コーエーテクモ、「信長の野望 Online」7周年記念インタビュー
7周年イベントはどうなる?
気になる報酬や技能調整、PS3版の開発状況まで聞いてみた


6月9日~30日 実施予定


 株式会社コーエーテクモゲームスは、プレイステーション 2/Windows用MMORPG「信長の野望 Online(以下『信ON』)」が6月に7周年を迎える。「信On」ではその7周年を記念して、6月9日から30日まで「新ワールド対抗!7周年記念東西大合戦」が開催される。

「新ワールド対抗!7周年記念東西大合戦」特設ページ

 今年の「東西大合戦」では、島津家・大友家・龍造寺家ら九州大名が本州の大名に勝負を挑んでくる。さらにイベントに合わせて「新星の章」で追加された技能やコンテンツなどのバランス調整が行なわれる予定となっている。

 GAME Watch編集部ではこの記念イベントに先立ち、「信On」開発プロデューサーの渡辺知宏氏に「信On」の7周年と、今年の大合戦についてメールインタビューを行なった。さらに初代プロデューサーで、現在はコーエーテクモゲームスの代表取締役社長を務める松原健二氏からもメッセージをもらうことができた。

 本稿では「東西大合戦」の詳細や気になるバランス調整の内容を、両氏のメッセージと共に紹介する。




■ 初代プロデューサー松原健二氏からのメッセージ

コーエーテクモゲームスの代表取締役社長、松原健二氏。「CESAデベロッパーズカンファレンス 2009 (CEDEC2009)」より

 「信On」は2003年6月12日にPS2用のMMORPGとして正式サービスを開始した。2004年2月にはWindows版が発売となり、その年の12月には初の拡張パック「飛龍の章」が発売された。

 その後、2006年9月に「破天の章」、2007年12月に「争覇の章」、2010年3月に「新星の章」がそれぞれ発売された。さらに2010年末にはプレイステーション 3版が発売される予定だ。

 今や国内でも指折りの老舗MMORPGとなった「信On」を立ち上げた初代プロデューサーが、現代表取締役社長の松原健二氏だ。まずはそんな松原氏から、7周年に向けてのメッセージを紹介しよう。

 「8年目に突入する『信長の野望 Online』、いつもご支援を頂いているプレーヤーの皆様へ、心より感謝申し上げます。振り返ればあっと言う間の7年間、厳しいときを乗り越えてこれたのも、プレーヤーの皆様のお陰です。いよいよ今年はプレイステーション 3版も発売されます。当社はこれまで以上にオンラインゲームに精一杯取組み、プレイする喜びを皆様にお届けしてまいります。これからも『信長の野望 Online』にどうぞご期待ください」(松原健二氏)



■ 渡辺氏が語る「信On」7年間の思い出

開発プロデューサーの渡辺知宏氏。前回のインタビューより

 さて、現在開発プロデューサーを勤めている渡辺知宏氏にも、7周年を迎えた心持ちやこれまでの感想を聞いた。

―― 7周年おめでとうございます! この7年間で印象に残っている出来事TOP3を上げるとしたらなんでしょうか?

 順番に思い出すと、最初はやはりβテストです。テストの中でMMORPGとしてのコミュニケーション要素が上手く動き、皆さんに楽しんでいただけるゲームにできたという実感がありました。弊社として初めてのMMORPG、さらに家庭用ゲーム機で、というチャレンジが形になってきた節目のタイミングです。特にβテスト終了の際の今川怨霊イベント(※)では、皆さんとの一体感を感じることができ、良い思い出になりました。

 次は「第一回の東西大合戦」です。戦国の華、合戦として最も盛り上がり、皆さんが大勢集まった様子は壮観でした。その「東西大合戦」も7回目を迎え、ワールドの威信をかけた本気の戦いにまで進化しています。これからもどんどん大きく心を揺さぶるものとしていきたいです。

 最後は最近の「新星の章」リリースです。皆さんから熱い要望をたくさんいただいたこともあり、それに応えていきたいと強く感じていました。第二陣以降も皆様からのご要望をしっかりと受け止め、「信On」をより楽しんでいただけるよう開発を進めていきます。

※β2テストの最終日に、「駿府城」が死霊の群れに占拠された状態になるというイベントが開催され、大いに盛り上がった。

―― この7年でプレーヤーの構成は変化しましたか? 7年間ずっと続けているプレーヤーも多いのでしょうか?

 コミュニティの幅が広がっていますね。古くからプレイされている方はコミュニティが成熟していることもあり、オフ会などを何度か経た結果、リアルでも非常に仲の良いコミュニティが生まれていると伺っています。その一方、新規で始められる方もどんどん入ってきていますので、様々な出会いが生まれています。「信On」を通じて、一生ものの仲間ができたとしたら、我々も嬉しいですね。7年間ずっと続けているプレーヤーの方も、ありがたいことに数多くいらっしゃいます。

―― この7年で最も大きく変化したのは、どの部分だと思いますか?

