独特のバッティングや投球システムでファンの心を鷲掴みにし、コンソールの野球ゲームをリードしてきた「実況パワフルプロ野球」。そんな野球ゲーム界のビッグネームがインターネット対戦に特化したシステムと無料提供という最強の武器を引っさげ、「パワフルプロ野球オンライン」(以下「パワプロオンライン」)としてPCゲームに堂々と登場。
■ オンラインでしか味わえない未知の相手との対決
しかし時間的、物理的な要因で、大抵は同じ人とたびたびプレイすることになる。同じ人と多くプレイすると、マンネリ化し、配球やバッティングの癖が読めてきてしまう。何よりも新鮮味が無くなってしまう。筆者が学生の時は、学校帰りに腕自慢の友達と一緒にプレイしたりしたものだ。しかし、社会人になるにつれてそのようなことが気軽にできなくなってしまった。 筆者のように「色々な人と対人戦をしたいのだが時間の都合上相手がいない。環境的に無理」といった方は多いはず。それを可能にしたのが「パワプロオンライン」だ。ネットという要素を最大限に活用し、自分の思い立った時間に未知の相手と対戦ができる。 相手の顔を見ることもなく、今までにない緊張感ある新鮮な戦いをすることができる。そんな熱いオンライン野球を体験できるのがパワプロオンラインなのだ。ネット上には今まで出会ったことの無い強敵がひしめいている。そんな腕自慢達があなたの参戦を待っている。
■ 登場チームはそれぞれ個性的な架空の2チーム
これに対し、「パワプロオンライン」は、架空の球団である「ブルーチーム」、「レッドチーム」を使用して対戦することになる。もちろん「ブルーチーム」、「レッドチーム」に所属している選手も架空であり、無名の選手ばかりだ。オンライン対戦で勝つにはチームのスタイルと選手の能力や特徴を把握することが大切だ。そこでまずは両チームの傾向から見ていくことにしよう。 「ブルーチーム」はバランスのとれたチームだ。打線はパワーAの藤原、ビル、原田、藤井といった強打者のほか、福田、青木、松田といったミートカーソルCの中堅所も控えている。守備はセンターラインを軸に鉄壁の構えで見ていて安心できる。筆者はサードに守備Eの松田を据えるのだが、守備の穴はそれぐらいだろう。ただ、全体的に走力が乏しい。スタメンを張れる野手では藤原、青木のCが最高で、走力Bの選手は田村の一人だけであるため、機動力不足は否めない。走力Cの竹内もいるのだが、スタメンで使うには能力不足だ。 投手陣は大変充実している。エースの長谷川は左投げMAX146Km。スライダー、フォーク、スクリューと左右の変化球に落ちる球まで備わっている。二番手藤田は本格派右腕でMAX147Km。スライダー、Sスライダー、フォークと申し分ない能力だ。その他にも心強い投手が揃っており、投手王国と言っても過言ではない。先制、中押し、だめ押しと追加点を上げ、自慢の投手陣で相手の追撃をシャットアウトするスタイルがこのチームの勝ち方だ。 一方の「レッドチーム」は打のチームだ。野手の破壊力は凄まじく、パワーAの中島、山口、小泉、山田、吉田、池田といった6人が在籍し、打力に関しては「ブルーチーム」を完全に圧倒している。 他のレギュラークラスの選手も一発をねらえるパワーを持っている。ただ全体的に守備力が低く、守備に大きな不安要素を残している。しかし、守備の軸となるセンターラインには守備力の高い選手がおり、なんとか形にはなっている。 どちらかというとピッチングスタッフの方が心配だ。「ブルーチーム」と比べると選手が持っている変化球の数が少なく、変化の量も少ない。エースのスティーブは右投げMAX147Km。カーブとチェンジアップで打者のタイミングをずらしながら打ち取っていくピッチャーで、二番手の鈴木は右投げMAX148Km。スライダーとSFF(スプリットフィンガーファストボール)の二つの球種を持つ。 こう見るとそれなりのピッチャーが揃っているではないかと思えてくるが、やはり球種が2種類しかないのはつらい。忍耐のピッチングで相手の攻撃を防ぎながら、自慢のバッティングスタッフで乱打戦に持って行くのがこのチームの勝ち方だろう。 ちなみに、選手にはパワーや走力などの表記されている能力のほかに、パワプロと一緒で隠し能力なるものが存在する。ホームラン性のあたりが出やすくなる「パワーヒッター」や、得点圏にランナーがいる場合に打力が増す「チャンス○」や、その反対で打力が下がる「チャンス×」。2ストライクに追い込まれると打力が低下する「三振男」なども存在する。この辺を探し当てるのもパワプロオンラインの魅力であり、ユーザー間交流の活性化を見込めるだろう。
