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【連載第33回】あの、おもちゃを徹底レポート




サッカーを楽しめるロボット
バンダイ、トミー、タカラ「ロボカップトイズ」

ロボカップトイズ
発売 株式会社バンダイ (フィールドコマンダー) 、株式会社トミー (ブレイクリーガー) 、株式会社タカラ (ジェイストライカー)
価格 各4,980円
発売日 発売中

 「2050年までに完全自律型の人間型のロボットのチームで、サッカーのワールドカップ代表チームに勝つ」。こんな途方もなく、それでいて魅惑的な夢を掲げ、実現に向け様々な研究と開発を行なっているプロジェクト「ロボカップ」をご存知だろうか。参加人数はロボット工学や人工知能の研究者をはじめ3,000人以上、国にして35カ国におよぶ国際的研究プロジェクトだ。

大手メーカー3社共同プロジェクトに期待!

パッケージには「ロボカップトイズ」公式のロゴマークが輝く
 今回紹介する「ロボカップトイズ」は、バンダイ、タカラ、トミーの3社が、ロボカップの理念に賛同し、「次世代を担う子供たちがロボットに興味を抱くように……」と共同で創設したプロジェクトだ。
 興味を引かれるのは、ふだんは好敵手として火花を散らしている大手玩具メーカーが、一致団結して推進するビッグなプロジェクトだということ。それを裏付けるように、「ロボカップトイズ」の製品には、オープンアーキテクチャーが徹底されている。本体はもちろん、タイヤ、コントローラ、はたまたビスに至るパーツまで、すべてが共通規格の元、開発されており、パーツの組み換えが自在に行なえる。例えば、バンダイ製の本体に、トミー製のユニットを合体させることが可能だ。自由闊達、前代未聞。ロボカップ委員会は「ロボカップトイズは、オモチャ界のLinuxを目指す」と語っているが、まさに「今」の時代にふさわしい、新しい風を感じさせる。

複雑なパーツ構成ながら組み立ては簡単

 その第1弾として発売されたのが、サッカーが楽しめる走行型ロボットの3機種だ。一見ラジコンカーを思わせるデザインではあるが、マシンの先端にボールをキャッチし、シュートするユニットが組み込まれている。

【タカラ「ジェイストライカー」】
【バンダイ「フィールドコマンダー」】
【トミー「ブレイクリーガー」】

 まず最初にバンダイの「フィールドコマンダー」を作ることにする。箱を開けると、パーツが出てくる、出てくる。中箱を引き出すと、この中にもさらに多くのパーツが入っている。その数の多さに一瞬ひるむ。が、作りはじめたとたん、不安は雲散霧消した。パーツは、駆動部分のもの、本体周辺のもの、と関連別に袋で小分けにされているのだ。説明書通りに作業を進め、その部分に差し掛かったら、おもむろに袋を開け、パーツを取り出し、組み立てればいい。おかげで、パーツの識別に悩んだり、紛失してしまうこともない。優れたアイデアだ。
 組み立ては、パーツとパーツにプラスチックのビスを差込み、クイッと回転、固定させるだけ。この大胆さが、いかにも物づくりをしているという感じで、楽しい。所要時間は1時間程度だ。

パッケージの中身。本体パーツに加え、コントローラ、公式ボールも同梱されている 小袋に分けられたパーツ。このアイデアのおかげで、組み立てがストレスなく楽しめる


 完成した「フィールドコマンダー」は、堂々たる存在感を放っている。手のひらに載せてみると、両手からはみ出す大きさ。そしてズシリとした重量。本体には大量のシールが貼られ、そのデザインはいかにも男の子を心をくすぐりそう。

サッカーに特化した俊敏な動き

 コントローラは、テレビゲーム機のものを模している。手のひらにガッチリと固定できる握りの部分があり、方向キーと計4個のボタンが配置されている。
 操作の前には、バンドの設定を行なう。「ロボカップトイズ」は赤外線通信によって同時に8台までのマシンの操作が可能で、8つのバンドが用意されている。そのうちのひとつのバンドをコントローラとマシンに割り当てる、というわけだ。作業は、コントローラとマシンそれぞれに「セレクトボタンを一瞬だけ押す」など、共通の操作を行なうだけの簡単なもの。

