★ PCゲームファーストインプレッション★


惑星の開拓はプレイヤーの手にかかっている
新感覚の純国産MMOアクション

JUNKMETAL

  • ジャンル:ロボットアクション
  • 開発/発売元:スクウェア・エニックス
  • 価格:未定
  • 対応OS:Windows 98/Me/2000/XP
  • 発売日:クローズドβテスト中


 スクウェア・エニックスが放つ純国産MMOアクションゲーム「JUNKMETAL」のクローズドβテストが12月8日15時から開始された。東京ゲームショウにもプレイアブル出展され、同タイトルのβテストを心待ちにしていたメカ好き、ロボット好きなプレーヤーも多いはず。それではさっそく「JUNKMETAL」のファーストインプレッションをお伝えしたい。


■ 混沌としたメカ支配の世界「アルター8」

プロローグシーン。現時点では1枚絵とテキストのみで処理されている
ガレージでJUNKMETALを強化する。周囲にいる人間と比較するとその大きさがわかるだろう
シンヤマトの街の構造。現時点では利用できない施設も多い
 「JUNKMETAL」に登場する人類達は、太陽系内の資源枯渇と人類の生存圏拡大のためにアルター8と呼ばれる惑星に移民し、地球化しようという計画を実行している。しかし、地上はグールというナノテクノロジーと思わしき技術で製造されたメカに支配されており、人類は地下での生活を余儀なくされている。プレーヤーはそんな現状打開すべく、POFと無限大公社の2大企業に所属したり、またはフリーで活動し、地上を再び人類のものにするべく開拓を行なうといった目的を持っている。

 人類の開拓の拠点となる都市は4つ。プレーヤーはこの中から自由にスタート地点を決めることができる。本作品ではフロンティアスピリッツ旺盛な世界観を上手く描写し、各都市色々な表情を持っている。この独特な世界観はLithtechエンジンを採用した恩恵だろうか。光の使い方や、街並みに等の近代的なグラフィックを綺麗に描写しているので注目してもらいたい。

 「JUNKMETAL」では、街の中と外でまったく異なるゲームプレイが繰り広げられる。まず、街の中ではゲーム開始時に作成したヒューマンキャラクタを操作し、街の人々の話を聞いたり、主にミッションを受けたり、パーツを購入したりする。もちろん他のユーザーとのコミュニケーションも可能だ。

 一方、街の外ではゲームタイトルにもなっているJUNKMETALと呼ばれるロボットに搭乗し、広大な地上エリアに棲息しているグール(NPCのモンスター)との戦いを繰り広げる。街で購入したパーツは、ガレージで装着することができる。ガレージではそのほかJUNKMETALの改造や修理を行なうことが可能だ。

 「JUNKMETAL」の基本的なゲームの流れは、グールが多数生息している場所に赴き、グールを倒して経験値やアイテムを得、また、依頼されたミッションを成功させることで報酬を受けとり、これを繰り返すことでヒューマンキャラクタとJUNKMETALの双方を強化し、さらなる困難に挑戦していく、という感じになる。

 現時点では、まだクローズドβテストなので、POFと無限大公社の二大企業のミッションや、地上の覇権をめぐって争うフロンティアレベルシステム等、ゲームの根幹となるシステムがまだ未実装となっており、いまのところレベル上げやJUNKMETALの改造しか楽しみがない。これらについては今後のアップデートを期待したいところだ。

プロメキア III。アルター8の中心となっている都市で、惑星の開拓の中心である シンヤマト。惑星開発が遅れていた地区で、廃材などを使って街の形態を作り上げたスラム街。怪しげな雰囲気を持っている
ウェスタンオアシス。厳しい自然環境の中ではあるが商業が盛んな都市 プロメキア IIと言う都市。技術開発や研究が盛んに行なわれている。POFと無限大公社も大規模な研究施設をこの地域に築いており、ジャンク乗り達を研究のサンプルの調達に利用しているようだ


