【連載第3回】 進化し続けるヴァナ・ディールの魅力を徹底解剖■ファイナルファンタジー XI連載■
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北米版を含めた全世界の合計で50万人以上の有料会員数を誇る、純国産製MMORPG「ファイナルファンタジー XI」(以下、FF XI)。この日々進化し続ける世界でいったい何が起こっているのかを、いちプレーヤーの視点で追ってゆくのが本連載の主旨である。 FF XIには、戦闘に関連した数多くのコンテンツが用意されている。ハイリスク・ハイリターンの代名詞ともいえる印章を用いた「バーニングサークル戦(BC戦)」や、統率の取れた集団戦を満喫できる「裏世界デュナミス」、対人戦を内包した競技「バリスタ」等々、プレーヤーの趣向に合った戦闘を各自で選べるのだ。 それらの中で、にわかに「ガリスン(Garrison=守備隊の意)」が注目を集めてきている。ガリスンは他の戦闘関連コンテンツに比べ参加時に大きなリスクが無く、しかも幅広いレベル帯のキャラクタが18人まで同時に楽しめる。しかも、イベント戦の割には、緊張感が極端に高くないため、初心者にとってもうってつけの内容だ。今回は、NPCと共同戦線を張りモンスターを撃退するこのガリスンについて紹介していこう。 |
■ 最大18人+NPCの勢力でアウトポストを獣人の襲撃から守り抜け
名前が緑色のキャラクタは総て、味方と共に戦うNPCである。襲ってくる獣人も含めると、一箇所に多数のキャラクタが集中するため大混戦となる |
ヴォルボー地方のみはレベル制限が75で、高レベルのキャラクタは普段の装備のままで挑戦でき、報酬も大きいため、現在もっとも人気が高い |
一度にガリスンに挑戦できるキャラクタの数は、1~18名(アライアンス編成)の範囲で任意に選べる。そして、仲間のNPCと襲撃してくる獣人の数は、参加したキャラクタ数にある程度比例する。たとえば最大の18名規模においては、「参加キャラクタ+味方NPC+獣人+通常モンスター」の合計数が、時として50を超えることもある。ある意味、デュナミスすら超える大混戦がガリスンにて巻き起こるのだ。
ガリスンに出現する獣人は、アウトポストへの波状攻撃を計4回に渡って仕掛けてくる。また、最後には2時間アビリティを駆使するボスモンスターも登場する。しかも、波状攻撃のステージが進むと獣人の数も少しづつ増えてゆくのだ。波状攻撃の合間には休憩時間が設けられるものの、キャラクタが全快まで回復できる程の余裕はない。後衛ジョブのMP残量は次第に厳しくなり、味方NPCも一人づつ倒れてゆく……。この、じわりじわりと崖っぷちに追いつめられる緊張感は、ガリスンならではの醍醐味だ。
ガリスンの難易度を決める要素としては、対象エリア毎にレベル制限が定められている。これはBC戦と同じシステムなので特に説明は不要だろう。現在導入されているガリスンのレベル制限は、「20、30、40、50、75(無制限)」の5種類。レベル制限の高低は、基本的に対象エリアのモンスターの強さに比例する。たとえば3国に隣接したリージョンの場合は一律でレベル20制限といった具合だ。レベル制限が設定されていることから、装備さえ用意すれば、初級者と上級者が一緒に楽しめるというのが大きなポイントである。
獣人の波状攻撃をすべて撃退し、なおかつ味方のNPCが生存していた場合は、報酬品を得られる。ガリスンにおける報酬品はかなり幅広く、レベル制限によって幾つかのランクに分けられている。たとえば、レベル20制限では「ガリスンチュニカ」を初めとするシリーズ防具。最も難易度の高いレベル75制限においては、「マイティタルワール」等のシリーズ武器を得られる。これらの報酬品の中には、競売相場が数十万ギルに達するものもある。
その他には「ランペール戦記」、「ミラテテ様言行録」といった、経験値ボーナスを得られるアイテム等も得られる(護衛クエストの報酬品と同様)。これらの報酬品の数は、NPCが沢山生き残れば、それだけ多く貰えるようだ。つまりガリスンの最中は、アライアンス内のキャラクタのみならず、NPCを生存させることにも気を配らねばならない。この辺りも、通常の冒険とはまた違った醍醐味があるだろう。
■ トリガーの扱いとフィールド上の通常モンスターに注意しよう
