「ドリームフォース02 SKYSHIP」 | |
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発売 | タカラ |
価格 | 6,980円 (ヘリウムガス 3,000円) |
電源 | アルカリ単3電池×4 |
発売日 | 4月25日全国発売 |
筆者は、はじめはこの一文を目にしておらず、「SKYSHIP」をたっぷりと遊んだ後で読みんだのだけれど、伝えようとしていることがよくわかった。「SKYSHIP」を遊んでいると、不思議と晴れやかな気持ちになれるのだ。
全長は約90センチとビッグサイズ。内蔵したヘリウムガスの効果で浮遊する | コントローラ。レバーもなく独自の操作だが、わかりやすく、すぐに慣れる |
■ 軽くて素朴なパーツを慎重に組み合わせる
機体のデザインは3種類あったのだが「グラーフ・ツェッペリン2世号」をチョイスし、さっそく組み立てることにした。箱に収められたパーツを取り出し、テーブルの上に並べると、ちょっとした驚きを覚えた。飛行船の気球部分に当たる「エンベロープ」は、ビニール(エバール)製。安定板はスチロール製。プラパーツも薄めで、組み立てには接着剤ではなく、両面テープを使用するのだ。値段を考えると、安っぽいのでは……。しばしの思考の末、なるほど、と納得。すべては「浮遊」のためなのだ。要は飛行船を浮き上がらせるべく、総重量を限界まで軽くする必要があり、これらはそのために選択された素材、というわけだ。
組み立て作業は、決して簡単とはいえない。軽さを追求した素材のため、下手をすれば壊れそうな繊細さだし、何より「空を飛ぶトイ」なのだ。少しの間違いがあろうものなら、落下の憂き目にあいそうで、気持ちも引き締まる。
作業を進めていると、普段とは違った感慨が沸いてきた。最近のトイは可能な限り簡単に作れるように配慮されていて、いかにも「組み立て」という作業なのだが、「SKYSHIP」の場合は違う。素朴なパーツを大切に扱いながら、時には「これでいいの?」と頭を悩まなければならない難しさがあり、まさに「工作」をしているようなのだ。そうそう、昔の飛行機のキットも同じようにパーツが華奢で、苦労しながら作ったなあ、といくつもの思い出が頭をよぎる。
作業のポイントとなるのは、4種類の安定板。一見するとみな同じに映るのだが、上部垂直安定板、左右水平安定板、下部垂直安定板の3種類があり、それぞれ本体の正しい位置に貼らなくてはならない。誤ると、とんでもない飛び方をしてしまいそうで、取扱説明書を何度も確認しながら作業を進める。
後部の安定板。本体には両面テープで接着。4基の羽で安定した飛行を実現する | ゴンドラには、プロペラをはじめとする移動に関わる機構が内蔵されている |
■ ヘリウムガスを注入し、充電を終えて……準備はオーケーだ
開始から1時間後に、キットの中身をすべて組み終える。ただし、作業は終わりではない。ペラペラでビニール然としたエンベロープにヘリウムガスを注入するのだ。「デカイ」と評した「ヘリウムガス」の箱の中には、銀色のパックが入っている。この先端をハサミでカットし、ポンプを設置。今度はポンプのノズルを、エンベロープの最後部に突き刺す。ポンプのグリップをポンピングすると、パックのヘリウムガスが、エンベロープに送り込まれていく。飛行船を浮かせるには、エンベロープに70リットルのガスが注入されている必要があり、ポンピングの回数にすると150から160回分となる。単調な作業だなあ、と思っていたけれど、100回を超えるころからエンベロープが膨れ上がり、飛行船らしくなってきたので、とたんに楽しくなってくる。
160回目のポンピングを終えると、目の前には飛行船があった。ホンの数分前はペシャンコだったのに、今では堂々たる「グラーフ・ツェッペリン2世号」になっているのだ。全長は約90センチ! このデカさにもシビれされられる。しばし、感激に浸っていると、あることに気づいた。
「この飛行船、浮いていない!!!」
