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【連載第129回】 あの、おもちゃを徹底レポート




見事な2輪走行を楽しめる超小型ラジコン
ニッコー「iRider」

ニッコー「iRider」
発売 ニッコー
価格 4,980円
電源 アルカリ単3電池×4(別売)
発売日 発売中



 当連載でもたびたび取り上げている超小型ラジコン。手のひらに収まるほどのコンパクトなボディ。それでいて本格的な走行性能を持ち、価格も低めの設定、という利点が人気を集め、現在は多数の玩具メーカーがこの分野に参入している。メーカー同士の競争が過熱化することによって、ラジコンにされる題材も幅広くなってきた。スポーツカーに始まり、レーシングカー、戦車、電車まで、現在では多様な乗り物が超小型ラジコンとしてリリースされている。

 今回紹介するニッコーの「iRider (アイライダー)」は、そんな超小型ラジコンのムーブメントの中で、エポックともいえるスペックを有している。何しろ、題材がオートバイ、つまり2輪走行なのだ。これまでの超小型ラジコンは、キャタピラや車輪などの違いはあるが、どれも足回りに安定感のあるものばかり。わずか数センチという小さなボディで、2輪走行は実現できるのだろうか?

オーソドックスな性能にキラリと光る技術力

 現在リリースされている「iRider」は、「レプソルホンダRC211V」と「ドゥカティ799S」、そして「ドゥカティ999S 」の3種類。3台とも性能は同じなので、デザインの好みで選べばいい。筆者は、イエローのカラーリングが鮮やかな「ドゥカティ799S」をチョイスした。

パッケージ。前面が開閉式になっていて、マシンとコントローラを眺められる
 他の超小型ラジコンがそうであるように、この「iRider」も組み立て済み。コントローラに電池を入れ、付属のアンテナを差し込むだけで、すぐに遊べる。

 マシンへの充電は、コントローラを利用する。マシンをコントローラに接続することで、コントローラに内蔵されたアルカリ電池の電力が、マシンのニッケル電池に充電される。この仕組みも超小型ラジコンのある種の“お約束”になっているのだが、「iRider」はちょっとだけユニーク。他の超小型ラジコンがコントローラにマシン自体を接続する洗練された方式を採用しているのに対し、「iRider」はコントローラからケーブルを引き出し、マシンの後部に接続するようになっているのだ。はじめは洗練さに欠く印象を抱いたが、いやいやどうして、じっくり眺めているうちにオートバイへガソリンを供給している姿に見えてきて、味わいが出てきた。充電に要する時間は2分間。1回の充電で、約7分間の操作が可能になる。

 マシン自体は、さすがオートバイだけあって、自動車とは一線を画すものになっている。特徴なのはライダーの搭載だろう。大きなヘルメットに、レゴのフィギュアを彷彿とさせる細い手足。一見すると不恰好な感じなのだが、実はこのライダーこそが「iRider」のテクノロジーの肝となっている。コントローラの操作に合わせて、このライダーが右や左へと体を動かし、重心を移動させて、スムースな左右方向への移動が可能になるのだ。

 マシン自体は、デフォルメが効き、丸みを帯びたかわいらしい雰囲気。それでいてディテールは細かく、レーシングカーに付き物のシールもたくさん貼っていて、雰囲気はバッチリだ。

ライダー自体を左右に動かすことで、マシンを傾斜させるシステム。丸みを帯びたデザインも目を引く。マシンのサイズは、40×80×70mm(幅×奥行き×高さ)。消しゴムと並べてみると、その小ささが引き立つ


 コントローラは、さすがラジコンのニッコーというべき充実した内容になっている。いわゆるガンタイプのボディは、左手で握るとしっかりとなじみ、軽く力を入れるだけで安定する。

 「iRider」の左右移動を司るハンドルは、ジョグダイヤルタイプ。アクセルはトリガータイプになっていて、しかも力の加減で走行速度を変えられる性能を誇る。

専用コントローラ。アクセルがトリガーになっている、いわゆるガンタイプ ダイヤルの回す少し手ごたえがあり、いたずらに左右へきりすぎないような配慮がなされていることがわかる トリガーの引き具合によって、マシンの走行速度も変化。上達すれば、繊細なコーナーリングも楽しめる



