★ PCゲームファーストインプレッション★


韓国産MMORPGのトレンドをたっぷり取り入れた
快適さ、楽しさを追求したファンタジーMMORPG

ローズオンライン


■高いレベルで各要素をまとめた快適な韓国産MMORPG

空を飛ぶ船。荒涼とした大地や、青々とした空。本作はSF色の入った独特のファンタジー世界を舞台にした作品だ
 「ローズオンライン」(R.O.S.E. :Rush On Seven Episode)は、韓国から世界に向けて「ラグナロクオンライン」を配信しているGRAVITYの日本子会社グラヴィティ エンタテインメントがおくる新しいMMORPGである。開発は韓国のゲームデベロッパーTriggersoft。

 9月24日、東京ゲームショウのGRAVITYブースにて、突然日本での本作のオープンβサービスの開始が宣言された。韓国でのオープンβサービスもはじまったばかりの本作は、以降、韓国とほとんど変わらないスピードでのアップデートを実現している。子会社ならではのスピーディーな運営が魅力である。

 本作は暖かみのある3Dグラフィックで世界を描写、コミカルなデザインのキャラクタが冒険をするMMORPG。剣と魔法のファンタジー要素と共に、拳銃や車といった機械文明を思わせるSF要素が入った魅力的な世界観を持っている。

 ゲームの展開は、マウス主体のインターフェイスで、低レベルの時にはソロプレイが中心となる。モンスターが強くなるにつれ、次第にパーティープレイを学んでいくことになる。ひたすら敵と戦い、装備をグレードアップし、冒険で得たアイテムを使ってまた新たなアイテムを生産する。……こう書くと、「他の韓国産MMORPGとどこが違うんだ?」という疑問がわき上がるだろう。

 本作の最大の特徴は、そういった韓国産MMORPGの基本方針を、極めて高いレベルで、しかも、極めて快適に実現していることである。この完成度と快適さはいくつかの作品をプレイした筆者に非常に強い驚きを与えてくれた。ゲームを進める、強くなる、行く場所が増える……。韓国産MMORPGは、序盤はこの繰り返しである。次第にバランスがきつくなって、レベルアップまでの時間が膨大になり、疲れてしまうことも多い。戦闘をする風景も変わらず、同じ事をひたすら繰り返し、強くなる日をただひたすら夢見る毎日だ。

 「ローズオンライン」も確かにそういう要素はある。しかし、そのストレスが今までの作品と比べて、はるかに少ないのだ。冒険は快適。戦闘は非常にテンポよく、ダメージをあまり受けず、どんどん戦っていき、レベルが上がる。筆者はプレイをして1週間ほどでレベル29。さすがに最近はちょっとソロで戦うのがつらくなってきたが、ひとつの戦闘にかかる時間は依然として短く、仲間と組むことで再び快適に戦えるだろう。この「作業」における快適さは、他の作品の追随を許さないものがある。

 この作品の快適さは、本作が「後発」であるからこそ実現したものだろう。今まで出た様々な作品を参考に、プレイの快適さを追求して制作されていることが、確かにわかるのである。この練られたゲームバランスは、本作をオススメできる大きな理由だ。

 加えて、本作のシステム的な充実もある。オープンβテスト中の韓国産MMORPGといえば、どの機能も「未実装」で、韓国のゲームの公式ページを翻訳した情報サイトから、その機能を待ち望むということも多かった。しかし本作は今の時点で、2次転職、個人商店、制作要素など、テスト中とは思えないほどに機能が充実している。さらに10月28日からは「組合戦」という規模の大きなPvPまで実現、非常に手堅くまとまった印象を受ける。なにより、韓国のアップデートから、非常に短いスパンで日本にも適用されるという感触は、GRAVITYの日本に対する「本気」ぶりがうかがえて、好感が持てる。

 現在ある韓国産MMORPGのエッセンスを盛り込み、快適に楽しめる本作だが、テーマとなるはずの「7つの星」という世界観における最大の特徴は、まだ実装されていない。ファンタジー要素と共に、多くの惑星を巡るというSF要素が見えてくるのはこれからである。現在、キレイにまとまっている印象のある本作が、今後のアップデートでどんな姿を見せてくれるかは楽しみな部分である。

戦闘をしていると、車に乗ったキャラクタが横を高速で駆け抜ける。本作ならではのユニークな驚きがある瞬間 空は刻々と表情を変える。星空が輝く美しい夜空は、やがて旅立つ新しい大地へとつながる 街の入り口には個人商店がいつも建ち並んでいる。他の韓国産MMORPGのシステムを積極的に取り入れている