プレーヤーはこのような地下都市の中でパーツを購入したり、ミッションの依頼を受けたりすることになる。都市ごとに雰囲気が大分違うので、色々な都市を旅するのも面白い エレベーターを降りてJUNKMETALに搭乗した時の画面。ここから地上へ出たり、ガレージに入ったりする。多数のプレーヤーがさまざまな目的のために出入りするため、常時込み合っている



■ 今後を左右するキャラクターメイキング

スキンは男女それぞれ3つずつ用意されている。自分の好みのスキンを選択しよう
JUNKMETALに塗装を施すこともできる。キャラメイクでは無料なのだが、ゲーム開始後は料金が発生するので注意
 ゲームを始めるにあたって、ゲーム中に操作するキャラクタを作成することになる。キャラクターは直接能力とは関係無い要素なのだが、ゲーム内での自分自身ということでこだわりたい要素のひとつだ。

 基本となるスキンは男性スキン3つと女性スキン3つ。これらのスキンに服装や顔、肌の色や髪の毛等をカスタマイズし、オリジナリティーを演出することができる。もう少し細かい点まで調整が利くとなお良いのだが、まずまず満足のいく出来だ。

 次に、自分が搭乗するJUNKMETALを選ぶことになる。こちらのほうは、ゲームの進め方を左右する非常に重要な要素だ。じっくり時間をかけて設定していきたい。

 スタート時点で用意されているJUNKMETALは、二足歩行型、逆関節型、多脚型の3種類。二足歩行型は移動速度や積載量、耐久度などの面で平均的な性能を持つ。地形の影響も受けづらい。逆関節型は最も高い移動性能を持つ。その反面耐久度が低く地形の影響を受けやすいというデメリットがある。

 多脚型は地形の影響を最も受けづらい性能を持つ。しかし、移動速度はお世辞にも速いとは言えず、積載量も際立って多いわけではない。そのほかにもホバータイプやタンクタイプなども用意されている。自分の好むプレイスタイルや性格に合わせて決めていくとといいだろう。

初期のJUNKMETALはこの3つの中から選ぶこととなる。各機体には個性があるので、自分の求めているプレイスタイルと照らし合わせて選ぶことがレベルアップの近道と言えだろう


■ プレーヤースキルを要求するロボットアクション

自分の能力を把握せずに手当たり次第にグールを攻撃するとこうなってしまう。大破してしまうと機体の一部が失われる場合があるので注意が必要だ
レベルが数段上の相手に無謀にも戦いを挑んで敗れ去ってしまった様子。火力が桁違いでまったく相手にならなかった
 MMOアクションゲームということで、実際にプレイしてみて一番興味深かったところはJUNKMETALの挙動とその操作方法だ。

 「JUNKMETAL」の動作は、軽快というより重厚といった印象で、戦闘は一瞬を左右するような軽快な戦いではなく、どちらかと言うと落ち着いた動きの中で行なわれる。筆者が想像していたのは軽快でスピーディーなロボットアクションだったのだが、ずいぶん違った印象だ。

 しかし、重厚だからといってそのアクション性は必ずしもスポイルされているわけではない。JUNKMETALの操作は、下半身と上半身が別々の制御となっている。マウスでの操作で上半身の制御、キーボードで下半身の制御、といった要領だ。

 もう少し具体的に説明すると、非MMO型の従来のFPSでは、マウスの向いた方向にキャラクタは進行しようとするのだが、JUNKMETALの場合は照準が移動するだけでJUNKMETAL自身の進行方向は変わらない。もしJUNKMETALの進行方向を変えたいのであれば、キーボードで進行方向の制御を行なういった感じだ。

 つまり、戦車シミュレータの操作感に近く、一般的なFPSよりも多少多くの操作を必要とする。といっても、難しい操作を要求するわけではないので、MMORPGしかプレイしたことの無いプレーヤーや、FPS初心者の方でも手こずることは無いだろう。

