1月後半から2月後半にかけての新作ラッシュのちょっと前のためか、大きなタイトルの入荷がないこの頃だったので、今回はショップに再入荷されていたものの中から、過去の良作をピックアップ。その名も「Desperados」。西部開拓時代を舞台にしたストラテジーゲームだ。ゲームシステムは「Commandos」に良く似たスニーク系のものなのだが、キャラクタたちの持つアクションが舞台である西部ガンマン世界にマッチしており、プレイしていてワクワクする作品である。 |
■ 西部が舞台のミッションクリア型ストラテジー
昔の仲間を集めていたら、ドクが縛り首になるとの情報が。神父を殴って縛りあげ、その隙にドク救出に向かう |
綿花のプランテーションで騒動を起こしたサムを助けに行く。夕方のけだるい雰囲気が表れているグラフィックも秀逸 |
いかさまがばれたケイトは客船に囚われてしまった。仲間だとばれたクーパーたちも追われる羽目に |
ジョン・クーパーは、道中、さまざまな事件に巻き込まれながら、身の潔白のためにエル・ディアブロを捕らえなければならない。タイトルの「Desperado」とは「不法者」という意味で、副題である「Wanted Dead or Alive」とは「お尋ね者(生死は問わず)」という意味。強盗を追いかける立場だったクーパーがいつのまにか自分も追われる立場になってしまい、敵と自分とが追いつ追われつするゲーム展開にぴったりである。
ゲームシステムは、クォータービューのゲーム画面で、クーパーとその仲間たちを操作して、敵に見つからないように目的を果たしていくミッションクリア型のストラテジーだ。ぶっ放しあうのが身上の西部劇な世界で、なぜ「Commandos」のようなスニーク系のシステムが成り立つかというと、例えば、気絶した仲間を抱えつつマップの端にある馬にたどり着こうとする時、派手な銃撃戦を起こすと、マップ内の敵がすべて出てきてしまい、あっという間にこちらが蜂の巣になってしまうため。つまり、他の敵をおびきよせないように、一人ずつ始末する必要があるのだ。
時にはナイフを投げて音もなく殺し、時には仲間の特殊能力を使っておびき出し、そして死体は物陰に隠してじりじり先に進むといった具合なのである。敵キャラクタには視線の向きと範囲がそれぞれ設定されていて、その範囲内にクーパーや死体などが入ると、途端に大声で仲間を呼び寄せてマップ内をくまなく点検し始めてしまう。慎重な行動と大胆な機転が要求されるゲームなのである。
ゲームが進んでいく過程では、それぞれに特徴ある仲間が加わっていき、各自の技能をどう使用するかにも頭を悩ませてくれる。クーパーが殴って気絶した敵を、仲間が縄でしばって物陰に隠し、別の仲間が太ももを見せるお色気作戦で新たな敵をおびき寄せるといったこともある。ミッションによっては、ダイナマイトで行き止まりを爆破したり、風船をつけて漂うガスの小ビンを敵のそばで撃って割ったり、「ここはどう突破すればいいんだろう」と悩み、解決するととても爽快感のある場面が数多く用意されている。また、拡大画面を見てもらえばわかるとおり、開拓時代の風俗なども含めて細かく描きこまれたグラフィックは実に美しく、次はどんな場所での戦いになるのだろうかと期待をふくらませてくれる。
日本人にはなじみの少ない西部劇や西部開拓時代だが、このゲームをプレイするのに、事前の予備知識はいっさい必要ない。我々が漠然と持っている「西部でガンマンでカウボーイ」といった断片的なイメージさえあれば、このゲームを楽しむには十分だ。「Commandos」などのように近代が舞台になっていると、軍事系のゲームに免疫のない人はよけて通ってしまいがちだが、「Desperados」の世界は映画や小説などと同じく、構えずに誰でも親しめるのが嬉しい。
酒場で聞き込み。通常は建物の中まで見えないのだが、イベントによっては細かなグラフィックを堪能できる | 駅前ののどかな風景。この後、ケイトは駅構内にいた男を蹴り上げて気絶させ、全員汽車にのって移動する | ステージとステージの合間には、こんな西部劇調な移動マップが表示されて現状を知ることができる |
難攻不落のサンチェスの要塞。ここを突破しないと彼を仲間にできないのだが、とにかく敵の数が多い | 行き止まりがあるのでTNT樽を使う滅多にないチャンス。しかし、そこまでにいる敵を殲滅しなくてはならない | 殺人の容疑をかけられて屋根の上に逃れたクーパー。なんとか脱出して街に散らばる仲間と馬を集める |