■オーソドックスながら、多彩なプレイスタイルを生む職業

 プレーヤーは最初、「ビジター」としてこの世界に訪れる。レベル5までは孤立した初心者地域から抜け出すこともできない。ただひたすら眼の前にいる敵を叩くことが求められる。ここでプレーヤーは、敵の攻撃方法や視点の変更方法、体力が減ったら座って体力を回復する方法、アイテムの使い方を学ぶ。

 足を止めて、同じ場所で戦い続けてもレベルは上がるが、行動範囲を広げて風景を楽しんでみても面白い。ちょっと暗い感じの湖など、地域の全景が見えてきて探検気分を味わえる。目の前のレベル上げだけに集中せずに、散歩を楽しむことで新しい狩り場が見えてくる。この感覚は、全般に通じる部分である。フィールドの敵は他のゲームに比べると積極的に攻撃してくるものが少なく、序盤は探索も充分楽しめる。人の少ない狩り場を見つけたときの楽しさは大きい。

 レベル5をこえると、多くの冒険者がいるフィールドに移され、レベル10になると、転職が行なえるようになる。転職を行なう街・ザントは、駆け出し冒険者が集う活気のある街。転職を行なったプレーヤー達は、しばらくここを中心に冒険を楽しむこととなる。

 最初の職業、ビジターでは、基本的な接近戦攻撃しかできないし、装備もスキルもない。レベル10に達したキャラクタは、接近戦のスペシャリストである「ソルジャー」、素早い攻撃と弓による遠距離攻撃を行なう「ホカー」、魔法の使い手でありサポート要素も強い「ミューズ」、そして銃を使いこなし、手に入れた材料度さまざまなものを作り出す技能を持った「ディーラー」の4つの職業に転職することが可能だ。

 本作のレベルアップは、こちらも韓国産では定番のステータスをアップさせていくタイプ。筋力、敏捷など6つのステータスがある。レベル14まではザントでステータスの割り振りのリセットを一回だけ行なえるので、レベル10までは接近戦向きに育てて、その後、各職業向きにステータスを振り直すというのが良いだろう。

 あくまで私見だが、「ラグナロクオンライン」ほどステータスに偏りを持たせず、ある程度バランスを気にした方が冒険が快適な感覚がある。ステータス論議などは現在でもプレーヤー間で積極的に行なわれており、今後熱心なプレーヤーの報告を待ちたいところだ。

 転職を行なうと、それぞれの職業専用の多彩なスキルを使うことができ、キャラクタに個性が生まれる。育て方、プレーヤーの性格などで、戦い方は大きな幅が出てくるだろう。スキルはレベルアップごとに追加されるスキルポイントを消費してレベルを上げていくのだが、与えられるスキルポイントは少なく、レベル制限があるとはいえスキルは多彩なため、きちんと計画を持って習得していきたいところだ。

 ミューズは、回復、攻撃とはっきり性格が別れていくので、自分の好みと共に、どれだけ気の合う仲間と遊べるかによっても、どちらかにウェイトをおく必要があるだろう。ソルジャーも防御重視か、攻撃重視に分かれていくし、ホカーは近接攻撃か遠距離かの選択を迫られていく。

 筆者は、職業としてディーラーを選んでみた。名前だけ見ると、生産要素の強い職業のように感じるが、銃のスキルを取ることで、打たれ弱いが強力な攻撃が可能なアタッカータイプのキャラクタに育てることができるのだ。さらに2次転職を行なえば、本作の世界観の最大の特徴である車や、戦闘用ロボット「キャッスルギア」を制作することができるようになる。ディーラーはまさに本作を象徴するような職業なのだ。

 本作のモンスターは、非常に多くの「生産アイテム」をドロップする。これを売ることでプレーヤーは生計を立てていくのだが、ディーラーの人気が高いせいか、プレーヤー間の取引もとても活発である。多少時間がかかってしまうのは仕方がないが、より条件の良い売値を求めて店を覗くのも楽しいだろう。

 正直なところ、「ファイナルファンタジーXI」のオークションのようなシステムの方がユーザーにとって利便性が高いとは思うのだが、ごちゃごちゃと店が建ち並ぶ中で売り買いをする「手渡し」感あふれる風景は、韓国の制作者の感性にマッチしたものなのかもしれない。アイテム売買に関しては、値段をごまかしていたりするプレーヤーもいるので、ちょっと注意も必要だ。時間と手間を惜しまず小銭を稼ぐか、損を覚悟で手早くすますか、ここでもプレーヤーの性格が出てくるだろう。

 本作では、ディーラーは弾を常に消費するし、近接武器は修理代がかかるなど、ただ戦っているだけでもお金がかかる傾向がある。そのためプレーヤー間でお金に対する不満が多かったようで、敵キャラクタがアイテムのかわりにお金を落とす確率が増えたりと、バランスに調整が加えられている。そのためか、今のところジリ貧になるほど金銭的に追いつめられた記憶はない。