コントローラ。ゲーム機タイプなので、迷うことなく、すぐに操作できる 公式ボール。ほぼピンポン玉と同サイズ。振るとカシャカシャと音が鳴る


 マシンを前進させてみると、キュィイイインと音を立て、スピーディに走り始めた。続いて後退。方向キーの左右のどちらかを押すと、マシンはその場でグルグルと旋回する。サッカーに特化した小回りの利いた動作だ。驚いたのは、そのレスポンスの速さ。鋭敏、と呼ぶにふさわしい。これなら1秒の差を競うハイレベルな試合も楽しめそう。
 Aボタンはアームを駆動させ、ボールのキャッチとシュートをコントロールする。Bボタンは、シューターの上げ下げを操作する。C、Dボタンは使わないが、説明書には今後、新たなユニットを取り付けたときに使用するとある。

 続いて2台を完成させ、走行テストを行なう。付属のロボカップ公式ボールを使って、シュート&キャッチを繰り返すと、それぞれのマシンの特徴がハッキリとわかった。

タカラ「ジェイストライカー」 バンダイ「フィールドコマンダー」 トミー「ブレイクリーガー」
先端のアームは、ボールを捕らえると、自動的にキャッチする。ウィリー走行が可能で、オフェンスマシンの頭上を越えるループシュートを放てる アームの上げ下げによって、ループシュートかグラウンダーシュートか、シュートの使い分けができる。俊敏性にも優れている 前2機種と異なり、シュートレーバーを採用。レバーを回転させる方向によって、シュートを左か右へ流して打てる。走行速度は最速を誇る


 マシンはそれぞれに一長一短があり、全体としてバランスがとれている。「ジェイストライカー」は、何よりウィリー走行によるボールのホールドは強力だし、「フィールドコマンダー」はパワフルなシュートが魅力。「ブレイクリーガー」は、ボールのキャッチング能力が光る。

 ボールをキャッチしてシュートする。そんなシンプルなひとり遊びも十分に楽しい。美しく流れるような操作を目指すと、とたんに熱くなる。とはいえ、これをやらないわけにはいかない。そう、試合だ!

このもどかしさが熱くさせる!

 「ロボカップトイズ公式ルール」の1vs1プレイのルール通りに、新聞紙2枚分のフィールドを設置。周囲に雑誌を並べ柵を作る。もちろん、ゴールには30センチの隙間を空ける。時間は規定通りに、前半3分、ハーフタイム1分、後半3分で実施した。

 ……想像とはまるで違った。基本的には肉弾戦。アームでボールをキャッチして、ゴールを目がけてシュートを放つなんていう華麗なプレイなど、筆者程度の腕前では夢またの夢。マシン同士はぶつかりあっているのに、ボールは全然違う方向に転がっていく。ライバルのシュートを防ごうと、ゴール前にカットインしたら、そのまま自殺点を入れてしまった。そんな珍プレイばかりが炸裂。だけど、この操作のもどかしさこそが、面白さのキモだ。思うようにいかない操作に四苦八苦したり、ライバルの下手さに爆笑させられたり。そんな悪戦苦闘の中で、うまく好プレイを繰り出せた瞬間は、最高の気持ちよさだ。フィールドコマンダーを操り、ループショットを決めたときの胸の高まりが忘れられない。

説明書通りに、新聞紙2枚のスペースの周囲に雑誌を並べ、即席フィールドを作成 試合中のひとコマ。ボールの奪い合いがなにしろ熱い!


カスタマイズはもちろんOK!

 改造用パーツはこれからの発売とのことだが、これらのマシンのパーツを使った改造も行なえる。参考にすべてのマシンのパーツを組み替え改造を施してみた。

ジェイストライカー+フィールドコマンダー ジェイストライカー+ブレイクリガー フィールドコマンダー+ブレイクリガー


 ロボカップ委員会が思い描く2050年の夢が本当に叶うかどうかは、今の段階ではわからない。だけどひとつはっきりといえるのは、ロボカップトイズがとても熱いトイだということだ。この面白さを堪能するためには、競い合うライバルの存在が不可欠。ぜひ仲間を募って遊んでほしい。ムーブメントに乗り遅れるな!

□トミーのホームページ
http://www.tomy.co.jp/
□バンダイのホームページ
http://www.bandai.co.jp/
□「フィールドコマンダー」のページ
http://www.bandai.co.jp/products/items/item0000000816.html
□タカラのホームページ
http://www.takaratoys.co.jp/


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(2001年9月6日)

[Reported by 元宮秀介 (ワンナップ)]


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