 アクションゲームと銘打ってるだけに、戦いにはキャラクタのレベル以外にプレーヤースキルも要求される。「JUNKMETAL」の序盤で登場する武器は実弾系の銃がメインであり、初期武器であるマシンガンを敵に当てるにはコツが必要だ。マシンガンから発射された弾は、即着弾では無く、距離に応じて敵に着弾するまでにラグが生じる。

 人類の敵であるグールたちには様々な形態のグールが多数存在し、各々が色々なパターンで動き、個性のある攻撃方法でJUNKMETALを攻撃してくる。ピョンピョン跳ね自機に近寄ってきて打撃を加えてくるグールや、空中からあらゆる角度で攻撃を仕掛けてくるグール等、敵の先を読み攻撃しなければ、ピョンピョン跳ねるグール相手にジャンプに合わせて照準を狙っていたのでは命中させることはできないし、空を飛んでいるグールを相手にするときは、地上にいるグールと違いあっという間に後ろに回られてしまう。

 これらのグールを撃破するには予測しながらの攻撃が必要であり、射撃スキルを鍛えることが大事だ。射撃スキルの高いプレーヤーの動きを見ながらキャラクタと共に自分自身も成長していきたいところだ。

 また、グールとの戦闘中は自機の状態も把握しなければならない。機体は、HEAD、A-ARM、R-ARM、CARGO、LEGS、CORE、WEAPONと分類されており、パーツ毎に耐久度が設定されている。WEAPONを狙い打ちされて攻撃ができなくなってしまったり、LEGSを狙われて著しく速度が低下したりする。最悪の場合、COREが大破してしまうと他のパーツの耐久度が100%でも戦闘不能状態となり、機体回収業者に回収を依頼しなければならなくなってしまう。他にはエネルギーという設定もあり、0になってしまうと機体の動作スピードが著しく低下し、銃火器も撃てなくなってしまうので注意が必要だ。

 「JUNKMETAL」はグールやプレーヤーの区別なく攻撃が可能だ。筆者が街の外へ出てグールを狩っているときに、意図しないダメージが自機に襲いかかった。普段狩っているグールのダメージとは桁外れのダメージだっため、驚きのあまり何もできなかった。何が起こったのかは戦闘不能状態になったときのシステムメッセージを見て理解した。どうやらPKをされたらしい。

 この様に敵はグールだけではなく、今まで大人しかった周りのJUNKMETALがいきなり敵になる。このスリルは「UltimaOnline」をプレイしていた時以来の興奮だ。PKを嫌う人も多いと思うのだが、個人的にはプレーヤーが任意に起こせるイベントのひとつと考えており、同作の混沌とした世界観を表現するためにも無くてはならないシステムのひとつといえるだろう。

 しかし、プレーヤーがグールを狩っているときに、意図しない攻撃を行なってしまう可能性がある。FPSでは仲間を攻撃してしまう行為をFF(フレンドリーファイヤー)と呼ぶのだが、攻撃する気が無いのにFFしてしまうとその瞬間バトルのゴングが鳴ってしまうことがあるので要注意だ。

 他には街の中では瞬時にログアウトできるのだが、地上でログアウトするには30秒のペナルティーが与えられ、30秒たたないとログアウトできない仕様になっている。遠くまで狩りに出た時に街に戻るのが面倒くさいといった理由で地上でログアウトしようとする場合、注意が必要だ。

重厚な動きのJUNKMETALだが、アクション性はスポイルされていない。戦闘時の判断ミスが致命傷になりうるため、先を予測しながらの行動が大事だ


■ 大きなポテンシャルを感じさせるカスタマイズ要素

 「JUNKMETAL」の大きな魅力のひとつといえるのが、自機JUNKMETALのカスタマイズだ。同作の自機カスタマイズは、ハードとソフトの2通りのアプローチが用意されている。

 まずハード面は、HEAD、CORE、L-ARM、R-ARM、LEGS、CARGO、ENGINEの7項目に大別される。各パーツにはS、M、L、のサイズがあり、見た目に反映される当時に、性能にも直接影響が出る。