 装備品に関しては、中級のディーラーでも、ステータス増加など、初級者にとって充分魅力的な特典を持ったアイテムを制作できる点が楽しい。強い(ように見える)武器を序盤から装備できる感覚、比較的安価に低レベルのプレーヤーに提供してくれるディーラーがそこそこいるのも本作のハードルを下げているところだろう。

 2次転職をすることで、それぞれの職業はさらに2つに細分化される。しかし、この転職をするための必要レベルは70。現在、個人の情報サイトでは様々な報告がなされ、実際に転職したプレーヤーもいるようだが筆者は眼にすることができなかった。ディーラーの上級職では、10月28日に実装された機能により、前記のキャッスルギアも制作することができるようになった。今後戦場では、ド派手なスキルを使う戦士や、キャッスルギアにのって戦場を歩くキャラクタの姿は増えていきそうだ。

スタート地点となる誕生の島。要請がプレイの基礎を教えてくれる 初級の冒険者の敵となるゼリービン。はちまきをした熱血キャラクタ ザント村に続く荒野。蜂の巣のような建造物の近くには虫型モンスターが
ザント村の村長にステータスをリセットしてもらう。この儀式を受けるには装備を外さなくてはならない レベル10を越えると、転職が可能になる。各職業に就くためにはクエストをこなす必要がある 筆者が転職したのはディーラー。拳銃による攻撃が楽しい。遠距離から敵を近づけさせずに倒すのが理想
ソルジャーは、軽装のディーラーとは違う物々しい格好が非常にカッコイイ 素早い攻撃が得意なホーカー。遠距離では弓を使い、近距離では二刀流も披露する ミューズの能力のひとつであるたき火。周囲のMP/HPの回復速度が上がる
ディーラーは装備を自分で作るスキルも習得できる。能力値が高ければステータス増加などの能力も付与できる 装備品のモデリングは非常に細かく、かつ種類も豊富。他のプレーヤーの装備をチェックするだけでも楽しい 個人商店は、品揃えもさまざま。できるだけ儲けたい人は、高くアイテムを買い取ってくれる人を探す必要がある



■今後の発展に期待が持てる世界観

 筆者はソロプレイを中心にレベルを上げていったが、序盤からパーティープレイは積極的に活用しているユーザーも多い。本作には「パーティー経験値」というユニークなシステムがあり、パーティーを組んで強い敵と戦うことで溜めることができ、一定量でレベルアップをする。レベルアップをすると、MP/HPが全回復するので、冒険に非常に有利なシステムとなっている。

 序盤では特に回復と攻撃という組み合わせだけではなく、攻撃2人組という組み合わせでも単純に敵からダメージを喰らわなくなるので、ノンストップで狩りが楽しめるようになる。ソロプレイで休憩をして回復を行なっているプレーヤー達の前で、つぎつぎと獲物を倒していくのはいい気分だ。

 また、狩れば狩るほどつぎつぎと敵が出てきて、その敵の多くは積極的に攻撃を行なってこないというゲームバランスも好感が持てる。休んでいる人にモンスターが襲いかかって迷惑を掛けることも少ない。ひとつの戦闘に時間がかからないことも相まって、獲物を横取りされて怒る感覚もあまりない。横を見れば代わりの獲物はすぐにいるのである。

 レベル30を越えたあたりから、パーティーでの冒険が本格的になり、それにつれ、徐々に旅立つために集う街はより大きなジュノン・ポリスにうつっていく。この街は、空を飛ぶ船や大きなギルドがあり、建物も荘厳で非常に見応えがある。集う人達の装備もより多彩なものになっていて、始めて訪れたときには、大きな驚きをもたらしてくれるだろう。

お話をお聞きした「おっつん」さん。自慢の愛車も披露していただいた

 この街と、ザントの間の狩り場には、ひっきりなしに車にのって往来するプレーヤーの姿が確認できる。最初は「もうそんなに車を作れるような上級職の人が存在するのか」と、思っていたのだが、呼び止めさせていただいた“おっつん”さんの話によると、違うようだ。話によると、レベル50から挑戦できる「組合イベント」をクリアすると、車を運転するためのスキルと基本パーツが入手できるという。クエスト自体、仲間がいないとクリアするのは難しいとのことだ。

 歩くスピードとは段違いの早さでフィールドを闊歩している彼ら「ドライバー」の姿は非常にかっこよく、あこがれの存在だ。話をしていた場所は組合クエストの近くだったため、たくさんのプレーヤーがその場所を行き来する。車はどんな職業の人も乗れるようで、挑戦している人も多かった。確かに車はレベル50になったらすぐにでも手に入れたいアイテムである。

