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【連載第85回】 あの、おもちゃを徹底レポート




PCとの融合でハイテクスパイごっこが楽しめる
レゴ「スパイボティックス」

「スパイボティックス」
発売 レゴジャパン
価格 10,000円
電源 アルカリ単3電池×3 (別売)
アルカリ単4電池×3 (別売)
発売日 発売中
対応OSなど Windows 98SE/ME/XP
CD-ROMドライブ 8倍速推奨
要シリアルポート



 プログラムで制御するロボットを作れる「マインドストーム」。PCカメラを使って映画が撮れる「レゴスタジオ」。PCとの融合が続くレゴに、新たなアイテムが登場した。今回はグッと趣向が変わり、スパイになりきって遊べるというトイだ。名前は、「スパイボティックス」。
 「スパイというなら、レゴで7つ道具を作るんかい!?」と想像してしまったアナタは、おじさんです。この「スパイボティックス」は、最新の技術を集結させたハイテクロボ、という映画「スパイキッズ」も顔負けの設定。このふれこみはあくまで「設定」なのだけれど、実際の「スパイボティックス」もトイとして最先端をゆく仕掛けが施され、注目の内容になっている。

パッケージ。クールさを全面に押し出したデザインだ 基本はラジコン。ロボットをリモコンで操作する



ボディにはCPUや光、衝突センサーを内蔵

 「スパイボティックス」には、形状や性能が異なる4種類がある。「3806 ギガメッシュG60」は、青いボディの機体に数多くのタイヤを持っているのが特徴。フロントには歯車が取り付けられている。「3807 スナップトラックスS45」は、赤いボディにキャタピラを備えている。フロントにはハサミを搭載。「3808 シャドウストライクS70」は、紫のボディに三輪タイヤ。フロントにはシャベルがある。「3809 テクノジョーT55」は、緑のボディで四輪走行。フロントのハサミは、タイヤの動きに合わせて開閉する。

 それぞれ速度や駆動性、機敏性に一長一短があるのだが、本体の中央に設置されたブロックだけは共通している。このブロックは、「I.R.M(インテリジェント・ロボティック・マイクロプロセッサ)」と名付けられており、CPU、光センサー、衝突センサー、赤外線センサー、LEDランプ、そして駆動用のモーターと、実に多彩な回路や機器が詰め込まれている。筆者は、キャラピラに惹かれて、「スナップトラックスS45」をチョイスした

「スナップトラックスS45」。キャタピラ走行は、この機種だけ フロントにあるのが衝突センサー。キャノピーの中に透けて見えるのが「I.R.M」だ



「組み立てる面白さ」が味わえるのはさすがレゴ

 ボックスを開け、パーツを確認すると、キットの内容がおおよそつかめた。「スパイボティックス」の本体。そして、小袋に入れられた大量のパーツ。これで組み立てをするのだろう。CD-ROMとケーブルは、「スパイボティックス」とPCを接続し、何らかのデータをダウンロードするのだろう。よしっ、わかった!

 さっそく組み立てを開始しようとすると……ん? ……んん? ……んんん? 組み立て説明書がないのだ。直感で適当に組み立てる、という方法も考えたが、いかんせんパーツは200個程度あり、どうにもなりそうにもない。何とはなしにパソコンの中に入れたCD-ROMの中身を見たら、悩みは解決した。説明書は、この中に収録されていたのだ。パーツは3Dグラフィックスで表示され、もちろんフルカラー。しかも表示されているパーツを自在に回転することもできる。パーツの向きを確認するために、この図の裏側を見てみたい、なんていうときにも、これならオーケー。おかげで作業に迷うこともなく、完成させることができた。レゴにしろ、プラモデルにしろ、これからの組み立て説明書はかくあるべし、と思わせるものがあった。

 しかし、さすがはレゴだ。本来のキモである「モノを組み立てる面白さ」もしっかりと生かされていて、作業工程は数えると58。完成まで、ゆうに2時間以上はかかった。とはいえ、これが不満、というわけではない。レゴだけにひとつひとつの作業はスムースで、モノ作りの面白さを噛みしめられた。

「伝統」と「ハイテク」が一体となったキットだ 説明書はCD-ROMに収録されいている。組み立ては、パソコンの画面を見ながら行なう


 運転は、基本的にリモコンを通じて行なう。移動用には4個のボタンが用意され、それぞれ「左側前進」、「右側前進」、「左側後退」、「右側後退」の役割を担っている。前進をさせたいときは「左側前進」、「右側前進」を同時に押す。後退も同様に「左側後退」、「右側後退」の同時押し。

 完成した「スパイボティックス」を動かしてみると、動作は軽快そのもの。特に左右方向への前進・後退が面白く、機動性に優れたラジコンであることがわかる。動かしているだけでも十分に遊べるのだが、これでは普通のラジコンと変わりはない。「スパイボティックス」の真価は、ここから先にあるのだ。

パーツは多いが、駆動に関わる部分は完成済みなので、作業に難しいところはない コンパクトなリモコン。操作感覚も悪くない



本体にプログラムをダウンロードしてプレイ!