 運営サイドとしては、皆様に提供するゲームを良いものにしたいという思いが今まで以上に大きくなってきています。アップデートやイベントの計画にもそれが反映されています。また、プレイの面では「破天の章」で新参者ゾーン「隠れ里」を入れたり、その後にそこで古くからのプレーヤーの方と交流しながら成長できるようなアップデートをしたりという中で、より初心者にも優しいMMORPGとして変わってきていると思います。

―― 逆に変わっていないなと思う部分はどこですか?

 皆さんの「信長の野望 Online」を思う気持ちです。これは7年間経っても衰えるどころか、より強くなっているのを感じています。



■ 「大合戦」の目玉報酬は上位「神秘石」。武器の新エフェクトも追加!

「ワールド対抗戦」に勝利すると、そのワールドのプレーヤー全員に恩恵が与えられる
九州武将は調整でさらに手ごわくなっているらしい

 毎年行なわれる記念イベント「東西大合戦」も今回で7回目となる。「大合戦」はお祭りらしく、誰でも参加できるのが特徴で、レベルが60に満たないプレーヤーは、合戦場でレベル60相当の能力に補正される。さらに装備やアイテムもすべて無償貸与されるので、装備の改修費や消費アイテムの代金を気にせず思う存分遊ぶことができる。無料体験版のアカウントやネットカフェのアカウントでも参加可能。名実共に年に1度のお祭りイベントだ。

 今年は、普段はインスタンスダンジョンのNPCとして登場する島津家、大友家、龍造寺家の九州武将が合戦に参陣してくる。九州勢は総大将「島津義久」、軍師「大友宗麟」が率いる14名、本州勢は総大将「上杉謙信」、軍師「織田信長」という布陣だ。

 また、昨年好評だった「ワールド対抗戦」と「ワールド混合戦」が今年も引き続き行なわれる。今年の3月に7つあったワールドが4つに統合されたため、今年は4つのワールドで覇者を争うこととなる。対抗戦は、リーグ戦とトーナメント戦の2つの形式で行なわれる。

―― 今年の報酬にはどのようなものがありますか? 目玉商品はあるのでしょうか?

 武器にとりつけられる新しいエフェクトが追加されます。そのほかにも、新しい旗指物や高価値なアイテムが獲得できます。

――「ワールド対抗戦」はリーグ戦とトーナメント戦があるということですが、スケジュールやルールはどうなるのでしょうか?

 リーグ戦で各ワールドと2戦ずつ計6戦行ない、その順位によりトーナメント戦を行ないます。ルールについては昨年のレベル45の合戦場を廃止し、全員をレベル60まで引き上げて、みんなでワイワイ楽しめるようになっています。

―― 「ワールド対抗戦」の報酬はどのようなものがありますか?

 上位の「神秘石」や、「新星の章」でリリースされた武器エフェクトをカスタマイズできるアイテムが獲得できます。

―― 登場する武将は、バランス調整が入った形になるのでしょうか?

 はい。戦いがいが増しているので、挑戦してみてください。九州武将もさらにパワーアップしています。

―― 60未満のキャラクターは習得していない共通技能を覚えられるとのことですが、毎回合戦場に入るたびに覚えなおすのは大変そうです。状態を記録したりしておけるのでしょうか?

 記録はできない仕様になっています。

―― イベント期間中は合戦が発生しませんが、「拠点戦」は通常通り行なわれるのですか?

 「ワールド対抗戦」開催中も「拠点戦」は通常通り行なわれ、報酬も獲得できます。ただし、期間中は軍事物資の蓄積は行なわれません。

―― 合戦場に九州のマップが登場することはあるのでしょうか?

 登場しません。



■ 「鬼門比叡山」のボスと、6つの特化系統の技能を調整

強敵「慈眼大師天海」が撃破しやすくなる
「新星の章」の新技能はさらに使いやすくなる?

 イベントに合わせて、「新星の章」で追加された技能や、コンテンツのバランス調整が実施される。また毎年「大合戦」に合わせて実施される武将の強さの調整も同時に行なわれる。

 コンテンツの調整は、「新星の章」の新インスタンスダンジョン「独眼竜の野望」のファーストステージ「鬼門比叡山」。大人数で進めるコンテンツだが、現在は進行の難易度が少々高く、時間のないプレーヤーはクエストを進行しづらい状況になっている。そのため、「鬼門比叡山」の攻略をスムーズに進められるよう、以下の3つの調整が入る。

・「慈眼大師天海(じげんだいしてんかい)」に再挑戦できる機能を追加
・一門殊勲で交換できるラインナップに「慈眼大師天海」を弱体化するアイテムを追加
・一門殊勲で交換できるラインナップに怪我時間を短縮できるアイテムを追加

 「新星の章」で追加された、プレーやキャラクターの技能もバランス調整が行なわれる。技能の調整が入るのは、侍の特化系統「武士道」、陰陽師の特化系統「召喚術」、薬師の特化系統「修験道」、神職の特化系統「雅楽」、忍者の特化系統「忍術」、僧の特化系統「密教」の6つ。

