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【連載第37回】 あの、おもちゃを徹底レポート




おもちゃロボットの集大成!
遊びの要素がギッシリ詰まったトミー「パルボ」

パルボボーイ(左)、パルボベイビーブルー(右)
発売 トミー
価格 各3,500円
電源 単4アルカリ電池×2(内蔵)、ボタン電池×2(内蔵)
発売日 発売中


 ロボットトイには“フロンティアスピリット”を感じる。3,000から4,000円までという子供向けトイならではの価格制限がある中で、競合各社は最新技術とエンタテイメント機能をギリギリまで詰め込んでいる。その姿勢には、「どんどん行け!」とエールを送りたくなる。
 トミーから発売された「パルボ」も、まさに今のロボットトイの勢いを感じさせてくれる逸品だ。ロボットトイをウォッチしてきた目から見ると、「これで3,500円は安い!!」と断言したくなるほど、遊びの要素がギッシリと詰め込まれている。

「パルボ」ファミリー一挙に5体登場!

 「パルボ」には、物語の設定がある。パルボ星から、パルボの父さんと母さんが地球に飛来。大好きな子供がたくさんいることに気を良くした父さんと母さんだが、ロボットがいないことに気づいた。父さんと母さんは、ロボットを量産する機械を開発。かくして生まれたロボットトイが「パルボ」というわけだ。そうそうっ、こういうストーリーって、意外と効果的で、あるとないとでは感情移入の深さが違ってくるもの。楽しいなあ。往年の「ミクロマン」の設定なぞを思い出し、少しジンワリとさせられた。

 かくして父さん、母さんに作られた「パルボ」たちは、必然的に家族の一員となるべく設計された。男の子の赤ん坊「パルボベイビーブルー」と女の子の赤ん坊「パルボベイビーピンク」。愛犬の「パルボワン」。そしてお兄さんロボの「パルボボーイ」とお姉さんの「パルボガール」だ。
 今回は「パルボベイビーブルー」と、「パルボボーイ」をセレクトしてその魅力を紹介していこう。

パルボベイビーブルー。子供と話をするのが好きなベビー型ロボ パルボボーイ。スポーツとゲームが得意なお兄さんロボ パッケージは、宇宙人によって作られたカプセル、という設定だ。パッケージには穴があいており中のボタンを押してロボットが話す声などを確認することができる


表情と動作で感情を深く表現する!

 「パルボ」の特徴は、表情と体の動作を生かしたオーバーな感情表現にある。顔の中央にある液晶画面に表示される表情は、何と200種類! 喜びや悲しみなどの基本的な感情表現は、それだけで数パターンの表情が用意されている。そのタッチも劇画調からコミカルなものまでと、まさに変化自在。遊び始めて1週間がたとうというのに、いまだに初見の表情に出くわすことがあり飽きさせない。時には一見して不可解な表情もあり、意味を探るために、取扱説明書が手放せない。一度は旗がユラユラとはためいている表情(?)が浮かび上がり、知らべてみると「最高にハッピー!」の意味だと判明。ラッキー!

液晶画面に映し出される表情は、全部で約200種類。見ているだけでも楽しめる

 体の動作は、「パルボベイビー」だとお尻のピクピク運動になる。まだ赤ん坊なので歩くことはかなわず、お尻の左右に交互に力を入れて、全身を振るわせる。両手もバタバタさせて、そのしぐさは赤ちゃんそのもの。これがお兄さんの「パルボボーイ」になると、二足歩行になる。

パルボベイビーお尻ピクピク運動
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パルボボーイの二足歩行
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 言葉は、パルボ語を発する。一聴するとフランス語に似ているがとても早口。時折、悲鳴と笑い声を交え、にぎやかなことこの上ない。
 内蔵されたサウンドセンサーによって、ユーザーの言葉に反応する。例えば「おはよう!」と声をかけると、体をゆらし、両腕をバタバタさせて、喜んでくれるのだからかわいらしい。
 体を持ち上げユラユラゆすると、振動センサーが反応し目玉をグルグルと回す。この姿が何ともオマヌケで愛らしく、何度も何度もくり返したくなる。