画面の右下に全体マップを表示して、敵の位置やクーパーがよじ登れる場所などを確認 | 泊まっていたホテルを急に襲撃されてしまうが、オーナーの娘であるミアに助けられる | 細い通路に敵がびっしり。端の敵から慎重に片付けていかねばならない |
■ それぞれのキャラクタのスキルと特性
主人公のクーパー以下仲間たちはそれぞれに特殊な能力を持っている。全員、第一の技能として飛び道具を持っているのだが、ゲームを進めるにあたっては、そのほかのあらゆる特殊能力を駆使することが必要不可欠になる。画面の左上に表示されるアイコンはひとつずつショートカットキーが割り振られており、数字キーでキャラクタを選択し、ショートカットキーで素早くアクションを行なうことになる。キャラクタの技能によっては材料が必要なもの、リロードが必要なもの、使った後に拾いに行かなくてはならないものがあり、材料などは各マップで抜かりなく手に入れておく必要がある。
そして、技能とは別に、それぞれのキャラクタにしかできないアクションも設定されていて、力のあるサンチェスは一度に2人分の死体を担げて運べるが、女性のケイトは死体を担ぐことはできないといった具合だ。誰がどんな行動を取れるのか把握していないとゲームを進めることは難しい。
また、ゲームの進行自体とは関係ないのだが、仲間キャラクタがいろいろな場面で当意即妙のセリフをやりとりをするため、ストーリーの展開なども含めて楽しむことができる。ゲームの難易度が高く、頭をひねる中にあって、キャラクタたちのセリフの応酬はほっとする一瞬だ。
・コルト……クーパーのリボルバーは弾が6発。ライフルより飛距離や威力で劣るが、素早く攻撃できる
・殴る……相手を殺さず、気絶だけさせたい時には素手で殴る。倒れた相手は星を頭上にだしてノックダウンされる
・ナイフ……単に相手を刺すだけでなく、捕らわれた仲間の縄を切ったり、納屋にぶら下がっている干草のロープを切り落として下にいる敵をつぶしたり、用途はいろいろだ
・投げナイフ……音もなく敵を殺せるということで、非常に使用頻度の高い攻撃方法。しかし、一度投げたら死体のところまでナイフを拾いに行かねばならない
・時計……地面に置き、一定時間後にオルゴールをならせる仕掛け時計。音に気がついて寄ってきた相手を投げナイフで暗殺するのがスマート
・ウィンチェスター……威力もスピードもさほどではない銃だが、12発まで撃てるのが魅力的
・ダイナマイト……漫画に出てきそうな筒型のダイナマイト。数は限られるものの、投げつけることができる
・縛る……気絶した人間を縄でぐるぐるに縛ってしまう。気絶しただけだとあとで息を吹き返すので、殺したくはないけれど絶対に動いてほしくないキャラクタなどに使用する
・蛇袋……人の通り道に置いておき、知らないで踏んづけた人に蛇が噛み付くという袋。しかし、気が付かれると蛇は殺されてしまうという、なかなか使いどころが難しいスキル。ちなみに、サム以外のキャラクタが蛇袋をつかもうとするとやはり蛇にかまれてしまう
・TNT樽……マップ内で手に入る爆薬の詰まった樽を好きなところに設置できる。行き止まりや扉の爆破などに重宝。樽を置いた後は、離れた場所に行って道々落としてきた火薬に点火する。点火スキルはケイトの鏡で太陽光線を集めてもできたり、応用範囲が広い
・バントライン……弾が6発なのはクーパーのコルトと同様だが、バントラインのほうが飛距離が長い
・狙撃……バントラインに特別な弾丸を込めて長距離の狙撃をする。狙うときの照準も大きなものとなって、通常より精度の高い射撃ができる
・ガスの小ビン……嗅ぐとノックアウトされてしまうガスを詰めた小ビン。これを敵に投げつけて眠らせられるが、チーム内のメンバーにも同様の効果があるので気をつけなくてはならない
・風船……ガスの小ビンがついた風船を指定の直線状に飛ばせる。敵のそばまで風船が届いたら銃で撃ち落して敵を眠らせるというわけだ
・手当て……回復キットを使用して仲間の怪我を回復することができる。もちろん、自分自身も手当てできる
・デリンジャー……小さくて素早い反面、一度に3発までしか撃てない。敵をおびき寄せるスキルを使うのをメインにして、撃ちあいはなるべくさけたい
・トランプカード……好きな場所にカードを“キャッツアイ”よろしく投げて刺し、それを見かけた相手をおびき寄せる。トランプを複数置けば、敵キャラはそれを順にたどってしまうことに
