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【連載第92回】 あの、おもちゃを徹底レポート




「ドカン」といえば空気砲が発射される!
エポック社「ドラえもん ドカン!わくわくくうきほう!!」

「ドラえもん ドカン! わくわくくうきほう!!」
発売 エポック社
価格 6,980円
電源 アルカリ単3電池×4本 (専用ACアダプター[別売])
発売日 発売中



音声認識機能で「くうきほう」を再現!

 ハードとソフトが一体化し、ケーブルでテレビとつなげばすぐに遊べる、エポック社の「体感ゲーム」シリーズ。これまで「エキサイトスタジアムDX」や「エキサイトボクシング」などのスポーツものや、「ミニモニ。ステージ! ダンスだぴょん!」、「ハムちゃんず大集合」などのキャラクタものが登場している。

 今回紹介する新作は、かの「ドラえもん」が題材だ。今年の5月に開催された「東京おもちゃショー」で参考出展されていたのをチェックして以来、筆者の中でずっと気になる存在だった。理由はふたつある。ひとつめは、シリーズ初の音声認識技術を搭載している、ということ。ふたつめは、その音声認識技術を使って、ドラえもんの道具の「くうきほう」を再現しているということ。「ドカン!」と口にすれば、ゲームの中で「くうきほう」が発射されるなんて、原作のコミックそのものではないか。ドラえもんで育った世代としては、非常に興味をそそられる。

大人の手のひらを大きく上回るほどのボリューム感 マイクは、本体の後方についている あらかじめ2体が同梱されているので、すぐに2人プレイが楽しめる



「ドラえもん」ゲームとしても傑作!

 最初に結論から言っておこう。この「ドラえもん こえでドカン! わくわくくうきほうほう!!」は、これまでの「ドラえもん」を題材にしたゲームの中で、トップクラスの出来栄えと言っていい。ご存知の方も多いと思うが、過去に登場した「ドラえもん」のゲームは、いかにも子供だましのものが多かった。しかし、このゲームは違う。「ドラえもん」への愛情に満ちていて、キャラクタゲームとしても優れた出来栄えになっているのだ。

 まずグラフィックがいい。コミックではなく、アニメ版をオリジナルにしているが、キャラクタ、背景ともに再現度が非常に高い。つぎにボイス。ドラえもん役の大山のぶ代さんをはじめ、アニメ版と同じ声優さんによる声が要所にインサートされる。そして最後に……これが最も重要なのだが、「ドラえもん」へのこだわりが随所に溢れているのだ。たとえばミニゲームのタイトルのデザインがテレビ版のタイトルと同じになっていたり、ストーリー編がジャイアンのわなに引っかかるところからはじまったり、「そうそう、これがドラえもんの味なんだよなあ」と、頷かされっぱなしなのだ。

タイトル画面。大山のぶ代さんの声が響き渡る ミニゲームのタイトルは、テレビアニメのそれを再現 ストーリーモードは、ドラえもんとのび太になって物語を楽しめる



シンプルで熱いガンシューティングが楽しめる

 プレーヤーが扱う「くうきほう」型のコントローラは、砲塔が土管のように大きい独自のスタイルを忠実に再現している。握ると「おおっ、“くうきほう”だっ!」とちょっとした興奮をおぼえる。入力方法は、トリガーを引くのと、マイクに向かって声を発するのとで2種類。

 ゲームは「ストーリー編」と「フリープレイ編」に大きく分かれている。遊べるミニゲームの種類は同じなのだが、のび太になって物語を体験しながら遊べるか、ミニゲームを片っぱしから遊んでいくか、気分によって選べるようになっている。先ほどもふれたが、「ストーリー編」は、ジャイアンのわなからはじまる。「ドラ焼きをあげるから家にこいよ」と誘われるがままにジャイアン宅にいくと、「その前に屋根裏のねずみを退治しろ」と命令されてしまう。かくしてねずみを撃ちまくるミニゲーム「てんじょううらのネズミたいじ」がはじまるのだった。