補助輪の利用で操作を段階的にマスターできる

 充電が完了。さあ、走行だ! と景気よくいきたいが、そうは簡単にはいかないのが、オートバイのラジコンのややこしいところ。オートバイのラジコンは軒並み速度が速く、慣れるのに練習を要する。つまり、2輪で安定性を出すために、相応のスピードが必要なのだ。それを忘れて、うっかり走らせると障害物に衝突して故障……なんて事態になりかねない。しっかりとマニュアルを読み込むことにする。

 「iRider」は、初級のユーザーでも扱えるように、十分な配慮がなされている。アシストホイールという名の小さなアイテムがそれ。いわば自転車における補助輪だが、これをマシン本体に取り付けることによって、操作を段階的にマスターできるようになっているのだ。

 第1段階は、マシンにアシストホイールを取り付ける。マシンが左右に傾くと、アシストホイールの補助輪が地面に接着し、安定感が増すのだ。ここで前進や左右への方向転換を習得する。

 第2段階は、アシストホイールを付けたまま、やや前方にずらす。こうすると、補助輪が地面に接着にしにくくなり、マシンがグッと傾斜するようになる。ここでオートバイらしい、スピード感あふれるコーナーリングをマスターする。最終段階は、アシストホイールを外す。これによってバンク(傾斜)角を深く取れるようになるので、スラロームなどの高度な走行も可能になる。

コントローラからケーブルを引き出し、マシンの後部へ接続すると、電力が供給される オートバイなので、走らせる場所はできる限り大きい方が楽しめる。他人に迷惑がかからないように配慮した上で、公園などで遊ぶのがおすすめ

 筆者はもちろん、アシストホイールを付け、基本からはじめた。アシストホイールでマシンを支え、コントローラのジョグダイヤルを回してみる。すると、マシンにまたがったライダーが左へ右へと動き、重心を変える。その姿は、まさにプロのライダーさながらで、その表現力に興奮!

 次にコントローラのトリガーを引いてみる。テーブルの最奥に置いた「iRider」が瞬時に、まさに一瞬でテーブルの上を疾走し、そのまま落下した。速い。オートバイとはいえ、そこは超小型ラジコン。スピードもそこそこなのでは……と想像していたのだが、甘かった。これではテーブルの上ではとても操作できない、と走行場所を仕事場の床の上に変えることにした。

【ムービー】
「ライダーの重心移動」
MPEG、377KB
「「iRider」の直進」
MPEG、79.1KB


 次にアシストホイールを少しずらし、マシンを傾斜させて、コーナーリングを愉しんでみることにした。左へ、右へ、そして左右の連続とひと通り試してみると、その機敏さに目を奪われる。ジョグダイヤルを回転させると、あたかも海の中を泳ぐ魚のようにマシンを瞬時に傾け、右へ左へとコーナーリングしていくのだ。これはまぎれもなく、オートバイの走りだ。レーシングカーや戦車とは違うスピートとスリル。瞬時の的確な操作が求められる緊張感。子供のころ、高値の花だったオートバイのラジコンが5,000円足らずで手に入るのだ、と思うと感激もひとしおだ。

 「iRider」の走行性能の優秀さを深く実感させらたのは、次の動作。オートバイは2輪のため、停止状態にすると左右に傾いてしまう。そのため走行させるためにはマシンを手で支えておく必要があるのだが、「iRider」なら手を使わずにマシンを立て直すことができるのだ。

 まずはマシンが傾いている方向に、コントローラーのジョグダイヤルをきっておく。この状態からアクセルをローにして、徐々に走らせ始める。マシンが動き始めたら、ダイヤルを反対に切り、アクセルをハイにする。するとマシンがしっかりと立ち上がり、そのまま安定して走り出すのだ。筆者もトライしてみたが、2~3回の練習で成功した。これはもうひと言、「すごい!」としかいいようがない。

 最後に深夜、仕事場のあるビルの前の歩道で、アシスタントホイールを外して「iRider」を走らせてみた。狭い仕事場とは違い、障害物もないので、スピード全開だ。広い空間を疾走する「iRider」は、もう比べようがないほど格好いい。瞬時に遠くへと走り去る姿を眺めていると、気分も爽快だ。ただし、フルスロットルでのコーナーリングはさすがに繊細な操作が必要で、相応の習熟が必要であることはわかったが、十分満足できるラジコンだと思う。


□ニッコーのホームページ
http://www.nikko-group.com/JAPAN/index2.html
□「アイライダー」のページ
http://www.nikko-group.com/JAPAN/catalogue.html


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(2003年10月23日)

[Reported by 元宮秀介]


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