・ガーター……これと決めた相手に、太もものガーターベルトをちらつかせておびき寄せるという荒技。敵キャラクタの視線範囲を示すレーダーがこの時だけピンクになるのも笑える
・ミラー……太陽光線を反射させて、遠距離から敵の目をつぶすと、相手は一定時間しゃがみこんだりうめいたりする。また、サムのTNT樽を爆発させるとき、遠距離から火薬に火をつけられる
・キック……目的の相手の背後へこっそりと忍び寄り、思いっきり蹴り上げて気絶させる。蹴る直前まで自動で忍び寄るので、こっそりした行動が苦手なプレーヤーでも安心
・ショットガン……2発しか撃てないものの、弾が散って周りにもダメージを与えるため、かなりの威力を発揮する
・テキーラ……道路などに置いておくと、敵が見つけてテキーラを飲み始めいい気分に。相手がフラフラと千鳥足になったら、シェスタとスワイプのコンビネーションで叩く
・シェスタ……サンボレロを深くかぶって昼寝のふりをする。敵の視線の範囲内に入ると、敵は誰かと思って攻撃もせずに寄ってくる
・スワイプ……ショットガンを手に持ってグルリと振り回す。シェスタ状態のサンチェスに近づいてきた敵に、タイミングを見計らってこれを出してノックアウトする
・建物内を一掃……通常、建物の中に敵がいてそこにキャラクタが入るとやられ放題になるのだが、サンチェスだけは、建物の中でも自動的に暴れて、3人以下の敵をはたきだすことができる
・吹き矢……毒の塗った矢があたった敵は混乱状態となり、敵味方関係なしに銃を撃ちまくってしまう。近くにいるミアも危険なので、吹き矢を吹いた後は樽などに隠れる必要がある
・ホイッスル……音を出して敵をおびき寄せる。吹いた後に樽に隠れると応用範囲が広い。もちろん、吹き矢とのコンビネーションも抜群だ
・爆竹……爆竹を投げつけるという、中国系アメリカ人のミアらしいスキル。かなり大きな音をだしてしまうかわりに、近くにいたものの目潰しをする。グループで固まっている敵の真ん中に落とすと効果的
・ピーナッツ……下記のスキルとの組み合わせで使用するスキル。これを撒いた場所にMr.リオーネを行かせることができる
・Mr.リオーネ……ミアの相棒の猿。上記のスキル「ピーナッツ」と合わせて使用する。ピーナッツがあるところにはMr.リオーネを差し向けて、踊ったり走ったりさせられる。それによって兵士が集まってきたりする
ステージの合間には豊富にムービーが挿入される。字幕はないので英語が聞き取りづらいが、見ているだけでもストーリーの把握に役立つ |
■ 各キャラのスキルを活かしたプレイがゲーム攻略の基本
さて、上記で紹介したように、主人公達のスキルはかなりバラエティに富んでいるのだが、その時々によって、役目どおりの働きをしたり、意外な結末を生んだりと、使用ケースによって結果がまちまちのため、目が離せない。また、単にスキルを単独で使うのではなく、キャラクタ自身のアクションと組み合わせることが必要な時もあり、うまくはまると、まるでアクション映画の中の登場人物のように機転を利かせた行動をとることもある。
一方、敵は敵で、それぞれの行動パターンを持っているので、巡回する兵士のタイミングを見計らって建物の陰から陰に移動したり、死体を見つけた敵が仲間を呼び寄せるのを手に汗握りながら覗いたりなど、プレイしている間中ドキドキの連続だった。
ゲームの難易度はステージが進むにつれてうなぎのぼりになっていくのだが、最後までたっぷりと頭も腕も必要とされるミッションが用意されており、ひとつのマップに何時間もかけて試行錯誤しながらクリアすることがしばしばあった。しかし、頭をかきむしることはあっても、不思議と投げ出してそのままにしておきたいと思ったことはない。というのも、どうやったら難局を切り抜けられるのか、どのスキルを使ってどうしたら気づかれずに兵士を殺せるのか、といった自分の超えられなかった壁が、どうしても気になってしまい再挑戦してしまうからだ。
見ているだけで幸せになれる細かく描写されたフォトリアリスティックなグラフィックも夢中で遊ばせるのに一役買っている。「Desperados」はグラフィック、難易度、夢中になれるゲームシステムと3拍子揃った、最後を見届けずには入られない気分にさせる優良ストラテジーゲームである。