「SKYSHIP」を持ち上げると一瞬だけ上昇するが、数秒後には急速に下降してしまうのだ。検討の結果、ヘリウムガスが微妙に足りないのだと判断し、もう一度ポンプをセッティング。10回ほどポンピングをすると、飛行船はグーンと浮かび上がり、仕事場の天井にくっついた。ひと安心だ。ただし、これでは上昇の操作が楽しめないので、付属の重りを取り付け、重量を微調整する。自然に浮かび上がるが、天井にはたどり着かず、中空を漂っている、という按配に調整することができた。
飛行船の動作に必要な電力は、コントローラから供給する。コントローラから伸びるコードを、飛行船のゴンドラの下部に取り付ければ充電開始。10分間の充電で、15分間の飛行が可能となる。
最後部にボンベを差込み、ヘリウムガスを注入する。次第に膨らむ様が楽しい | パックには、約100リットルのヘリウムガスが入っている。とにかく大きい。写真は編集部員が箱を持ったところ | 充電は、コントローラから。ケーブルでゴンドラとつないで、10分程度 |
■ のんびりとしたその姿に、心もなごんでいく
自動車や飛行機、ロボットなど既存のラジコンとはまるで異なる面白さがある |
この「SKYSHIP」の魅力のひとつは、実際の飛行船の操作をそのまま再現していることだ。2基あるプロペラの向きを、上と下、正面の3方向に変える。左と右のプロペラをそれぞれ回転させる。あるいは逆に回転させる。これらの組み合わせで、自由に飛びまわれるのだ。
高く飛ばすには、プロペラを上に向けて、左右のプロペラを回転させればオーケーだ。コントローラを操作すると、間髪いれずにプロペラが回転し、「SKYSHIP」がフワッーと上昇していく。
天井に接触しそうになるまえに、プロペラの回転を一度止め、向きを正面に変える。そしてあらためて回転させると、今度は前進をはじめる。右へ旋回する場合は、左のプロペラだけを回転させる。左への旋回は、右のプロペラだ。後退させるときは、プロペラを逆に回転させる。
操作への反応は、良好だ。飛行船だけにキビキビとは言えないが、イメージ通りに飛び回らせることができる。
仕事場を飛び回る「SKYSHIP」の様子は、のんびりとしていながらも、飛行船独自の勇壮さがにじんでいて、ずっと眺めていようとも、まるで飽きない。
操作もマスターし、充分に遊んだつもりなのだけど、なかなかコントローラから手を離すことができない。「SKYSHIP」を操作していると、どんどんと気持ちよくなってくるのだ。自動車やロボットのラジコンを操作していると、気分は次第にハイになっていくが、「SKYSHIP」はその正反対とでも言おうか。宙に浮かび、ゆったりと動いている様子を見ていると、心がジンワリと溶けていくような感覚があるのだ。あくまで室内限定とのことだが、晴れた日に河川敷などで飛ばすことができたら、それはそれは楽しいだろうなあ (じつは室内といえどもクーラーの風にさえ影響を受けてしまうのだが……) 。
飛行船のラジコン、と聞いてはじめはその目新しさに惹かれていたのだが、特有の操作も面白く、受ける感動も新しく、独特な魅力に引き込まれてしまった。これはよいです。「ドリームフォース」シリーズは、前回のロボット、そして今回の飛行船ともに傑作で、早くも次なる展開が気にかかる。期待していますよ、タカラさん!!
□タカラのホームページ
http://www.takaratoys.co.jp/
□「SKYSHIP」のページ
http://www.takaratoys.co.jp/skyship/
毎週、電子系のおもちゃを中心にオススメのおもちゃをご紹介しています。「このおもちゃ、気になるけど面白いかなぁ」といったものを徹底的に遊び倒し、その面白さをお伝えしていきます。取り上げて欲しいおもちゃなどがありましたらドシドシと編集部までメールを送って下さい (編集部)
(2002年4月4日)
[Reported by 元宮秀介 (ワンナップ)]
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