冒頭でガリスンを行なうためには、専用のアイテムをアウトポストのNPCにトレードする必要があると書いた(本稿では通例に従ってトリガー(アイテム)と表記)。実はこのトリガーに関する仕様が少々厄介なのだ。まずトリガーを入手する手段だが、ガリスンを行なうリージョン内にいる特定の獣人を倒すことによって得られる(Ex Rare属性)。これはアウトポストのあるエリアとは限らないので注意してほしい。その代わり、対象の獣人はトリガーをドロップする可能性がかなり高い。一度でもレベル上げ等の冒険で訪れる機会があれば、難なく入手できるはずだ。
次にトリガーを渡すための条件だが、トレードを行なうキャラクタは、ガリスンの対象リージョンを現在支配する国に所属していなければならない。さらに、一度トリガーを渡したキャラクタは、次のコンクエスト集計(現実時間で月曜日の00:00)が行なわれるまでは、自分でガリスンを開始させることができない。
これはガリスンの成功/失敗とは関係なく、また全リージョンを含めて1週間に1度きりという意味である。たとえばサルタバルタ用のトリガーを、ウィンダス以外に所属するキャラクタが取得しても、恐らく使う機会はほとんど無いだろう。同様に、現在獣人支配のリージョンにおいては誰もガリスンを行なうことができない。そして、自分が何個トリガーを持っていようが、1週間に消費できる数は1個のみである。
実際にガリスンを行なう段階だが、BCとは違って通常のフィールドをそのまま流用する。そのため、ガリスンによって出現する獣人とは別に、フィールド上のアクティブモンスターが乱入してくる可能性があるのだ。しかも、ガリスンの場合はレベル制限がある点を思い出してほしい。たとえガリスンを行なう前は「練習相手」の敵でも、多くの場合は「楽」や「丁度いい」になってしまう。場合によっては、天候が変化してエレメンタルが乱入してくることもあるだろう。こうしたことから、元々アクティブモンスターの多いザルカバード等におけるガリスンの難易度は、外部的要因によりかなり高くなっている。
そして頭が痛くなることに、参戦するNPCの仲間がディアガやポイゾガ等といった範囲魔法を使うため、好戦的でないノンアクティブモンスターも戦闘に乱入してくることがあるのだ。こうなると、魔物のララバイ等で眠らせることは不可能である。その反面、ガリスン中にアライアンス外の他キャラクタから回復援助は受けることができない。つまり、現状としては、フィールド上のモンスターの対策方法も念頭において戦わなければならないということだ。
一度のガリスンに要する時間は平均15~20分程度で、複数のチームが同時に行なうことはできない。そしてガリスンが終わった後は、再度行なえるようになるまで15分間程度のインターバルを要する。もし他のチームとバッティングした際は、後から来た側は邪魔をしないように、フィールドモンスターの処理を手伝うと喜ばれるだろう。
■ NPCの共存をはじめとするガリスン独自のノウハウに注目
自分一人だけが別働隊として参戦中。別にフィールド上の通常モンスターを倒す必要はない。例えば走りながらモンスターを引き連れ回すだけでも効果はある |
ガリスンにおいて襲撃してくる獣人の種類は、元々そのエリアに出現するタイプと同じである。たとえばロンフォールではゴブリン、グスタベルグではクゥダフといった具合だ。よって、あらかじめ各獣人の特性を把握しておくと対策を立てやすいだろう。中でも特に、ゴブリンの爆弾投げやヤグードの草払いといった、範囲系のアビリティは要注意。プレーヤーのキャラクタのみならず、NPCのHPもごっそりと減ってしまう危険性があるのだ。逆にクゥダフやオークは厄介なアビリティが少ないため、これらが出現するエリアは比較的楽かもしれない。
襲撃する獣人の合計数は、どうやら編成した「パーティの数」によって決められるようだ。つまり、参加人数が7人と12人とでは、獣人の数は同じである(共に2パーティ編成の場合)。このため、できれば参加人数は6、12、18のアライアンス単位でまとめると良いだろう。逆にたとえば合計6人の参加者を、2人づつの3パーティに分割して挑戦するのはかなり無謀な行為といえる。