新しいキャラクタが仲間になると、次のステージへ進む前に必ずチュートリアルステージがあり、スキルの使い方を学べるようになっている | クーパーの時計は地面において指定の時間後に音を鳴らすことができる。音に気がついてやってきた敵が背を向けた瞬間にナイフでひと突きに | ケイトが特定の敵に太もも攻撃をしかけると、敵がフラフラと近づいてくるので、物陰に隠れていたクーパーがすかさず殴り倒す |
馬の背には建物の2階などから飛び移れる。砦からの脱出などに使う場面はまさに映画のワンシーンそのもののニクい演出だ | 通りすがりの荷馬車に合わせて歩き、向こう側の敵に見つからないように移動なんて場面もあり | 敵に死体が見つかると人を呼ばれて厄介なので、建物の陰などに集めるのだが、だんだんと死体置き場になってしまう |
(c) 2001 Infogrames Europe S.A. All rights reserved. Developed by Spellbound. Published and distributed by Infogrames, Inc. Infogrames and the Infogrames logo are the trademarks of Infogrames, Inc. and its affiliates. Desperados is the trademark of Infogrames, Inc. All other trademarks are the property of their respective companies.
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■ 今週の気になる直輸入ソフト
2月にTropicoの拡張セット「Tropico: Paradise Island」やC&C初のFPS「Command & Conquer Renegade」などのワクワクするようなタイトルが控えているせいか、この時期はどんなタイトルをみても小粒に見えてしまうから不思議だ。事実、タイトル数も控えめだ。
今回、一通り見てまわった限りでは米国で昨年後半に発売されていたゲーム、例えば
Frank Herbert's Dune(4,200円~4,250円)などが各店でちらほらと入荷されていた。また、「Car Tycoon」を購入しに行った時はOvertopでしか見つけられなかったが、T-ZONEでも入荷予定があるとのこと。デモがないので一発勝負という感じだが、Tycoonものなら出来如何にかかわらず手を伸ばしてしまう人はぜひ。その他では、LAOXゲーム館で再入荷した「DOOM Collection」(3,060円)を見かけた。
ドイツのメーカーVectorComが開発した車会社経営シミュレーション。車会社の社長となって、工場での車生産、ディーラーでの販売、ガレージでお客へのサービスの3つの柱を軸に、セダンやオープンカー、スポーツカーなどさまざまな種類の車を開発生産していく。ひとつの工場ではひとつの種類の車しか生産できず、またディーラーではひとつの店で最大4種類(ディーラーの大きさによって異なる)までしか車を売れないため、競売で新たな工場やディーラーを落としながら生産ラインと販売網を拡大していく。
プレイ中はご機嫌な50'sサウンドにのって街中に自社の車が走り回るのがかなり嬉しいし、グラフィックが細かくてばっちり箱庭しているのもポイントが高い。また、ミッションも年代別に'50年から2000年まで数多く用意されている。ただし、車の形や色などはあらかじめ決められているため、なんとなくミニカーを大量生産して販売しているような気になってしまうのは今ひとつ。ゲームバランスがかなりシビアなので経営シミュレーションマニア以外にはあまりお勧めできないかも。
(c)2001 RIM GmbH. All rights reserved. Car tycoon is a resistered trademark of VectorCom and Fishtank Interactive is a registered trademark of Ravensburger Interactive Media GmbH.
(2001年1月23日)
[Reported by 西尾ゆき]
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