現時点では選べる球団が2つだけと少ないのだが、十人十色とはよく言ったもので何度か同じチームと対戦することになっても、まったく同じオーダーのプレーヤーと出くわしたことは一度もなかった。とはいうものの、あと1、2球団増えればさらに各プレーヤーの個性化に繋がることは明白で、球団追加を心待ちにしている。
■ 守備、走塁はフルオート。これがさらにパワプロを面白くさせる 「パワプロ」は打撃、投球、守備、走塁とほとんどの動作をプレーヤーが操作する必要がある。筆者は「パワプロ」では、どちらかというと堅守でチームのピンチを凌ぐというプレイスタイルを採ることが多い。しかし、「パワプロオンライン」では守備や走塁がフルオートで試合を進められてしまう。 守備のフルオートは守備の面での駆け引きが事実上なくなるし、その華麗な守備を対戦相手に披露できないため、最初はかなり残念に思った。しかし「パワプロオンライン」をやり込むうちに、自分で守備を操作することができないこのシステムもアリだよな。と思い始めた。 それは守備をフルオートにすることで、「パワプロ」本来の投球とバッティングの妙を際立たせることができるからだ。「パワプロ」では、守備の下手な選手でも先行入力をしたり打球に素早く反応したりすれば、その守備力をプレーヤーのスキルで補うことができる。守備のプレーヤースキルが高ければ、投球の内容も強引な投球へと変えることができる。 しかし「パワプロオンライン」ではそう簡単にはいかない。フルオートの守備では選手の能力にかなり影響される。たとえば、守力Aの選手とDの選手を比べると、捕球してからのスローイングのうまさが断然違う。すなわち捕球してから送球する一連の動作が守力Dの選手は鈍いのである。 走力、肩力もしかりで、その辺の能力を頭に入れて「この場面ではこの方向に打球を飛ばさせなければゲッツーを捕ることができない」といった投球をする必要がある。ナインの守備力が低いとなると、投球に細心の注意をしなければヒットの山を築かれてしまうだろう。オート守備のおかげで配球を考える楽しみがグレードアップし、打者との駆け引きが一層面白くなったと言える。 ただ、走塁がオートなのは何とかしてほしいところ。「3回の裏、2アウト、ランナー2塁。バッターはセンター前のヒット!! 次のバッターはピッチャー」こんな場面の時、普通なら2塁ランナーはホームまで走らせるのがセオリーだ。なぜならば、次のバッターであるピッチャーは打力が低く、バッティングに期待できないからだ。かといって代打を送るにもまだ3回で、ピッチャーにはまだまだ投げてもらわなくてはならない。 しかし、こんなシチュエーションで思った通りに走塁しないのは大変もどかしい。「本塁に行け!!」と思ってもランナーはストップしてしまうのである。ひどいときは、狙って進塁打を打ったつもりがランナーは動かず。なんて場面にも出くわす。足が速いランナーに盗塁指示もできず、キャッチャーの能力の意味があまりない。よってキャッチャーには守備のうまさよりも打撃の強さのほうが大事になってきてしまっている。ボールをウェストする駆け引きもなくしてしまっているし、この部分はかなりいただけない。今後走塁操作が可能になることを切実に望みたいところだ。
■ グラフィックやシステムは、64版「パワプロ」を踏襲 「パワプロオンライン」のグラフィックは、2001年にWindows向けにリリースされた「パワフルプロ野球 オンライン対戦版」をそのまま採用しており、コンソールベースで言えばクオリティはニンテンドウ64版と同じ。このため、PS2版を見慣れてしまったユーザーにはややおおざっぱに感じられるかもしれない。 ただ、このおかげでPCの要求スペックが低く抑えられている。高性能グラフィックボードを要求せず、ノートPCでゲームをやってみたいというプレーヤーにも楽しめるようになっている。Pentium III 600MHz以上で、Direct Drawが動作するPCであればまず問題なく動作するだろう。 そして避けることのできないシステム的な問題なのだが、「パワプロオンライン」はオンライン専用ゲームという縛りから、「パワプロ」ほどサクサクとゲームを進めることはできない。具体的には球種を決めて投球ボタンを押し、投球モーションに入ったところで1秒ほど止まる。 止まるのが気になるプレーヤーはキーボードのF9を押すことによってスローモーション処理にすることもできる。これはピッチングとバッティングを完全に公平にするための仕様で、どうしても防ぎようのない現象である。筆者はそこまで気になるようなことは無かったのだが、パワプロの動作を期待してプレイするプレーヤーには少し気になるかもしれない。 また、ネットでの対戦を円滑に進めるために、パワプロオンラインはパワプロとルールが違う部分があるので簡単に紹介しておこう。
・コールド無しの9イニングス制。(所要時間30分程度)
■ 実はマウスこそが「パワプロ」に最適の操作方法!?