「武士道」
・「武名の功」を使用した時のダメージ軽減効果を上昇させる。

「召喚術」
・「使役術・四」を技能枠に実装し、「式符」の価値が5の「式神」を召喚した場合に、強力な技能を使いやすくなる。
・「式符」の価値が5の「式神」のステータスを全般的に強化し、能力を底上げする。

「修験道」
・「護鬼法力」に生命力回復効果を追加し、効果時間を延長。

「雅楽」
・「神明の唄」に知力・魅力を上昇させる強力な付与効果を付加。耐性の上昇値を加算し、効果時間を延長。

「忍術」
・「減殺の術」の消費気合を固定値1,450に変更
・「朧の術」の消費気合を固定値1,450に変更
・「術式強化」の消費気合を固定値870に変更
・「幻霧」の消費気合を固定値870に変更

「密教」
・「霊縛秘呪」の対象人数を3体(重複選択不可)に変更し、継続生命現象効果を追加。消費気合を1,400から880に変更。傾奇者の特化系統「殺陣」の技能との共演が可能になる。
・「孔雀明王法」の消費気合を固定値1,500に変更
・「破界」の消費気合を固定値820に変更

―― 武将の強さ調整によって、大名や武将、周辺のNPCのレベルに変更はあるのでしょうか?

 今回、レベルの変更はありません。

―― 武将の技能や能力のどういった部分がリニューアルされるのでしょうか?

 武将技能の威力や武将のステータスを全般的に調整しました。単純に強化するのではなく、大ダメージが出る爽快感を損なわないように、きめ細かい調整を心掛けました。

―― 大名や武将の固有技能に追加されるものや、変更されるものはありますか?

 はい。一部の武将については使用する固有技能の追加、変更を行なっています。

―― 武将ドロップのアイテムに変化はありますか?

 ありません。

―― 武将相性には、何か調整が入りますか?

 武将相性に変更はありません。

―― 「鬼門比叡山」で「慈眼大師天海」に再挑戦するために、なにか必要な条件はあるのでしょうか?

 天海と阿吽が戦闘状態ではなければ、再挑戦が可能になります。

―― 今回の、技能のバランス調整の意図と、方向性を教えてください。

 いずれかの特化が不人気にならないように、常に最新のユーザーの特化分布の資料を見ながら、プレーヤーの皆さんの要望に応えるように調整を行なっています。今後も常に細かいケアを行なっていきたいと思います。

―― 侍の技能「武名の功」は「心頭滅却」に代わる技能になるのでしょうか? 鍛冶屋の「鎧の極み」と同等の性能になるということですか?

 代わりにということではなく、2つを共用して欲しいと考えています。複数からの攻撃には弱いですが、少数からの攻撃に対しては「鎧の極み」と同等の性能を発揮します。技能を無効にするような調整にならないように気を付けています。

―― 召喚した「式神」が使う新技能には例えばどんなものがあるのでしょうか?

 従来の効果を大幅に引き上げたものになります。

 

―― 「神明の唄」で追加される知力・魅力の付与効果は黄色▲がつくものなのですか?

 そうです。

―― 「霊縛秘呪」は霊種族以外に対しても効果のある技になるのですか? 完全回復に対しては、効果がないのですか?

 被回復量の低下効果は霊種族にしか効果がありませんが、霊以外にも効くほかの効果を追加しています。完全回復には効果はありませんが、今後の様子を見て調整を検討するつもりです。




■ PS3版の開発は順調。情報はまもなく発表か?

 いよいよ8年目に突入する「信On」。まずは夏ごろ実装が予定されている「新星の章」の「第二陣」、そしてPS3版の発売も控えている。いろいろと改善すべき点がありながらも、7年を経た今でも、数百人が参加する合戦が大いに盛り上がっている様や、「拠点戦」に日参しているプレーヤーがいたりとまだまだ魅力は尽きない。

 最後に、未来の「信On」についても渡辺氏に質問をぶつけた。まもなく発表される「第二陣」についても、続報で詳しく紹介していく予定なので、楽しみに待って欲しい。

―― 8年目への決意を教えてください

 常に新しい発見がある、究極の戦国世界を深めていきたいと思っています。皆様の求める「信長の野望 Online」により近づけ、今後も長く楽しんでいただけるようにしていきます。またPS3版の発売を控えていますので、より多くの方に楽しんでいただくため、幅広く新しいプレーヤーをひきつけられるように、今まで以上に変化していきたいと考えています。

―― PS3版の開発は順調ですか?

 はい。グラフィックス面、サウンド面、ユーザーインターフェイスなど、様々な面でパワーアップしています。PS3版を早くお届けするため、昼夜がんばって開発しています。詳細についても、近いうちにお話ができると思います。

―― 「新星の章」の「第二陣」の開発は順調ですか?

 はい。「第一陣」とは趣向の異なったダンジョンやそのほか拡張機能などが実装されます。皆さんのご期待にそえるものを目指していますので、開発陣もリリースするのが楽しみです。

―― 「第二陣」の詳細はいつごろ発表になるのでしょうか?

 「東西大合戦」の終了後に発表します。ぜひご期待ください。

―― ありがとうございました


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(2010年 6月 4日)

[Reported by 石井聡]