こんなふうに「パルボ」を持ち上げ、ユラユラゆらすと…… グルグルと目を回す。目を回されるのは嫌いじゃないらしく、ご機嫌もよくなる

まだまだある、遊べる機能

 さかんに話しかけ、その反応を楽しみ、ときには体を揺すりコミュニケーションを楽しむ。……と従来のロボットトイなら、大体これくらいが機能のすべてだった。ところが「パルボ」は、これでまだ半分だというのだから、その詰め込みぶりがおわかりいただけるであろう。駆け足でどんどん紹介していく。

 パルボにはユーザーとさらに密接に遊べる数々の「おともだち機能」が搭載されている。
 まずは時計機能だ。時間を調べることはもちろん、アラームを鳴らし、目覚まし時計として利用することもできる。いったいどんな起こし方をしてくれるのかと、アラームをセットしてみたら、非常に聴きなれたメロディが。そう映画「2001年宇宙の旅」のオープニングに劇的に使用された名曲「ツアラトゥストラはかく語りき」ではないか! 宇宙人が開発したロボット、という設定が、こんなところにも生きているというわけか。
 メロディ機能は、「パルボ」が気に入っている3曲を聴くことができる。

時計機能。アラームをセットすれば、目覚まし時計としても利用できる メロディ機能。「パルボ」の気分によって、3曲のうちから1曲が選ばれ演奏される

 液晶画面を利用したミニゲームも2種類用意されている。「○×占い」は、「パルボ」にどんなことでも良いから質問し、その結果を「パルボ」が占うというもの。もちろん、パルボが本当に診断しているわけではないのだけれど、偶然が愉快なドラマを生み出す。筆者の最初の問いかけは「お金持ちになれますか」。結果は無残にも「×」。めげずに「幸せになれますか」と尋ねると、今度は「○」。そうか、筆者の幸せはお金の中にはないのか、と人生の真理を「パルボ」から教えられた次第だ。
 「UFOシューティング」は、砲台からミサイルを発射し、空を飛ぶUFOを破壊するシューティングゲーム。画面は往年のアーケードゲーム「ギャラクシーウォーズ」を思わせるが、肝心な砲台を動かすことはできない。
 とはいえ、つまらないゲームかといえば、そうではない。UFOの移動スピードが実に緩急自在で、なめてかかると一発たりとも命中させることはできない。意外と楽しい。これが筆者の結論だ。

○×占い。「パルボ」に質問をすると、○か×かで答えてくれる UFOシューティング。右から左に移動するUFOを破壊する。全部で4ラウンドある

 それと「パルボ」は清潔好きで、なおかつ病弱だったりする。1日に最低2回は歯磨きをしてあげないと、ウィルスに蝕まれ、病気になってしまう。ほったらかしにした日の翌日、「パルボ」に話しかけると、液晶画面にバイキンのようなウィルスが映し出され、ひたすらさめざめと泣かれ困ったことがある。
 病気を治すにはアンチウィルスを使う。歯磨きと同様、本体裏のボタンを押すだけの操作なのだが、アンチウイルスという言葉に妙なリアリティを感じさせられる。

健康を保つため、1日2回は歯磨きをしてあげなくてはならない 病気の初期段階。ウィルスが「パルボ」のコンピュータに進入した危険な状態だ

バルボの会話
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 2台以上のパルボを近くに並べると会話をはじめる機能もある。以前紹介したセガトイズの「ウィーキングプーチ」に同様の試みがあったが、比べてみると、より会話らしくなっている点がポイントだ。

 充実したコミュニケーション機能と、詰め込まれた遊びによって、これまで以上に密接な付き合いができるようになった。「パルボ」は現時点でのロボットトイの“最高傑作”と賞賛したい。さて、このトミーが放った一石に競合各社がどう反応するか。ロボットトイは、これからますます面白くなる。

□トミーのホームページ
http://www.tomy.co.jp/


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(2001年10月5日)

[Reported by 元宮秀介 (ワンナップ)]


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