 Sサイズは重量が軽いためエネルギー消費がかなり抑えられている。その反面防御力や耐久度に不安があり、敵の弾を受け続けてしまうと即大破につながる。Mサイズはオールラウンドな平均的な性能を持つ。Lサイズは防御力や耐久度が高い反面エネルギー消費が非常に高く、重量が重くなる、といった具合だ。

 そしてさらに武器の装備枠としてSHOULDER、ARM、HAND、LEGの4つがある。基本的には実弾兵器なのだが、レーザー兵器なども登場するようだ。

 ソフト面はOSとソフトウェアに大別され、OSは、STANDED、VISU、NEURONの3種類が用意されている。STANDEDは一般的なOSで、対応するソフトは多いのが特徴。しかし、高レベルのソフトウェアは扱うことができない。VISUは防御系のソフトに特化されたOS。NEURONは攻撃系のソフトに特化されたOS、といった特徴を持っている。

 ソフトウェアはパソコンで言うとアプリケーションといった意味合いで、インストールするソフトによって、「オートラン」や「レーダー」といった補助的な役割を引き受けてくれる機能を追加することができる。

 このように、自分のJUNKMETALがどういった形のプレイスタイルをとるかによって選択するパーツは変わってくる。グループを組んだときに、前衛で敵の盾になるようなJUNKMETALはLサイズのパーツで構成し、OSは防御系に特化したVISUを選択、多くの防御系ソフトウェアを入れるのが良いだろう。

 反対に、遠距離から敵に攻撃を仕掛けるようなスタイルのJUNKMETALはSサイズのパーツで構成し、機動力を上げ、OSを攻撃系のNEURONを選択し、多くの攻撃系ソフトウェアを入れるのが良いだろう。

 このように、百人いれば百通りのJUNKMETALを組み上げられるのがこのタイトルの売りだ。自分に登載されていない機能を持つJUNKMETALとグループを組んで難攻不落の敵に戦いを挑んだり、他のグループと対決したりユーザー主導で行動を思案することができる「JUNKMETAL」のシステムは想像以上に奥深い。

 しかし若干不満要素もあったので、簡単に紹介しておきたい。まず、狩場に沸くグールの数が少なく、常に取り合いのような状態であり、グールのPOP率がプレーヤー数に合って状態が続いている。また、狩場に近づくにつれ、ラグが生じるときが多々あった。ユーザーの多い狩り場では、思い通りに敵を狩ることできないケースも多々あった。こうした要素は、今後のバージョンアップで十分改良可能な範囲内なので、今後に改良に期待したい。

 ともあれ、純国産のタイトルで、MMOアクションゲームといった新しいシステムなだけに、筆者的に応援したいタイトルだ。「JUNKMETAL」の今後の展開に注目していきたいところだ。

(C)2003 METRO/BrainNavi/SQUARE ENIX All Rights Reserved.


【JUNKMETAL】
  • CPU:Pentium III 800MHz以上(Pentium 4 2GHz以上を推奨)
  • メモリ:256MB以上(512MB以上を推奨)
  • HDD:3.5GB以上
  • ビデオカード:VRAM 32MB以上(64MB以上を推奨)


□スクウェア・エニックスのホームページ
http://www.square-enix.co.jp/
□「JUNKMETAL」のホームページ
http://www.junkmetal.net/
□関連情報
【11月17日】「JUNKMETAL」のβテストアカウントを100名にプレゼント
最新スクリーンショットも公開
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20031117/junk2.htm
【9月26日】スクウェア・エニックス、MMO3Dロボットアクション
WIN「JUNKMETAL」クローズドβテスター募集開始
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20031117/junk.htm
【9月26日】スクウェア・エニックス、オンライン戦略発表会を開催
「フロントミッションオンライン」などMMOタイトルを複数発表
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030926/tgs_se.htm

(2003年12月19日)

[Reported by 渡辺 智]


Q&A、ゲームの攻略などに関する質問はお受けしておりません
また、弊誌に掲載された写真、文章の無許諾での転載、使用に関しましては一切お断わりいたします

ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp

Copyright (c) 2002 Impress Corporation All rights reserved.