今回、プレイしながらつくづく痛感したが、「パワプロ」はマウス操作ほどピッタリ来るデバイスはない。PCゲームはマウスとキーボードを利用するタイトルが多く、海外で流行っているFPSというジャンルのゲームはマウス無しには語ることはできない。FPSとは一人称視点でプレイするアクションゲームのことを指し、照準を移動させるときにマウスを使用。すると照準はマウスを動かした方向に移動し、目標とするオブジェクトに攻撃を加えるときには照準をそのオブジェクトにあわせ攻撃する。 「パワプロ」も投げられた球にバットカーソルをあわせて打つ。FPSのシステムに近い「パワプロ」は、マウスでこそ真の楽しみ方ができるのではないか?と筆者はパワプロをプレイしながら長い間思っていた。それがパワプロオンラインで実現したことをとても嬉しく思う。コンソールからのプレーヤーも是非ともマウスでのプレイを推奨したい。慣れてくれば、最高の操作デバイスだと言うことに納得してもらえるはずだ。
■ 今後、実況やウグイス嬢のアナウンスを希望 パワプロオンラインをプレイしてみて、筆者はこのようなモードがあると面白いなと感じた。試合観戦モードといったものはどうだろうか? 上級プレーヤー同士の試合にはかなりの観戦者が入り、技術を参考にしたり、そのプレーヤーのファン同士の応援合戦が始まるなど色々な可能性を秘めたモードだと思う。大会などにも重宝されそうだし、今後対応してくれれば面白い。 そしてもともと「実況」で名を馳せたシリーズなのだから、PC版にもぜひ実況やウグイス嬢のアナウンスを今後サポートしてもらいたい。応援団のトランペットや応援もぜひとも入れてもらいたい。ここまで要求するのは欲張りなかもしれないが、完成度が高いだけに過度な要求を出してしまう。それだけ将来を期待してしまうタイトルなのだ。 「パワプロオンライン」を総括すると「パワプロ」好きのみならず、PCユーザー全員にお勧めできるタイトルなのであることは間違いない。1GAMEの所要時間は10分から30分程度であるし、気軽に対戦できるシステムも時間の無いプレーヤーにも嬉しい仕様だ。オフィシャルサイトで毎日更新されているランキングもやる気にさせる。勝率だけでなく、ネット上のHR王や、奪三振王を目指すこともできる。ぜひとも腕を磨いてランキング上位を狙ってもらいたい。 最後になるのだが、ルーターを使用しているプレーヤーは少し注意が必要だ。プライベートIPだと対戦はできるものの、こちらから対戦申し込みができないからだ。詳しくはオフィシャルサイトに掲載されているのだが、パワプロオンラインはUDPの12079番を使用する。この辺の設定をしてパワプロオンラインを楽しんでもらいたい。 (C) 2003 Konami Computer Entertainment Osaka.
□「パワフルプロ野球オンライン」公式ホームページ http://pawapuro.konamionline.com/ □関連情報 【6月4日】「パワフルプロ野球オンライン」正式版クライアント http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030604/demo0604.htm 【4月23日】コナミ、WIN「パワフルプロ野球ONLINE」 オープンβを4月30日から開始 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030423/konami.htm (2003年6月20日)
[Reported by 渡辺 智 Te2]
また、弊誌に掲載された写真、文章の無許諾での転載、使用に関しましては一切お断わりいたします ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp Copyright (c) 2002 Impress Corporation All rights reserved. |
|