 「スパイボティックス」は、プログラムをCD-ROMから本体にダウンロードして、与えられたミッションをこなして遊んでいく仕掛けになっている。アプリケーションを起動すると、「スパイボティックス」が活躍するCGムービーが流れる。続いて登場する基本画面もスパイ組織の本部の映像、という凝りようだ。こうして「エージェント気分」を高めて、ミッションにチャレンジするのだ。

 ミッションは、全部で10種類。簡単なものから難しいものまでがあり、1人で遊ぶものと2人で遊ぶものがある。選択画面は、スクリーンに映し出された世界地図。どこまでも「スパイ風」だ。ミッションを決定したら、内容の詳細を確認。音声でミッションのルールや必要なものが紹介されるので、しっかりと聞き取る必要がある。次に難易度の調整をしたら、プログラムを本体にダウンロードする。ダウンロードに要する時間は、パソコンの性能にもよるだろうが、10~20秒といったところ。

迫力のCGムービー。まるでゲームソフトのよう 基本画面は、スパイ組織の本部。気分が出る



ミッション「放射能漏れ」にチャレンジ!

 筆者は「放射能漏れ」というミッションを選んだ。「オーストラリアの宇宙研究所で放射能が漏れるという緊急事態が発生。早急に現場にかけつけ、大惨事になるのを食い止める。ガイガーカウンターで放射能漏れの箇所を探し、プラズマシールドで補修する。制限時間はメルトダウンまでの1分間のみ!」と、こんなバックストーリーになっている。

 ミッションで遊ぶ前には、フィールド作りが必要だ。身近にあるビデオテープやトイレットペーパーなどをスタートやゴール、障害物などに見立てて使用するのだ。筆者が選んだ「放射能漏れ」は、フィールドが原子炉。「スパイボティックス」にエネルギーを補給するためのランプが必要という設定だ。もちろん用意する。「スパイボティックス」のフロントにある衝突センサーがスタートボタンを兼ねており、これを押す。ファンファーレが鳴った後、ミッションが開始される。

 「スパイボティックス」をしばらく適当に走らせていると、突然、本体上部の警報ランプが「ガガガガ……」とにぶい音を立てて点滅を始めた! このミッションでは、警報ランプはガイガーカウンターの役割を与えられ、放射能漏れが起きているとプログラムで設定された場所を感知するのだ。「スパイボティックス」を右へ左へと回転させて、ガイガーカウンターがさらに早く点滅する方向を探る。
 あった! 「スパイボティックス」をその方向に前進させる。すると点滅の速度がピークに達した。すかさずリモコンのボタンを押す。……しばらくしてファンファーレがなった。修理ができたという意味なのだろう。これをくり返していたら、ひときわ大きな音でテーマ曲が鳴り響き、「スパイボティックス」が左右に回転した。ミッション完了だ! ミッションを終えた後、「スパイボティックス」をパソコンに接続すれば、結果を保存することができる。

ミッションのルールや準備を確認したら、プログラムを本体に転送する 「放射能漏れ」をプレイ。難易度を上げるため障害物を置いてみた


 普通のラジコンだったら、遊び方にバリエーションをつけようとも、「気ままに走る」とか「ゴール目指して走る」とか、あるいは「障害物をすり抜けて走る」など、あくまで「走る」ことしかできないところを、この「スパイボティックス」はミッションプログラムを導入することで、「故障箇所にかけつけて修理をする」だとか、「味方のロボットにエネルギーを与えてゴールまで誘導する」だとか、ストーリー性を持ったプレイを可能にしたというわけだ。同じことを人間同士でやろうとすると、ルールや成否の判定がとかく曖昧になるものだが、「スパイボティックス」ではプログラムが判断してくれるため、きちんとした「ゲーム」として楽しめる。

 気ままに遊びたいときはラジコンとして自由に走行を楽しむ。じっくりと遊びたいときはミッションをダウンロードして、緊張のミッションをクリアする。大きく2通りの遊びができるところが、非常に魅力的だ。

【WMVムービー】
387KB 522KB


□レゴジャパン (マインドストーム) のホームページ
http://mindstorms.lego.com/japan/


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(2002年10月17日)

[Reported by 元宮秀介]


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