同じエリアのガリスンに6人と18人の両方で挑戦して気付いたのだが、難易度的には大人数での方が幾分楽な気がする。ジョブの構成にもよるが、範囲系のアビリティさえ注意すれば、人数でごり押ししやすいのだ。ただし、参加人数が倍になったからといって、報酬品の数は倍にはならない。アイテムの取得率だけを考えた場合はむしろ逆で、参加人数は少ない方が良いだろう。大雑把に言うと、ガリスンのクリアが目当てなら大人数、アイテムが目当てなら少人数といったところだ。
ある意味ガリスンにおける最強の敵は、勝手に範囲魔法を使ってフィールドの通常モンスターまでも敵に回す味方NPCである(笑)。この対策は何通りかあるが、ガリスンを実行するチームの他に、別働隊を編成するのはひとつの手だ。別働隊は回復魔法によるサポートは行なえないものの、ガリスンに関係のない通常モンスターは問題なく倒せる。特に、レベル制限が20や30といった低いエリアでは、別働隊として高レベルのキャラクタが1人でも居れば、攻略は大幅に楽になるだろう。
ガリスンを行なう際はレベルの制限を受けることは既に述べた。そして、これはキャラクタのペットについても同様である。たとえば竜騎士のペットはレベル相応に弱体化される。また、獣使いのペットはレベル制限を受けた瞬間に、「あやつる」アビリティの効果が切れる場合がある。しかし、ガリスンを開始する直前に用いた呪文については、効果が通常通り継続される。これは少々仕様の隙を突いた方法なので、詳細については敢えて触れないが、ジョブによっては幾つかの利用法が思い浮かぶだろう。
波状攻撃が次のステージへと切り替わるタイミングは、出現した総ての獣人を倒した時である。これの見方を変えると、獣人が一匹でも残っている間は、次の波状攻撃は行なわれない。もし、何らかの方法で獣人を一匹だけ倒さずにキープできれば、他の参加者達はヒーリング等で体制を立て直すことが可能となるのだ(ちなみにガリスン全体の制限時間は30分)。ただし仲間のNPCは、常に獣人を攻撃しようとしているので、これを実践するには少々工夫が必要となるだろう。
■ イベント戦でありながら敷居が低いため初心者には一押し
ガリスンはNPCも含めると関わるキャラクタ数が多い。たとえばスタンのような、敵の行動を制限させることによって相対的に味方を活かす魔法は有効である |
レベル制限等の事情によってデュナミスを体験できないプレーヤーにとっては、18人ガリスンの混戦によるぐっちゃり感は、きっと大きなインパクトを受けるはずだ。また、それとは別に、参加キャラクタのパーティ+NPCによる戦術をみっちりと追求する面白みもガリスンにはある。そして、たとえ失敗してもリスクが少ないというのは、イベント戦にあまり慣れていないプレーヤーにとって、実はかなりありがたいのではないだろうか。大事な印章を失うのが怖くてBCに尻込みする人は結構いると思うが、ガリスンであれば気兼ねなく参加できるだろう。個人的にはこの点を大きく評価したい。
FF XIのイベント戦コンテンツの中では、ガリスンはBC戦に比べ、知名度や利用率の面で一歩劣る点は否定できないが、6月29日のアップデートにより大幅に強化され、報酬品も多数追加された。現在では十分にやりがいのあるコンテンツに成長したといえるだろう。それに報酬品を抜きにしても、イベント戦の登竜門としてはガリスンは敷居が低くお勧めである。リンクシェルの運営者は、イベント用の候補のひとつとしてガリスンを知っておいて損はないはずだ。
リンクシェルのイベントとしても最適 レベルの分布が幅広いリンクシェルでは、一緒に冒険する機会は少ないかもしれない。しかしガリスンでは、初級者と上級者が一緒にイベントを体験できるのだ |
大勢で楽しむ マネキン用のパーツがドロップするようになったことで、ガリスンは一気にプレーヤーに認知された感がある。今後の更なる報酬品の追加にも期待したい |
この衣装は? 写真はテリガンにて参戦するNPCだがよく見て欲しい。まだ導入されていない装備品である。袖には3国の紋章が描かれ、色も赤・青・緑の3種類が確認されているが、今後プレーヤーが装備できる可能性はあるのだろうか? |
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(2004年8月10日)
[Reported by 川崎政一郎]
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