜山eスポーツアリーナ」
試合会場となったのは釜山の若者の中心地・ソミョン(西面)にある「釜山eスポーツアリーナ」。なんと常設のeスポーツ競技場で、普段はアマチュアの大会をメインに使用されているという。もともと映画館だったところの2館のスクリーンと壁を取り除いて作られた会場で、「サムジョンタワー」という複合商業施設の15階と16階にあり、階下にはレストランやアパレルショップ、映画館などがある。
15階でエレベーターを降りると目の前にオブジェが置かれており、その奥には韓国式ネットカフェ「PCバン」がある。階段奥にはくつろげるソファーが置いてあり、ファンの人たちでにぎわっていた。観客席への入口は、その階段を上がって16階にある。観客席の手前にある広いロビーでは、さまざまな展示や施設に加え当日限りのイベントが実施されていた。
階段近くにはフォトゾーンが設けられており、大会ロゴを背景に自由に写真が撮れるようになっている。その隣にあったのが、ユニフォームの展示。今はもうなくなってしまった過去のチームのユニフォームなどもあり、長年eスポーツを見てきた人たちの郷愁を誘っていた。
さらにその奥には釜山の街を模したレゴが展示されているのだが、よくよく見るとそこには「OW」のヒーロー達の姿が。とても良くできていたので、思わずアップにして写真を撮ってしまった。反対側には売店があり、長丁場の観戦に備えるべく飲み物とパンが売られていた。
「OWCS ASIA」のための豪華なスペシャルイベント
入口で入場券を渡すと、引き換えにオリジナルのチケットがもらえる。ペラペラの紙に印字されただけのシンプルな入場券と違い、厚紙の凝ったデザインなので特別感がある。大会のたびにもらえるので、コレクションしている人もいるほどだ。
当日限りの会場イベントのうち、一番目立っていたのが「ウィドウメーカー1v1バトルゾーン」。会場に来たお客さん同士が、「ウィドウメーカー」というスナイパーのヒーローをつかって対戦するコーナーとなっており、ロビーに設置された大スクリーンに試合の様子が映し出されていた。1位と2位には賞品としてSteelSeriesのゲーミングヘッドセットがもらえるとあって、腕に自信のあるファンたちが真剣勝負を繰り広げていた。
その隣で大行列となっていたのが応援用のタトゥープリンター。大会ロゴはもちろん各チームのロゴマークが選べるようになっており、係員のお姉さんにお願いすると専用の機械を肌に直接当ててプリントしてもらえる。筆者は初めて挑戦したのだが、肌に何の感覚もない状態でキレイにプリントされ、かつその日の夜にお風呂に入っただけで跡形もなく消えてしまう優れものであった。これはぜひ、日本でも取り入れてもらいたいオシャレで新しい応援方法である。
さらにその先には「OWCS ASIA」の名場面の投票ボードが設置されており、ファンがシールを貼る形で投票を楽しんでいた。
韓国で根強い人気を誇る「OW」、現地ファンの様子を探る
韓国のeスポーツ会場恒例で、最近は日本でも浸透してきている「応援ボード作成エリア」。もちろん日本のように自作の応援ボードを持ち込む人もいるが、やはり現地に早めに来て応援ボードを手書きするのが一種の醍醐味となっているようだ。
会場は約300席ほどで、この日のチケットは完売。首都圏ではない場所での開催であることを考えるなら充分な集客と言える。それよりも、ひとりひとりのファンの熱量が非常に高いことが印象的だった。お客さんの何人かに声をかけてみたところ、ソウルなど首都圏から遠征して来たというファンも少なくなかった。さらに「Overwatch League」時代から長年競技シーンを応援しているというファンも多く、やはり韓国における「OW」人気は根強いようだ。
ZETA、FLC、CRによる熱い戦いの結末は?
試合は17時から開始され、まずはローワーファイナルのFLC対ZETAが行なわれた。こちらの試合はBo.5(3本先取)となっており、両チームともに譲れない戦いが繰り広げられた。最初のNepalをFLCが取ると次のKing’s RowではZETAが取り返す。最終的に2-2のフルセットとなり、最後の戦場として選ばれたマップはエスコートの「Rialto」。FLC有利な状況で突入した延長戦で、次々とキルを決めたFLCが最終的に勝利となった。これにより「OWCS 2024 Finals」のアジア代表チームはFLCとCRで確定した。
ファイナルへと勝ち上がったFLCを待ち構えていたのは、ソウル大会でFLCを破って勝ち上がったCR。アッパーブラケットファイナルの再戦となった因縁の対決である。試合前のインタビューでFLCのFielder選手が「OWCS Koreaでは決勝に上がってきたのがZETAで少しがっかりしたが、再びCRと対戦できて嬉しい」と話すと、CRのLIP選手は「FLCとは何度も対戦してきたから今日はZETAと戦いたかったのにがっかりした」とユーモアたっぷりに返す場面も。会場のお客さんも大いに盛り上がりを見せた。
こちらの試合はBo.7(5本先取)で行なわれたが、またしてもフルセットの3-3となり、まさに頂上決戦と言わんばかりの様相を呈した。最後の戦場に選ばれたのはコントロールの「Ilios」。1マップ目を取ったCRが2マップ目も有利に進め99%まで到達したが、FLCが執念の逆転劇を見せたことにより、勝負は最終マップまでもつれ込むことに。決戦の3マップ目ではFLCが終始リードを掴み続け、そのまま勝利を果たして「OWCS ASIA Stage2」の王者へと君臨した。
試合終了後の優勝インタビューでは、Hanbin選手が喜びをジャンプで表現しながら「レジェンドだった」と試合を振り返った。また、POTMを獲得したProper選手は、「ZETA戦から厳しい試合も多かったが、皆で優勝できて嬉しい」と2マッチを通しての感想を述べた。
さらに大会終了後、ロビーでは各チームがファンミーティングを実施。23時を超える遅い時間にもかかわらず、貴重な釜山でのファンミーティングとあって大勢のファンが列をなしていた。
今回のレポート記事はここまで。写真をご覧いただいてもわかるとおり相変わらず韓国のeスポーツ会場には女性ファンが非常に多く、15年以上前に韓国のプロゲーマーの追っかけをしていた身としては非常に懐かしい雰囲気を感じた。もちろん男性ファンも繰り出されるスーパープレイに歓声を上げるなど、皆が試合を心から楽しんでいる空間であった。記事を通じて、現地の熱気が少しでも伝わっていたら幸いである。