 プレイ感覚は、ガンシューティングゲームそのまんま。柱の影から顔を出すネズミを「くうきほう」でドンドン撃ちまくる。ネズミを逃してしまうと、中央にあるドラ焼きをかじり取られてしまう。ドラ焼きがなくなると、ゲームオーバーだ。「タイムマシンできょうりゅうのせかいへ」も同様のオーソドックなガンシューティングゲーム。せまり来る無数のプテラノドンをバンバンと打ち倒していき、最後に現れるティラノサウルスはウィークポイントのノドを狙って倒す。

 1プレイを終えて筆者が強く感じたのは、子供向けだからといって一切の媚びがないな、ということだった。プレイステーション 2向けなどで発売されているガンシューティングと比べても遜色のない出来栄えで、大人でもスッとその世界に入っていける。たとえばミニゲームのひとつ「おなじはなをさかせよう」は、花壇の土から顔を出している芽に「くうきほう」で水をあげ、連続して同じ種類の花を咲かせたらポイントを得られる「神経衰弱」ルールになっているのだが、ライバル役のしずかちゃんがマジ。いっさいの手加減なしで、ビシバシと同じ種類の花を当てていくので、しょせんは子供向け……とのんびり遊んでいると、まず勝てないだろう。

「てんじょううらのネズミたいじ」。ネズミからドラ焼きを守ろう 「タイムマシンできょうりゅうのせかいへ」。迫りくる恐竜を「くうきほう」で撃つ 「おなじはなをさかせよう」は神経衰弱。強すぎるよ! しずかちゃん!!



あの「ジャイアンリサイタル」も体験できる!

 音声認識機能を使ったゲームも、もちろんたくさん用意されている。「くうきでロケットきょうそう」は、「3、2、1、GO!」というかけ声に合わせて、大声を出すとロケットが発射される。ロケットは、前回の記録よりも大きな声を感知する、という仕掛けになっていて、これが燃える。子供は大声を出すのが好きだから、さぞかし熱中するのだろうなあ。

 「だるまさんがころんだ」は、その名の通りのゲーム。オニのジャイアンが「だ、る、ま、さ、ん、が、こ、ろ、ん、だ」とつぶやいている間に、「くうきほう」のマイクに向かって声を出すと、ドラえもんが進んでいくのだ。ジャイアンに見つかるとゲームオーバーになるのは当然として、競争相手のスネ夫やしずかちゃんの足取りが意外と早く、声を出すのにためらっているヒマなどなし。ジャイアンもときおりフェイントを使ってきて、まさに「だるまさんがころんだ」を遊んでいるかのような気分が味わえる。

 「ジャイアンリサイタル」は、ジャイアンとなり、おなじみのあのコンサートを疑似体験する、という遊び。ゲームはカラオケ形式になっていて、声が小さいと途中で終わってしまう。「とってもだいすきドラえもん」と「おれはジャイアン」の2曲から選べる、という幅が楽しい。

「ジャイアンリサイタル」。名曲2曲を大声で歌おう 「だるまさんがころんだ」。意外にスリリング! 「ふうせんわりきょうそう」。かけ声にあわせてドラえもんが浮かぶ


 ここまで読んでいただいた方なら、筆者の評価はもう十分におわかりだろう。すごく楽しめた! くり返しになるが、ドラえもん世代として、“キモ”をとらえた内容に満足。子供向けとして、ゲームの中身に手抜きがあったり、難易度がいたずらに低かったり、ということもない。本当によくできているのだ。

 身近に小さな子がいる方。“ウケる”クリスマスプレゼントの有力な候補ですよ!

(C)藤子プロ・小学館・テレビ朝日
(C)2002 EPOCH CO.,LTD
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□エポック社のホームページ
http://www.epoch.gr.jp/
□「体感ゲームコーナー」のページ
http://www.taikan-game.com/


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(2002年12月12日)

[Reported by 元宮秀介]


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