 おっつんさんはレベル53。最近はもっぱらパーティーで狩りをしているとのこと。このレベルのモンスターは「スキル」を使って攻撃してくる非常に恐い存在で、仲間のバックアップが必要不可欠だそうだ。ただ、仲間が倒されてしまうと現時点ではその場で復活させる手段がないため、再集結がちょっと難しいとのことだ。

 筆者が現在までで唯一見かけたダンジョン「ゴブリン洞窟」は、レベル40くらいから挑戦できるが、おっつんさんのレベルでも地下2階がやっとだという。一体どのくらい深いのか、奧には何があるのか、興味がそそられる。レベル50くらいでもフィールドでの狩りが中心のようである。

 本作の正式タイトル、「Rush On Seven Episode」は、7つの星、正確には6つの惑星と1つの闇の場所が冒険の舞台であることをあらわしている。現時点ではそのひとつ、「ジュノン」上でしか冒険できない。レベルを上げ、冒険をする舞台としては、必要最低限なものが揃ってはいるが、欧米のMMORPGのような、世界が無限に広がっていく、という感慨はまだ得られない。

 今後のアップデートによって、もうひとつの星が見えてきた時点で、これからの展望が推測できそうだ。新しい星はレベル70を越えなければたどり着けない場所なのか? それとも単純に世界が広がるのか? それはまだ分からない。その世界の広がりかた如何で、本作の評価は大きく変わっていくだろう。

 「リネージュII」、「ラグナロクオンライン」、「A3」そして、まだ日本では見えてきてはいないが「マビノギ」といった作品をはじめとした昨今の韓国産MMORPGは、クリックゲームと揶揄される単純作業の繰り返しから、さまざまなアプローチで独自世界を展開しようとしている。それは、「似たようなゲームが一杯」という、韓国産MMORPGの一般的な評価を、徐々にではあるが覆しつつあるように筆者は思っている。

 その中で、戦闘の快適さ、レベルアップのハードルの低さという、プレイ感覚向上に視点を向けた本作は、筆者が持っていた韓国産MMORPGの不満点に挑戦したタイトルであることを感じた。それでもレベルが上がるごとにきつくなってくるようだが、レビュー期間のプレイでここまで快適さを保ったゲームは実際少なかった。この点は、本作の大きなセールスポイントではないだろうか。

 本作は、このバランスや、様々なシステムなど、韓国産MMORPGが得てきたノウハウを集大成して制作されたゲームであるという感触を筆者は持った。現在日本で人気を得ている韓国産MMORPGは、そこからさらに独自性を持つべく進化の過程に入ってきている。高い水準で「お約束」を実現した本作が、他の作品とは違ったどんな進化を見せるのか楽しみである。

パーティープレイを体験。ソルジャーのパートナーを全力でバックアップ 町には様々なクエストがある。現時点では名前の翻訳にばらつきがあったり、不具合も 夜になると現れるキャンドルゴースト。積極的に攻撃をしてくる厄介な存在である
狩り場によっては多くのプレーヤーが集うことも。戦闘のテンポとモンスターの再出現が早いためストレスは少な目 アニマ湖周辺。フィールドは個性豊かである。本作の画風は明るいため、狩りはどこかのんびりした雰囲気がある ジュノン・ポリス。多くの個人商店が建ち並ぶ活気あふれる街だ
ジュノン・ポリスはザントと違い都市の風格がある。観光目的で色々まわるのも楽しい 車の部品の値段はびっくりするほど高い。いつか買える日が来るのだろうか 駆け出しの時にちょっとだけのぞいたダンジョン。パーティーを組んで挑戦したい場所だ


(C) 2004 Published by Gravity & Developed by Triggersoft All rights reserverd.


【ローズオンライン】
  • CPU:Pentium III 800MHz以上(Pentium III 1GHz以上を推奨)
  • メモリ:128MB以上(256MB以上推奨)
  • HDD:2GB以上の空き容量
  • ビデオ:Geforce2 MX 400以上(Geforce3 Ti 300以上推奨)


□Gravityのホームページ
http://www.gravity.co.kr/
□ローズオンラインのページ
http://www.roseon.jp/index.asp
□関連情報
【9月25日】Gravity、「ラグナロクモバイル」、「ROSE Online」を初公開
モバイル版「ラグナロク」は本キャラにZenyを転送できる連動機能を搭載
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040925/gravity.htm
【7月20日】Gravity本社訪問レポート 開発やサポートと同規模の海外向けスタッフを擁し、世界に「ラグナロクオンライン」を提供
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040720/hou.htm

(2004年11月2日)

[Reported by 勝田哲也]


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